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一番、厨二心をくすぐるものは転生です

3.くわばら、くわばら

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説明しよう、魔術とは!イメージだけのものではなく、例えば、水の魔術なら水を秒速何メートルでどのくらいの量を使うのかを正確に計算することが鍵となってくる。とどや顔で説明する燐。リンの知識のくせに。そんなリンは今、宿屋の裏庭に来ていた。
「魔術がしたい」
 その欲望がアンネとの約束に勝ってしまった。リンとは約束をしないことをおすすめする。
「よぉし、私が考えたかっこいい雷鳴魔術を御披露目してやろう」
 何故か上から目線なリンは、早速、魔術を構築する。
(えっと、光は真空中を秒速約30万メートルで進むから…)
 リンは生前、魔術のシュミレーションをしていたらいつの間にか名門大学卒業レベルの頭脳に達していたのだ。馬鹿と天才は紙一重である。
(あ、私、厨二病を卒業したんだった…私が今から言う詠唱、すっごい恥ずかしいわ)
 何を言おうとしているのかは、さすがのリンでも可哀想なので言わないが相当なもの、とだけ言っておこう。
 ど、どどどどうする!?ださい詠唱とか嫌だぞ!一人で散々取り乱して、はたと思う。…別に詠唱、いらなくね…?いや、これは逃げた訳ではなくてですね!あのー、ほら!無詠唱!!あのかっこいい無詠唱魔術が出来るか試すだけですよ!誰になのかわからない言い訳を一通りしたリンは、やっと魔術を行使した。
 《ゴロゴロゴロ…ドゴォォン!!》
 あまりの眩しさに目をつぶったリン。恐る恐る目を開けてみると…
「……。」
 穴が、あいていた。
 何の比喩でも、くぼみと言う訳でも無く、穴。そう、穴だ。
「えーと……」
 リンはこの状況で何を言うべきか少し黙考し、口を開いた。
「…くわばら、くわばら…?」
 そうじゃない。
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