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第9章

第?章:奴隷のいる日常5(別視点:回想)

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「くっ、入った! ネムの中に入ったぞ!」

 亀頭をようやく飲み込み、ぎっちりとした肉壁が私のペニスを痛い程締め付ける。
 私は青さの残る未熟な果実に手を付ける背徳的な快感に興奮こそしているが、それ以上にネムが粘膜を引っかかれる痛みを我慢して私を受け入れた愛おしさに心を奪われていた。

「ネム、痛いか!?」

「いたい、ない! いたい、ない! おいしい!」

 ネムの目には流れる程に涙が溜まり、声が震えている。

「ネム、もう少し入るから、我慢してくれ」

「あるじ? あるじ!?」

「いくぞ」

 むりむりと膣壁を押しのけ、ペニスが中へと挿入されていく。
 ギチギチと締め付ける肉の壁はコリコリとした凹凸を持っていて、ネムの意思とは関係無く異物を押し出そうと締め付けをきつくしていく。

 抵抗に抵抗し、私は締め付けられる痛みも構わず、ネムの子宮口へと亀頭を到達させた。

 ペニスの飲み込んだ部分を締め付ける熱い体温と、コリコリとした固めの感触。
 これがネムの中なのかと考えるだけで、果ててしまいそうなほどに興奮する。

 ネムは痛みから私の背中を抱きしめ、爪が背中に食い込むが、ネムが感じている痛みと同じと考えると、興奮のスパイスにしか感じない。

 私は挿入したまま身体を起こし、二人の性器が繋がっている所をネムに見せた。

「ネム、これが、交尾だ」

「こうび……あるじ、おいしい?」

「ああ、ネムは、最高に美味しい」

「さいこうに?」

「最高、一番……一番だ」

「ネム、いちばん、おいしい? あるじ、ネム、いちばん、すき?」

 ネムの潤んだ瞳に見つめられ、ネムが恋人の様な事を言ってくるのを聞きながら、私はネムが奴隷である事などすっかり忘れていた。

「ああ、好きだネム。愛している」

「あいしてる?」

「一番の、好きって意味だ」

「ネム、あるじ、あいしてる♡」

 なんて愛おしい生物なのだ。
 私は、この瞬間、ネムに心を根元から握られたのを感じた。

「ネム、動くぞ。ゆっくり動くから」

「うごく?」

「そうだ、交尾は、まんこに、ちんぽを入れてから、動かすんだ」

「あ、あるじ、ネム、おいしい、すき、あいしてる。ネム、うごく、だめ……」

 ネムの顔は、痛みを避ける為に、必死に誤魔化そうとしている顔であった。
 木苺を手の中に隠していた時と同じ顔だ。

 本当に、嗜虐心を煽るのはネムは上手い。

 私はペニスをゆっくりと引き抜いていく。
 ネムの膣壁は、元の状態に戻ろうと、抜いた傍から固く閉じて行くのが、亀頭の先端の感触で分かった。

「っい”ぃぃぃぃぃ……!!?」

 膣口の入り口まで抜くと、私はそこで動きを止める。
 ペニスには、ネムの破瓜による真っ赤な血がベッタリと付いている。

 ネムは血を見て驚いた顔をした。

「ネム、いくぞ」

「あ、あるじ、どこ、いく?」

 次の瞬間、私はネムの膣の奥へと、ペニスを一気に突き刺した。

「がっ!? かはっ!?」

 突然の痛みに、ネムは痛みを我慢する事も出来ず、呼吸が乱れ、止まる。

「ん”ん”んんんん!? んんんんんっ!?」

 ネムは、痛みに耐えられずに声にならない呻き声をあげながらすぐに抵抗を試みるが、私は腰をねっとりと奥へ小刻みに打ち付け始める。

 これでも優しく動いているが、ネムは痛みに耐えるしか出来ない。

 狭すぎる膣にペニスがヂュッヂュッと音を立ててピストンし続けていると、ペニスについていた血は、ネムの愛液によって薄まっていき、徐々にだが滑りが良くなっていく。

 それに従って、ネムは痛みよりも気になる快感がある事に気付き、やがて抵抗しなくなっていく。

 ビタンと大きく腰を打ち付け、子宮口を奥へと押してやると、ネムの口からは呻き声とも取れる喘ぎ声が漏れ出した。
 それからは、無遠慮に、大きなストロークでネムを犯していく。

「う”っぶっ、おっ、おっ、おっ、おっ、んっ、おっ、あ”っ♡」

 私は「はぁはぁ」と余裕の無い呼吸を漏らしながら、自分の体力の無さを痛感する。
 身体が悲鳴を上げているが、腰が止まる事は無い。

「あるじ、おいしいっ♡ あ”あ”っ♡」

「ネムっ♡ ネムっ♡ お”あ”っ、もうイクよ、あ”あ”、来るっ!」

「あるじっ♡ あるじっ♡」

 ネムからキスをせがみ、私の口に吸いついて来る。
 ちゅっちゅと音を立てながら、私は迫る射精の瞬間を、ネムの一番奥で迎えようとピストンを速め、腰を強く強く打ち付けた。

 ネムはガクガクと僅かな痙攣をし、軽くイっているのが伝わってくる。
 ネムの子宮口がヒクヒクと動き、子宮自体が子種を求めて自然と降りて来るのが分かった。

「ネム♡ はぁはぁ、ネム♡」

 プリプリとした子宮口が、二ュパッ二ュパッと亀頭の先端に愛おしそうにキスをして来る。

「あるじっ♡ あるじっ♡ あるじっ♡」

 あまりの快感に、ペニスの根元が吊りそうになった。
 会陰が引きつり、こむらがえってあまりの痛みに私は悶絶するが、それでも腰が止まらない。
 それ程までに、ネムの中は気持ちが良すぎた。

 そのまま勢いよく射精した私は、ネムの子宮口に亀頭でキスをしたまま、ぐったりとネムに覆いかぶさる。
 生まれてから今までの間で、一番出した。
 驚くぐらい長く感じる射精感に、私は目の前がくらくらする。
 白目を剥きかけながら倒れる私に押しつぶされ、ほぼ同時に絶頂を迎えたネムは、されるがままに、私の鼓動を胸に耳を当てて聞きながら足を引くつかせていた。



 私が求めていたセックスは、まさにこれであった。
 射精して冷静になった私は、今までを思い返す。

 屋敷を買い、透明マントを買い、ネムを買い、毎日一日の半分を屋敷で過ごし、餌付けし、教育し、看病し、罪悪感を感じるどころか、この上ない幸福感に満たされる中で、遂に求めていた物を手に入れた。

 疲れ果てた私の下に、挿入されたまま組み敷かれたネムは、私のだらしない身体に埋もれながら幸せそうに押しつぶされている。
 私の足に、ネムの振る尻尾がペチペチと当たるが、それさえも心地良い。

「ね、ネム、交尾は、どうだった?」

「ネム、ネム、あるじ、こうび、すき、あいしてる♡」

「そうか、それは良かった……本当に、よかった……」

 私がゆっくりと身体を起こし、挿入したままネムにキスをすると、ネムは私の舌を求めて長い舌を口に入れて来る。
 私は、ネムの舌の全長が長い事に驚くが、すぐにどうでも良くなり舌を絡め続けた。

 挿入したままのペニスが、再び大きくなり始めると、ネムは腰をくいくいと動かしてくる。

「あるじ♡ あるじ♡」

 上と下の口でちゅっちゅとキスをして来るネムに、私は一発で虜にされてしまっていた。



 * * *



 一度交尾の快感を覚えると、ネムは毎日恥ずかしがることも無く、浴場とベッドで必ず私の身体を求める様になっていった。

「あるじ、こうび、こうび♡」

「ネム、さっきしたばかりだろ。また交尾したいのか?」

「スス、あるじ、すき、すき♡」

 浴場で床に仰向けに寝てネムは、誘う様に股を開く。
 私は、もう何度もやっているにも関わらず、まるで飽きる事無く固くなったペニスをネムの膣に挿入する。

 いつまでも処女の様に固く閉ざされた割れ目を押し広げ、肉壁をムリムリと押し退けるこの快感は、一度知れば病みつきになり、忘れる事は出来ない。

 ネムは、何度やっても処女膜の裂傷が開いてしまうのか少し血を流す。
 だが、痛みにも出血にも慣れたのか最近では私がピストンすると、蕩けそうな表情を浮かべて涎を垂らしながら、自分からもすぐに腰を動かす様になっていた。

 うつ伏せに寝かせて、尻尾を持ち上げられたまま後ろから攻められるのも好きらしく、ネムのセックスへの積極性は増すばかりだ。

 その内、私は本邸宅に朝まで帰らず、屋敷に泊まり込む事も多くなっていった。
 交尾する場所も屋敷の中ではどこかなど関係無くなり、早い時には玄関の扉をくぐったら裸のネムが待っている事さえあった。



 * * *



「ネム、帰ったぞ」

 二重生活のどちらが表なのか、私には、もう分からなかった。

「あるじ、おかえり!」

 ネムは更に言葉を覚え、挨拶などを覚え始めていた。
 意思疎通の自然さは日に日に増している。

 私が屋敷に入るや否や、ネムは屋敷のどこからでも玄関まで走ってくる。
 ネムは、すっかり裸族となり、服を着ない事で洗濯する時間も脱ぐ時間も、節約してまで私とセックスする様になっている。

 そんなネムが私の胸に飛び込んでくるが、ネムが不注意に飛んでくると、額から伸びる一本角で怪我をしそうになるが、今のところは痣が出来る程度で刺さった事は無い。

「みて、かいた」

 ネムは紙に、私とネムらしき絵を描き、見せて来る。
 角と尻尾の有無で辛うじてどちらがネムか判別できる程度の画力だ。

「ネム、上手いぞ」

 私は、ネムの頭を撫で、指を鳴らす。

「あるじ、きす、きす」

 あの日以来、ネムは食べ物よりも私にキスをせがむ様になっていた。
 私は、まるで恋人の様にネムにキスをする。

「ネム、今日も、お前の話を聞かせてくれ」

 私はネムの膣を撫でながら、ネムに昔話を所望する。

「んぁ♡ はなす、ネム、まえ」



 これは、私の推測も多く含まれている。
 だが、ネムの話を聞く限り、大間違いでも無いだろう。

 あの日以来、私はネムと話をする事が何よりも楽しみになっていた。

 まあ、ネムとのセックスを除いてだが。
 と言うよりも、セックスをしながら、私とネムは沢山の話をする様になっていた。



 ネムは、ダークエルフ族の母親とオーガ族の父親の間に生まれたハーフオーガであった。
 つまり、同時にハーフエルフでもある訳だ。

 ネムの母親は、父親の話によれば、オーガ族に誘拐された一種の性奴隷で、ネムを産んだ後に逃亡を企てて殺されたと言う。
 なのでネムは、母親の記憶も無ければ、面識も無いらしい。

 オーガ族の集落で長らく暮らしていたが、力が全てのオーガ族の社会では、ネムは最も使えないクズ扱いを受け、父親を含めた集落の全員によって、過酷な虐待を受けながら育ったと言う。

 オーガ族の価値観では、奪う者が偉いのではなく、奪った物を守り抜く者が偉いとされると言う。

 非力さから奪っても守る事が出来なかったネムは、身を守る為に周囲がネムから奪う物が無いほどに何も持たず、虐待する父親の庇護のもとでギリギリ生きながらえて来た。

 だから、ネムは相手の物を盗む事を極度に恐れていたのだ。
 物を奪って相手にバレるリスクは、ネムにとっては長らく死と直結していた。



 そんなある日、マルギアス王国がオーガ族を襲撃し、集落を焼き落としたらしい。
 逃げたネムは、追い詰められ沼に落ちて溺れ、そこを奴隷商人に見つかって結果的には助けられ、他の多くのオーガ族の仲間達と共に奴隷に身を落とし、マルギアス国内を転々としてきたと言う。

 他のオーガ族達は、奴隷兵として買われていったが、ネムは最後まで売れ残っていた。

 私の推測も混ざっているが、オーガ族の持つイメージは兵士に向いているが使用人としては扱い辛そうな為、ネムは兵士としては売れず、使用人としても幼過ぎ、見た目が良い奴隷を求めるなら他にいくらでも選択肢がある為、性奴隷としても売れなかったのだろう。

 私の様に歪んだ欲望と、趣味と、有り余る金を持った主人がいなかった事で、売れ残りとして奴隷商人や同じ奴隷達にさえ虐待されていたと言うのだから、私に買われるまでの人生は、ネムにとっては本来、思い出したくもない筈であった。



 自分の母親や、他にもいた、オーガ族の戦士に誘拐された子供を産ませるための異種族の女の様な存在が当たり前の集落にいた。
 そこには貨幣制度も無い。
 その為、ネムは自分が売買される対象だとは思わずに、自分の母親にとっての父親の様な存在に選ばれるのを待っていたらしい。

 それが、どの様な気分だったのかは、私には想像すらつかない。



 ネムの口から片言の昔話を聞くと、私は、少し寂しそうな顔をするネムの頭を撫で、私にネムの事を教えてくれた礼に、キスをしながら、激しいピストンでネムを絶頂に導いてやる。

 ネムは腹側の膣壁や子宮口を刺激されると「おっ、おっ♡」と色気と言うよりは、反応のままに嬌声を漏らす。
 私は、ネムのその反応に異様な興奮を覚え、もっと聞きたいとピストンを強め、狙って刺激して行く。

 ネムが大きすぎる快感に逃げ出そうとするのを押さえつけ、逃げられない様に床やベッドに押さえ張り付けて無理やりに犯すのが二人の間でお約束となっていく。

 すると、私はネムを買った当初に考えていた強姦をしたいと言う歪んだ欲望の正体は、過剰な快感を逃げる相手に与えて支配したいと言う、この状況を求めていた事だと思い至っていた。

 強姦したかったのではなく、無理やりに犯したかったのだ。

 私の攻めに、ネムはだらしなく舌を出して、されるがままに犯される。
 だが、その身体は逃げようとする素振りがあっても、表情は常に私を求め続けて、私が止めれば、ネムから求めて来るのだ。



 * * *



 私がネムと初めて出会って、三ヶ月が経った。

 この頃から、何か歯車が狂い始めたのを覚えている。
 ネムとの生活は順調と言って良かったが、それ以外で少しずつ足場が崩れ始めたのだ。



 私には、この三ヶ月が、屋敷と仕事場と本邸宅をローテーションする様に行き来するだけで、目まぐるしく日々が過ぎ去っていく、そんな毎日だった。
 本宅と仕事場は馬車で行き来するし、本宅から抜け出して屋敷に行く際は、人目を避けて透明マントをつけた状態で裏道を行く。
 屋敷では、使用人としか接せず、仕事場でも決まった人間としか接触しない。

 そうなると、私を固く真面目な人間だと思っている周囲の人間としか会わない事となり、合う人の中で私が常に一番立場が上となると、皆は私に気を遣う。
 そうしていた事で、気が付けば私の認識は世間から大きくズレていた。



 フィデーリス城。
 その日、フィデーリスの有力者を集めた会合が、そこで開かれていた。

「ムウ殿、わざわざ呼び出して申し訳ない」

「これは、バトン殿、私でお役に立てれば良いのですが」

 バトンは、ヴェンガン伯爵の補佐をしている男で、フィデーリスの内政を仕切っている人物である。
 私よりもふくよかな体型で、穏和で礼儀正しく、頭の良い男だ。

 フィデーリス城の大会議室に入ると、十人ほどの人が集まっていた。
 元貴族だったフィデーリスの有力者や、外からやってきたマルギアス貴族が、円卓を囲んでいる。

「ムウ殿、御足労ありがとう」

「これは、ヴェンガン伯爵、ご丁寧に」

 私は空いていた席に座る。
 見ると、私を除く全員が各々の近くに奴隷を侍らせていた。

「コホン。本日、お集まり頂いたのは、フィデーリスの商会連合を作る為です」

 バトンが説明を始めた。
 内容を要約すれば、こうなる。

 フィデーリスは、敗戦直後の混乱を乗り越え、僅か数年で大きく発展した。
 しかし、経済発展に力を注いできたが、今は肝心の市場が混乱していると言う。

 外から入ってくる敵対的な商人達、低い品質の商品、バラバラの値段、行きかう複数の貨幣に偽造硬貨、脱税、賄賂。
 賑わうと同時に、市場は混沌とし、このまま放置すれば市民生活に混乱が及ぶ。

 そこで、私を始めとしたフィデーリス上級市民の仕切る商会と、外からやってきたマルギアス王国系貴族が仕切る商会で協力関係を結び、フィデーリス商会連合を作って管理する事で、市場で起きている問題を解決していこうと言う話であった。

「……何か、ご質問は?」

「商会連合、事前に聞いていたよりも素晴らしい取り組みの様ですが、誰が代表を?」
 マルギアス王国のエロン子爵がヴェンガン伯爵を見て聞く。
 ヴェンガンは、私を見て答えた。

「私は、ムウ殿が代表に相応しいと思うので、是非推薦したい」

「……わ、私ですか?」

「ムウ殿の商会が、最も成功している事は、ここにいる誰も否定出来ないでしょう。それに、ムウ殿は王国時代より民達からの信頼も厚い」

「で、ですが、急に言われても……私は、爵位も失い、今は一市民に過ぎない。他にもっと相応しい方が……」

 私は、要らない仕事を増やして屋敷で過ごす時間を減らす事が嫌だった。

「何をおっしゃる。そう謙遜しないで下さい。多くのフィデーリス市民は、爵位を失ってなお、あなたを今でも尊敬している」

 人目を気にして生きて来たツケを払わされている様な気がした。

 新設する商会連合の代表なんて、どう考えても割に合わない気苦労が増えるだけである。
 この中で最も成功しているからこそ、私には旨味が少ない話でしかない。

 何とかしなければ。

「……私よりも、多忙でしょうが形だけでもヴェンガン伯爵を私は推薦したい。上級市民制度や闘技場建設に奴隷解禁と、数えればキリのないフィデーリスに大きな変革をもたらし、市場を開放して、我々にチャンスを与えてくれたフィデ―リス再生の立役者では無いですか」

 私の言葉に、皆も全くその通りだと納得してくれる。
 どうやら流れを変える事に成功した様だ。

 商会連合の代表は、そのままヴェンガン伯爵で決まり、後日、市場改革の話し合いをすると言う事でその日は解散となった。
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