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36 ルドヴィクside
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「リューク・マスターソンの身柄を拘束。反逆の恐れがあるため、このまま王宮へと連行する!」
「え? な、なに? え??」
リュークが連れ去られようとしている。それも逆賊として。意味が分からない。なんなんだこいつらは!
「リューク! うぐっ……!」
リュークを奪還しようとすると、衛兵数人に取り押さえられる。腕を捻られ膝を突かされた。泣きそうな顔で俺を見るリュークの姿が段々と小さくなっていく。
「リューク! リュークーー!!」
振りほどこうにも複数で抑え込まれ身動きが取れない。何もしていないリュークを引っ立てられて、腹の底から怒りがふつふつと湧いて止まらない。
「ふざけるなよッ……!」
「うわっ!」
俺の周りに竜巻を起こす。俺を押さえつけていた衛兵はあっけなく吹き飛んだ。
こいつらも魔法騎士のはずだが雑魚過ぎるだろう。優秀な魔法騎士であれば、瞬時に対応し吹き飛ばされるなんてことにはならないはずだ。
体が自由になるとリュークを追いかけた。食堂を駆け抜け外へ。だがもうすぐ学園の外に出るというところで、急に俺の目の前に一人の男が現れる。
「ルドヴィク様、落ち着いてください!」
「お前も邪魔をする気か!」
現れた男はリュークと友人になったというオーラフ・ジェンキンス。早く行かなければリュークが連れ去られるというのにこいつまで邪魔をするのか。なら容赦なくこいつも吹き飛ばすかと思ったところで、あっという間にこいつに接近され腹部にナイフが当てられた。
あまりの素早い動きに只者じゃないと冷や汗が出る。
「落ち着いてください。僕は殿下の『影』です。敵ではありません」
「なに……?」
こいつが、殿下の『影』だと……?
噂で聞いたことはあるが、本当に存在するのかわからないのが『影』だ。それがこいつだと……?
オーラフは首から下げていた指輪を俺に見せる。それには王家の紋章が入っていた。王家の紋章を勝手に使うことは出来ない。これがあるということはオーラフが言っていることは紛れもない事実だということだ。
「とにかく今はここから離れましょう」
オーラフは慣れた動きでさっとナイフを仕舞うと駆け出していく。悔しいが今はこいつに従うしか方法がない。その後ろを追いかけ、共に学園を抜け出した。
そのまま王宮へと向かうが、俺の知らない場所へと走って行く。
「このまま正面から入っても追い返されるだけですからね。秘密の場所から入ります。ですので他言無用でお願いします」
口元に指を当て、ふふっと笑ったオーラフ。俺に秘密を教えた割には軽い態度が気になるが、こくりと頷き後に続く。
庭園側へ向かうと、中へは入らず木が生い茂る場所を奥へと進んでいく。とある大木の元へ来ると、突然しゃがみ込み地面をめくりあげた。よく見るとどうやらオーラフがめくりあげたのは地面に偽装された鉄製の扉、というか蓋だった。
「は?」
「秘密の地下道です」
驚く俺を見て、さもおかしそうに笑うと中へと入っていった。慌ててそれを追いかける。
階段を下りると入り口を塞ぐように言われ、鉄製の扉を下ろす。すると真っ暗になり何も見えなくなった。そこへぽわっと小さな灯りが灯される。
「付いてきてください」
オーラフが灯す魔法の灯りを頼りに後ろへ続く。長い通路を歩いているとオーラフがここは王族の脱出経路だと教えてくれた。
知っているのは王家の影と王族のみ。複雑な通路をオーラフは迷いなく進んでいく。どうやらこいつの頭の中には、経路の内部が全て入っているようだ。
どう歩いてきたのか全くわからなくなり、いつまで続くのかと思ったその時オーラフの足が止まる。首から下げていた指輪を取り出し、壁へと当てる。すると一瞬軽く光ったかと思ったら、静かに壁が横へとずれていった。
「ここは殿下の私室です。きっと今頃は謁見の間にて茶番が繰り広げられているでしょう」
勝手知ったるかのように中へと入るオーラフ。俺達がすり抜けた壁はいつの間にか塞がれていた。
ソファーへかけるように言われ、大人しく従ったが殿下の私室で勝手なことをしてもいいのだろうか。そんな俺の考えを読んだのか、オーラフは茶を淹れながら口を開いた。
「心配いりませんよ。殿下からの依頼ですし。それに僕達『影』はある程度の権限がありますから」
殿下が戻るまで時間がありますから説明しましょう。そう言ってオーラフが今の状況を説明してくれた。
まずオーラフは殿下からの指示で、薬学科に入学した。俺が側にいない時にリュークを守るためにだ。本来はリュークと接触する予定ではなかったが、俺が二週間の停学処分になったことで接触するようになったらしい。
それならそうと教えて欲しかった。俺は最初、こいつのことも警戒しまくっていたからな。ただリュークが楽しそうにしていたのと、怪しい言動がなかったから放置していたに過ぎない。
「僕もルドヴィク様には説明した方がいいと言ったんですけどね。『後でネタばらしした方が面白いだろう?』と言われて仕方なく」
……あいつの好きそうなことだ。自然とため息が漏れた。
オーラフも苦笑いしつつ、続けて今現在起こっていることを説明してくれた。
シモン先生が討伐に向かった先で、味方の討伐隊員を殺し隣国へと渡った。それをただ一人生き残ったブラント・ラフヘッド副団長が戻りそう報告したそうだ。
シモン先生は国を裏切った反逆者として認定。その養子であるリュークも何か知っていると思われ、連れて行かれたのだろうと言う。
そして団長である父上も、シモン先生を副団長に任命した責任を問われ、団長室に軟禁状態だそうだ。
「……シモン先生が裏切るなんてあるわけがないだろう。周りはバカしかいないのか……」
「ええ、全くです。こちらもマスターソン副団長がそのようなことをしたとは思っていませんよ」
現在、魔法騎士団の団長と副団長が封じられた状態。自由に動けるのはラフヘッド第二副団長のみ。それを考えれば、ラフヘッド家が怪しいと思わざるを得ない。今聞いただけでも、裏で動いているのはこいつらだとわかる。
以前感じたラフヘッド副団長の違和感。今回のことで、やっぱりかと納得した。
そんな時、部屋の扉が開き意識がそっちへと流れる。
入って来たのは殿下と、殿下に抱かれた意識のないリュークだった。
「!? リューク!」
「落ち着け。意識を失ってはいるが無事だ」
「これを見て落ち着けだと!? こんな姿になったのはどういうことだ!?」
リュークの顔は痛々しく腫れていた。どう見ても、かなり強い力で殴られたのがわかる。どうしてリュークばっかりこんな目にっ!
殿下は奥へと進み寝室へと向かう。ベッドの上にそっとリュークを寝かせた。
早くその怪我を治してやりたくて、ポケットから回復薬を取り出す。蓋を開け、そっとリュークの頭を持ち上げた。そしてゆっくりとリュークの口に流し込むが上手く飲んでくれない。
リュークをまた寝かせると、自分の口に回復薬を流し込む。そのまま意識のないリュークに口付けて、ゆっくりと回復薬を流し込んだ。こくりとリュークの喉が上下する。回復薬を飲んでくれたことにほっとし、しばらくするとあんなに腫れあがっていた顔は元に戻った。
「おい。リュークがどうしてこんな怪我をしたのか説明してもらおうか」
「ルドヴィク様、殿下に向かってその口の利き方は……」
「オーラフ、大丈夫だ。……宰相が尋問をした際にな。私もすぐに止めるつもりだったが、陛下が続行させたんだ。すぐに止めるとこちらも怪しまれると仰ってな」
宰相が剣を抜き放ったところでやっと止めに入ったらしい。くそっ……! あいつ、リュークを殺そうとしたのか……!
それに陛下もリュークが死のうが何も思わないだろう。国民には賢王だと言われているが、非情な面も持ち合わせている。そうじゃなければ一国の王なんて務まらないのだろうが、俺のリュークを痛めつけるのを止めなかったというだけで腹立たしい。クソがっ。
リュークの腫れが治まった頬を撫でる。
ごめん、リューク。俺はまた、お前を守ることが出来なかった。
「え? な、なに? え??」
リュークが連れ去られようとしている。それも逆賊として。意味が分からない。なんなんだこいつらは!
「リューク! うぐっ……!」
リュークを奪還しようとすると、衛兵数人に取り押さえられる。腕を捻られ膝を突かされた。泣きそうな顔で俺を見るリュークの姿が段々と小さくなっていく。
「リューク! リュークーー!!」
振りほどこうにも複数で抑え込まれ身動きが取れない。何もしていないリュークを引っ立てられて、腹の底から怒りがふつふつと湧いて止まらない。
「ふざけるなよッ……!」
「うわっ!」
俺の周りに竜巻を起こす。俺を押さえつけていた衛兵はあっけなく吹き飛んだ。
こいつらも魔法騎士のはずだが雑魚過ぎるだろう。優秀な魔法騎士であれば、瞬時に対応し吹き飛ばされるなんてことにはならないはずだ。
体が自由になるとリュークを追いかけた。食堂を駆け抜け外へ。だがもうすぐ学園の外に出るというところで、急に俺の目の前に一人の男が現れる。
「ルドヴィク様、落ち着いてください!」
「お前も邪魔をする気か!」
現れた男はリュークと友人になったというオーラフ・ジェンキンス。早く行かなければリュークが連れ去られるというのにこいつまで邪魔をするのか。なら容赦なくこいつも吹き飛ばすかと思ったところで、あっという間にこいつに接近され腹部にナイフが当てられた。
あまりの素早い動きに只者じゃないと冷や汗が出る。
「落ち着いてください。僕は殿下の『影』です。敵ではありません」
「なに……?」
こいつが、殿下の『影』だと……?
噂で聞いたことはあるが、本当に存在するのかわからないのが『影』だ。それがこいつだと……?
オーラフは首から下げていた指輪を俺に見せる。それには王家の紋章が入っていた。王家の紋章を勝手に使うことは出来ない。これがあるということはオーラフが言っていることは紛れもない事実だということだ。
「とにかく今はここから離れましょう」
オーラフは慣れた動きでさっとナイフを仕舞うと駆け出していく。悔しいが今はこいつに従うしか方法がない。その後ろを追いかけ、共に学園を抜け出した。
そのまま王宮へと向かうが、俺の知らない場所へと走って行く。
「このまま正面から入っても追い返されるだけですからね。秘密の場所から入ります。ですので他言無用でお願いします」
口元に指を当て、ふふっと笑ったオーラフ。俺に秘密を教えた割には軽い態度が気になるが、こくりと頷き後に続く。
庭園側へ向かうと、中へは入らず木が生い茂る場所を奥へと進んでいく。とある大木の元へ来ると、突然しゃがみ込み地面をめくりあげた。よく見るとどうやらオーラフがめくりあげたのは地面に偽装された鉄製の扉、というか蓋だった。
「は?」
「秘密の地下道です」
驚く俺を見て、さもおかしそうに笑うと中へと入っていった。慌ててそれを追いかける。
階段を下りると入り口を塞ぐように言われ、鉄製の扉を下ろす。すると真っ暗になり何も見えなくなった。そこへぽわっと小さな灯りが灯される。
「付いてきてください」
オーラフが灯す魔法の灯りを頼りに後ろへ続く。長い通路を歩いているとオーラフがここは王族の脱出経路だと教えてくれた。
知っているのは王家の影と王族のみ。複雑な通路をオーラフは迷いなく進んでいく。どうやらこいつの頭の中には、経路の内部が全て入っているようだ。
どう歩いてきたのか全くわからなくなり、いつまで続くのかと思ったその時オーラフの足が止まる。首から下げていた指輪を取り出し、壁へと当てる。すると一瞬軽く光ったかと思ったら、静かに壁が横へとずれていった。
「ここは殿下の私室です。きっと今頃は謁見の間にて茶番が繰り広げられているでしょう」
勝手知ったるかのように中へと入るオーラフ。俺達がすり抜けた壁はいつの間にか塞がれていた。
ソファーへかけるように言われ、大人しく従ったが殿下の私室で勝手なことをしてもいいのだろうか。そんな俺の考えを読んだのか、オーラフは茶を淹れながら口を開いた。
「心配いりませんよ。殿下からの依頼ですし。それに僕達『影』はある程度の権限がありますから」
殿下が戻るまで時間がありますから説明しましょう。そう言ってオーラフが今の状況を説明してくれた。
まずオーラフは殿下からの指示で、薬学科に入学した。俺が側にいない時にリュークを守るためにだ。本来はリュークと接触する予定ではなかったが、俺が二週間の停学処分になったことで接触するようになったらしい。
それならそうと教えて欲しかった。俺は最初、こいつのことも警戒しまくっていたからな。ただリュークが楽しそうにしていたのと、怪しい言動がなかったから放置していたに過ぎない。
「僕もルドヴィク様には説明した方がいいと言ったんですけどね。『後でネタばらしした方が面白いだろう?』と言われて仕方なく」
……あいつの好きそうなことだ。自然とため息が漏れた。
オーラフも苦笑いしつつ、続けて今現在起こっていることを説明してくれた。
シモン先生が討伐に向かった先で、味方の討伐隊員を殺し隣国へと渡った。それをただ一人生き残ったブラント・ラフヘッド副団長が戻りそう報告したそうだ。
シモン先生は国を裏切った反逆者として認定。その養子であるリュークも何か知っていると思われ、連れて行かれたのだろうと言う。
そして団長である父上も、シモン先生を副団長に任命した責任を問われ、団長室に軟禁状態だそうだ。
「……シモン先生が裏切るなんてあるわけがないだろう。周りはバカしかいないのか……」
「ええ、全くです。こちらもマスターソン副団長がそのようなことをしたとは思っていませんよ」
現在、魔法騎士団の団長と副団長が封じられた状態。自由に動けるのはラフヘッド第二副団長のみ。それを考えれば、ラフヘッド家が怪しいと思わざるを得ない。今聞いただけでも、裏で動いているのはこいつらだとわかる。
以前感じたラフヘッド副団長の違和感。今回のことで、やっぱりかと納得した。
そんな時、部屋の扉が開き意識がそっちへと流れる。
入って来たのは殿下と、殿下に抱かれた意識のないリュークだった。
「!? リューク!」
「落ち着け。意識を失ってはいるが無事だ」
「これを見て落ち着けだと!? こんな姿になったのはどういうことだ!?」
リュークの顔は痛々しく腫れていた。どう見ても、かなり強い力で殴られたのがわかる。どうしてリュークばっかりこんな目にっ!
殿下は奥へと進み寝室へと向かう。ベッドの上にそっとリュークを寝かせた。
早くその怪我を治してやりたくて、ポケットから回復薬を取り出す。蓋を開け、そっとリュークの頭を持ち上げた。そしてゆっくりとリュークの口に流し込むが上手く飲んでくれない。
リュークをまた寝かせると、自分の口に回復薬を流し込む。そのまま意識のないリュークに口付けて、ゆっくりと回復薬を流し込んだ。こくりとリュークの喉が上下する。回復薬を飲んでくれたことにほっとし、しばらくするとあんなに腫れあがっていた顔は元に戻った。
「おい。リュークがどうしてこんな怪我をしたのか説明してもらおうか」
「ルドヴィク様、殿下に向かってその口の利き方は……」
「オーラフ、大丈夫だ。……宰相が尋問をした際にな。私もすぐに止めるつもりだったが、陛下が続行させたんだ。すぐに止めるとこちらも怪しまれると仰ってな」
宰相が剣を抜き放ったところでやっと止めに入ったらしい。くそっ……! あいつ、リュークを殺そうとしたのか……!
それに陛下もリュークが死のうが何も思わないだろう。国民には賢王だと言われているが、非情な面も持ち合わせている。そうじゃなければ一国の王なんて務まらないのだろうが、俺のリュークを痛めつけるのを止めなかったというだけで腹立たしい。クソがっ。
リュークの腫れが治まった頬を撫でる。
ごめん、リューク。俺はまた、お前を守ることが出来なかった。
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