今まで我儘放題でごめんなさい! これからは平民として慎ましやかに生きていきます!

華抹茶

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新・番外編

ライアスへの誕生日プレゼント①

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長くなりましたので2話に分割です。次回イチャイチャ回。

□ □ □ □ □ □ □ □

 あ。そういやそろそろライアスの誕生日だな。洗濯物を畳んでいたらふと気が付いた。
 あと一週間くらいか。今年はどうするかな~……

 去年は確か、この街で一番いいレストランで豪華な食事をしたんだよな。あいつに欲しい物はないか聞いても「特にありません」としか言わないから、無難にレストランにしたんだっけ。
 前世と違って映画とか遊園地とかそんなところなんてないし、娯楽も少ないこの世界じゃちょっと遊びに、なんてことが難しい。
 欲しい物もないと言われてしまうと、誕プレをどうするか難易度が格段に上がってしまう。

 う~ん……あいつは何かのコレクターというわけでもないし、これといった趣味もない。そんなライアスに何をあげればいいんだろうか。
 いやまぁ、あいつのことだから俺が選んだものなら何でも喜びそうだけどな。って自分で言っててっず!

 仕方ない。本人に聞くか。

「特にありませんね」

 ですよねー……予想通り過ぎて苦笑いしか出ねぇ……

「そんな顔しないでください。エレンの側にいられることが最大の贈り物ですから。これ以上望むものがないだけです」

「でも……お前が生まれた日なんだから、ちゃんと祝ってやりたいし」

「その気持ちだけでもう十分ですよ」

 ライアスはそう言うと、俺にちゅっと軽くキスをした。

「こうして貴方に触れられるだけで十分すぎるくらいです」

 うーん……そう言われて嫌なわけじゃないけど、やっぱりそれは普段と何も変わらないから俺としては不満がすぎる。好きな相手の誕生日はやっぱりしっかり祝いたいからな。

「本当に何もないのか? 何でもいいんだぞ?」

 今年もレストランだなんていくらなんでも芸がなさすぎる。些細なことでもいいからこいつの希望を叶えてやりたい。

「何でもと言われましても……あ。何でもいいんですね?」

 あ。やべ。こいつの目、なんか一瞬ギラリと光った気がしたぞ……すげー嫌な予感がする……

「では一つ聞きたいことが」

 おん? 俺の予想は外れたか?

「エレンの前世はこの世界とは違って色々と発展していると言っていましたよね? 夜の営みのことに関してこの世界にはないことはありませんか?」

 予想通りだったー! やっぱりそれかよ! くそっ、お前の顔もいい笑顔だな!

「えっと……えーと……うーん、どうだろうな? ほらっ、前世の記憶も曖昧なところが多いって言ってただろ? だからっ、うん! ちょっとわっかんないかな~……あは、あはは……」

「…………」

 おい! そんな目で俺を見るな! なんだか俺が悪いことをしてるみたいじゃないか!
 
「嘘はダメですよ。ありますよね? あ・り・ま・す・よ・ね? ね?」

「…………はい」

 くっそぉっ! こいつ、なんでこういうのだけは押しが強いんだよ!? えっちなことが絡まなければそこまでぐいぐい来ねぇじゃねぇか! なんでそこだけ異常に押してくるんだよお前はっ! この変態めっ!!

「では、是非それを俺の贈り物にしてください。それがいいです」

「いや、ほらっ! えっと、他にもいっぱい色々あるだろ? えっと、そうだ! ほ、ほらっ、旅行とかどうだ!? そこの美味しいもの食べたりとか、綺麗な景色見たりとか! うん! 絶対楽しいと思うなッ!」

「それは是非エレンの誕生日にしましょう。俺の誕生日に関しての希望は変わりません」

「ぐっ……!」

 おい、俺よ! なんで旅行って最初に思いつかなかったんだ! 最初っからそれを言っていればライアスだって素直に頷いただろ!? 旅行だったらこの世界だって出来るじゃねぇか! 俺のバカバカバカぁぁぁぁぁぁ!!

「では楽しみにしていますね」

「……わかった。だけどお前の誕生日までえっちなことはお預けだからな!」

 くそっ……! こいつの笑顔が憎らしいっ!!

 つーか、この世界にはない前世にはあったえっちなことって言われてもな……
 そりゃ前世の世界には色々あった。ローターとかオナホとかそんな夜のオモチャはいっぱいあったし、なんならコスプレとかSMプレイとかもな! でも俺にはどれもこれもハードルが高すぎるっ! それにそんなことを一言でも言ってみろ! こいつのことだから絶対ノリノリでやるに決まってる!

 大体この世界にだって『アナルプラグ』があったんだ……前世の世界にあったオモチャと似たような物がないとも限らない。魔道具だってあるんだ。自動で動くような物もあるかもしれない……
 一言でもローターとか教えたら、もしこの世界になかったとしてもライアスなら絶対作るに決まってる。ただでさえ抱き潰されるんだ。そんなオモチャなんて使われたら俺は間違いなく死ぬ。生きる屍じゃなくて、確実に死ぬ! 腹上死待ったなしだ。それだけは断固阻止する!!
 
 俺は別にライアスとえっちなことをすることが嫌なわけじゃない。あいつの体力と精力がオバケすぎて付いていけなくて、死にそうになるのが嫌なんだ。気持ち良すぎると苦しいんだよっ! 短時間ならまだしもあいつは外が明るくなるまでヤルからな……そんなあいつにオモチャまで使われたら……怖すぎだろッ!!

 そういったものを匂わせないでこの要望をクリアするにはどうしたらっ……!

 何もいい案が浮かばないまま無情にも日々は過ぎていく。
 天気がいいおかげで今日も洗濯物はからっからに乾いた。いつもならラッキーとか思うところだが、ここ数日はそんなことを思う暇がない。
 大きなため息を吐きながら黙々と洗濯物を畳んでいった。だがそこでふとに目がいった。

 これだ! これなら恐らくこの世界じゃやってる人は少ないだろう! というかうちではこれをやったことがないんだから、ライアスだって知らないはずだ!
 これならオモチャを使う訳じゃないし、いつも通りと言えばいつも通りだ。凄い、凄いぞ俺! 流石だ俺!

 そしてとうとうライアスの誕生日当日を迎えた。
 朝からワクワクとしたこいつは「今からでもいいですよ」と早速事に及ぼうとしたが、夜まで待てをさせた。若干不満気味だったが俺の体力と命の為だ。朝から一日中なんて冗談じゃない。
 いくら誕生日までえっちなことをさせなかったからとはいえ、それとこれとは別の話だ。
 
 夜までの時間はのんびりと過ごすことにした。昼間は外へと出掛け、ライアスとショッピング。服屋を巡りカフェで小休止。市場にも寄って食材を購入。こんなのはいつも通りだが、誕生日だからといつもより高価な物を買った。
 家に帰れば俺が一人で料理を作る。いつもよりも豪華な夕食だ。ライアスは手伝おうとしていたが、お前の誕生日なんだからとそれを断った。

 だがまぁ『待て』の状態があいつをイラつかせたのか、後ろから抱き付かれ首筋に吸い付かれたり、そのまま顔を振り向かせてキスをされたが。……それが嬉しかったとかは絶対言わねぇ。

 ケーキはソルズの街でも有名な菓子店で用意した。それに蝋燭を並べ火をつける。簡単に『ハッピーバースデー』の歌を歌って火を吹き消してもらった。
 この世界には当然この歌もないし蝋燭を吹き消したりもしない。もちろんこれは俺の前世の世界のものだ。この世界にはない祝い方だなんて特別感満載だろ。だからうちでは誕生日には必ずこれをやることにしている。だから俺の誕生日の時はライアスがこの歌を歌ってくれるんだ。

 軽く度数の低い果実酒で乾杯し、ゆっくり夕食を味わった。俺も本当、料理が上手くなったよな。一人でこれだけ作れるようになったんだから。ライアスも「美味しい」と言って嬉しそうに食べてくれたし。
 ケーキもしっかりと食べ終われば、果実酒のおかげかほんのりほろ酔いだ。

 片付けも終わらせると風呂の時間だ。風呂も一緒に入ろうとしてきたが、そうなってしまうとなし崩し的にスタートしてしまいそうでそこも『待て』をさせた。
 俺が先に入り、いつものように髪の手入れをしてもらう。そしてライアスが風呂に入っている間に俺は準備をすることにした。

 寝室に入り服を脱ぐ。手には今日の必殺アイテムだ。俺があの日閃いたこと。それが――

 『裸エプロン』だった。

 正直物凄く恥ずかしくて堪らないが、オモチャや特殊プレイをすることを考えれば難易度は低い。それにこのエプロンは父上たちから送られてきた大量の荷物の中にあった、フリフリエプロン。
 豪華なフリルと刺繍が沢山入った白いエプロンだ。そしてなんと絹製。俺は流石に勿体なくて使いたくなかったんだけど、ライアスがこれを付けることを強く所望したせいで俺は結局毎日のようにこれを使っている。
 だが裸にこのエプロンを着けるのは初めてだ。丈は短く、俺の股間が隠れる程度。お尻はもちろん丸見えだ。

「あ~……ヤバ過ぎだろ」

 身に着けたはいいが、いたるところがすーすーして落ち着かない。今この部屋には俺しかいないのに、既に恥ずかしくて堪らずじっとしていられない。こんなの裸でいるよりも恥ずかしいなんて……
 いたたまれなくなって、とりあえずこの上からいつものローブでも羽織るかと手を伸ばした。そのタイミングで寝室の扉がノックされる。

「エレン、入りますよ」

「え!? もう!? 早くないッ!?」

 まだローブは着ていない。待って、と俺が言う前に寝室の扉は無情にも開いた。
 ライアスとばっちり目が合ってしまう。そのライアスは俺のこの姿を見た途端、ぎしりと固まった。だがその目はくわっと見開かれがっつりと俺の姿を目に焼き付けている。

「ちょ、まっ……! 風呂から出てくるの、早すぎだろ!?」

 慌ててローブを羽織ろうと手に持った瞬間、俺の肩にがしっとライアスの手が置かれた。

「は……?」

「はぁ、はぁ……なんですかこの格好は可愛いお尻が丸見えじゃないですか際どく前面だけ隠されて後ろは丸見えなんていやらしいにもほどがありますまさかこんな素敵な姿になっているとは夢にも思いませんでしたエプロンにこんな使い方があったなんて盲点です絹の艶やかな生地がエレンの白くも美しい柔肌にぴったりでフリルも刺繍もエレンの美しさを際立たせるための素晴らしい装飾品となっていますし後ろに結ばれたリボンがこの可愛いお尻を更に可愛く引き立てていて素晴らしい以外の言葉が出て来ません何が言いたいかと言うとエプロン一つでここまでエレンの美しさを引き立てるなんて想像を遥かに超える奇跡ですこんな素晴らしい奇跡を起こしていただきありがとうございます!」

「……お前、息してる?」

 息継ぎもせず一気に感想を述べられて俺はどうしていいかわからない。しかもライアスの目はギラギラと興奮を隠してもいないし鼻息だって荒い。
 っていうかお前、俺が背中を向けた一瞬でここまで来たんだよな? お前瞬間移動出来んの? ってかそもそも魔法が使えなかったはずだよな?
 
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