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第7章

第?章:ブルローネの新人8(ifルート)

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「愛される特訓?」

「そう。イシャーラ姉は、可愛いのに笑顔が足りないと思うんだ、基本。バトラお姉さまに言われたみたいに、愛嬌をふりまいてみてよ、ほら」



 ブルローネに戻ると使われていないプレイルームに勝手に入り、彩芽は特訓と称してイシャーラに愛嬌を要求した。
「んな無茶な」とイシャーラは戸惑う。

「あなたが先に、お手本を見せてよ」

「しょうがないなぁ」
 彩芽は笑顔を作ってイシャーラをじっと見る。

「愛嬌出てますか?」

「分からない、けど……普段の方が、あなたは愛嬌があるかも」

「それ、どういう意味ですか……じゃあ、普段の私とか、それこそバトラお姉さまの真似をして見て下さい」



「……い、いくわよ……イシャーラ姉~おこして~起きれな~い~だっこ~」



「……地味に似てますけど、ふざけて甘えてる時じゃなくて、別の愛嬌ある時にして下さい」

「愛嬌あると思って真似したんだけど……あれってふざけてたの?」

「普段どんな目で私を見てるんですか! もっとこう、役立ちそうな時の愛嬌を見せて下さい!」

「そんな事言われても、思い浮かばないよ……」

「……じゃあ、即興で劇をしましょう」

 イシャーラは意味が理解できないのか、たっぷり間をつくった。

「劇?」



「とりあえず、私が男役で、初仕事の日の王子様をやりますから。王子様だと思って、愛嬌をふりまいてくださいよ」

「それなら、出来るかも。予行演習と言う訳ね」

「……へ~、君がイシャーラ?」

 彩芽が微妙な低音ボイスで何かを始めた。

「えっ!? 何、もうなにか始まってるの!?」

「かわいいね、君~。笑ってみせてよ~」

 イシャーラは、チャラウザい王子様相手に引きつった笑顔を見せる。

「初めてだって聞いてるから、緊張しちゃったのかな? どうしてこの仕事を~?」

「えっ? 借金があって……」

「ブブー!」

「どうしろって言うのよ!」

「まだ愛嬌は無理でも、王子様だと思って真面目にやってください! はい、もう一回!」



「お姉さんがイシャーラさん?」

「なんか王子様違う人じゃない!?」

「私だって王子様なんて見た事も会った事も無いんです! どんな王子様が来ても良いようにと思って!」

「……わかった」

「あの、僕、今日が初めてなんです。よろしくお願いします!」

「こ、こちらこそ、王子様のお相手に選ばれて、大変に光栄です……」

 彩芽はオドオドとしながらイシャーラを見る。
 謎設定の少年王子様になり切っているらしい。

 イシャーラは、自分の特訓だと言うのに、彩芽の遊びに付き合ってやるかの様な調子で、ようやく演技を始めた。

「王子様、どうぞこちらへ。そこで服をお脱ぎになって、ベッドで横になって下さい」

 イシャーラに誘われ、彩芽はベッドサイドへ進む。

「どうやって脱ぐの?」

「どうやってって、普通に」

「ブブー! 王子様が自分で服を着た事が無かったらイシャーラ姉が脱がせてあげなくちゃ!」

「あ、そういう事ね」

「それに、愛嬌! 愛嬌が足りないです! 真面目過ぎて、私でも不安になりますよ!」

「分かったから、続きからやらせて!」

 彩芽は両手を左右に広げて待機する。

「今お脱がせします」

 彩芽はイシャーラに何かを訴える様に見る。

「な、なんでしょうか?」

「一旦タイム! イシャーラ姉、バトラお姉さまの言っていた事覚えてる?」

「愛嬌? 棘?」

「棘無し設定で! って言うか最初にそこも決めますか!? じゃあ、人族で! じゃなくてぇ! バトラお姉さまが、求めるな与えろって!」

「ああ、そう言えば……」

「与えて!」

「な、何を与えるの?」

「姫娼婦でしょ! 王子様を興奮させなくちゃ!」

「なるほど、それは……もっとも……です。うん、わかった……」

 イシャーラはそう言うと、彩芽の服を脱がすのを中断し、自分の着ていたドレスの紐をほどいた。

「お、王子様、僭越ながら、ドレスの紐を緩めるのを、先に手伝ってくださいませんか?」

「わかりました……」

 王子様になりきった彩芽がイシャーラのドレスの紐を緩めていく。

 イシャーラは緩まったドレスの胸元から、控えめな乳房を覗かせる。
 彩芽は、チラチラと見えそうで見えない乳首を目で追いながらも王子様ごっこを続けていく。

 イシャーラはドレスを脱いでパンツとガーターベルトだけの姿になると、パンツを脱ごうとする。

「まって!」

「え?」

「そのまま。その恰好で王子様の服を脱がせて、ちょっと着てる方が、すごく画になるかも」

 王子様になり切っている彩芽は、男の人が好きそうな要素をイシャーラの中に他に無いか探していく。

「……わかった」

 イシャーラは、そのままの恰好で彩芽の服を脱がせにかかる。

「イシャーラ姉、なるべく後ろにまわらない方が王子様の目についていいかも」

「……うん」

 イシャーラが彩芽の服を脱がせようとすると、彩芽の目の前に穢れの無い肢体が迫り、香水をつけていない筈だが良い香りがした。

 彩芽のリードによるイシャーラのリードで彩芽が下着姿になると、イシャーラに誘われるままに二人はベッドへと向かう。
 二人共、練習と分かっていても二人っきりの自主練である為か、先輩姫やアコニーの視線が無く、身体がムズムズとした。

「どうすればいいの?」

 彩芽が聞くと、イシャーラは王子様を想像しながら彩芽をベッドへと押し倒す。

「リラックスなさってください。私が最初はリード致します。王子様は、私の身体はいつでも好きになさってくださって結構です」

 練習したわけでも習った訳でもない。
 イシャーラが王子様を想定して、自分で考えて話をしている。
 イシャーラは、ボルドレット以外を想像してこういう事をするのが初めてであった。

 先輩姫以外と、それも二人きりでベッドで横になるなんて事も初めてで、頭がクラクラして感じる。

 イシャーラは、彩芽の恥丘をパンツ越しに、緊張しながら撫で始めた。
 彩芽はイシャーラが手で優しくペニスをマッサージしている事を想定しているのが、なんとなく分かった。

「イシャーラ姉」

「なに?」

「さわり方がイヤらしい」

「けなしてるの? 褒めてるの?」

「褒めてるの!」

「初めてだから、その方がいいと思ったんだけど、違った?」

「私だって知らないから!」

「まあ、そうよね。今のところ、どうだった?」

「愛嬌は、ビックリするぐらい足りないけど……」

「けど?」

「服を脱いでるイシャーラ姉は、すごい綺麗で……エッチだった」

「……ありがとう……でいいの?」

 ガチャと扉が開いた。

「あら、ここ使ってた?」

「練習で使ってました! すぐ出て行きます!」

 二人はベッドシーツを阿吽の呼吸で整えると、服を抱えて前だけ隠し、下着姿のまま大慌てで部屋を出た。

「練習とは、せいが出るな! 俺の為か?」

 巨人が先輩姫の肩に手をのっけて外にいた。

「ち~が~い~ま~す~」

 彩芽は悪戯がバレた子供の様に笑いながら、あっかんベーと舌を出し、イシャーラと共に階下へと逃げていった。

「コラ! ストラディゴス様、うちの見習いがとんだご無礼を……」

 先輩姫が彩芽の無礼を謝るが、巨人は彩芽が降りて行った階段の方を嬉しそうにしながら見ていた。
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