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dungeon flash walking
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ディリオンとレネは歩いていた。
ダンジョンの最終地点、B25へと向かって。
奇数階への道のりなので、レネが慰められるターンだったのだがーー
「本当にいいのか?」
「ええ、ここでは、これがいちばんの前戯なの」
ふたりは絡み合っていなかった。
若干の距離をおいて、並んで歩いている。
あえて、触らない。
これが、最終地点という本当の絶頂に向けての、最高の焦らしであった。
最高である証拠に、レネはうずきが止まらない。
通ってきた道がはっきりわかるくらいに、ぽと、ぽと、としずくが垂れている。
レネもディリオンも、B24のボスフロアからずっと全裸のままだ。
装備品は置いてきた。
ここから先、最後の場所に、余計なものは持ち込みたくなかった。
ディリオンも、焦らしを楽しんでいた。
彼自身はいつでも天を衝いており、天衝のディリオンという異名もあるのだが、今はそれ以上に、さらなる角度をもって未知の快楽を求めていた。
いつでも満足を求め、満足したことがない。
それが彼であり、
彼女だった。
ふたりは、ここまでの道のりを思わずにはいられなかった。
***
ディリオンとレネは、現実世界でもパートナーである。
恋人ーー
そんな呼び名はピンとこない。
恋だの愛だのささやく暇があれば、互いをむさぼる。
そこに愛がないかと問われれば当然あるのだろうが、そのような言葉は、言葉にすぎない。
彼らは求道者で、パートナーはその同行者だ。
肉体は道を見つけるための道具であり、想いもまた、そこにこびりついた錆のようなもの。
あるのはただ、最高の快楽への探究心だけ。
セクスギアの噂を聞き、一も二もなく飛びついたのは当然のことだった。
最初、他のプレイヤーに倣ってルームで行為に及んだあと、ふたりして「こんなものか」と思った。
触覚が何倍にも感じられようが、摩擦は摩擦。それ以上のものではない。
ゲーム内という仮想空間での体験は、味気のないものだった。
肉体的な快楽を伴えば、と考え、セクスギアをつけたまま、現実世界でも繋がってみた。
両方の世界で同時にすれば、どうなるかーー
結果は、期待したものではなかった。
触覚が強いほうと弱いほう、同時に行なえば、当然それは前者が勝つ。
意識のほとんどがゲーム内に割かれてしまい、現実世界での繋がりはほとんど意味をなさなかった。
だがーー
そのとき、思わぬ収穫があった。
ゲーム内に意識が集中した結果、現実世界でベッドにいた彼らは、床に落下してしまったのだ。
その瞬間の感覚に、「これだ!」と思わせるものがあった。
不意に訪れる危険。
それは、甘美な誘惑であった。
彼らは誰も到達していない場所、未知なる危険を求め、ダンジョンの奥へと吸い込まれていった。
***
……その旅も、もうすぐ終わり。
先ほどの戦闘も、それを感じさせてくれる、すばらしいものだった。
ディリオンはまだ満足していなかったが、快楽に限界があるとすれば、たしかに『次』あたりかもしれない。
「……レネ、大丈夫か?」
B24のボス戦後の行為で、すでにレネは限界に達しているように見えた。
もうすこしで、正気を手放していたかもしれない。
ディリオンはそう問いかけながらレネを見る。
「ふーッ……ふーッ……」
彼女は荒い息を吐きながら、ディリオンを見た。
焦らしが効きすぎているのか、すでに太ももがびくびく痙攣し、上も下もよだれを垂らしている。
胸の先も、脚の間の突起も、異常なくらいに固くなり肥大しきっていた。
だが、その目が言っている。
次で限界なら、それは最高の幸せよ。
「……よし、行こう」
ディリオンはうなずきーー
そして彼らは、最後の扉を開いた。
ダンジョンの最終地点、B25へと向かって。
奇数階への道のりなので、レネが慰められるターンだったのだがーー
「本当にいいのか?」
「ええ、ここでは、これがいちばんの前戯なの」
ふたりは絡み合っていなかった。
若干の距離をおいて、並んで歩いている。
あえて、触らない。
これが、最終地点という本当の絶頂に向けての、最高の焦らしであった。
最高である証拠に、レネはうずきが止まらない。
通ってきた道がはっきりわかるくらいに、ぽと、ぽと、としずくが垂れている。
レネもディリオンも、B24のボスフロアからずっと全裸のままだ。
装備品は置いてきた。
ここから先、最後の場所に、余計なものは持ち込みたくなかった。
ディリオンも、焦らしを楽しんでいた。
彼自身はいつでも天を衝いており、天衝のディリオンという異名もあるのだが、今はそれ以上に、さらなる角度をもって未知の快楽を求めていた。
いつでも満足を求め、満足したことがない。
それが彼であり、
彼女だった。
ふたりは、ここまでの道のりを思わずにはいられなかった。
***
ディリオンとレネは、現実世界でもパートナーである。
恋人ーー
そんな呼び名はピンとこない。
恋だの愛だのささやく暇があれば、互いをむさぼる。
そこに愛がないかと問われれば当然あるのだろうが、そのような言葉は、言葉にすぎない。
彼らは求道者で、パートナーはその同行者だ。
肉体は道を見つけるための道具であり、想いもまた、そこにこびりついた錆のようなもの。
あるのはただ、最高の快楽への探究心だけ。
セクスギアの噂を聞き、一も二もなく飛びついたのは当然のことだった。
最初、他のプレイヤーに倣ってルームで行為に及んだあと、ふたりして「こんなものか」と思った。
触覚が何倍にも感じられようが、摩擦は摩擦。それ以上のものではない。
ゲーム内という仮想空間での体験は、味気のないものだった。
肉体的な快楽を伴えば、と考え、セクスギアをつけたまま、現実世界でも繋がってみた。
両方の世界で同時にすれば、どうなるかーー
結果は、期待したものではなかった。
触覚が強いほうと弱いほう、同時に行なえば、当然それは前者が勝つ。
意識のほとんどがゲーム内に割かれてしまい、現実世界での繋がりはほとんど意味をなさなかった。
だがーー
そのとき、思わぬ収穫があった。
ゲーム内に意識が集中した結果、現実世界でベッドにいた彼らは、床に落下してしまったのだ。
その瞬間の感覚に、「これだ!」と思わせるものがあった。
不意に訪れる危険。
それは、甘美な誘惑であった。
彼らは誰も到達していない場所、未知なる危険を求め、ダンジョンの奥へと吸い込まれていった。
***
……その旅も、もうすぐ終わり。
先ほどの戦闘も、それを感じさせてくれる、すばらしいものだった。
ディリオンはまだ満足していなかったが、快楽に限界があるとすれば、たしかに『次』あたりかもしれない。
「……レネ、大丈夫か?」
B24のボス戦後の行為で、すでにレネは限界に達しているように見えた。
もうすこしで、正気を手放していたかもしれない。
ディリオンはそう問いかけながらレネを見る。
「ふーッ……ふーッ……」
彼女は荒い息を吐きながら、ディリオンを見た。
焦らしが効きすぎているのか、すでに太ももがびくびく痙攣し、上も下もよだれを垂らしている。
胸の先も、脚の間の突起も、異常なくらいに固くなり肥大しきっていた。
だが、その目が言っている。
次で限界なら、それは最高の幸せよ。
「……よし、行こう」
ディリオンはうなずきーー
そして彼らは、最後の扉を開いた。
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