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15 ゼフィロside
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そして信じてもらえるか分からない話を皆に聞かせることにした。
物心ついた頃からたまに見る、初代勇者と賢者のあの夢の話を。
恐らく、いや、絶対に私は初代勇者の生まれ変わりだ。そして賢者クレベールの生まれ変わりがあの薬師の青年。
なぜわかるのかと言われても「なんとなく」としか説明の仕様がない。魂レベルでわかるというかそんな感じだ。
なぜ私があの夢を見続けていたのか、今ならはっきりとわかる。私がファウストの生まれ変わりで、クレベールを愛していたから。
そして愛するクレベールを自分の力不足で死なせてしまった。彼に会いたいという強い思いと、今度こそは幸せにしたいという気持ち。
この思いが強すぎて、生まれ変わった今でも忘れない様に夢に見ているのだ。
そして今の私には、新たなスキルが誕生している。神像の前で祈らなくても確信が持てる、新しい力。
きっと神が私の願いを聞き届けてくれたのだろう。
だから私はこんなところでぐずぐずとしていられない。早く彼の元へ行かなければ、また私は彼を失ってしまう。
「……それ、本当なの?」
「ギルエルミ、信じられない気持ちはよくわかる。私自身、確信を持ったのは目が覚めてからだ。だが今言った内容は、間違いなく本当の話だ。
信じなくてもいい。だが私は何としても、全てを捨ててでも彼の元へ行く」
「…………」
少しの間沈黙が下りた。こんな話、直ぐに信じる方が無理だ。そんなこと、私自身が良くわかっている。
だから無理に信じてもらう必要はない。私だけが、信じていればいいのだから。
「…ゼフィロ様、お気持ちはよくわかりました。ですが、恐らくしばらくは王都から出られないと思います。ゼフィロ様が目覚めたら知らせるよう、陛下より賜っておりますしその後謁見もございますでしょうし…」
…そうか。確かに報告は必要だな。だが、そんなことで時間を取られるのは本意じゃない。
「私から陛下に3日以内の謁見を申し込む。ギルエルミ、まずは私を家まで転移で飛んで欲しい。そして陛下への手紙を書いたら直ぐ王宮へと持って行ってくれ。そして謁見後、私は直ぐに王都を発ち辺境の町へ行く。その時も君の転移を借りたい。いいだろうか」
「はぁ!? そんな今すぐ動かなくても…ってわかったわかった! わかりました! ホントにもう…。こう決めたら梃でも動かないんだから…」
「それからセルジオとソニアは、私が急にいなくなったことで騒がれると思うから、そこを何とかしてほしい」
「ああ、任せろ」
「お任せください」
まずは両親に会って今後の事を説明せねば。
ギルエルミの転移で、私の自室へと戻る。まともに動けない私はそのままベッドのヘッドボードに持たれる形で座った。
そのままギルエルミを扱き使うようで悪いが、館の使用人を誰でもいいから使って家族を呼んでもらうよう頼んだ。
待っている時間も有効に使わなければ。まずは指を動かし握ったり開いたりを繰り返す。それはすぐに出来るようになったので、次は腕を上げたり下げたりして動かしてみる。最初はぎこちなかったものの、こちらも直ぐにスムーズに動かせるようになった。
と、その時寝室の扉が勢いよく開き、両親と兄上達、そして執事長までもが部屋へと雪崩れ込んできた。公爵家の人間とは思えない動作で、私の元へと駆け寄ってくると父上と母上に抱きしめられ、その上から兄上達まで抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっと! 苦しい! 苦しいです!」
流石に勇者の私でも、力いっぱい抱きしめられれば苦しくはなる。ただ、その苦しさも皆を心配させていたことからくるというのはわかっているから、幸せの苦しさだが。
「ゼフィロ! 良かった! 無事で、生きて戻ってきてくれて…」
「父上、ご心配をおかけいたしました」
父上が泣いているところなんて初めて見た。それほどまでに私の事を案じてくれたという事だ。
「よく頑張りましたね。あなたは私たちの誇りです」
「母上、何とか使命を果たすことが出来ました」
母上はもうぼろぼろに泣いている。父上よりも母上に泣かれる方が弱い。
「お前が倒れて運ばれたと聞いた時はどうなるかと…」
「意識が戻らない間、仕事も何も手に付かなかった…。よく戻って来たな」
「兄上方もご心配をおかけいたしました。少し前に意識が戻ったばかりなんです。未だ本調子ではありませんが、生きています」
ふと家族から目を離してみれば、一歩離れたところで執事長も涙を流していた。
ここまで皆に心配をかけてしまったことに申し訳なさを感じながらも、家族の温かさを感じて嬉しくもある。だが、ここで喜んでばかりもいられない。私には時間がないのだ。
「父上、お願いがあります。陛下への謁見が必要なことは分かっています。魔王討伐に関しての報告もありますし。
それで3日以内の謁見を申し込みたいので、手紙を書いていただけないでしょうか」
「3日以内の謁見だと? お前は先ほど意識が戻ったばかりだというではないか! そんな急がずともゆっくり体を休めてからでも…」
「申し訳ないのですが、私には時間がないんです。私がこうして今生きていられるのは、自らを犠牲にして私を助けてくれた人がいるからなんです。その人は今も無事かどうかもわかりません。もしかしたら今も苦しんでいるのかも…。私は何としてもその人を助けたいんです。ですからお願いします、父上」
一体どういう事なんだと言われ、魔王討伐後の事を話した。
呪いに倒れた私を助けてくれた、辺境の町の薬師の青年。その青年が自身の持つスキルを使い、私の体から呪いを移したこと。彼が苦しんでいたのを最後に詳細が不明なこと。調べて貰おうとしたが、余計な手を回されて何もわからなかったことを。
「…ゼフィロの命の恩人ならば我々からも感謝を伝えねば。そして今危険な状態にあるかもしれないというのなら、うかうかとしていられないな。わかった。陛下にはなんとしても3日以内の謁見を了承してもらおう」
「ええ。私からも陛下へお願いしますわ。どんなに公務が立て込んでいようと、優先してもらわなければ。もし出来ないのであれば、謁見はまた後日にして貰えばよろしいですし」
「ありがとうございます、父上、母上」
それから父上に一筆書いてもらい、ギルエルミにはそれを持って王宮へと飛んでもらった。
返事がわかるまで、私はとにかく体の調整を続けていた。お陰で目が覚めた翌日には、剣は振れなくても日常生活を送る分には問題が無くなった。流石勇者のスキルがあるからか、回復が異常に早い。
辺境の町へ出発する用意も進めた。謁見が出来ようが出来まいが、3日後には出発すると言ってある。我儘だなんだと言われても、私は私のやりたいようにすることに決めた。魔王討伐をしたんだ。そのくらいは大目に見て貰わなければ。
物心ついた頃からたまに見る、初代勇者と賢者のあの夢の話を。
恐らく、いや、絶対に私は初代勇者の生まれ変わりだ。そして賢者クレベールの生まれ変わりがあの薬師の青年。
なぜわかるのかと言われても「なんとなく」としか説明の仕様がない。魂レベルでわかるというかそんな感じだ。
なぜ私があの夢を見続けていたのか、今ならはっきりとわかる。私がファウストの生まれ変わりで、クレベールを愛していたから。
そして愛するクレベールを自分の力不足で死なせてしまった。彼に会いたいという強い思いと、今度こそは幸せにしたいという気持ち。
この思いが強すぎて、生まれ変わった今でも忘れない様に夢に見ているのだ。
そして今の私には、新たなスキルが誕生している。神像の前で祈らなくても確信が持てる、新しい力。
きっと神が私の願いを聞き届けてくれたのだろう。
だから私はこんなところでぐずぐずとしていられない。早く彼の元へ行かなければ、また私は彼を失ってしまう。
「……それ、本当なの?」
「ギルエルミ、信じられない気持ちはよくわかる。私自身、確信を持ったのは目が覚めてからだ。だが今言った内容は、間違いなく本当の話だ。
信じなくてもいい。だが私は何としても、全てを捨ててでも彼の元へ行く」
「…………」
少しの間沈黙が下りた。こんな話、直ぐに信じる方が無理だ。そんなこと、私自身が良くわかっている。
だから無理に信じてもらう必要はない。私だけが、信じていればいいのだから。
「…ゼフィロ様、お気持ちはよくわかりました。ですが、恐らくしばらくは王都から出られないと思います。ゼフィロ様が目覚めたら知らせるよう、陛下より賜っておりますしその後謁見もございますでしょうし…」
…そうか。確かに報告は必要だな。だが、そんなことで時間を取られるのは本意じゃない。
「私から陛下に3日以内の謁見を申し込む。ギルエルミ、まずは私を家まで転移で飛んで欲しい。そして陛下への手紙を書いたら直ぐ王宮へと持って行ってくれ。そして謁見後、私は直ぐに王都を発ち辺境の町へ行く。その時も君の転移を借りたい。いいだろうか」
「はぁ!? そんな今すぐ動かなくても…ってわかったわかった! わかりました! ホントにもう…。こう決めたら梃でも動かないんだから…」
「それからセルジオとソニアは、私が急にいなくなったことで騒がれると思うから、そこを何とかしてほしい」
「ああ、任せろ」
「お任せください」
まずは両親に会って今後の事を説明せねば。
ギルエルミの転移で、私の自室へと戻る。まともに動けない私はそのままベッドのヘッドボードに持たれる形で座った。
そのままギルエルミを扱き使うようで悪いが、館の使用人を誰でもいいから使って家族を呼んでもらうよう頼んだ。
待っている時間も有効に使わなければ。まずは指を動かし握ったり開いたりを繰り返す。それはすぐに出来るようになったので、次は腕を上げたり下げたりして動かしてみる。最初はぎこちなかったものの、こちらも直ぐにスムーズに動かせるようになった。
と、その時寝室の扉が勢いよく開き、両親と兄上達、そして執事長までもが部屋へと雪崩れ込んできた。公爵家の人間とは思えない動作で、私の元へと駆け寄ってくると父上と母上に抱きしめられ、その上から兄上達まで抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっと! 苦しい! 苦しいです!」
流石に勇者の私でも、力いっぱい抱きしめられれば苦しくはなる。ただ、その苦しさも皆を心配させていたことからくるというのはわかっているから、幸せの苦しさだが。
「ゼフィロ! 良かった! 無事で、生きて戻ってきてくれて…」
「父上、ご心配をおかけいたしました」
父上が泣いているところなんて初めて見た。それほどまでに私の事を案じてくれたという事だ。
「よく頑張りましたね。あなたは私たちの誇りです」
「母上、何とか使命を果たすことが出来ました」
母上はもうぼろぼろに泣いている。父上よりも母上に泣かれる方が弱い。
「お前が倒れて運ばれたと聞いた時はどうなるかと…」
「意識が戻らない間、仕事も何も手に付かなかった…。よく戻って来たな」
「兄上方もご心配をおかけいたしました。少し前に意識が戻ったばかりなんです。未だ本調子ではありませんが、生きています」
ふと家族から目を離してみれば、一歩離れたところで執事長も涙を流していた。
ここまで皆に心配をかけてしまったことに申し訳なさを感じながらも、家族の温かさを感じて嬉しくもある。だが、ここで喜んでばかりもいられない。私には時間がないのだ。
「父上、お願いがあります。陛下への謁見が必要なことは分かっています。魔王討伐に関しての報告もありますし。
それで3日以内の謁見を申し込みたいので、手紙を書いていただけないでしょうか」
「3日以内の謁見だと? お前は先ほど意識が戻ったばかりだというではないか! そんな急がずともゆっくり体を休めてからでも…」
「申し訳ないのですが、私には時間がないんです。私がこうして今生きていられるのは、自らを犠牲にして私を助けてくれた人がいるからなんです。その人は今も無事かどうかもわかりません。もしかしたら今も苦しんでいるのかも…。私は何としてもその人を助けたいんです。ですからお願いします、父上」
一体どういう事なんだと言われ、魔王討伐後の事を話した。
呪いに倒れた私を助けてくれた、辺境の町の薬師の青年。その青年が自身の持つスキルを使い、私の体から呪いを移したこと。彼が苦しんでいたのを最後に詳細が不明なこと。調べて貰おうとしたが、余計な手を回されて何もわからなかったことを。
「…ゼフィロの命の恩人ならば我々からも感謝を伝えねば。そして今危険な状態にあるかもしれないというのなら、うかうかとしていられないな。わかった。陛下にはなんとしても3日以内の謁見を了承してもらおう」
「ええ。私からも陛下へお願いしますわ。どんなに公務が立て込んでいようと、優先してもらわなければ。もし出来ないのであれば、謁見はまた後日にして貰えばよろしいですし」
「ありがとうございます、父上、母上」
それから父上に一筆書いてもらい、ギルエルミにはそれを持って王宮へと飛んでもらった。
返事がわかるまで、私はとにかく体の調整を続けていた。お陰で目が覚めた翌日には、剣は振れなくても日常生活を送る分には問題が無くなった。流石勇者のスキルがあるからか、回復が異常に早い。
辺境の町へ出発する用意も進めた。謁見が出来ようが出来まいが、3日後には出発すると言ってある。我儘だなんだと言われても、私は私のやりたいようにすることに決めた。魔王討伐をしたんだ。そのくらいは大目に見て貰わなければ。
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