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48※ 初めての③

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「あっ……あんっ……!」

「ああ、貴方の中が気持ち良すぎるっ……!」

 オーサは俺の腰を掴み一心不乱に打ち付けて来る。快感を感じて眉間に寄った皺、額から流れる汗、そして熱が籠った金の瞳。物凄くいやらしいことをしているのに、オーサの顔は相変らず凄く綺麗で。汗で濡れた鱗がキラキラと光って、それがまた幻想的に見える。

 それにうっとりとしていたらオーサがギュッと俺を抱きしめて来た。人肌が触れ合う感触も初めてだけどすごく気持ちいいことを初めて知った。
 オーサは俺の首筋に顔を埋めて吸ったり舐めたりを繰り返している。それも気持ち良すぎて声が止まらない。

「ヒカル、愛しているっ……」

 愛の言葉と共に噛みつくようなキスをされる。激しい腰の動きと舌の動き。口の横からは唾液がつぅっと滴り落ちた。
 しばらくそうやってお互い貪るようにキスを交わしていると、オーサの動きが更に早くなって打ち付けが激しくなって来た。

「ぐっ、もう、出そうだッ……!」

「お、れもっ……んんっ――」

 その激しさに俺も一気に昂り思いっきり放ってしまう。中ではオーサがぴくぴくと動いているからオーサもイッたようだ。

 はぁはぁとお互いの荒い息づかいだけが寝室に響き渡る。
 なんていうか凄かった……。初めてのセックスだったのに、途中から気持ち良すぎて頭がバカになりそうだった。
 オーサを受け入れる不安も最初だけで、後はただただ翻弄されるだけだったけど。苦しさも慣れてしまえばなくなったし、オーサと一つになることが出来た。そう思うと心の中が嬉しい気持ちで溢れて来る。

「ヒカル……収まらない」

「へ……?」

 オーサはずるりと一気に引き抜くと、俺をうつ伏せにし腰を高く持ち上げた。そしてそのまま一気に奥までぐちゅん! と押し込まれる。

「んはッ……!」

「ヒカル、ヒカルッ!」

 そしていきなり激しい抽挿が始まり、俺は目の前にちかちかと星が散った。

「ちょ、まっ……てっ!」

「ヒカル! ヒカルッ!」

 あまりにもいきなりで、しかも激しく打ち込まれて俺は息を忘れてしまった。そのまま後ろから抱き込まれてしまい身動きが取れなくなってしまう。
 しかもうなじにガジガジと噛みつかれている。そこだけじゃなく、肩も背中もガジガジ噛まれていった。ただ本気で噛んでいるわけじゃないみたいで痛みはそこまで無い。それが救いだった。

「ヒカルッ! 貴方を自分の一部にしてしまいたいほど気持ちが抑えきれない! すまない! すまない!」

 謝りながらも自分の行動が抑えきれないようで、オーサは本能の赴くままに俺を貪った。
 自分の一部にしてしまいたいってこれも蛇の本能なのだろうか。後ろから羽交い絞めにされるように抱き込まれているこれも、蛇が巻き付いているようなものなのだろうか。激しい快感の中でそんなことをぼんやりと思う。

 だけど俺にこんなにも興奮しているオーサが何故か愛しいと感じている自分がいる。苦しいのに嬉しいと。
 
 そしてオーサはそのまままた精を放つと、今度は後ろから挿れたまま横向きにされ、そのままの姿勢で再度激しく突かれる。お陰で俺は息も絶え絶えだ。

「ひゃあっ! そこ、一緒はっ……!」

 しかも俺の息子を握られ上下にこすられる始末。すぐに昇りつめて白濁を放ったのにオーサの手の動きは止まらない。そのまま後ろと前と同時に刺激を与えられて、俺はぷしゃっと精液じゃない別の液体が噴き出てしまった。

「ヒカルッ……可愛い、可愛い!」

「ま、って……俺、もう無理っ……!」

 もう止めて欲しいのにオーサは興奮状態で俺の話をちっとも聞いてくれない。オーサはまた俺の中で果てると、今度は俺の肩足を持ち上げぐっと奥へと入れ込んできた。

 あ。俺死ぬな。

 そう思ったのを最後に俺は気を失った。らしい。


「オースティン様ッ! あんたは何をやってんだッ! ヒカル様を殺す気かッ!?」

 ふと気が付けば、誰かの怒鳴り声が聞こえて来た。

「すまない……あまりにもヒカルが可愛すぎて……」

「言い訳にならねぇんだよッ! 自制が出来ねぇんならヒカル様に近づくんじゃねぇッ!」

 ……今の声はレイフだよな? ブちギレるとあんな風になるんだ。こわっ……。

「そ、それは困る! もうヒカルなしでは生きていけない!」

 ふと首を動かせば、ベッドの上で裸で正座をさせられレイフに怒られているオーサが見えた。レイフ強いな……。

「ヒカル様!? 気が付いたの!?」

「……ぁ゛……」

 声を出そうと思ったら、ただの呻き声しか出なかった。そこで自分に治癒魔法を掛けてみると、だるい体も一瞬で回復した。俺、神子で良かったって今初めて心底思ったぞ……。

「今治癒魔法を掛けたからもう大丈夫」

「良かったッ……! 朝の呼びベルが鳴るまで待とうと思ってたんだけど、激しい交合の音がしたからまさかと思って部屋に入ったら、気絶しながらオースティン様に抱かれてるヒカル様が見えて慌てて止めに入ったんだ」

 は……? 朝、だと……?
 俺は朝までずっとずーーーっとあのままオーサに抱かれてたのか!? 絶倫すぎるだろ!? これも先祖返りだからなの!? こんなん毎回されたら俺、間違いなく死ぬんだけど……。

「ヒカルッ! すまない! 私も途中で意識が飛んでいたんだ。レイフに頭を叩かれて正気に戻ることが出来た。まさかこんな風になるまで抱いていたとは……。だが私の事を嫌いにならないで欲しいッ! ヒカルッ! 愛しているんだッ!」

「愛していれば何でも許されると思ってんじゃねぇッ!」

 レイフが思いっきりオーサの頭を叩き、スパーンッ! と小気味いい音が響いた。レイフって怒るとオーサ相手でも容赦ないんだな。レイフだけは怒らせないようにしないとダメかも。

「レ、レイフ。あの、オーサも俺も初めてだったし加減がよくわからなかっただけだと思うし、もうその辺で……」

「甘い! 甘いですよヒカル様! ここでちゃんと躾ておかないと後々困るのはヒカル様なんですよ!?」

「いや、まぁそうなんだけど……でも……そのっ……」

 激しすぎて辛かったのは本音だけど、じゃあ嫌だったかって言われたら嫌じゃなかった、んだよな。あそこまでされてそう思う俺も大概だとは思うけど。でもオーサが本気で俺の事を想ってああなってしまったのなら、それは嬉しいしかないんだよな。

「ヒカル様、もしかしてあんな風になっても嬉しかったってこと?」

「う゛っ……うん……」

 あああああ、俺は双子に何を言っているんだろうか。こんな思いっきりヤッてるところを見られてるらしいし、こんなことを言わなきゃいけないなんて。
 でも俺が素直にそう言ったら、双子ははぁとため息をついて「ヒカル様がそう仰るなら仕方ありませんね」と。

 ただ今後のことについてはオーサとちゃんと話し合った方がいいだろう。主に俺の命の為に。
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