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34 サザライト入国
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隣国までは通常およそ2週間。早く隣国へ行ってしまいたかったからちょっと頑張って走り抜けた。そのお陰もあって、予定より3日早く隣国へと到着した。
もちろん道中では、街や村に張られた結界外を通っていくから魔物にも襲われた。初めて見る魔物は動物を更に凶暴な見た目にした感じだった。
初めて見た時は怖っ! って思ったけど、オーサがいつも通りの無表情で淡々と魔法を放って倒して行くから危険な事は何もなかった。もちろん馬車の回りは俺の結界が張られているから危なくないんだけど。
あんな凶暴な奴が『グゥルアァァァァァ!!』って吠えながら襲ってきたら流石に恐怖が先に立った。だけど何度も襲われたことと、俺の結界があるから安全だということで、俺も魔法で倒してみた。
ただ初めて魔物に向かって魔法を撃った時は簡単に避けられてしまった。そこで追尾型の魔法にしてみたら、魔物が魔法を避けても勝手に追いかけていくから倒すのは簡単だった。
そんな感じで魔物を倒しながら街道を爆走し、サザラテラ王国の国境にいた騎士たちを吹き飛ばしながら隣国へと入った。ここまでくれば、あいつらも簡単には追ってこれない。
隣国へ入る国境はルーファスさんが対応。お陰ですんなりと俺達は隣国の地を踏むことが出来た。本当は身分証やら通行証やらいろいろ手続きが必要らしいのだが、王族がいたお陰でそんなものはスルーで通ることが出来た。特権万歳。
ついでに国境門の外に結界を張り、あいつらが入ってこれないようにした。このまま追いかけてくるような気しかしなかったし。
そして隣国に入ったことで、少しスピードを落としながら進むこと数日。やっと隣国、サザライト王国の王都が見えてきた。
「あれがサザライト王国の王都……」
「はい、王都レクシエルです。神子様にはまず王宮へとお越しいただきます。急ではありますが、神子様のご来訪だと分かれば陛下もすぐに対応されるでしょう」
俺とオーサ、ブレアナさん、そして俺の護衛であるランドルはルーファスさんと共に王宮へと向かう。その他の人達は、ブレアナさんの旦那さんと子供がいる屋敷へと向かうそうだ。
ブレアナさんの旦那さんは、サザライト王国の元第三王子。結婚してヘインズ公爵家へと婿入りしたから、王都に自分の屋敷を建てたそうだ。一緒に来た皆は、しばらくは旦那さんの屋敷にお邪魔する予定だ。
こっちも連絡はしてないけど、ブレアナさんは問題ないと言っていた。急に隣国へ来ることになったのは俺のせいでもあるから、後でちゃんと挨拶しよう。
王都へと入り馬車は王宮へと向かう。途中でブレアナさんの旦那さんの屋敷へ向かう馬車たちと行先が別れた。あっちにはブレアナさんの執事のジャックさんがいるから大丈夫だろう。
馬車の窓から王宮が見える。それが徐々に近づき門を潜る。この馬車はルーファスさんが乗って来た馬車だからすんなりと中へと進んだ。
馬車が止まり、ルーファスさんの護衛の人が扉を開ける。そしてルーファスさんが先に降りて、俺達はそれに続いた。
「殿下! 急にお戻りになるから驚きましたよ! お迎えの準備が出来なくて申し訳ありません」
「ああ、気にしないで。ちょっと事情があって急いで帰って来たんだ。それと今すぐ陛下に謁見の申し込みを。今回召喚された10代目神子様がいらっしゃっている」
「は……? 神子様……?」
「どうも……」
ルーファスさんの馬車が見えたことで、急いで走って来た人に会釈する。その人は俺の顔を見てぽかんとするも、直ぐに「た、直ちにお伝えして参ります!!」と慌てて走って行ってしまった。
「とりあえず中に入りましょう」とルーファスさんに促されて王宮の中へ。そのままずんずんと進み、一つの部屋へと入った。
中は結構広くて豪奢なテーブルや椅子が置かれている。周りを見ればいかにも高価そうな骨董品や物凄く大きな生け花まであって、ちょっとこの中にいることに躊躇してしまう。
いくら神子とは言え、中身は一般庶民だ。高価な物に囲まれていると落ち着かない。
「こちらに」とルーファスさんに言われて椅子に腰かける。しばらくするとお茶が用意されて有難くいただいた。
「あ、美味しい。あっちで飲んでいたのと味が違う……」
「流石は神子様。こちらはこの国の茶葉の産地である西部地方で取れたものを使った最高級の紅茶です。私の好きな茶葉なんですが、神子様にも気に入っていただけて良かったです」
へぇ。やっぱり産地が変わると味も変わるんだな。今までそんな事考えたことなかったけど、今度色々と試してみるのもいいかも。
クッキーもあったので手を伸ばす。さくさくとした歯ごたえと濃厚なバターの風味が感じられて紅茶によく合う。移動で疲れた体に染みわたるようだ。
そして紅茶一杯飲み切ってお変わり貰おうかな、と思っていたところにバタバタといった音が聞こえて来た。その音が止まると扉をノックする音が。
「失礼いたします。サザライト王国、国王陛下であらせられるウィンフォード・サザライト様が着御致しました」
え? 国王陛下? え? もう来たの!? 早くない!? だって、この部屋に来てまだ30分くらいしか時間たってないよ!?
ルーファスさんが入室を促すと、扉が開き数人の男性が入って来た。だけど「あ、この人が王様だ」ってすぐに分かった。
もうなんていうかオーラが違う。服装ももちろんだけど、なんて言うか威厳と言えばいいのか、それがあって普通の人じゃないんだってすぐに分かる。腐ったあの国の王様とは全然違うな。
「陛下、ご紹介いたします。こちらが10代目神子様でいらっしゃるヒカル様でございます」
「えっと、初めまして。10代目神子の今井光です」
立ち上がりぺこりと会釈して挨拶をする。そういえば俺、ちゃんとしたマナーとかわからないことに気がついた。今度ちゃんと教えてもらわないと……。
ちょっと不敬かな、と思ったけど、王様は俺の姿を目に留めるとすっと片膝を付き最上の礼をとった。
「神子様、拝謁出来ましたこと光栄至極に存じます。サザライト王国へとご来訪いただき、心より感謝申し上げます」
「あ、え……はい」
いきなり王様にこんな風に挨拶されてしまって俺はどうしていいかわからず適当な返事になってしまった。
もちろん道中では、街や村に張られた結界外を通っていくから魔物にも襲われた。初めて見る魔物は動物を更に凶暴な見た目にした感じだった。
初めて見た時は怖っ! って思ったけど、オーサがいつも通りの無表情で淡々と魔法を放って倒して行くから危険な事は何もなかった。もちろん馬車の回りは俺の結界が張られているから危なくないんだけど。
あんな凶暴な奴が『グゥルアァァァァァ!!』って吠えながら襲ってきたら流石に恐怖が先に立った。だけど何度も襲われたことと、俺の結界があるから安全だということで、俺も魔法で倒してみた。
ただ初めて魔物に向かって魔法を撃った時は簡単に避けられてしまった。そこで追尾型の魔法にしてみたら、魔物が魔法を避けても勝手に追いかけていくから倒すのは簡単だった。
そんな感じで魔物を倒しながら街道を爆走し、サザラテラ王国の国境にいた騎士たちを吹き飛ばしながら隣国へと入った。ここまでくれば、あいつらも簡単には追ってこれない。
隣国へ入る国境はルーファスさんが対応。お陰ですんなりと俺達は隣国の地を踏むことが出来た。本当は身分証やら通行証やらいろいろ手続きが必要らしいのだが、王族がいたお陰でそんなものはスルーで通ることが出来た。特権万歳。
ついでに国境門の外に結界を張り、あいつらが入ってこれないようにした。このまま追いかけてくるような気しかしなかったし。
そして隣国に入ったことで、少しスピードを落としながら進むこと数日。やっと隣国、サザライト王国の王都が見えてきた。
「あれがサザライト王国の王都……」
「はい、王都レクシエルです。神子様にはまず王宮へとお越しいただきます。急ではありますが、神子様のご来訪だと分かれば陛下もすぐに対応されるでしょう」
俺とオーサ、ブレアナさん、そして俺の護衛であるランドルはルーファスさんと共に王宮へと向かう。その他の人達は、ブレアナさんの旦那さんと子供がいる屋敷へと向かうそうだ。
ブレアナさんの旦那さんは、サザライト王国の元第三王子。結婚してヘインズ公爵家へと婿入りしたから、王都に自分の屋敷を建てたそうだ。一緒に来た皆は、しばらくは旦那さんの屋敷にお邪魔する予定だ。
こっちも連絡はしてないけど、ブレアナさんは問題ないと言っていた。急に隣国へ来ることになったのは俺のせいでもあるから、後でちゃんと挨拶しよう。
王都へと入り馬車は王宮へと向かう。途中でブレアナさんの旦那さんの屋敷へ向かう馬車たちと行先が別れた。あっちにはブレアナさんの執事のジャックさんがいるから大丈夫だろう。
馬車の窓から王宮が見える。それが徐々に近づき門を潜る。この馬車はルーファスさんが乗って来た馬車だからすんなりと中へと進んだ。
馬車が止まり、ルーファスさんの護衛の人が扉を開ける。そしてルーファスさんが先に降りて、俺達はそれに続いた。
「殿下! 急にお戻りになるから驚きましたよ! お迎えの準備が出来なくて申し訳ありません」
「ああ、気にしないで。ちょっと事情があって急いで帰って来たんだ。それと今すぐ陛下に謁見の申し込みを。今回召喚された10代目神子様がいらっしゃっている」
「は……? 神子様……?」
「どうも……」
ルーファスさんの馬車が見えたことで、急いで走って来た人に会釈する。その人は俺の顔を見てぽかんとするも、直ぐに「た、直ちにお伝えして参ります!!」と慌てて走って行ってしまった。
「とりあえず中に入りましょう」とルーファスさんに促されて王宮の中へ。そのままずんずんと進み、一つの部屋へと入った。
中は結構広くて豪奢なテーブルや椅子が置かれている。周りを見ればいかにも高価そうな骨董品や物凄く大きな生け花まであって、ちょっとこの中にいることに躊躇してしまう。
いくら神子とは言え、中身は一般庶民だ。高価な物に囲まれていると落ち着かない。
「こちらに」とルーファスさんに言われて椅子に腰かける。しばらくするとお茶が用意されて有難くいただいた。
「あ、美味しい。あっちで飲んでいたのと味が違う……」
「流石は神子様。こちらはこの国の茶葉の産地である西部地方で取れたものを使った最高級の紅茶です。私の好きな茶葉なんですが、神子様にも気に入っていただけて良かったです」
へぇ。やっぱり産地が変わると味も変わるんだな。今までそんな事考えたことなかったけど、今度色々と試してみるのもいいかも。
クッキーもあったので手を伸ばす。さくさくとした歯ごたえと濃厚なバターの風味が感じられて紅茶によく合う。移動で疲れた体に染みわたるようだ。
そして紅茶一杯飲み切ってお変わり貰おうかな、と思っていたところにバタバタといった音が聞こえて来た。その音が止まると扉をノックする音が。
「失礼いたします。サザライト王国、国王陛下であらせられるウィンフォード・サザライト様が着御致しました」
え? 国王陛下? え? もう来たの!? 早くない!? だって、この部屋に来てまだ30分くらいしか時間たってないよ!?
ルーファスさんが入室を促すと、扉が開き数人の男性が入って来た。だけど「あ、この人が王様だ」ってすぐに分かった。
もうなんていうかオーラが違う。服装ももちろんだけど、なんて言うか威厳と言えばいいのか、それがあって普通の人じゃないんだってすぐに分かる。腐ったあの国の王様とは全然違うな。
「陛下、ご紹介いたします。こちらが10代目神子様でいらっしゃるヒカル様でございます」
「えっと、初めまして。10代目神子の今井光です」
立ち上がりぺこりと会釈して挨拶をする。そういえば俺、ちゃんとしたマナーとかわからないことに気がついた。今度ちゃんと教えてもらわないと……。
ちょっと不敬かな、と思ったけど、王様は俺の姿を目に留めるとすっと片膝を付き最上の礼をとった。
「神子様、拝謁出来ましたこと光栄至極に存じます。サザライト王国へとご来訪いただき、心より感謝申し上げます」
「あ、え……はい」
いきなり王様にこんな風に挨拶されてしまって俺はどうしていいかわからず適当な返事になってしまった。
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