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■【チュートリアル】はじめてのレッスン
▶【チュートリアル】はじめてのレッスン「マスターのアバター」
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■ レッスンルーム ■
――――――――――――――――
私は目の前にいる5人を見ながら、しばし考え込む。
今までのやり取りがあまりに自然すぎて、『人間との違い』を全く感じなかったために、つい意識から抜け落ちてしまっていたのだが、目の前にいるのは『人間の入ったアバター』ではなく、『AIプログラム』などの最先端技術によって作られた『バーチャルドール』という『人間ではない存在』だ。
まじまじと反応や何気ないしぐさを観察してみても、ロボットやNPCという感じはまるでしない。
本当に普通の女の子のようだ。
などと考えていると、いつの間にかみんなで近くに来て取り囲み、不思議そうに私の事を見ていた。
うわっと驚いて立ち上がると、5人はペタペタと私の体を触り始める。
ヒナタ「マスターは本当の本当に人間なんだね~♪」
チサト「人間って、チサトたちと全然変わらないんだな」
サクヤ「逆よね。バーチャルドールが人間に近づけられて作られているのだから、似ていてるのは当然なのよ」
カナエ「人間らしくなるためのレッスンの成果でもありますね」
アスカ「つまりは、アスカたちがすごいって事でしょ!」
私からすると『バーチャルドール』の方が変わった存在なのだが、バーチャルドールのみんなからすると『人間』である私の方が変わった存在という事らしい。
チサト「そう言えば、マスターの今の体はアバターなんだっけ?」
サクヤ「ねぇ、現実世界のマスターは、このアバターに似てるの?」
このアバターは、システィさんが用意してくれたものだから、実際の姿とは全然違うよと答えた。
システィさんがミコトさんと相談して、毎回レッスン内容に合うアバターを用意してくれるらしい。
正直、ゆるキャラみたいな姿のアバターしか持っていなかったので、これはとても助かる。
ヒナタが、もふっと抱きついてくる。
子供というより動物っぽいなと思って、ついヒナタの頭をなでてしまった。
サクヤ「ヒナタだけ、頭なでてもらってずる~い♪」
サクヤが小悪魔のような笑みで、からかうように言う。
ヒナタだけひいきするのは良くないという流れになってしまい、みんなの頭をなでてあげる事になった。
なんだろう、この状況……。
カナエの頭を撫でると、
カナエ「ありがとうございます♪」
と、ニコニコ笑顔でお礼を言う。
ニヤニヤとした笑みのサクヤに背中を押されて、私の前に来たチサトは、
チサト「なんか恥ずいから、なでなくてもいいよ……」
と言うが、そっぽを向く。
サクヤがちょいちょいと手で『早く撫でろ』というジェスチャーをしてくるので仕方なく、怒られやしないかと恐る恐るそっと撫でてみる。
チサト「ぅ~~……」
声にならない声をもらしながら、真っ赤にした顔をうつむかせた。
サクヤ「次はサクヤの番ね~♪」
サクヤの手の平の上で転がされてる感はいなめないが、素直に頭をぽんぽんとなでる。
サクヤ「頭以外もなでていいのよ♥」
言いながら、私の手を取って胸にゆっくりと近づけようとする。
慌てて手を引っ込める私を見て、サクヤは小悪魔的な笑みを浮かべて舌を出す。
最後に、なぜか不満そうな顔をしているアスカの頭をなでると、ガブッとなでていた手を噛まれた。
頭をなでさせられて噛まれるのは何だか腑に落ちないが、アスカなりの照れ隠しの表現だと思う事にしておこう。
バーチャルスフィア内で使用されている一般的なアバターは、痛覚や触覚はあまり反映されないようになっているため、強い痛みを感じる事はないのだが、このアバターは特別製なのか現実とあまり変わらないようだ。
つまり、アスカの噛みつき攻撃は、結構痛かった……。
■ レッスンルーム ■
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私は目の前にいる5人を見ながら、しばし考え込む。
今までのやり取りがあまりに自然すぎて、『人間との違い』を全く感じなかったために、つい意識から抜け落ちてしまっていたのだが、目の前にいるのは『人間の入ったアバター』ではなく、『AIプログラム』などの最先端技術によって作られた『バーチャルドール』という『人間ではない存在』だ。
まじまじと反応や何気ないしぐさを観察してみても、ロボットやNPCという感じはまるでしない。
本当に普通の女の子のようだ。
などと考えていると、いつの間にかみんなで近くに来て取り囲み、不思議そうに私の事を見ていた。
うわっと驚いて立ち上がると、5人はペタペタと私の体を触り始める。
ヒナタ「マスターは本当の本当に人間なんだね~♪」
チサト「人間って、チサトたちと全然変わらないんだな」
サクヤ「逆よね。バーチャルドールが人間に近づけられて作られているのだから、似ていてるのは当然なのよ」
カナエ「人間らしくなるためのレッスンの成果でもありますね」
アスカ「つまりは、アスカたちがすごいって事でしょ!」
私からすると『バーチャルドール』の方が変わった存在なのだが、バーチャルドールのみんなからすると『人間』である私の方が変わった存在という事らしい。
チサト「そう言えば、マスターの今の体はアバターなんだっけ?」
サクヤ「ねぇ、現実世界のマスターは、このアバターに似てるの?」
このアバターは、システィさんが用意してくれたものだから、実際の姿とは全然違うよと答えた。
システィさんがミコトさんと相談して、毎回レッスン内容に合うアバターを用意してくれるらしい。
正直、ゆるキャラみたいな姿のアバターしか持っていなかったので、これはとても助かる。
ヒナタが、もふっと抱きついてくる。
子供というより動物っぽいなと思って、ついヒナタの頭をなでてしまった。
サクヤ「ヒナタだけ、頭なでてもらってずる~い♪」
サクヤが小悪魔のような笑みで、からかうように言う。
ヒナタだけひいきするのは良くないという流れになってしまい、みんなの頭をなでてあげる事になった。
なんだろう、この状況……。
カナエの頭を撫でると、
カナエ「ありがとうございます♪」
と、ニコニコ笑顔でお礼を言う。
ニヤニヤとした笑みのサクヤに背中を押されて、私の前に来たチサトは、
チサト「なんか恥ずいから、なでなくてもいいよ……」
と言うが、そっぽを向く。
サクヤがちょいちょいと手で『早く撫でろ』というジェスチャーをしてくるので仕方なく、怒られやしないかと恐る恐るそっと撫でてみる。
チサト「ぅ~~……」
声にならない声をもらしながら、真っ赤にした顔をうつむかせた。
サクヤ「次はサクヤの番ね~♪」
サクヤの手の平の上で転がされてる感はいなめないが、素直に頭をぽんぽんとなでる。
サクヤ「頭以外もなでていいのよ♥」
言いながら、私の手を取って胸にゆっくりと近づけようとする。
慌てて手を引っ込める私を見て、サクヤは小悪魔的な笑みを浮かべて舌を出す。
最後に、なぜか不満そうな顔をしているアスカの頭をなでると、ガブッとなでていた手を噛まれた。
頭をなでさせられて噛まれるのは何だか腑に落ちないが、アスカなりの照れ隠しの表現だと思う事にしておこう。
バーチャルスフィア内で使用されている一般的なアバターは、痛覚や触覚はあまり反映されないようになっているため、強い痛みを感じる事はないのだが、このアバターは特別製なのか現実とあまり変わらないようだ。
つまり、アスカの噛みつき攻撃は、結構痛かった……。
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