6 / 10
6・ウォルテアside①
しおりを挟む
今から18年前。王都を震撼させた事件が起きた。
隣国から違法薬物が大量に輸入され、それをとある子爵家の夫婦がばら撒こうとしたことがわかった。
前宰相であるデシュラー公爵がそれを突き止め事件を未然に防ぎ、国を薬物中毒者で溢れさせようとした罪でその子爵家の夫婦を処刑した。
迅速な判断を下したとして前宰相は称賛された。私が当時10歳の時だった。
だがその事件の3年後、現宰相様であるエクスターイン侯爵様がその薬物事件の黒幕がデシュラー公爵であることを突き止めた。そして真実を明るみにし、デシュラー公爵をはじめ、薬物事件に関わっていた貴族全てを断罪。
深く関わっていた者は問答無用で処刑、その他は終身刑を言い渡され、鉱山での無期限労働者となった。
冤罪で罪のない人を処刑したことで、デシュラー公爵は公開処刑となった。処刑される寸前まで『冤罪だ!』と喚いていたそうだが、証拠が出揃っておりそれを貴族平民関係なく公開したことにより、誰一人としてデシュラー公爵の話を信じる者はいなかった。
そのまま公爵家は取り潰され、資産など全て没収されることとなった。
その事件の後エクスターイン侯爵様は宰相の座に就き、王宮内に蔓延った不正を正し膿を出し切った。それが完了するまで5年程かかったそうだ。
だがその献身のお陰で真っ当な国政が行えているので、『氷の宰相』などと言われてはいるが王族を始め感謝している者は多い。
私は伯爵家の4男で、家を継ぐこともなければ嫡男のスペアとしての役割もない。成人してしまえば自らの力でで稼いでいかなければならないことが分かっていたため、幼少期より勉学に励んでいた。お陰で今は宰相補佐官だ。
学園を卒業すると同時に、王宮で働くのなら、と父が持っていた男爵家を引き継ぐことになった。
働き出して2年後、まだ15歳の少年が同じ部署に就職した。それがクルトだ。
孤児院出身だという彼は、まだ幼さが残る顔立ちながらもしっかりとした子で、いつもにこにこ笑ってよく働いた。だが宰相様から彼があの冤罪で処刑された子爵家夫婦の子供だと聞かされ、その時はまさか、と驚きを隠せなかった。
いつも元気で明るい彼に、そんな辛い過去があったなんて思わなかったのだ。
彼がここに就職したのは宰相様の罪滅ぼしでもあったらしい。前宰相の愚かな行いによって、罪のない人が殺されてしまった。それを早くに止められなかった罪滅ぼしだと。クルトがいた孤児院の院長にクルトの様子を聞き、彼に試験を受けるよう促したそうだ。官吏になれば給金が多く貰えるから。
だがクルトがただの恩情でこの部署にいるわけではない。彼自身が優秀だったのだ。試験での成績によっては、雑用が主な部署に振り分けるつもりだったらしい。与えられたチャンスをそれ以上の結果で掴み取ったのは彼自身だ。
そして彼は『皆様の手助けが出来るよう精一杯努めます!』と言った通り、皆が気持ちよく働けるように自ら考え動いていた。朝は誰よりも早く出仕し掃除や書類の整理、朝のお茶くみなど別に誰に言われたわけでもないのにそれをやっていた。
出仕すれば元気に挨拶をする彼を誰もかれもが気に入り可愛がり、丁寧に仕事を教えていった。そのお陰と彼の優秀さであっという間に即戦力にまでなり、クルトは自分で自分の居場所を確立していった。
私もそんなクルトと一緒に働けるのが楽しく、ついつい彼を目で追うようになった。その意味もよくわからずに。
そしてクルトが突然結婚したと報告した。聞けば相手は孤児院時代からの友人だと。それはそれは嬉しそうに恥ずかしそうに言っていた。部署内は驚きと共に、冷やかしながらもクルトを祝福した。
だが私はズキンっと胸の痛みを覚えたのだ。そして初めて彼の事を、そう言った意味で好きだったのだと理解した。
今まで誰にも恋愛感情を持つことがなかった私は、これがそういった気持ちなのだとわからなかったのだ。伯爵家の4男であった私に告白してくる人がいないではなかったが数も少なく、その誰にも心を動かされることなどなかった。だから全て断って来た。中には一夜だけでもという人がいたので肉欲を共にしたこともある。だが事が終わってもそういうもんか、と特に何も思わなかった。
初めて好いた相手が結婚して誰かのものになってから自分の気持ちに気が付くとは…。
そこであっさりと気持ちが冷めれば良かったのにそうはならず、私はずるずると自分の気持ちを引きずることになった。
密かにクルトの夫となった人物がどういった人物なのか、秘密裏に調査まで行っていたのだ。ちゃんとクルトを幸せに出来るのか、それが気になって仕方がなかった。
誰にもバレないと思っていたのに、どこから聞きつけたのか宰相様に私がしていたことがバレてしまった。
「お前がクルトに対してただならぬ感情を抱いていたのは見ていてわかっていた。だがここまでするとは思わなかったぞ」
自分でもやりすぎていることの自覚はあったため、宰相様にそう言われ恥ずかしく思った。しかも私の気持ちが宰相様に筒抜けだったとは…。
「すみません…。ですが調査をしてわかったこともあったんです」
金はかかったが、その道の優秀な人間を調査に当てていたおかげでとんでもないことがわかった。
『祝福の実』。給金が多いクルトの稼ぎでそれを買っていた。だがクルトの夫であるフリッツは、クルトにバレないようにぶどうの実とすり替えた。そして本物の祝福の実を転売していたのだ。
だから当然クルト達に子供が出来ることはなかった。子供が欲しいと言っていたクルトの事を想うと胸が痛んだが、そんな夫との子供なら出来なくて良かったとも思っていた。
フリッツのしたことは許せなかった。そしてその金をどうしていたのかというと、デニスという浮気相手の借金に充てていたのだ。
フリッツとデニスの関係は、クルトと結婚する前から始まっていた。そしてクルトはその事実を知らぬままフリッツと結婚したと幸せそうに笑っていたのだ。
「……まさかそんなことになっていたとは」
宰相様もその事実を知って意気消沈していた。あの子がどれほど辛い目に遭えば運命の神は気が済むのかと。
「ウォルテア。言っておくが下手に動くなよ。やるなら上手くやれ」
宰相様もフリッツに対して悪感情を抱き、私にそう仰った。わかりました、と答えたものの、こういった駆け引きが初めてで、しかも得意ではない私にはどうすればいいのかわからなかった。
調査を続けさせるもいい手が思いつかず、そのまま時間だけが過ぎていった。
クルトの笑顔を見るたびに、その裏であの男が何をしているかを考えると苦しくて仕方がなかった。私ならクルトに対してそんなことは絶対しないというのに。
クルトは私付きになった。宰相様がそうしてくださったのだ。何かあったら守ってやれ、と。有難くその役目を拝命した。
そしてアデルモ伯爵の不正疑惑があり、その調査に私とクルトが向かう事になった。時々地方へと出張で出ることがある。そしてその時は決まってフリッツはデニスを家に連れ込んでいた。
ならその現場を見せればクルトは…。
その場を見てしまえばクルトは必ず傷つく。だがあの男の本性を知るいい機会だ。その時は私が誠心誠意、慰めればいい。
仄暗い思いを抱えながら、出張は10日ほどかかりそうだとクルトに伝える。素直なクルトはそのままあの男にそう言うだろう。
* * * * * *
フリッツが裏でやってたことの真実と、ウォルテアも実はちょっとやべー奴だった、ていう話…(´・_・`)
隣国から違法薬物が大量に輸入され、それをとある子爵家の夫婦がばら撒こうとしたことがわかった。
前宰相であるデシュラー公爵がそれを突き止め事件を未然に防ぎ、国を薬物中毒者で溢れさせようとした罪でその子爵家の夫婦を処刑した。
迅速な判断を下したとして前宰相は称賛された。私が当時10歳の時だった。
だがその事件の3年後、現宰相様であるエクスターイン侯爵様がその薬物事件の黒幕がデシュラー公爵であることを突き止めた。そして真実を明るみにし、デシュラー公爵をはじめ、薬物事件に関わっていた貴族全てを断罪。
深く関わっていた者は問答無用で処刑、その他は終身刑を言い渡され、鉱山での無期限労働者となった。
冤罪で罪のない人を処刑したことで、デシュラー公爵は公開処刑となった。処刑される寸前まで『冤罪だ!』と喚いていたそうだが、証拠が出揃っておりそれを貴族平民関係なく公開したことにより、誰一人としてデシュラー公爵の話を信じる者はいなかった。
そのまま公爵家は取り潰され、資産など全て没収されることとなった。
その事件の後エクスターイン侯爵様は宰相の座に就き、王宮内に蔓延った不正を正し膿を出し切った。それが完了するまで5年程かかったそうだ。
だがその献身のお陰で真っ当な国政が行えているので、『氷の宰相』などと言われてはいるが王族を始め感謝している者は多い。
私は伯爵家の4男で、家を継ぐこともなければ嫡男のスペアとしての役割もない。成人してしまえば自らの力でで稼いでいかなければならないことが分かっていたため、幼少期より勉学に励んでいた。お陰で今は宰相補佐官だ。
学園を卒業すると同時に、王宮で働くのなら、と父が持っていた男爵家を引き継ぐことになった。
働き出して2年後、まだ15歳の少年が同じ部署に就職した。それがクルトだ。
孤児院出身だという彼は、まだ幼さが残る顔立ちながらもしっかりとした子で、いつもにこにこ笑ってよく働いた。だが宰相様から彼があの冤罪で処刑された子爵家夫婦の子供だと聞かされ、その時はまさか、と驚きを隠せなかった。
いつも元気で明るい彼に、そんな辛い過去があったなんて思わなかったのだ。
彼がここに就職したのは宰相様の罪滅ぼしでもあったらしい。前宰相の愚かな行いによって、罪のない人が殺されてしまった。それを早くに止められなかった罪滅ぼしだと。クルトがいた孤児院の院長にクルトの様子を聞き、彼に試験を受けるよう促したそうだ。官吏になれば給金が多く貰えるから。
だがクルトがただの恩情でこの部署にいるわけではない。彼自身が優秀だったのだ。試験での成績によっては、雑用が主な部署に振り分けるつもりだったらしい。与えられたチャンスをそれ以上の結果で掴み取ったのは彼自身だ。
そして彼は『皆様の手助けが出来るよう精一杯努めます!』と言った通り、皆が気持ちよく働けるように自ら考え動いていた。朝は誰よりも早く出仕し掃除や書類の整理、朝のお茶くみなど別に誰に言われたわけでもないのにそれをやっていた。
出仕すれば元気に挨拶をする彼を誰もかれもが気に入り可愛がり、丁寧に仕事を教えていった。そのお陰と彼の優秀さであっという間に即戦力にまでなり、クルトは自分で自分の居場所を確立していった。
私もそんなクルトと一緒に働けるのが楽しく、ついつい彼を目で追うようになった。その意味もよくわからずに。
そしてクルトが突然結婚したと報告した。聞けば相手は孤児院時代からの友人だと。それはそれは嬉しそうに恥ずかしそうに言っていた。部署内は驚きと共に、冷やかしながらもクルトを祝福した。
だが私はズキンっと胸の痛みを覚えたのだ。そして初めて彼の事を、そう言った意味で好きだったのだと理解した。
今まで誰にも恋愛感情を持つことがなかった私は、これがそういった気持ちなのだとわからなかったのだ。伯爵家の4男であった私に告白してくる人がいないではなかったが数も少なく、その誰にも心を動かされることなどなかった。だから全て断って来た。中には一夜だけでもという人がいたので肉欲を共にしたこともある。だが事が終わってもそういうもんか、と特に何も思わなかった。
初めて好いた相手が結婚して誰かのものになってから自分の気持ちに気が付くとは…。
そこであっさりと気持ちが冷めれば良かったのにそうはならず、私はずるずると自分の気持ちを引きずることになった。
密かにクルトの夫となった人物がどういった人物なのか、秘密裏に調査まで行っていたのだ。ちゃんとクルトを幸せに出来るのか、それが気になって仕方がなかった。
誰にもバレないと思っていたのに、どこから聞きつけたのか宰相様に私がしていたことがバレてしまった。
「お前がクルトに対してただならぬ感情を抱いていたのは見ていてわかっていた。だがここまでするとは思わなかったぞ」
自分でもやりすぎていることの自覚はあったため、宰相様にそう言われ恥ずかしく思った。しかも私の気持ちが宰相様に筒抜けだったとは…。
「すみません…。ですが調査をしてわかったこともあったんです」
金はかかったが、その道の優秀な人間を調査に当てていたおかげでとんでもないことがわかった。
『祝福の実』。給金が多いクルトの稼ぎでそれを買っていた。だがクルトの夫であるフリッツは、クルトにバレないようにぶどうの実とすり替えた。そして本物の祝福の実を転売していたのだ。
だから当然クルト達に子供が出来ることはなかった。子供が欲しいと言っていたクルトの事を想うと胸が痛んだが、そんな夫との子供なら出来なくて良かったとも思っていた。
フリッツのしたことは許せなかった。そしてその金をどうしていたのかというと、デニスという浮気相手の借金に充てていたのだ。
フリッツとデニスの関係は、クルトと結婚する前から始まっていた。そしてクルトはその事実を知らぬままフリッツと結婚したと幸せそうに笑っていたのだ。
「……まさかそんなことになっていたとは」
宰相様もその事実を知って意気消沈していた。あの子がどれほど辛い目に遭えば運命の神は気が済むのかと。
「ウォルテア。言っておくが下手に動くなよ。やるなら上手くやれ」
宰相様もフリッツに対して悪感情を抱き、私にそう仰った。わかりました、と答えたものの、こういった駆け引きが初めてで、しかも得意ではない私にはどうすればいいのかわからなかった。
調査を続けさせるもいい手が思いつかず、そのまま時間だけが過ぎていった。
クルトの笑顔を見るたびに、その裏であの男が何をしているかを考えると苦しくて仕方がなかった。私ならクルトに対してそんなことは絶対しないというのに。
クルトは私付きになった。宰相様がそうしてくださったのだ。何かあったら守ってやれ、と。有難くその役目を拝命した。
そしてアデルモ伯爵の不正疑惑があり、その調査に私とクルトが向かう事になった。時々地方へと出張で出ることがある。そしてその時は決まってフリッツはデニスを家に連れ込んでいた。
ならその現場を見せればクルトは…。
その場を見てしまえばクルトは必ず傷つく。だがあの男の本性を知るいい機会だ。その時は私が誠心誠意、慰めればいい。
仄暗い思いを抱えながら、出張は10日ほどかかりそうだとクルトに伝える。素直なクルトはそのままあの男にそう言うだろう。
* * * * * *
フリッツが裏でやってたことの真実と、ウォルテアも実はちょっとやべー奴だった、ていう話…(´・_・`)
72
お気に入りに追加
1,412
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
僕は貴方の為に消えたいと願いながらも…
夢見 歩
BL
僕は運命の番に気付いて貰えない。
僕は運命の番と夫婦なのに…
手を伸ばせば届く距離にいるのに…
僕の運命の番は
僕ではないオメガと不倫を続けている。
僕はこれ以上君に嫌われたくなくて
不倫に対して理解のある妻を演じる。
僕の心は随分と前から血を流し続けて
そろそろ限界を迎えそうだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
傾向|嫌われからの愛され(溺愛予定)
━━━━━━━━━━━━━━━
夢見 歩の初のBL執筆作品です。
不憫受けをどうしても書きたくなって
衝動的に書き始めました。
途中で修正などが入る可能性が高いので
完璧な物語を読まれたい方には
あまりオススメできません。
明日、君は僕を愛さない
山田太郎
BL
昨日自分を振ったはずの男が帰ってきた。ちょうど一年分の記憶を失って。
山野純平と高遠英介は大学時代からのパートナーだが、大学卒業とともに二人の関係はぎこちなくすれ違っていくばかりだった。そんなある日、高遠に新しい恋人がいることを聞かされてーー。
【オメガの疑似体験ができる媚薬】を飲んだら、好きだったアルファに抱き潰された
亜沙美多郎
BL
ベータの友人が「オメガの疑似体験が出来る媚薬」をくれた。彼女に使えと言って渡されたが、郁人が想いを寄せているのはアルファの同僚・隼瀬だった。
隼瀬はオメガが大好き。モテモテの彼は絶えずオメガの恋人がいた。
『ベータはベータと』そんな暗黙のルールがある世間で、誰にも言えるはずもなく気持ちをひた隠しにしてきた。
ならばせめて隼瀬に抱かれるのを想像しながら、恋人気分を味わいたい。
社宅で一人になれる夜を狙い、郁人は自分で媚薬を飲む。
本物のオメガになれた気がするほど、気持ちいい。媚薬の効果もあり自慰行為に夢中になっていると、あろう事か隼瀬が部屋に入ってきた。
郁人の霰も無い姿を見た隼瀬は、擬似オメガのフェロモンに当てられ、郁人を抱く……。
前編、中編、後編に分けて投稿します。
全編Rー18です。
アルファポリスBLランキング4位。
ムーンライトノベルズ BL日間、総合、短編1位。
BL週間総合3位、短編1位。月間短編4位。
pixiv ブクマ数2600突破しました。
各サイトでの応援、ありがとうございます。
βの僕、激強αのせいでΩにされた話
ずー子
BL
オメガバース。BL。主人公君はβ→Ω。
αに言い寄られるがβなので相手にせず、Ωの優等生に片想いをしている。それがαにバレて色々あってΩになっちゃう話です。
β(Ω)視点→α視点。アレな感じですが、ちゃんとラブラブエッチです。
他の小説サイトにも登録してます。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる