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精液を飲んだら治るって言われたんですけど、それって本当ですか?
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「あ。今日も置かれてる」
ここはたくさんの貴族の人達が通うバゼラルド魔法学園。でも僕は一人で教室を使っている。だからこの教室には僕の机と椅子と教壇だけしかない小さな場所。その僕の机の上には今日もバスケットが置かれていた。
朝、僕がここへ来ると必ずそれは置かれていて、誰が置いてくれているのかは全然わからない。
「わぁ~、今日もすごく美味しそう!」
中を覗けば卵やお肉やお野菜がいっぱい詰まったサンドイッチだった。なんとそれが四つも入ってる。
これは二か月前くらいから置かれるようになった。初めてサンドイッチが置かれていた日、僕はどうしていいかわからず食べずにそのままにしておいた。すると翌日、サンドイッチと共に『コリンへ。食べなさい』という手紙が入っていた。
それから僕はありがたくこのサンドイッチを食べるようにしている。
僕はコリン。平民で姓はない。なのに貴族の人達が通う魔法学園に通わせてもらっている。その理由は僕が治癒魔法を使えるから。
僕は赤ちゃんの時に孤児院の前に置かれていたらしく、それからずっと孤児院で育てられた。
僕は小さな頃から自分で怪我を治すことが出来たんだけど、院長先生が凄く怖い人で、僕が怪我を治せるなんて知られたら気持ち悪がられて捨てられるかもって思ってずっと黙ってたんだ。
だけど去年のある日、孤児院の子供が木登りに失敗して木から落ちてしまった。頭から血を流して気絶しているのを見た僕は、その子を助けるために隠していた力を使った。それでその子は元気になったんだけど、僕が怪我を一瞬で治したことを知った院長先生が国に報告。そして僕はここへ連れてこられた。
何が起こったのかよくわからなかったんだけど、僕が使えたこの不思議な力は治癒魔法だって言われた。そしてこの治癒魔法は誰でも使えるわけじゃないみたいで、とっても珍しい能力なんだって。僕はそれまで魔法とか全然わからなくて、いきなりそう言われても「ふ~ん」くらいにしか思っていなかった。
それから僕はここでいっぱい治癒魔法のことを勉強しなきゃいけないって言われて、この学園に通うことになったんだ。
だけど僕は字が読めなかった。先生が話してることも全然理解できなかった。それで僕は一人だけ別の授業を受けることになって、字を覚えることから始まった。
この学園には寮があって僕はそこに住まわせてもらっている。領地が遠い場所にある人は寮生活なんだって。だけど僕は平民で孤児だから普通の部屋に入ることは出来なかった。貴族の人と同じところに住んじゃダメなんだって。だから寮のすみっこにある物置を整理してそこに住んでいる。でも隙間もないから風も入らないし、ベッドもあるしお布団だってあったかいんだ。凄いよね! 孤児院にいた時と比べるともの凄く恵まれてるなって思った。
貴族の人達は寮にある食堂でご飯を食べている。だけど僕はそこに入ることは出来ないから、厨房の裏口からこっそり食事を分けてもらっている。朝と夜と二回もらえるんだ。だけどお昼は学園の食堂でお金を払わないと食べられない。僕は平民だし孤児だからお金なんて持ってないし、そもそもその食堂にも入っちゃいけない。だからお昼ご飯だけは食べられなかった。それでいつもお腹を空かせていたけど、こんな僕でも朝と夜二回食べられるから平気だ。
なのに最近になって僕の机の上にこうやってサンドイッチが用意されるようになって、僕はお昼もご飯を食べられるようになったんだ! こんな僕にこんなに優しくしてくれる人がいるなんて思わなかった。誰なのかはわからないからお礼も言えない。この学園を卒業するまでにその人を見つけることが僕の目標だ。
ここはたくさんの貴族の人達が通うバゼラルド魔法学園。でも僕は一人で教室を使っている。だからこの教室には僕の机と椅子と教壇だけしかない小さな場所。その僕の机の上には今日もバスケットが置かれていた。
朝、僕がここへ来ると必ずそれは置かれていて、誰が置いてくれているのかは全然わからない。
「わぁ~、今日もすごく美味しそう!」
中を覗けば卵やお肉やお野菜がいっぱい詰まったサンドイッチだった。なんとそれが四つも入ってる。
これは二か月前くらいから置かれるようになった。初めてサンドイッチが置かれていた日、僕はどうしていいかわからず食べずにそのままにしておいた。すると翌日、サンドイッチと共に『コリンへ。食べなさい』という手紙が入っていた。
それから僕はありがたくこのサンドイッチを食べるようにしている。
僕はコリン。平民で姓はない。なのに貴族の人達が通う魔法学園に通わせてもらっている。その理由は僕が治癒魔法を使えるから。
僕は赤ちゃんの時に孤児院の前に置かれていたらしく、それからずっと孤児院で育てられた。
僕は小さな頃から自分で怪我を治すことが出来たんだけど、院長先生が凄く怖い人で、僕が怪我を治せるなんて知られたら気持ち悪がられて捨てられるかもって思ってずっと黙ってたんだ。
だけど去年のある日、孤児院の子供が木登りに失敗して木から落ちてしまった。頭から血を流して気絶しているのを見た僕は、その子を助けるために隠していた力を使った。それでその子は元気になったんだけど、僕が怪我を一瞬で治したことを知った院長先生が国に報告。そして僕はここへ連れてこられた。
何が起こったのかよくわからなかったんだけど、僕が使えたこの不思議な力は治癒魔法だって言われた。そしてこの治癒魔法は誰でも使えるわけじゃないみたいで、とっても珍しい能力なんだって。僕はそれまで魔法とか全然わからなくて、いきなりそう言われても「ふ~ん」くらいにしか思っていなかった。
それから僕はここでいっぱい治癒魔法のことを勉強しなきゃいけないって言われて、この学園に通うことになったんだ。
だけど僕は字が読めなかった。先生が話してることも全然理解できなかった。それで僕は一人だけ別の授業を受けることになって、字を覚えることから始まった。
この学園には寮があって僕はそこに住まわせてもらっている。領地が遠い場所にある人は寮生活なんだって。だけど僕は平民で孤児だから普通の部屋に入ることは出来なかった。貴族の人と同じところに住んじゃダメなんだって。だから寮のすみっこにある物置を整理してそこに住んでいる。でも隙間もないから風も入らないし、ベッドもあるしお布団だってあったかいんだ。凄いよね! 孤児院にいた時と比べるともの凄く恵まれてるなって思った。
貴族の人達は寮にある食堂でご飯を食べている。だけど僕はそこに入ることは出来ないから、厨房の裏口からこっそり食事を分けてもらっている。朝と夜と二回もらえるんだ。だけどお昼は学園の食堂でお金を払わないと食べられない。僕は平民だし孤児だからお金なんて持ってないし、そもそもその食堂にも入っちゃいけない。だからお昼ご飯だけは食べられなかった。それでいつもお腹を空かせていたけど、こんな僕でも朝と夜二回食べられるから平気だ。
なのに最近になって僕の机の上にこうやってサンドイッチが用意されるようになって、僕はお昼もご飯を食べられるようになったんだ! こんな僕にこんなに優しくしてくれる人がいるなんて思わなかった。誰なのかはわからないからお礼も言えない。この学園を卒業するまでにその人を見つけることが僕の目標だ。
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