ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)

三ツ矢美咲

文字の大きさ
上 下
19 / 74
第4章

第4章:ルイシーとストラディゴス9(別視点:回想)

しおりを挟む
 外からの人の流入は、良い事もあれば悪い事もあります。

 良い事は、優秀な人が来れば、即戦力となる事です。
 傭兵家業は、何しろ危険ですから、戦場の歩き方を弁えた人が入って来てくれれば、それだけで戦力強化に繋がります。
 また、新しい知識や考え方、ノウハウをもたらす事もあります。

 七百人に膨れ上がった傭兵団には、簡単な物なら魔法を使えるような人材までいました。

 一方で、悪い事もあります。
 外から入ってくる人は、ルールを知らないのです。

 ルールを学ぶまでに失敗するのは構いませんが、勘違いしたまま理解できないのは、本当に困ります。



 どこかで、噂を聞いたのでしょう。

 フォルサ傭兵団に入れば、夜這いし放題とでも。

 そんな噂を鵜呑みにして来る様な人に、まともな人はいませんでした。
 夜這いをしても断られ、強姦しようとして追い出されるので、そう言った人は男女問わず長くは傭兵団にいられません。



 ストラディゴスは、相変わらず孤児や行き場を失った者を拾ってきては、私に託して戦場に戻る日々を過ごしています。

 その中で、私は違和感に気付きました。
 なんと言えば良いのか困る所ですが、なんとなく種族のバリエーションに富んできた気がしました。

 それから、今までは戦場で殺していたであろう敵兵士を捕虜にする事も、多くなった様に感じました。
 それだけフォルサ傭兵団が強くなり、余裕があった証拠でしょう。

 貴族でもない敵兵なんて、捕虜にしても一フォルトの得にもなりません。
 ですが、ストラディゴスは、少しでも殺さないで捕虜にするんです。

 すると、中には傭兵団に寝返る者が出てきます。
 一人寝返えって、その裏切り者が適材適所で運用されているのを見ると、他の者達も寝返ります。

 捕虜になってから裏切った兵士は、傭兵団の中では最初、また裏切るのではないかと疑いの目を向けられていたのですが、考えてみれば、裏切った兵士には帰る場所などありません。
 自分で捨てたのと同然ですから。

 そうなると、彼らは誰よりも働きます。
 信頼を勝ち取るためには、行動で示さなければと、誰よりも分かっているんです。

 私は、ストラディゴスが、そこまで考えて捕虜にしたのだと、最初は思っていました。



 彼は、まだ知らぬ異国の女を手元に置きたかったんです。

 拾ってくる孤児や行き場を失った者のバリエーションが増えたのも、恐らく今までは自分が共感しやすい人間や亜人が目についていたのに、彼の視界が開けたのでしょうね。
 救いたいから、彼も気付かないうちに、色々試したいに変わっていたのかしれません。

 人狼族に始まり、人猫族、人蜥蜴族もいました。

(ちなみに、コイトスは狼の特徴を持った人族で、狼人族で、亜人です。ストラディゴスが新しく拾ってきたのは、人の特徴を持った狼族で、見た目は二足歩行の狼で、獣人です)



 ストラディゴスの中で、何かが壊れているのを感じた私は、彼を問い詰めました。

 でも、彼は言うんです。

「ルイシー、俺は何も変わってない。信じてくれ。ただ、みんなを幸せにしたいだけなんだ」

 話が噛み合っていなくても、私は彼に誤魔化す様に抱かれてしまうと、そのまま有耶無耶にされてしまいます。



 * * *



 最初に、ルールを変えたのはストラディゴスでした。
 彼がルールなので、何も問題はありません。

 彼は、好みの子に夜這いをかけず、昼間に声をかけておいて自分のテントへと誘う様になりました。

 それも、どの子も来たばかりの新人です。

 やっと手に入れた居場所で、そのトップに夜の相手をしろと呼び出されれば、本心では嫌でも、行かざるを得ないです。
 この時の私は、愛するストラディゴスが変わっていくのを止める事が出来ませんでした。

 彼は、テントに来た女に、自己紹介をさせる様になりました。
 娘の様に可愛がった記憶も無ければ、どこの戦場で拾ったのかも覚えていなかったのです。

 彼は自己紹介をさせると、次は服を脱がせます。

 それから、その場でゆっくりとまわる様に指示を出し、ベッドへと誘うのです。

 私は、彼の横で、せめて彼が彼女達を傷つけない様に見守ります。
 それぐらいしか出来なかったんです。



 彼は、性典読んだらしく、女性の身体の気持ちの良い部分を、私並みに把握していました。

 女達は、今まで何をして生きて来たのか、どうしてフォルサ傭兵団に来る事になったのかをストラディゴスに聞かせながら、愛撫されるんです。

 彼は、愛撫しながら、ただ共感するんですよ。
 ただ、全てを受け入れるんです。

 それから、女が初めてじゃないなら優しく挿入して、愛し始めます。
 彼のテクニックは、この当時でもう、相当上手くなっていて、女は身体を最初に落とされるんです。

 行為が終わると、ストラディゴスは、何でも自分を頼れと言って女を帰すんですけど、身体を一発で落とされると、気持ちの上では納得して無くても、また快感を感じたくなるんです。
 すると、自分の事を肯定したくなります。

 快感を幸福感と勘違いして、女は彼を受け入れて、その内、本当の幸福を感じ始めてしまうんです。
 ストラディゴスは、自分を必要としてくれて、愛していると思うんです。



 * * *



 ストラディゴスの愛し方に変化があっても、私が出来る事は変わりませんでした。

 彼を愛し、彼を愛する事で幸せになる女達を育てる事です。



 ラーナは、家畜の世話をしたり、簡単な仕事なら出来る様な歳になりました。

 傭兵団の中には、ストラディゴスの子供らしき赤ちゃんがチラホラ生まれ、コイトスとティアリーレも元気な子供を出産しました。

 ストラディゴスは、自分の子かは関係無く、全ての赤ちゃんを大切にし、ラーナ以外の幼い子達にも変わらぬ愛情を注いで育てていました。



 なのですが、彼はこの当時、明らかにおかしかったんです。

 夜の相手の選び方が、異様でした。

 同じ様な特徴の子を集める日があれば、全員肌の色が違う子を並べる日もあり、別の日には獣人ばかり集める事もありましたし、亜人を集める事も度々ありました。

 長い尻尾の子ばかり集める事もあれば、おしっこが好きな子ばかり集めたり。

 技術が凄い子と一晩中楽しむ事や、初めての子を集めて集団で開通式をした時までありました。

 おっぱいの大きな子をたくさん集めて、おっぱいに囲まれてみたり、もう明らかに、愛する事ではなく、刺激を求めている事が明白でした。



 そんな事をしていれば、当然、彼に愛想を尽かす子も出ますし、喧嘩をして出て行ってしまう子も出てきます。

 極めつけは、ちゃんと一人と付き合うと宣言した後で四股がバレて、彼女の一人に本気で殺されかけた事でした。

 この時ばかりは、彼も反省した様でしたが、こじらせにこじらせてしまった女癖は直らず、私一人では満足させる事も出来ませんでした。



 * * *



 ラーナが、成熟して一人前の女として私の元から離れ、傭兵団で働いていた頃でした。
 傭兵団の規模は、全体で千人に迫り、女だけで三百人はいました。

 彼が、念願の騎士になり、しばらくすると戦争が終わりました。

 彼は由緒あるネヴェル騎士団の副団長になりましたが、満たされる事はありませんでした。

 まず、戦争が終わった事で、自由になるお金が極端に減りました。
 そうなると、傭兵団時代の様に、好き勝手は出来ません。

 希望した多くの傭兵団員が、ストラディゴスと共に騎士や兵士になり、私は城の使用人見習いになりました。

 給与体系が変化すると、多くの女がストラディゴスに頼らなくても生きていける様になります。
 すると、それぞれ思い思いの人生を皆が歩み始めました。

 ストラディゴスは、領主様と騎士団長に節度を持つ様に言われ、私と、多分、隠れて何人かの傭兵団時代からの家族の絆が残っている女しか抱く事が出来なくなり、娼館通いを始めました。



 * * *



 彼は夢だった騎士になりましたが、私には、彼が幸せには見えませんでした。
 傭兵団で、みんなを愛していた頃が、一番幸せに思えてならないのです。

 私は、彼をもう一度、幸せにしたいと思っていました。

 彼が、私を幸せにしてくれたように。



 そんな無力感を、彼に抱かれるたびに感じる日々を過ごしていたある日の事です。

 前日は、彼が楽しみにしていた高級娼館に行く日でした。

 早朝に、私の部屋を訪ねて来た彼は、私に頼みごとをするのです。
 肩から吐いた物をかけられた酷く酒臭い恰好で。

 私は、ついに嘔吐プレイに目覚めたのではないかと、怖くなった記憶があります。

「ルイシー」

「こんな時間にどうしたの? それに、その恰好……」

「この人の身体を綺麗にして、ベッドで寝かせてやってくれ。頼む、お前にしかこんな事頼めないんだ」

 ストラディゴスは、見た事が無い顔を、目をしていました。
 こんなに長く一緒にいた私でも見た事の無い目。

 不思議な服を着て、気持ちよさそうに彼の腕に抱かれて寝ている、その女性に、彼は恋をしていました。

「いいわ。服は洗濯して、あなたの部屋に持っていけば良い?」

「助かる」

 そう言うと、彼は片手で女の人の身体を抱え、もう片方の手で私を抱き寄せました。
 私は、汚い恰好で抱き寄せられるのに抵抗がありました。

 ですが、その時、彼が本当に彼女の事が好きなんだって、伝わって来ました。
 同時に、彼から久しぶりに家族として頼られた事が、私は心から嬉しかったんです。

「その人を、あなたの部屋に運んで。後は私が綺麗にするから」

 この時私は、彼女をストラディゴスのモノに出来れば、何かが変わると確信したんです。
 もう一度、誰かを愛して、愛される事で彼が変わって、今度こそ幸せになると。

 そして、彼が幸せになる事で、彼の半身である私も……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...