59 / 69
あなたは僕の憧れの人
3
しおりを挟む
「すごいな……」
養成所でのレッスン以上の演技だった。きっと養成所に通わなくなった後も、自分で演技の練習をしていたに違いない。自然と称賛の声が漏れた。
彼は絶対俳優としても成功する。これからオファーが殺到するに違いない。俺はそう確信した。
そしてチャットアプリを開き、約束通り彼に感想を送る。素直に感じたことを、そのまま書いて送信した。
すると一時間後、彼からの返信が来た。
『本当ですか!? 嬉しいです! 他でもない佐藤さんにそう言って貰えて本当に嬉しいです!』
と感動して涙を流している可愛いスタンプと共に、喜びの内容が送られてきた。
可愛いな、と思った。こんなに喜んでくれたのなら、感想を送って良かったと思った。
これで彼とのやりとりも終わるのかと思いきや、今度は来週放送のドラマにも出演するから見て欲しいと連絡が来た。その日はちょうど仕事でリアルタイムは難しそうだが、録画してちゃんと見ることを約束した。
するとまた『嬉しいです! よろしくお願いします!』と返事が来る。最初は売れない俺が感想を送っても、なんて思ったりもしたが、こうやって言われると悪い気はしない。
そしてそのドラマも見た後に感想を送る。すると『やった! 褒めて貰えてモチベーションが上がりました!』と返事が返ってくる。素直な彼が非常に可愛い。俺も大概単純だ。
そしてまたピロンと通知がなり、彼からのチャットが届く。だが今回の内容はちょっと違っていた。
『来月またドラマの出演が決まったんですけど、恋愛ドラマで告白のシーンがあるんです。僕、自分から告白したことがなくてどうやってもいいイメージが湧かなくて……そこで佐藤さんに演技指導をしてもらいたいんですけど、どうでしょうか?』
嫌味か? 最初に出てきた言葉はそれだった。いかんいかん。久しく出てこなかった劣等感が顔を出している。それをぎゅぎゅっと押し込めて、もう一度彼のチャットを読んでみた。
告白のシーンか。自分から告白したことがないなんて嫌味ともとれる言葉だけど、実際彼ほどのイケメンなら勝手に周りから告白されるんだろうと思う。経験があることの方が演技もしやすいが、経験がないと想像だけが頼りになる。
真面目に俳優として活動している彼なら、どんなシーンであっても完璧にやりたいと思うのだろう。彼の演技も回数を重ねるごとによくなっているし、彼の応援をしたい。
素直にそう思った俺は、演技指導の件を了承した。すると彼からは『また教えていただけるなんて夢のようです! それじゃあ三日後の水曜日はどうですか?』と早速日時の伺いがやって来た。
その日は問題なかったため、了承の返事を出す。『楽しみにしています!』という言葉と共に、万歳をする可愛いスタンプが届いた。
養成所でのレッスン以上の演技だった。きっと養成所に通わなくなった後も、自分で演技の練習をしていたに違いない。自然と称賛の声が漏れた。
彼は絶対俳優としても成功する。これからオファーが殺到するに違いない。俺はそう確信した。
そしてチャットアプリを開き、約束通り彼に感想を送る。素直に感じたことを、そのまま書いて送信した。
すると一時間後、彼からの返信が来た。
『本当ですか!? 嬉しいです! 他でもない佐藤さんにそう言って貰えて本当に嬉しいです!』
と感動して涙を流している可愛いスタンプと共に、喜びの内容が送られてきた。
可愛いな、と思った。こんなに喜んでくれたのなら、感想を送って良かったと思った。
これで彼とのやりとりも終わるのかと思いきや、今度は来週放送のドラマにも出演するから見て欲しいと連絡が来た。その日はちょうど仕事でリアルタイムは難しそうだが、録画してちゃんと見ることを約束した。
するとまた『嬉しいです! よろしくお願いします!』と返事が来る。最初は売れない俺が感想を送っても、なんて思ったりもしたが、こうやって言われると悪い気はしない。
そしてそのドラマも見た後に感想を送る。すると『やった! 褒めて貰えてモチベーションが上がりました!』と返事が返ってくる。素直な彼が非常に可愛い。俺も大概単純だ。
そしてまたピロンと通知がなり、彼からのチャットが届く。だが今回の内容はちょっと違っていた。
『来月またドラマの出演が決まったんですけど、恋愛ドラマで告白のシーンがあるんです。僕、自分から告白したことがなくてどうやってもいいイメージが湧かなくて……そこで佐藤さんに演技指導をしてもらいたいんですけど、どうでしょうか?』
嫌味か? 最初に出てきた言葉はそれだった。いかんいかん。久しく出てこなかった劣等感が顔を出している。それをぎゅぎゅっと押し込めて、もう一度彼のチャットを読んでみた。
告白のシーンか。自分から告白したことがないなんて嫌味ともとれる言葉だけど、実際彼ほどのイケメンなら勝手に周りから告白されるんだろうと思う。経験があることの方が演技もしやすいが、経験がないと想像だけが頼りになる。
真面目に俳優として活動している彼なら、どんなシーンであっても完璧にやりたいと思うのだろう。彼の演技も回数を重ねるごとによくなっているし、彼の応援をしたい。
素直にそう思った俺は、演技指導の件を了承した。すると彼からは『また教えていただけるなんて夢のようです! それじゃあ三日後の水曜日はどうですか?』と早速日時の伺いがやって来た。
その日は問題なかったため、了承の返事を出す。『楽しみにしています!』という言葉と共に、万歳をする可愛いスタンプが届いた。
72
お気に入りに追加
456
あなたにおすすめの小説
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
ひとりぼっちの180日
あこ
BL
付き合いだしたのは高校の時。
何かと不便な場所にあった、全寮制男子高校時代だ。
篠原茜は、その学園の想像を遥かに超えた風習に驚いたものの、順調な滑り出しで学園生活を始めた。
二年目からは学園生活を楽しみ始め、その矢先、田村ツトムから猛アピールを受け始める。
いつの間にか絆されて、二年次夏休みを前に二人は付き合い始めた。
▷ よくある?王道全寮制男子校を卒業したキャラクターばっかり。
▷ 綺麗系な受けは学園時代保健室の天使なんて言われてた。
▷ 攻めはスポーツマン。
▶︎ タグがネタバレ状態かもしれません。
▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
【クズ攻寡黙受】なにひとつ残らない
りつ
BL
恋人にもっとあからさまに求めてほしくて浮気を繰り返すクズ攻めと上手に想いを返せなかった受けの薄暗い小話です。「#別れ終わり最後最期バイバイさよならを使わずに別れを表現する」タグで書いたお話でした。少しだけ喘いでいるのでご注意ください。
溺愛
papiko
BL
長い間、地下に名目上の幽閉、実際は監禁されていたルートベルト。今年で20年目になる檻の中での生活。――――――――ついに動き出す。
※やってないです。
※オメガバースではないです。
【リクエストがあれば執筆します。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる