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体だけの関係と思っていた相手と実は両思いでした
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それからマイルズは会えなかった期間のことを一気に話し出した。
王女の我儘でマイルズを近衛騎士に所属させ、自分の担当にするよう手を回しマイルズを常に側にいるようにさせた。王女は何をするにもマイルズを連れまわし、命令し、気の向くままにマイルズを使っていた。
「俺は他の近衛騎士の連中から目の敵にされてたんだ。貴族で構成されてる近衛騎士団に俺みたいな平民がいるのが許せないってな。平民が王族の側にいて同じ空気を吸うこと自体許せないみたいだったが、相手があの王女様だ。皆嬉々として俺を王女の側に付くよう仕事を押し付けてくるようになった」
仕事では王女の我儘に振り回され、王女の側を離れても他の近衛騎士の先輩にいびられる。そんな毎日だったらしい。
「仕事も他の人の分押し付けられるお陰で、クソほど忙しくてアランに会うことも出来ない。休みの日も潰される始末だ。俺は望んでいないのにこんなところに配属されて、なのに周りからは嫌がらせされる毎日。いい加減腹が立って、団長に文句を言ったんだ」
騎士団の総括団長は、マイルズがそんなことになっているとは知らなかったらしい。下から上がってくる報告だけでしか判断していなかったそうだ。
そこで団長が調査をしたところ、マイルズが言っていたことが本当だと判明。改善すると言われたらしいけど、今度は王女が暴走した。
侯爵家のところに降嫁されるという話が出たらしい。でも王女はそれを嫌がった。今までのような贅沢が出来なくなるからだと。
「えぇ…。侯爵家でも十分贅沢は出来るだろうに……」
「とはいっても王族よりは制限されるだろう。王も王妃も王女には甘いからな。今までのような生活が出来なくなるのが嫌だったらしい」
とんでもない王女様だ…。
それで侯爵家に降嫁されるくらいならマイルズを婿に迎えてしまえばいいと考えた王女様は、いたるところでそのことを勝手に話し出した。私とマイルズは婚約するのよ、と。それで勝手に噂が広がっていったそうだ。
「だがその婚約相手となる侯爵家の息子が王女と会うことになった。すると王女は今までの態度が一変。『私この人と結婚するわ!』と言ったんだ」
「は? なんで?」
「一目惚れだと。確かにあの侯爵子息はかなりの美形だったからな。それで侯爵子息が『嬉しいです。ではこれからお勉強も頑張ってくれますか?』と言ったところ、人が変わったように真面目に取り組むようになったらしい」
……恋は人を変えるとは言うけれど。そんな簡単に上手くいくなんて信じられない。
「今王女は12歳だからな。まだ簡単に転がそうと思えば転がせる年頃だ。今のうちに軌道修正していけば、結婚するころにはある程度の淑女になるんじゃないか。俺はどうでもいいけどな」
王女様はかなりの面食いで、自分の護衛として側に置く騎士も顔で選んでいたらしい。だけどその侯爵子息の顔は、他の美形とは一線を画すほどの美しさで王女は一目見で気に入ったらしい。
僕も、その侯爵子息と会ったことはないけど噂で聞いたことはある。母親が隣国の王家に連なる人で、『妖精の美姫』と社交界で言われていた美女だと。その母親にそっくりな子息はそれはそれは拝めたくなるほどのご尊顔の持ち主らしい。確か今は15歳くらいだっただろうか。
「それで俺の婚約云々は無くなったわけだ。だけどな、他の近衛騎士からの圧力は変わることはなかった。もう面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だし、いっそのこと騎士団を辞めようかと思ってる」
「は? 騎士団を辞める!?」
突然の事にびっくりして声が裏返ってしまった。
「そ。だから俺と結婚して田舎にでも行こうぜ。お前だって職場であんまり上手くいってないんだろ? こんな平民だから気に入らないとか、自分の事を棚に上げて人のせいにする奴らばっかりのところより、ずっと過ごしやすいと思うぜ」
「え……待って待って待て! なんでそこで僕と結婚するとかの話になるの…?」
「は? だってお前、俺の事好きだろ?」
「……は?」
え? 僕そんな事言ったっけ? え? 言ってないよね? ずっと言えずにいて勝手に苦しくなってたんだから…。
「……お前、覚えてねーの?」
「へ? 何を?」
「マジかよ…」と頭をガシガシかきながら大きなため息をついたマイルズは、初めて体を重ねた日の事を話してくれた。
お酒を一気飲みしてぐでんぐでんに酔っぱらった僕は、泣きながら上司の悪口をひたすら愚痴っていたらしい。そしてある程度愚痴を吐いたら今度はマイルズの事が好きだと告白。こんな僕にも優しくしてくれたマイルズが好きだから抱いて欲しい。1回だけでもいいから抱いてくれと迫った。
そしてマイルズは近くにある休憩宿へと僕を連れて行き、僕が望んだとおり僕を抱いた。その時にマイルズも僕の事を好きだと言っていたらしい。
「え!? マイルズって僕の事好きだったの!?」
「……本当に覚えてねーんだな。じゃああれから何度もセックスしてんのに、アレは何だったと思ったわけ?」
「え……溜まったからただ発散するのにちょうどいい相手が僕だったんだと……思ってた」
「マジかよ……」
王女の我儘でマイルズを近衛騎士に所属させ、自分の担当にするよう手を回しマイルズを常に側にいるようにさせた。王女は何をするにもマイルズを連れまわし、命令し、気の向くままにマイルズを使っていた。
「俺は他の近衛騎士の連中から目の敵にされてたんだ。貴族で構成されてる近衛騎士団に俺みたいな平民がいるのが許せないってな。平民が王族の側にいて同じ空気を吸うこと自体許せないみたいだったが、相手があの王女様だ。皆嬉々として俺を王女の側に付くよう仕事を押し付けてくるようになった」
仕事では王女の我儘に振り回され、王女の側を離れても他の近衛騎士の先輩にいびられる。そんな毎日だったらしい。
「仕事も他の人の分押し付けられるお陰で、クソほど忙しくてアランに会うことも出来ない。休みの日も潰される始末だ。俺は望んでいないのにこんなところに配属されて、なのに周りからは嫌がらせされる毎日。いい加減腹が立って、団長に文句を言ったんだ」
騎士団の総括団長は、マイルズがそんなことになっているとは知らなかったらしい。下から上がってくる報告だけでしか判断していなかったそうだ。
そこで団長が調査をしたところ、マイルズが言っていたことが本当だと判明。改善すると言われたらしいけど、今度は王女が暴走した。
侯爵家のところに降嫁されるという話が出たらしい。でも王女はそれを嫌がった。今までのような贅沢が出来なくなるからだと。
「えぇ…。侯爵家でも十分贅沢は出来るだろうに……」
「とはいっても王族よりは制限されるだろう。王も王妃も王女には甘いからな。今までのような生活が出来なくなるのが嫌だったらしい」
とんでもない王女様だ…。
それで侯爵家に降嫁されるくらいならマイルズを婿に迎えてしまえばいいと考えた王女様は、いたるところでそのことを勝手に話し出した。私とマイルズは婚約するのよ、と。それで勝手に噂が広がっていったそうだ。
「だがその婚約相手となる侯爵家の息子が王女と会うことになった。すると王女は今までの態度が一変。『私この人と結婚するわ!』と言ったんだ」
「は? なんで?」
「一目惚れだと。確かにあの侯爵子息はかなりの美形だったからな。それで侯爵子息が『嬉しいです。ではこれからお勉強も頑張ってくれますか?』と言ったところ、人が変わったように真面目に取り組むようになったらしい」
……恋は人を変えるとは言うけれど。そんな簡単に上手くいくなんて信じられない。
「今王女は12歳だからな。まだ簡単に転がそうと思えば転がせる年頃だ。今のうちに軌道修正していけば、結婚するころにはある程度の淑女になるんじゃないか。俺はどうでもいいけどな」
王女様はかなりの面食いで、自分の護衛として側に置く騎士も顔で選んでいたらしい。だけどその侯爵子息の顔は、他の美形とは一線を画すほどの美しさで王女は一目見で気に入ったらしい。
僕も、その侯爵子息と会ったことはないけど噂で聞いたことはある。母親が隣国の王家に連なる人で、『妖精の美姫』と社交界で言われていた美女だと。その母親にそっくりな子息はそれはそれは拝めたくなるほどのご尊顔の持ち主らしい。確か今は15歳くらいだっただろうか。
「それで俺の婚約云々は無くなったわけだ。だけどな、他の近衛騎士からの圧力は変わることはなかった。もう面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だし、いっそのこと騎士団を辞めようかと思ってる」
「は? 騎士団を辞める!?」
突然の事にびっくりして声が裏返ってしまった。
「そ。だから俺と結婚して田舎にでも行こうぜ。お前だって職場であんまり上手くいってないんだろ? こんな平民だから気に入らないとか、自分の事を棚に上げて人のせいにする奴らばっかりのところより、ずっと過ごしやすいと思うぜ」
「え……待って待って待て! なんでそこで僕と結婚するとかの話になるの…?」
「は? だってお前、俺の事好きだろ?」
「……は?」
え? 僕そんな事言ったっけ? え? 言ってないよね? ずっと言えずにいて勝手に苦しくなってたんだから…。
「……お前、覚えてねーの?」
「へ? 何を?」
「マジかよ…」と頭をガシガシかきながら大きなため息をついたマイルズは、初めて体を重ねた日の事を話してくれた。
お酒を一気飲みしてぐでんぐでんに酔っぱらった僕は、泣きながら上司の悪口をひたすら愚痴っていたらしい。そしてある程度愚痴を吐いたら今度はマイルズの事が好きだと告白。こんな僕にも優しくしてくれたマイルズが好きだから抱いて欲しい。1回だけでもいいから抱いてくれと迫った。
そしてマイルズは近くにある休憩宿へと僕を連れて行き、僕が望んだとおり僕を抱いた。その時にマイルズも僕の事を好きだと言っていたらしい。
「え!? マイルズって僕の事好きだったの!?」
「……本当に覚えてねーんだな。じゃああれから何度もセックスしてんのに、アレは何だったと思ったわけ?」
「え……溜まったからただ発散するのにちょうどいい相手が僕だったんだと……思ってた」
「マジかよ……」
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