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ぷらんぞ「コイのやまい」

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「……リリアンとすれ違ったが、なんか様子がへんだったぞ」

 戻ってきたセシリアが、不思議そうに尋ねる。
 ちょうど入れ違いとなって会話はしなかったらしい。

 あそこを見せてもらっていたーーというのは言わないほうがいいと思った快太は、

「ちょっと日本のことでね。リリアンにはすこし懐かしかったんじゃない?」

 そんなふうに、とぼけてみた。
 嘘ではないにしても正しくはない答えだ。
 だがセシリアは、それで納得したらしい。

「ニホン。そういえばリリアンもそこから来たと言っていたな。快太も同郷だったか。思えば、リリアンとはまだ二年ぽっちの付き合いなのだなぁ。すっかり馴染んでいたから、もう彼女とはずっと一緒のように思っていたが。そうか、懐かしいか」
「すこしだよ。リリアンもセシリアのことが好きって言ってたよ」
「なっ……! ま、まあ、それはそうだろう。友だちだからな」

 照れるセシリアを見て、快太はたしかに可愛いと思った。

 光り輝く美しい金髪と、白磁のように透明感のある白い肌。
 ぴんととがったエルフ耳に、ちょっと気の強そうな青い瞳。
 とんでもない美少女だと思った。
 
 あとーー
 タンクトップの脇からはみ出す、その、豊満な胸。
 臀部の膨らみもぷるんぷるんだったし、スタイル抜群だ。

(この子が、俺を尊敬してくれている……)

 伝道師というのは勘違いに近い。
 そんなつもりで転生したのではないのだから。

 でも、エロ漫画をこの世界に持ち込んだのは事実だ。
 閉鎖的だったこの世界の性を、解き放つきっかけは快太が作った。

(だったらちゃんと、伝道師になればいい)

 彼は、セシリアの気持ちに応えたいと思った。
 転生したことに理由があるとすれば、きっとそれがいちばんの理由。
 世界を救うとか魔王を倒すとかそういうのじゃなくて、女の子の期待に応える。

 童貞には荷が重いことかもしれないけどーー
 ちゃんと全力で取り組もう、そう快太は心に決めた。

「セシリア、聖典のこの作品見てほしいんだけど」
「もう今日はいいよ。……えっ、快太、これって」

***

「本当にこの話でいいのか?」

 セシリアが着替えながら快太に確認する。
 ページを見せてから、もう何度も訊かれていた。

「これがいいんだよ。ぷらんぞ先生の『コイのやまい』。純愛路線のぷらんぞ先生の初単行本、めちゃくちゃ良かったんだから。一緒に持ってくればよかった。この作品も、使用人とお嬢様の身分違いの関係が、読んでてほんと心にくる」
「いや、それはわかる。言葉の裏にあるふたりの信頼関係には、あたしもジーンときた。だが、この話……そのーー入れないぞ?」

 セシリアが心配するのも無理はない。
 さっきまでの快太はとにかく挿入したがっていた。
 入れて卒業したいというだけで、他のことはまったく頭になかったかもしれない。
 童貞という思いに支配されていたとも言えるだろう。

 でも、快太の今の目標は、卒業することではない。

「うん、わかってる。だからこれなんだ。ほらセシリア、始めよう?」
「うーん、快太がいいならいいが。よし、じゃあーー」

 セシリアが一瞬でお嬢様のキツい表情に変わった。
 役に入ったのだ。

「セバスチャン、来なさい」

 パンパン、と手を叩く。
 セバスチャンこと快太は、その足元にぱっとひざまずき、

「はい、お嬢様。いかがなさいました?」
「ふふ、セバスチャンあなた、手を叩くと寄ってくるのですね? まるで鯉みたい」
「はい、私はお嬢様の鯉です」
「あらあら。じゃあ、餌をあげないといけませんね」

 ベッドに見立てたソファに座り、セシリアは股を開く。

「ほら、お食べなさい。口をぱくぱくさせて、鯉のように必死にお食べなさい」
「ありがとうございます」

 下着の上から、快太はセシリアに口を当てた。
 すでに彼女のそこには、じわっと湿り気が広がっている。

(これは女の子にとっては当たり前の身体の反応。焦らないで、外側から内側に……)

 快太はリリアンに教わったことを頭の中で反芻しながら、

「あっ……なんだこれ、ぞくぞくする……」

 下着の脇に唇を当て、軽く撫でるように、中心へと動かす。
 ぷるぷると震える脚の付け根が、セシリアの快感を教えてくれていた。
 そのまま、セシリアの中央に口を当て、顔を左右に揺らしてみる。

「んっ、快太すごい……。もっと直接、直接して……」
「うん」

 腰を浮かせたセシリアから、するっと下着を脱がせた。
 してほしいことがわかれば、自然と身体がそう動いてくれる。

(これが、女の子とってことだったのか……)

 身体を使って、心を通わせる。
 快太は理解しはじめていた。

「あ、あんまり見ないでくれ……」

(うわあ……)

 快太は本気で感動した。
 セシリアのそこが、とても美しかったから。
 色素の薄い彼女は、そこも透きとおるような白い肌をしていた。
 突起や奥まったところだけが薄いピンク色になっていて、そこがまるで舐めてほしいかのごとく、濡れて輝いていた。

 導かれるように快太は舌を伸ばす。

「あっ……んっ……んっ……」

 身をよじるセシリアと、その下半身に顔をうずめ、ぴちゃぴちゃと音を立てる快太。
 お嬢様と使用人はそこにはいない。

 聖典の台詞はもう、どちらの頭からもすっかり抜け落ちていた。
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