【完結】聖女召喚はもう結構。……は？今度は魔王の嫁になれ？

15最終話

大学生の間もあっちへこっちへ行き来していた。夏休みなんかの長期休暇は、向こうの世界で旅行にも出かけた。

魔族が住む魔界へ行った時は凄かった。魔王様の番って事で、歓迎のレベルが違った。1週間くらい宴会が続いて、たくさんの魔族にいっぱい祝われた。

サナトスは魔王としても人気者で、俺はそれがすごく嬉しかった。
負の感情を取り込んでしまって、破壊衝動が起こりやすくなる魔族を大人しくさせるのって、どうやってるのか不思議だったんだけどまさかの実力行使だった。

暴れたくなったら、魔王城（ちゃんとありました。）に手合わせの申請。サナトスの部下でも力自慢たちがその手合わせに応じて戦う。
たまに魔王様も参加するらしく、その時はものすごく盛り上がるらしい。魔王様と手合わせしたい！ていう魔族がすごく多くて、コテンパンにやられちゃうけど憧れの魔王様と戦える事が光栄だっていって人気が衰える事がないらしい。

強い者に従う魔族らしい習性だな。圧倒的強者の魔王様に憧れる魔族は、昔その魔王様を相討ちとはいえ倒した俺にも憧れる者は多いらしい。恨まれてなくてほっとした。

魔族って怖い存在だったけど、サナトスが上手くガス抜きさせてるお陰とカリスマ性で上手く纏まっている。サナトスって本当にすごい。


俺の家族もあちらの世界へ連れていって、一緒にみんなでエマシュタル国を旅行した。
異世界旅行で大はしゃぎで本当に大変だった。家族が迷子になった時は焦ったけど、魔王様の部下が隠れて護衛してくれてたみたいで事なきを得た。俺はもう魔族の皆さんに平謝り。逆に恐縮されてしまった。


大学を卒業してすぐに結婚式をした。エマシュタル国と魔界と2回。衣装はとんでもないお金をかけていて着るのがすごく怖かった。だってあちこちに宝石が散らばってるんだもん…。庶民の俺には恐怖しかない。

式だけかと思いきや、パレードまであって大変だった。何が大変かって俺の家族。俺たちとは別の山車に乗ったんだけど、わーわーとここでも大はしゃぎで俺は恥ずかしくて居た堪れなかった。

魔界へ行った時は、番である俺の家族って事で大歓迎で、俺の家族は調子に乗って大騒ぎ。さすがに俺も恥ずかしいが限界突破してキレた。誰か俺の家族に常識と慎みを教えてくれ。


姉ちゃんもラウムさんと結婚した。そんで姉ちゃんは魔法が使えるあっちの世界が気に入って、あっちの世界で定住した。魔法の才能があったみたいで毎日楽しそうだ。



俺はあれから聖女召喚はされてない。というのも、ハイスペック魔王様が俺が召喚されないように聖女の力を隠蔽したから。本当になんでもありだな魔王様。




そして長い年月が経ち、俺の両親も亡くなった時。
俺はあっちの世界へ移住した。不老不死っていう人外になってしまったため、地球で生きていくのに苦労したからだ。

でもたまに、地球へ行って旅行したりお墓参りしたり里帰りをしている。


前にサナトスが話してたみたいに、色んな世界へも行ってしばらく住んでみたり仕事をしたり。長い長い時間をサナトスと共に過ごした。


こんなに長い時間をサナトスと過ごしていても、ずっといちゃいちゃしてる。さすが魂の番。

「タケル、今度はどこの世界へ行く？」

「どこへでも。サナトスがいればどこでも楽しいから。」

「そうだな、我もだ。愛している。我が魂の番。」

「俺も愛してる。俺の旦那様。」



聖女召喚から始まった俺とサナトスの物語。これはずっと続いていく。飽きる事なく。ずっと。






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