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プロローグ

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 コツン――

 とある大きな古い屋敷。
 その二階にあるサブリナの部屋の窓に、小石のぶつかる乾いた音がした。

(よかった。今日もわたし、ちゃんと必要とされてる)

 サブリナは、ネグリジェのすそをひらひらとはためかせ、窓際へと駆け寄る。
 軽く唇を湿らせながら。

 そうやってうきうきした彼女が軽やかに窓を開けると、

「やあ、きみがサブリナで合ってる?」

 すぐに男性が入ってきた。
 とくに容姿が優れているわけでもない、冴えない男だ。
 ここは二階だが、すぐ横に植えられている木を伝って、簡単に登る方法はされている。

 サブリナは、その闖入者に対して驚くわけでも逃げるわけでもない。
 ネグリジェをパーティドレスのように軽くつまむと、恭しくおじぎをし、

「ええ、サブリナよ。よろしくね」

 男性の名前も聞かずに、彼の前にひざまずいた。

「噂どおりだ。よろしく頼むよ」

 男はにやりと笑い、すぐにズボンからものを取り出す。
 サブリナの大好きなものだ。

「あむっ……んっ」

 彼女は待っていたとばかりに、ぱくりと咥える。
 ためらいは一切ない。

「んっ……はふっ……」

 彼女は18歳だが、顎の小さい美人で、まるで子どもがお菓子を頬張るように、それを口いっぱいに頬張っていた。

 金色に輝くツインテールが、男の目の前で前後に揺れている。

「持つのにちょうどいいってわけか」

 男はツインテールを両手で掴むと、それを取手のようにして、サブリナの顔を強引に早く動かした。

「ふぐっ……ぐっ……」

 サブリナの口からよだれが溢れ出す。

 男はしばらく無言で動かし続けると、ひと言うめいて、腰を大きく痙攣させた。

 サブリナは、彼から出たものをこぼさないよう、必死に頬を膨らませる。

 一滴も残したくないとばかりに、ゆっくりゆっくり唇を抜くと、

「んっ」

 すっかり飲み込んだ。
 サブリナは無事にあまさず飲み干せた満足感と、今晩も新しい男が訪れた安心感で、心からの微笑みを見せる。

「あんたは本当に好き者だよ。……あ、おいっ」

 男は再び悶える。
 サブリナが掃除を始めたのだ。
 彼女の趣味は、きっちり最後まで舐め取り、すっかりきれいにすることだった。

「すげえよ……即尺令嬢」

 これでまだ結婚できるつもりなんだからな、という言葉を男はあやうく飲み込んだ。

 サブリナ・ドゥ・セルナ。
 彼女のあだ名は一部界隈で有名になっていたが、まだこのときは、婚約相手との縁談は生きていた。

 だがそれも――

 こう毎晩のように新しい男が小石を投げるようでは、長く続くはずがなかった。
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