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10・最終話
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ぴちゃ……ちゃぷん……。
「……あ」
「気が付きましたか?」
温かい感覚と水音が聞えてうっすらと目を開ける。するとそこは浴室で、僕はウォルテア様に抱えられて湯舟の中にいた。
「すみません、私が激しくしたせいであなたは気を失ってしまったのですよ」
「あ……」
そう言われてさっきまで何をしていたのかを鮮明に思い出した。あまりの痴態に恥ずかしくて顔に熱が集まってくる。
「あなたに無理をさせてしまいました。本当にすみません」
「いえ、あの……謝らないでください。僕は、すごく嬉しかったので…その……また今度、抱いて、くれますか?」
「クルト……ええ、もちろん! 私もまたあなたを抱きたい。抱かせてください」
後ろからぎゅっと抱き込まれ、首筋に口づけを落とされた。そのままちゅっちゅと吸い付かれ、所有印が刻まれる。
「こうやってあなたと入浴するのもしたかったことの一つです。私の願いが叶う日が来るなんて、思いもしていませんでした」
「そんなに僕の事を想ってくださってて、すごく嬉しいです。ウォルテア様、これからもよろしくお願いします」
「ふふ。ええ、こちらこそ。これからもたっぷりと、あなたに愛を伝えていきましょう」
しばらくゆっくり湯に浸かって体を温めた後は、2人で一緒にゆっくりと眠った。ウォルテア様に抱きしめられたその日は、今までにないくらい穏やかな気持ちで眠りにつくことが出来た。
そして翌日、出仕するなりウォルテア様は宰相様に僕たちが恋人となったことを報告した。
「ようやくか。長かったが、収まるところに収まったわけか」
「ええ。時間はかかりましたが、その分幸せもひとしおです」
「ああ、それ以上はやめておけ。人の惚気話など犬も食わぬわ」
「そうですか。それは残念です。幸せをおすそ分けしようと思ったのですけどね」
「間に合っているから遠慮する。…クルト、良かったな。こいつはきっと、重いくらいの愛をお前にぶつけてくるぞ。嫌になったらいつでも相談しに来い」
「え、と……宰相様は……」
なんだか二人の会話を聞いていると、ウォルテア様の気持ちを宰相様は知っていたように感じるのだけど。
「宰相様は私の気持ちなどとっくの昔に気づいておられましたよ。他の同僚も。言われるまで気づいていなかったのはあなただけでしょうね」
「え!? そうだったんですか!?」
それはそれで恥ずかしい…。
「クルトがまだ既婚者だった時はウォルテアに抑えるよう言っていたが、離縁したのなら関係ないからな。クルトは知らないだろうが、周りの連中はウォルテアを煽ってばかりだったぞ」
「お陰でいつも忍耐力を総動員して抑えるのに苦労しましたよ。ですが、そのお陰でクルトの気持ちがこちらに向けることが出来たので良かったです」
え。ウォルテア様が周りの人達から煽られていた…?
「クルト。私とあなたがこうなることを、周りはずっと応援してくれていたんです。誰もあなたが私に相応しくないなんて思っていません。むしろ早く早くとせっつかれて苦労したんですからね」
「そうだったんですか…」
なんだか知らないことばっかりで少しばかり混乱してる。
僕がウォルテア様に相応しくないと思っていたのは僕だけだったんだ。
「さて。次はお前たちの結婚式か。いつ頃になるか決まったらちゃんと連絡するように」
「ええ。なるべく早く、そうできるように頑張りますね」
「え…? 結婚式!?」
昨日恋人になったばかりでそれは早すぎでは!?
「もう既に一緒に住んでいますしね。あなたが住んでいる部屋は元々私の伴侶の部屋ですし。籍を入れていないだけで、現状は事実婚も同然ですよ」
「え!? 伴侶の部屋!?」
えー!? 僕は知らず知らず、その部屋にずっと住んでいたってこと!?
「クルト、お前はもう既に囲われていたんだ。この宰相補佐官に。私の右腕となるほどの男だぞ。もう逃げられないだろうから覚悟しておくことだ」
「そういうことです」
「えぇ……」
少し呆れ顔の宰相様と、満面の笑みの宰相補佐官様。僕はもうとっくにこの人に捕まっていたことを知ることとなった。
だけどちゃんと僕の気持ちを優先してくれていた。焦らせることも強引に迫ることも一切せずに。本当にウォルテア様は僕に優しい。そんな人だから僕は好きになったんだ。心に大きな傷をつけられても、また誰かを好きになれた。それはウォルテア様がずっと僕の側にいてくれたから。
それから職場の人達にも冷やかされながらも祝福されて、その日は一日中顔を赤くさせたままだった。嬉しさ半分、恥ずかしさ半分。だけど皆喜んでくれて、僕は心の底から安堵した。
その日の夜はウォルテア様に正式にプロポーズをされた。僕自身もウォルテア様とずっと一緒にいたいと思っていたからそのプロポーズを受けることにした。
フリッツにプロポーズをされた時も僕は喜んだ。だけどその時よりも、比べ物にならないくらいに嬉しい気持ちが溢れて、ウォルテア様に飛びつくようにして抱き付いた。
それからしばらくして。
休日にウォルテア様と町へ出かけていた時だ。そういえばここはフリッツのパン屋が近くにあるところだったな、とふと思い出した。それで足を止めた僕を不思議に思ったウォルテア様にどうしたのかと聞かれてしまう。
フリッツの事を思い出した、なんて言ってもいいものか。迷って黙っていたら「あなたにはなんでも言ってほしいんです」と言われてしまい、フリッツのパン屋の事を思い出したことを話すことにした。
「ああ、そのことですか。……あなたが知りたいのなら彼がどうなったのかお教えします。どうしますか?」
「……ウォルテア様はご存知なんですね。教えてください。お願いします」
知るか、やめておくか。迷ったけど、僕はあれからフリッツがどうなったのか気になってウォルテア様に教えて貰うことにした。
「では付いて来て下さい」とウォルテア様に手を引かれて目的地へと連れられて行く。行先はどうやらフリッツのパン屋の様だった。
「え……店が、無くなってる…?」
パン屋だったその場所は、既に違う店になっていた。店の中を覗くとどうやら菓子店になっていて、店員も全く知らない人だった。
「知ればあなたはショックを受けるかと思って、本当は言うつもりがなかったのですが……」
ウォルテア様の話によれば、借金を返すことが出来なくなったフリッツは店を手放さなければならなくなった。それでも返済額が足りなかったため、デニスと共に何処かへと消えたらしい。恐らく奴隷に落とされたのではないか、とのことだ。
「デニスという男が通っていた賭博場は、貴族も通う賭博場でした。一攫千金を狙える半面、一瞬にして何もかも失う場所。ちゃんと計画的に遊んでいればそこまで危険な事はないのですが、デニスは裏の人間に唆されてその場であり得ない借金をしそれをかけたそうです。平民が簡単に返せる金額ではない負債を抱えましたが、クルトがいたため店を担保にし返済していました。クルトのお金で。
ですがクルトとフリッツが別れたため返済が滞り、店が無くなりました。その後は奴隷となって返済するしか道はありません」
「……そう、だったんですか」
何故だろう。あんな酷いことをされたのに、僕は正直2人の末路を聞いて喜ぶことは出来なかった。たとえあの楽しかった時間が幻想であっても、あの時の僕は確かにあの2人に救われていたところがあったからだ。
子供の時に両親が捕まり、泣きながら僕の名前を叫んで連れ去れた2人の姿。そして死んだと聞かされ悲しくて悲しくてとにかく泣いた。
そんな時、フリッツとデニスは僕に優しくしてくれたんだ。時間はかかったけど僕はあの2人のお陰で立ち直れたことは事実だ。
「クルト。きっとあなたならそのことを知って悲しむと思っていました。ですが、あれは2人の責任です。あなたが何かを思う事はないのですよ」
「……そう、ですね」
確かにそうだろう。だけど僕があの2人の人生を狂わせたと思うとやるせない気持ちになる。
「クルト。もう一度言います。あなたに責任はありません。あるのはあの2人です。そう思うのが難しいとは思いますが、もうどうにもならないのですよ。私たちが出来るのはただ祈るのみです」
「はい…」
どうか早く借金を返済して、普通の生活が送れますように。それが可能なのかどうなのか僕にはわからないけれど、確かにそう祈るしか僕には出来ない。後がどうなるかはあの2人次第だ。
それからはあっという間に過ぎていった。
仕事も私生活も順調で、結婚式の日取りもあっという間に決まり更に忙しくなった。
結婚式には宰相様や同じ職場の人達も皆出席してくれた。その後しばらくして子供も生まれた。前の夫とは3回祝福の実を食べたものの子供を授かることが出来なかった。なのにウォルテア様とは1回で子供が出来てしまった。それには僕もウォルテア様も驚いた。
子供は3人も恵まれた。賑やかで幸せな家族が出来た。
ウォルテア様は宰相補佐官から宰相様になった。僕は変わらずウォルテア様付きだ。
そして子供たちも大きくなって独り立ちをして。
僕達もすっかりおじいさんだ。だけど僕達は変わらずお互いを愛している。
「クルト、今日はどこへ行きましょうか」
「久しぶりに本屋へ行きませんか? その後は休憩にカフェへ寄っていきましょう」
「そうですね。では出かけましょうか」
どんなに月日を重ねても、ウォルテア様の優しさは変わらない。
夫だっと人と親友だった人に裏切られた先には、ウォルテア様との幸せな未来が待っていた。
そして今日も差し出された手を取り、僕達は仲良く町へと出かけるのだ。
~Fin~
* * * * * * * *
最後までお読みいただきありがとうございました!思いの外沢山の方にお読みいただけていたようで本当に嬉しいです!
私が書く攻めは、何故だか変態になる傾向がありまして…ウォルテアもその道を行きましたね…。いい奴なんですけどね。やってる事がね。
私だってかっこいい攻め様が書きたいのに!!
兎にも角にも、最終話までお付き合いありがとうございました!
「……あ」
「気が付きましたか?」
温かい感覚と水音が聞えてうっすらと目を開ける。するとそこは浴室で、僕はウォルテア様に抱えられて湯舟の中にいた。
「すみません、私が激しくしたせいであなたは気を失ってしまったのですよ」
「あ……」
そう言われてさっきまで何をしていたのかを鮮明に思い出した。あまりの痴態に恥ずかしくて顔に熱が集まってくる。
「あなたに無理をさせてしまいました。本当にすみません」
「いえ、あの……謝らないでください。僕は、すごく嬉しかったので…その……また今度、抱いて、くれますか?」
「クルト……ええ、もちろん! 私もまたあなたを抱きたい。抱かせてください」
後ろからぎゅっと抱き込まれ、首筋に口づけを落とされた。そのままちゅっちゅと吸い付かれ、所有印が刻まれる。
「こうやってあなたと入浴するのもしたかったことの一つです。私の願いが叶う日が来るなんて、思いもしていませんでした」
「そんなに僕の事を想ってくださってて、すごく嬉しいです。ウォルテア様、これからもよろしくお願いします」
「ふふ。ええ、こちらこそ。これからもたっぷりと、あなたに愛を伝えていきましょう」
しばらくゆっくり湯に浸かって体を温めた後は、2人で一緒にゆっくりと眠った。ウォルテア様に抱きしめられたその日は、今までにないくらい穏やかな気持ちで眠りにつくことが出来た。
そして翌日、出仕するなりウォルテア様は宰相様に僕たちが恋人となったことを報告した。
「ようやくか。長かったが、収まるところに収まったわけか」
「ええ。時間はかかりましたが、その分幸せもひとしおです」
「ああ、それ以上はやめておけ。人の惚気話など犬も食わぬわ」
「そうですか。それは残念です。幸せをおすそ分けしようと思ったのですけどね」
「間に合っているから遠慮する。…クルト、良かったな。こいつはきっと、重いくらいの愛をお前にぶつけてくるぞ。嫌になったらいつでも相談しに来い」
「え、と……宰相様は……」
なんだか二人の会話を聞いていると、ウォルテア様の気持ちを宰相様は知っていたように感じるのだけど。
「宰相様は私の気持ちなどとっくの昔に気づいておられましたよ。他の同僚も。言われるまで気づいていなかったのはあなただけでしょうね」
「え!? そうだったんですか!?」
それはそれで恥ずかしい…。
「クルトがまだ既婚者だった時はウォルテアに抑えるよう言っていたが、離縁したのなら関係ないからな。クルトは知らないだろうが、周りの連中はウォルテアを煽ってばかりだったぞ」
「お陰でいつも忍耐力を総動員して抑えるのに苦労しましたよ。ですが、そのお陰でクルトの気持ちがこちらに向けることが出来たので良かったです」
え。ウォルテア様が周りの人達から煽られていた…?
「クルト。私とあなたがこうなることを、周りはずっと応援してくれていたんです。誰もあなたが私に相応しくないなんて思っていません。むしろ早く早くとせっつかれて苦労したんですからね」
「そうだったんですか…」
なんだか知らないことばっかりで少しばかり混乱してる。
僕がウォルテア様に相応しくないと思っていたのは僕だけだったんだ。
「さて。次はお前たちの結婚式か。いつ頃になるか決まったらちゃんと連絡するように」
「ええ。なるべく早く、そうできるように頑張りますね」
「え…? 結婚式!?」
昨日恋人になったばかりでそれは早すぎでは!?
「もう既に一緒に住んでいますしね。あなたが住んでいる部屋は元々私の伴侶の部屋ですし。籍を入れていないだけで、現状は事実婚も同然ですよ」
「え!? 伴侶の部屋!?」
えー!? 僕は知らず知らず、その部屋にずっと住んでいたってこと!?
「クルト、お前はもう既に囲われていたんだ。この宰相補佐官に。私の右腕となるほどの男だぞ。もう逃げられないだろうから覚悟しておくことだ」
「そういうことです」
「えぇ……」
少し呆れ顔の宰相様と、満面の笑みの宰相補佐官様。僕はもうとっくにこの人に捕まっていたことを知ることとなった。
だけどちゃんと僕の気持ちを優先してくれていた。焦らせることも強引に迫ることも一切せずに。本当にウォルテア様は僕に優しい。そんな人だから僕は好きになったんだ。心に大きな傷をつけられても、また誰かを好きになれた。それはウォルテア様がずっと僕の側にいてくれたから。
それから職場の人達にも冷やかされながらも祝福されて、その日は一日中顔を赤くさせたままだった。嬉しさ半分、恥ずかしさ半分。だけど皆喜んでくれて、僕は心の底から安堵した。
その日の夜はウォルテア様に正式にプロポーズをされた。僕自身もウォルテア様とずっと一緒にいたいと思っていたからそのプロポーズを受けることにした。
フリッツにプロポーズをされた時も僕は喜んだ。だけどその時よりも、比べ物にならないくらいに嬉しい気持ちが溢れて、ウォルテア様に飛びつくようにして抱き付いた。
それからしばらくして。
休日にウォルテア様と町へ出かけていた時だ。そういえばここはフリッツのパン屋が近くにあるところだったな、とふと思い出した。それで足を止めた僕を不思議に思ったウォルテア様にどうしたのかと聞かれてしまう。
フリッツの事を思い出した、なんて言ってもいいものか。迷って黙っていたら「あなたにはなんでも言ってほしいんです」と言われてしまい、フリッツのパン屋の事を思い出したことを話すことにした。
「ああ、そのことですか。……あなたが知りたいのなら彼がどうなったのかお教えします。どうしますか?」
「……ウォルテア様はご存知なんですね。教えてください。お願いします」
知るか、やめておくか。迷ったけど、僕はあれからフリッツがどうなったのか気になってウォルテア様に教えて貰うことにした。
「では付いて来て下さい」とウォルテア様に手を引かれて目的地へと連れられて行く。行先はどうやらフリッツのパン屋の様だった。
「え……店が、無くなってる…?」
パン屋だったその場所は、既に違う店になっていた。店の中を覗くとどうやら菓子店になっていて、店員も全く知らない人だった。
「知ればあなたはショックを受けるかと思って、本当は言うつもりがなかったのですが……」
ウォルテア様の話によれば、借金を返すことが出来なくなったフリッツは店を手放さなければならなくなった。それでも返済額が足りなかったため、デニスと共に何処かへと消えたらしい。恐らく奴隷に落とされたのではないか、とのことだ。
「デニスという男が通っていた賭博場は、貴族も通う賭博場でした。一攫千金を狙える半面、一瞬にして何もかも失う場所。ちゃんと計画的に遊んでいればそこまで危険な事はないのですが、デニスは裏の人間に唆されてその場であり得ない借金をしそれをかけたそうです。平民が簡単に返せる金額ではない負債を抱えましたが、クルトがいたため店を担保にし返済していました。クルトのお金で。
ですがクルトとフリッツが別れたため返済が滞り、店が無くなりました。その後は奴隷となって返済するしか道はありません」
「……そう、だったんですか」
何故だろう。あんな酷いことをされたのに、僕は正直2人の末路を聞いて喜ぶことは出来なかった。たとえあの楽しかった時間が幻想であっても、あの時の僕は確かにあの2人に救われていたところがあったからだ。
子供の時に両親が捕まり、泣きながら僕の名前を叫んで連れ去れた2人の姿。そして死んだと聞かされ悲しくて悲しくてとにかく泣いた。
そんな時、フリッツとデニスは僕に優しくしてくれたんだ。時間はかかったけど僕はあの2人のお陰で立ち直れたことは事実だ。
「クルト。きっとあなたならそのことを知って悲しむと思っていました。ですが、あれは2人の責任です。あなたが何かを思う事はないのですよ」
「……そう、ですね」
確かにそうだろう。だけど僕があの2人の人生を狂わせたと思うとやるせない気持ちになる。
「クルト。もう一度言います。あなたに責任はありません。あるのはあの2人です。そう思うのが難しいとは思いますが、もうどうにもならないのですよ。私たちが出来るのはただ祈るのみです」
「はい…」
どうか早く借金を返済して、普通の生活が送れますように。それが可能なのかどうなのか僕にはわからないけれど、確かにそう祈るしか僕には出来ない。後がどうなるかはあの2人次第だ。
それからはあっという間に過ぎていった。
仕事も私生活も順調で、結婚式の日取りもあっという間に決まり更に忙しくなった。
結婚式には宰相様や同じ職場の人達も皆出席してくれた。その後しばらくして子供も生まれた。前の夫とは3回祝福の実を食べたものの子供を授かることが出来なかった。なのにウォルテア様とは1回で子供が出来てしまった。それには僕もウォルテア様も驚いた。
子供は3人も恵まれた。賑やかで幸せな家族が出来た。
ウォルテア様は宰相補佐官から宰相様になった。僕は変わらずウォルテア様付きだ。
そして子供たちも大きくなって独り立ちをして。
僕達もすっかりおじいさんだ。だけど僕達は変わらずお互いを愛している。
「クルト、今日はどこへ行きましょうか」
「久しぶりに本屋へ行きませんか? その後は休憩にカフェへ寄っていきましょう」
「そうですね。では出かけましょうか」
どんなに月日を重ねても、ウォルテア様の優しさは変わらない。
夫だっと人と親友だった人に裏切られた先には、ウォルテア様との幸せな未来が待っていた。
そして今日も差し出された手を取り、僕達は仲良く町へと出かけるのだ。
~Fin~
* * * * * * * *
最後までお読みいただきありがとうございました!思いの外沢山の方にお読みいただけていたようで本当に嬉しいです!
私が書く攻めは、何故だか変態になる傾向がありまして…ウォルテアもその道を行きましたね…。いい奴なんですけどね。やってる事がね。
私だってかっこいい攻め様が書きたいのに!!
兎にも角にも、最終話までお付き合いありがとうございました!
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