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ラスボスの断末魔を聞きながら、ディリオンは何度も果てていた。
しがみついているレネは、虚な目をして揺れ続けている。
その中に、彼は繰り返し放出する。
「これが……終着点……」
たしかに、快感はすごかった。
レネが戦闘を放棄し、そのレネにダメージがいかないよう庇いながら戦っていたこともあり、これまででいちばんの接戦だったと言えるだろう。
背中に攻撃を受けるたび、このまま死ぬかもしれないと感じた。
怪我がそのまま現実世界にフィードバックされたりはしないが、増幅されたダメージは、意識のほうに作用して生命活動を停止させかねないほどの威力だった。
生命の危険は、そのまま快楽へと直結する。
繋がっているレネの中に子種を残そうと、脳は必死に快楽を彼に与え続けた。
だがーー
「こんな、ものか」
満足感はあるだろうか?
ディリオンは自身に問いかける。
ある。
あるがーー虚しさも、ある。
「お前はこれでいいのか?」
レネに訊いてみた。
返答はない。
尽きることのない快楽にブルブルと身を震わせるだけだった。
ディリオンは、彼女の半開きの唇を口で塞いだ。
舌が絡んでくる。
ひとしきりそれを味わってから口を離し、
「なんだ、まだまだ貪欲だな。それでこそレネだ」
そう言って、彼は、ボスフロアのさらに先へと歩いて行った。
もちろん、レネを抱えて。
***
「ゲームクリア、おめでとうございます!」
行き止まりにはゲームマスターが待っていた。
BSO運営側の人間である。
ゲームのパッケージに描かれている、黒い剣士の姿をしていた。
「……本当に裸でクリアしちゃいましたね」
ゲームマスターは、ディリオンとレネのことを知っていた。
全力で攻略している唯一のユーザーなのだから、当然である。
ディリオンも、見られていることを知っている。
「あんたらが見てたから、レネもだいぶ燃えてくれたよ」
そう言って抱いているレネを揺らしてみせると、彼女は、
「ん……すごい……」
大きく震えて蜜を溢れさせた。
ゲームマスターは、こほん、と咳払いをする。
「私がここに来たのは、祝福するためだけではないんですよ」
「見ヌキでもしに来たか?」
軽口で返すディリオンに、「それは開発者みんなしてます」と冗談ともつかない返答をする。
食えない男だ。
「あなたの望みをひとつ叶えるために来ました」
「望みだと?」
そんなことは事前告知されていなかったはずだ。
強敵襲来イベントなど、楽しみの機会を逃さぬよう、ディリオンは運営からの告知事項はすべて目を通す習慣がついていた。
そんなディリオンの怪訝な視線を感じたゲームマスターは、
「告知なしです。実際、あなたがた以外、誰もクリア特典なんて気にしていませんから。これはもう、あなたがたふたりのためだけに用意した特典と考えていただいて問題ありません」
そう言って、コンソールを操作するしぐさを見せると、ディリオンの前にウィンドウが表示された。
「お好きなものを選んでください」
1.ギアの感度2倍
2.観戦機能の全ユーザー開放
3.B50までの階層の追加
「……たしかに、俺たちのことを念頭に置いた選択肢になっている」
「はい、もちろんですとも」
ギアの感度2倍は、単純に快感が増すだろう。
観戦機能も、今までは開発の連中だけで見ていたものを、全ユーザーが見られるということだ。
見られるのがたまらなく好きなレネには願ってもない機能だろう。
だがーー
「ちなみに、開発陣で賭けをしようとしたのですが……」
「成立しなかったんだろ?」
「はい……」
成立するはずがない。
ディリオンは口をゆがめて笑うと、レネの耳元に口を近づけ、
「もっと先があるそうだ」
と言った。
一瞬びくっと震えた彼女は……
見る見るうちに目に光が戻る。
ディリオンに抱かれたままゲームマスターを振り返り、
「あっ、ごめんなさい」
そう言って、彼の身体から降りた。
姿勢良く立ったレネの股から、ごぽっと音を立てて、溜まっていたものが流れ出た。
彼女は慣れている様子で、まるで気にしていない。
ゲームマスターは若干驚いた表情を見せたが、
「では、3ということでよろしいですね?」
「もちろん」
ディリオンとレネが、同時に答えた。
***
これは、伝説と言われたふたりの冒険者の物語である。
彼らは、終着点を求めながら、終着点にたどり着くことを望まない。
未知なる危険を満足することなく欲していた。
その動機がどこにあろうと、その姿勢は、すべての冒険者に道を示すこととなった。
彼らが歩いた遥かあとに、他の冒険者たちが続く。
それはまるで仲間のフェロモンを辿って歩く蟻のように。
いつしかその道は、『蜜の道』と呼ばれるようになっていた。
それをディリオンから伝え聞いたレネが恥ずかしがり、羞恥の快感で新たな蜜を流したことは、言うまでもないだろう。
ー完ー
しがみついているレネは、虚な目をして揺れ続けている。
その中に、彼は繰り返し放出する。
「これが……終着点……」
たしかに、快感はすごかった。
レネが戦闘を放棄し、そのレネにダメージがいかないよう庇いながら戦っていたこともあり、これまででいちばんの接戦だったと言えるだろう。
背中に攻撃を受けるたび、このまま死ぬかもしれないと感じた。
怪我がそのまま現実世界にフィードバックされたりはしないが、増幅されたダメージは、意識のほうに作用して生命活動を停止させかねないほどの威力だった。
生命の危険は、そのまま快楽へと直結する。
繋がっているレネの中に子種を残そうと、脳は必死に快楽を彼に与え続けた。
だがーー
「こんな、ものか」
満足感はあるだろうか?
ディリオンは自身に問いかける。
ある。
あるがーー虚しさも、ある。
「お前はこれでいいのか?」
レネに訊いてみた。
返答はない。
尽きることのない快楽にブルブルと身を震わせるだけだった。
ディリオンは、彼女の半開きの唇を口で塞いだ。
舌が絡んでくる。
ひとしきりそれを味わってから口を離し、
「なんだ、まだまだ貪欲だな。それでこそレネだ」
そう言って、彼は、ボスフロアのさらに先へと歩いて行った。
もちろん、レネを抱えて。
***
「ゲームクリア、おめでとうございます!」
行き止まりにはゲームマスターが待っていた。
BSO運営側の人間である。
ゲームのパッケージに描かれている、黒い剣士の姿をしていた。
「……本当に裸でクリアしちゃいましたね」
ゲームマスターは、ディリオンとレネのことを知っていた。
全力で攻略している唯一のユーザーなのだから、当然である。
ディリオンも、見られていることを知っている。
「あんたらが見てたから、レネもだいぶ燃えてくれたよ」
そう言って抱いているレネを揺らしてみせると、彼女は、
「ん……すごい……」
大きく震えて蜜を溢れさせた。
ゲームマスターは、こほん、と咳払いをする。
「私がここに来たのは、祝福するためだけではないんですよ」
「見ヌキでもしに来たか?」
軽口で返すディリオンに、「それは開発者みんなしてます」と冗談ともつかない返答をする。
食えない男だ。
「あなたの望みをひとつ叶えるために来ました」
「望みだと?」
そんなことは事前告知されていなかったはずだ。
強敵襲来イベントなど、楽しみの機会を逃さぬよう、ディリオンは運営からの告知事項はすべて目を通す習慣がついていた。
そんなディリオンの怪訝な視線を感じたゲームマスターは、
「告知なしです。実際、あなたがた以外、誰もクリア特典なんて気にしていませんから。これはもう、あなたがたふたりのためだけに用意した特典と考えていただいて問題ありません」
そう言って、コンソールを操作するしぐさを見せると、ディリオンの前にウィンドウが表示された。
「お好きなものを選んでください」
1.ギアの感度2倍
2.観戦機能の全ユーザー開放
3.B50までの階層の追加
「……たしかに、俺たちのことを念頭に置いた選択肢になっている」
「はい、もちろんですとも」
ギアの感度2倍は、単純に快感が増すだろう。
観戦機能も、今までは開発の連中だけで見ていたものを、全ユーザーが見られるということだ。
見られるのがたまらなく好きなレネには願ってもない機能だろう。
だがーー
「ちなみに、開発陣で賭けをしようとしたのですが……」
「成立しなかったんだろ?」
「はい……」
成立するはずがない。
ディリオンは口をゆがめて笑うと、レネの耳元に口を近づけ、
「もっと先があるそうだ」
と言った。
一瞬びくっと震えた彼女は……
見る見るうちに目に光が戻る。
ディリオンに抱かれたままゲームマスターを振り返り、
「あっ、ごめんなさい」
そう言って、彼の身体から降りた。
姿勢良く立ったレネの股から、ごぽっと音を立てて、溜まっていたものが流れ出た。
彼女は慣れている様子で、まるで気にしていない。
ゲームマスターは若干驚いた表情を見せたが、
「では、3ということでよろしいですね?」
「もちろん」
ディリオンとレネが、同時に答えた。
***
これは、伝説と言われたふたりの冒険者の物語である。
彼らは、終着点を求めながら、終着点にたどり着くことを望まない。
未知なる危険を満足することなく欲していた。
その動機がどこにあろうと、その姿勢は、すべての冒険者に道を示すこととなった。
彼らが歩いた遥かあとに、他の冒険者たちが続く。
それはまるで仲間のフェロモンを辿って歩く蟻のように。
いつしかその道は、『蜜の道』と呼ばれるようになっていた。
それをディリオンから伝え聞いたレネが恥ずかしがり、羞恥の快感で新たな蜜を流したことは、言うまでもないだろう。
ー完ー
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