【バーチャルドール:共通版①】導入(プロローグ&はじめてのレッスン)

[絵&小説] 愛楽優人 (創作実験室)

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■【チュートリアル】はじめてのレッスン

▶【チュートリアル】はじめてのレッスン「ロールプレイ」

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次は、『ロールプレイ』という、内面を変化させる能力について教えてもらう事にした。

アドバイスしたい事もあり、姿はキャラメイクしたままにしてもらっている。

 

カナエ「ロールプレイもキャラメイクと同じく、いろんな人の好みに内面を合わせられるようにするために備わっています」

 

サクヤ「内面を変化させると言っても演技みたいなものね。上達すればするほど、気持ちや考え方までなりきって変化させる事ができるのよ」

 

チサト「あぁ……、ロールプレイはすごく苦手だ……」

チサトは頭を抱える。

 

さっそくロールプレイをやってもらうのだが、アドバイスとして、今の姿に合うロールプレイを考えてみてと付け加えた。

 

 

 

 

ロールプレイが完了したようなのだが、見た目と違って内面の変化はわかりずらいので、それぞれ何でもいいので決めゼリフを言ってもらう事にした。

 

カナエ「は~い♪ 検診のお時間ですよ~♪」

キャラメイクとロールプレイの雰囲気が、元のカナエに近いため、とても自然に感じる。
カナエがそのまま大人になったような感じだ。

 

アスカ「あなた、高貴なこのわたくしに命令するおつもりですの? 下僕の分際で生意気ね!」

いつもより、アスカの圧力がパワーアップしている。

思わず謝りそうになってしまった……。

 

サクヤ「アタシの決めゼリフ? あははは、そんなのあるわけないっしょ? ウケるw」

いつもの、柔和でアンニュイな感じが全くない。

本来の性格とかけ離れていると、まるで別人のようになるんだな。

 

ヒナタ「ふぇ? 決めゼリフってなんなのだ? そんな事より、おなかがすいたのだー!」

これはすごいと評価して良いのだろうか……。

ロールプレイのせいか、ヒナタの知能が下がったように感じる……。

 

最後にチサトの番だ。

チサト「……えっと。 ……決めゼリフ? な、何を言えばいいんだ?」

ただの素のチサトだった。

 

生真面目なチサトは、ちゃんとしたものをしようとしているのか、アドリブにとても弱そうだ。

チサトの前に、ヒナタが「おなかがすいたのだー!」という適当な事を言って、ハードルがかなり下がった気がするのだが、緊張で聞いていなかったのかもしれない。

 

サクヤがチサトに、耳打ちをして助け船を出したようだ。

 

チサト「うっ……」

 

本当に助け船だったのかは、チサトの反応を見ると疑わしかった。

 

ヒナタ&カナエ「がんばれ~!」

 

アスカ「ドーンとやっちゃいなさい!」

 

サクヤ「チサトは天使♪ チサトは天使♪」

 

チサト「が……がんばる……」

 

とぼとぼと重い足取りで、私の目の前にやってきた。

天使の姿のようなキャラメイクをしたチサトは、黙っていてもキレイで絵になると思った。

 

スイッチが入ったようにキラキラ笑顔で、

チサト「愛の天使チサトちゃんだよ☆ あなたのハートも打ち抜いちゃうぞ♪」

見えない弓を打つポーズ付きで、見事にやり切った。

 

一瞬の沈黙……。

チサトのひきつった笑顔は、どんどん赤くなっていく。

 

チサトは膝を折り、

チサト「ぬぅおおおぉぉぉぉあああぁぁぁぁーーーーーー……!!」

ダンッ! ダンッ! ダンッ!!

床を両手で何度も叩きながらよくわからない雄叫びを上げた。

 

私はあわてて、とても可愛かったよ、うまくできてたよ。とチサトにいろいろ感想を言ってあげるが、チサトの気持ちが落ち着くまでしばらく雄叫びは続いた。

小さな天使が四つん這いで獣のような雄叫びを上げる姿は、とてもシュールだった……。

 

今回の事で私が学んだのは、『育成』で大事な事は、アドバイスよりもすぐに褒めてあげる事……。
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