【完結】平民として慎ましやかに生きていたと思っていたのは僕だけだったようだ。〜平民シリーズ②アシェル編〜

華抹茶

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39※ アーネストside

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あれからも話は尽きる事なく、楽しい時間が過ぎていった。

そして寮へと帰る馬車の中。

「アシェル、寮に着いたら俺の部屋へ来てくれないか?渡したい物があるんだ。」

俺の印であるピアスを渡す為だ。早くピアスを付けたアシェルが見たい。俺の気持ちは急くばかりだ。

「お邪魔します。」

初めてアシェルを部屋に招き入れる。…ピアスを渡すだけなのだが、誰にも邪魔をされない場所で2人きりなんて、今更だが俺の理性はもつのだろうか。

そんな時アシェルから使用人はいないのかと聞かれた。

「ああ、俺は騎士になるからな。遠征に出れば自分のことは自分でしなければならない。だから寮に入る際も使用人は連れてこなかったんだ。」

領地の屋敷へと戻れば当然使用人は居るが、ここには連れてきていない。ついてこようとしていたが断った。何でも自分で出来なければ騎士としてやっていけないからな。

ここで座って少し待ってて、と伝えピアスを取りに行く。

ピアスの入った箱を持ち、アシェルの元へ戻り声をかけると「ひゃあ!」と可愛らしい声がした。真っ赤になってわたわたとして、可愛すぎて心臓が痛い。が、そんな事は悟らせない。

「? どうした?」

「い、いえ。なんでもありませんっ。」

「そうか?ならいいのだが。……アシェル、これを。受け取ってほしい。」

ピアスの箱を渡すと、素直にそれを開けるアシェル。その目はみるみる内に大きく見開かれていった。

「これって…。」

「まだ婚約は成立していないけど、他の誰かに取られたくないから。先に作ってしまった。」

この意味がわかっているのだろう。段々と涙が溜まり、とうとう溢れてしまった。

「あ、ありがとうございます…。こんな…こんな事って……。」

涙を流し喜んでくれるアシェルが愛しくて無意識に抱きしめてしまう。

「アシェル。もう君を離すことはできない。誰にも渡したくない。俺はずっと、初めて会ったあの日から君の事が好きだった。やっとやっと君を手に入れた。だから覚悟してくれ。もう絶対に離さない。」

「はい、はい。僕もアーネスト様から離れません。ずっとお側に居させてください。」

お互い、自然に唇を合わせる。優しく啄むように。アシェルの柔らかさを確かめるように。

でもそれだけじゃ済ませたくなくて、初めてアシェルの口の中へと舌を伸ばす。驚かせないようにトントンと触れ合ったのに、その感触に我慢できなくなって一気に舐め上げてしまった。

「んふ…。ん…。」

それに感じたのか、艶かしい声が聞こえる。その声が堪らなく気持ち良くもっと聞きたくなって、更に激しく舐め上げた。

アシェルの口の中は暖かくて柔らかくて、俺の理性はブチブチと音を立てて切れていく。

するとかくんとアシェルの体から力が抜けた。はっとして慌ててアシェルの体を抱きしめ支える。

「…すまないアシェル。止まらなくて、つい…。」

「はぁ…はぁ…。いえ…僕こそ、すみません…。」

「ぐっ!……我慢、しなくてもいいよな?無理だろこれは…。」

気持ち良さげにとろんとした、潤んだ瞳と上がった息。あまりの煽情的な姿に理性が弾けきってしまいそうになるのを必死に食い止める。だがもうそれも限界だ。

「…アーネスト様、もっとキス、して下さい。」

そんな甘い言葉が聞こえたと思った瞬間、アシェルから腕を回し口付けてきた。

あまりの事に体がぴくりと一瞬固まり、俺のギリギリだった理性は弾け飛んだ。
それからは夢中でアシェルを貪った。俺を煽ったんだ。止められるわけがない!

「っアシェル!もう無理だ、我慢できない!君の…君の全てが欲しいっ!」

「…はい。全て差し上げます。」

その言葉を聞いて、すぐに抱き上げ寝室へと大股で進む。
だが、アシェルはこの意味をわかっているのだろうか。もし分かっていなくて無理やり抱かれたと思ったら、俺は全部失ってしまうのでは…。


急に怖くなって、ベッドへ寝かせ上から覆いかぶさる。この状況ならば分かってくれるだろう。

「…アシェル、この意味がわかるよな?今から何をするのかも。…もし嫌だと思うなら今、逃げてくれ。」

俺の事が好きであったとしても、体を暴かれるのはまだ無理かもしれない。どんなに抱きたいと思っていても、嫌がるアシェルを抱きたいとまでは思わない。

だから最後の逃げ道を作る。だが、叶うならば受け入れてほしい。

「嫌です。逃げません。……好きですアーネスト様。僕はアーネスト様の物です。だから…っ!」

全部言い切る前に噛み付くようにキスをした。もう無理だ。限界だ。ここまで我慢して逃げ道まで用意したのに、こんな事を言われたらっ!

激しく口付けしながらも、アシェルの体に触れたくて急ぎボタンへと手にかける。
はだけた瞬間、可愛い先端をきゅっと摘み上げる。

「うひゃあっ!」

驚きはしているが、嫌がる素振りは見られない。ならば、もう容赦はしない。

アシェルの首から鎖骨まで舐め上げながら降りていき、乳首へとたどり着くなり舌で転がしていく。

俺の送ったネックレス。付けていてくれたのか。その事実を知り、俺の心は歓喜で満たされる。


「あはっ…あ、あ、アー、ネスト様ぁっ!」

「はぁ、可愛い。アシェル可愛いよ。」

蕩けた表情を浮かべながら、俺の名を呼んでいる。可愛すぎて、俺の股間に熱が溜まりすぎて痛いくらいだ。

「気持ちいい?」

「は、い……。気持ち…いい、です…あ、あん…!」

それを聞いて気を良くした俺は、更に快感を与えようと甘噛みしたり吸い上げたり。夢中になって舌を這わせた。

アシェルが快感に悶えている間に、下穿きさえも取り去っていく。

俺が送ったネックレスだけが残される。

服は一切身につけず、俺のネックレスだけがアシェルを着飾っているこの状況が、ひどく艶かしく美しかった。

「あ…。や、恥ずか、し…。」

やっと全て脱がされた事を知ったアシェルは、手で体を隠そうと身を捩る。

そんな事させるものか。

手首を掴み上へと押し上げ拘束する。

「全部、全部見せて。」

アシェルの煽情的な美しさにゴクリと喉が鳴る。

「僕を食べて。全部、何もかも食べ尽くして。」

艶かしい顔でそう煽られて、俺は一気にアシェルの昂った熱に喰らい付いた。

「ひゃっ!待って、まっ、て…あ、アーネ、スト、さ…っ!あ、あ、あ!…ひぅっ…!」

胸とは違う強い快感に、仰け反りながら喘ぐ声が聞こえてくる。

「あ、あ……あん、あっ!…は…っ。」

アシェルのモノを口に含んだ興奮と、アシェルの匂いと、アシェルの声が俺から冷静さを奪っていく。

無我夢中で吸い付きしゃぶり、ただただ快感を植え付けていく。

「あ、あ、あ、ダメ、ダメです!はな、して!なんか…あ、くる!…ダメっ…だめぇっ!」

離さない。アシェルのモノは全て欲しい。
俺の口の中に、アシェルの熱が解き放たれる。何の迷いもなく全て飲み込んだ。

「はっ…はっ…はっ…。」

「アシェル…。」


俺の欲望も限界で、必死で息を整えようとするアシェルを見下ろしながら、秘められた蕾へと指を触れる。

「ココで、俺のを受け入れて。」

早くここに埋め込みたい。

だが痛がらせないよう、必死にその気持ちを抑え込み、ぐちゅぐちゅと指で蕾を掻き回した。
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