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第4章
第4章:ルイシーとストラディゴス6(別視点:回想)
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ストラディゴスのテントから溢れる彼と私の匂いは、嗅ぐ人によっては、粘膜をねっとりと刺激する様な、甘い匂いが混ざって感じると言います。
最初、その事に気付くまでは不思議だったんです。
テントの換気をしていると、まだ幼い筈なのに彼女達は、わざわざ匂いを嗅ぎに来るんですから。
恥ずかしがって私が追い払っても、まだ知識だけで、経験も無い筈なのに、正体の分からない匂いが気になって嗅ぐんですよ。
私達がテントを変えても、匂いに引き寄せられて彼女達は来てしまいます。
そのうち、私と彼がしている所を覗いている誰かがいる事に気付きました。
いつから覗かれていたのか、私も彼も全然わかりませんでした。
多分、孤児達はみんな、私と彼の行為を、自慰のオカズにしたり、孤児同士で試す参考にしていたんだと思います。
セックスを勝手に覗かれるのは、気分の良い物ではありませんよね。
だから、私達も気をつけてはいたんですけど、覗く側も必死みたいで、捕まえる事は時々しか出来ませんでした。
捕まえられるのは、孤児が自慰にふけってしまって逃げ遅れた時ぐらい。
捕まえても、怒ったりはしないで、ストラディゴスがお仕置きにお尻を軽く叩くぐらいです。
ただ、これに関しては、孤児の中におかしな性癖に目覚めてしまった子が何人か出て、後で良く無かったと反省しました。
* * *
行動力のある人って、いますよね。
考え無しな人もいますけど、目標が定まっている人も行動を起こします。
私自身、そこまで行動力がある方ではないので、そう言う人を見ると、素直に尊敬します。
その時も、私は驚いたりする前に、ここだけの話ですけど感動と尊敬をしていました。
私とストラディゴスが眠っているテントに、誰かが入って来たんです。
世話をしている孤児達が、怖い夢を見て甘えに来るなんて事は、しょっちゅうです。
そう言う時は、決まって一緒に寝てあげます。
ですが、その時は違いました。
私よりも二歳下、当時1●歳だったティアリーレがテントに入ってくるなり、私の前でスカートをたくし上げたんです。
身体が幼かったり小さければ、ここに来たばかりの私の様に、パンツなんて物はありません。
それ以前に、スカートを穿いていて下着をつけている人は少数派で、私も当時はパンツを穿いていませんでした。
パンツは、ズボンを履くときに汚さない為の物で、ロングスカートなら必要無いんです。
私は、ティアリーレがそんな事をしているのを見て、怖い夢を見て漏らしてしまったのかと思いました。
そのぐらいの歳でも、戦場で拾った孤児達は、故郷や戦場の夢を見ると時々あるんです。
「ティア、どうしたの?」
「どうした?」
私とストラディゴスは身体を起こしました。
「あたしにも、ルイシーと……おなじことを……してください!」
真っ赤になったティアリーレの、勇気を振り絞ったお願いの言葉。
私もストラディゴスも、言葉だけならどの事か分からなかったと思います。
その時、ストラディゴスは困った顔で私を見ました。
どう断ろうか、考えていたんだと思います。
* * *
夫婦の寝室に夜這いに来るとは、恐れ知らずも良い所と思うかもしれません。
ですが、ここは傭兵団です。
団長のストラディゴスこそがルールなんです。
それに、妻と彼女の概念も曖昧な状態で、結婚観も団員の中でさえ様々でした。
ストラディゴスは孤児になる前は母子家庭で、父親を知りません。
ですが、父親候補は大勢いたと言います。
亡くなった妹のラーナとは、恐らく半分しか血が繋がっていないと言っていました。
そんな手本しか知らないストラディゴスが、今まで私だけを愛していたのは、私を幸せにする事が彼の全てだったからであり、結婚観は無いに等しい物でした。
私は、両親の記憶がありますので、幸せな家庭を築く事に漠然とした憧れがありました。
でも、それが必ずしも一夫一妻、夫婦の形と言う考え方はありませんでした。
私のいた村には、夜這いの風習がありました。
年頃になると、村の男が夜這いにやってくるのを女は受け入れるしか無い、そんな風習です。
私もストラディゴスと同じ様に、兄妹で血が半分しか繋がっていませんでした。
その風習は、子供を村人全員の家族として育てる為だとおばあちゃんは言っていました。
私はお父さんの娘でしたが、兄は村の息子だったんです。
なので、周りの家には兄の父親かもしれないおじさんが沢山住んでいました。
それでも村人達は、みんな仲が良かったんです。
共に正解の存在しない恋愛観と結婚観しか無い世界で、私が拠り所にしたのは、ストラディゴスの正しさでした。
ストラディゴスは私を幸せにした。
それだけは絶対に正しい事でなければなりません。
私は、傭兵団内の女達に、私の様になれば幸せになれると、行動をもって説いてきたのです。
ストラディゴスは困っていましたが、私は違いました。
私は、感動と尊敬の念でティアリーレを見ながらも、その中に過去の私を見ていました。
戦場で焼け出され、孤独な存在になった、私みたいに絶望していたティアリーレ。
ティアリーレは、私を目標にして、慣れない傭兵団の中で生きる気力を取り戻し、幸せになるには私の様になれば良い事に気付き、誰よりも早く勇気を出したのです。
「ティア、おいで」
そう言うと、私はティアをベッドの上へと手招きしました。
「ルイシー……」
ストラディゴスは、私がティアを諭すのだろうと思って見ていたと思います。
でも、ティアは私がティアを家族として受け入れたと分かっていました。
「ルイシー、ディーチャ……」
「ティア、見てて……」
「ルイシーっ!?」
この時、ようやくストラディゴスは私の考えが、自分の想像と違う事に気付きました。
彼のズボンを下ろして、私が彼の物を手で支えてあげると、いつもだったらすぐに起き上がるそれが、困惑しているからかフニャフニャのまま。
「ティア、あなたも触ってみて、優しく」
「ディーチャのおちんちん、あったかい……」
ストラディゴスはペニスをティアから取り上げると、夫婦の話し合いが必要だと私と内緒話を始めます。
「ルイシーどういうつもりだ(!)」
「ストラディゴスこそ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるか(!)」
「彼女は私と同じ様にあなたを愛してるのに、あなたは応えてあげないの?」
「俺はティアをお前みたいに愛して無いだろ(!)」
「私の事だって、最初から好きだったわけじゃないでしょ。それに、最初は同情でも、片想いでも良い。そうでしょ?」
「っ(!?) 同情ってっ……お前……」
私達の馴れ初めは、同情でしかありません。
ストラディゴス自身、痛い程分かっています。
「私の時を思い出して、今の彼女には私達が必要なの。故郷も家族も失くして、ようやくあなたに拾われて、ここの生活にも慣れて、ティアは立ち直ってきたの。あなたが、私の時みたいに、彼女の心の支えになってあげて」
「支えたいとは、思うが……こういう事は、ルイシーは嫌じゃないのか?」
「どうして?」
「俺が他の女を好きになっても、良いのか?」
「あなたは何? このフォルサ傭兵団の、団長でしょ。あなたは団長になって、フォルサの時よりも、ここを強くした。ここを良く変えたの。あなたは私だけじゃなくて、全員を私みたいに幸せにしないといけない立場なのよ」
「全員っ(!?)」
「全員と寝ろなんて意味じゃないからね。全員の期待に、気持ちに応えてあげて。私にとってあなたが全てなのと同じ。ティアには、あなたが必要なの。傭兵団は、もうあなたの家族みたいな物なのよ。私が大黒柱のあなたを、どんな時でも支えるから、だから、家族を好きになって、愛して。私はあなたの全てを受け入れるから」
私は、彼の背中を押しました。
私の愛する彼の正しさを、証明する為に。
最初、その事に気付くまでは不思議だったんです。
テントの換気をしていると、まだ幼い筈なのに彼女達は、わざわざ匂いを嗅ぎに来るんですから。
恥ずかしがって私が追い払っても、まだ知識だけで、経験も無い筈なのに、正体の分からない匂いが気になって嗅ぐんですよ。
私達がテントを変えても、匂いに引き寄せられて彼女達は来てしまいます。
そのうち、私と彼がしている所を覗いている誰かがいる事に気付きました。
いつから覗かれていたのか、私も彼も全然わかりませんでした。
多分、孤児達はみんな、私と彼の行為を、自慰のオカズにしたり、孤児同士で試す参考にしていたんだと思います。
セックスを勝手に覗かれるのは、気分の良い物ではありませんよね。
だから、私達も気をつけてはいたんですけど、覗く側も必死みたいで、捕まえる事は時々しか出来ませんでした。
捕まえられるのは、孤児が自慰にふけってしまって逃げ遅れた時ぐらい。
捕まえても、怒ったりはしないで、ストラディゴスがお仕置きにお尻を軽く叩くぐらいです。
ただ、これに関しては、孤児の中におかしな性癖に目覚めてしまった子が何人か出て、後で良く無かったと反省しました。
* * *
行動力のある人って、いますよね。
考え無しな人もいますけど、目標が定まっている人も行動を起こします。
私自身、そこまで行動力がある方ではないので、そう言う人を見ると、素直に尊敬します。
その時も、私は驚いたりする前に、ここだけの話ですけど感動と尊敬をしていました。
私とストラディゴスが眠っているテントに、誰かが入って来たんです。
世話をしている孤児達が、怖い夢を見て甘えに来るなんて事は、しょっちゅうです。
そう言う時は、決まって一緒に寝てあげます。
ですが、その時は違いました。
私よりも二歳下、当時1●歳だったティアリーレがテントに入ってくるなり、私の前でスカートをたくし上げたんです。
身体が幼かったり小さければ、ここに来たばかりの私の様に、パンツなんて物はありません。
それ以前に、スカートを穿いていて下着をつけている人は少数派で、私も当時はパンツを穿いていませんでした。
パンツは、ズボンを履くときに汚さない為の物で、ロングスカートなら必要無いんです。
私は、ティアリーレがそんな事をしているのを見て、怖い夢を見て漏らしてしまったのかと思いました。
そのぐらいの歳でも、戦場で拾った孤児達は、故郷や戦場の夢を見ると時々あるんです。
「ティア、どうしたの?」
「どうした?」
私とストラディゴスは身体を起こしました。
「あたしにも、ルイシーと……おなじことを……してください!」
真っ赤になったティアリーレの、勇気を振り絞ったお願いの言葉。
私もストラディゴスも、言葉だけならどの事か分からなかったと思います。
その時、ストラディゴスは困った顔で私を見ました。
どう断ろうか、考えていたんだと思います。
* * *
夫婦の寝室に夜這いに来るとは、恐れ知らずも良い所と思うかもしれません。
ですが、ここは傭兵団です。
団長のストラディゴスこそがルールなんです。
それに、妻と彼女の概念も曖昧な状態で、結婚観も団員の中でさえ様々でした。
ストラディゴスは孤児になる前は母子家庭で、父親を知りません。
ですが、父親候補は大勢いたと言います。
亡くなった妹のラーナとは、恐らく半分しか血が繋がっていないと言っていました。
そんな手本しか知らないストラディゴスが、今まで私だけを愛していたのは、私を幸せにする事が彼の全てだったからであり、結婚観は無いに等しい物でした。
私は、両親の記憶がありますので、幸せな家庭を築く事に漠然とした憧れがありました。
でも、それが必ずしも一夫一妻、夫婦の形と言う考え方はありませんでした。
私のいた村には、夜這いの風習がありました。
年頃になると、村の男が夜這いにやってくるのを女は受け入れるしか無い、そんな風習です。
私もストラディゴスと同じ様に、兄妹で血が半分しか繋がっていませんでした。
その風習は、子供を村人全員の家族として育てる為だとおばあちゃんは言っていました。
私はお父さんの娘でしたが、兄は村の息子だったんです。
なので、周りの家には兄の父親かもしれないおじさんが沢山住んでいました。
それでも村人達は、みんな仲が良かったんです。
共に正解の存在しない恋愛観と結婚観しか無い世界で、私が拠り所にしたのは、ストラディゴスの正しさでした。
ストラディゴスは私を幸せにした。
それだけは絶対に正しい事でなければなりません。
私は、傭兵団内の女達に、私の様になれば幸せになれると、行動をもって説いてきたのです。
ストラディゴスは困っていましたが、私は違いました。
私は、感動と尊敬の念でティアリーレを見ながらも、その中に過去の私を見ていました。
戦場で焼け出され、孤独な存在になった、私みたいに絶望していたティアリーレ。
ティアリーレは、私を目標にして、慣れない傭兵団の中で生きる気力を取り戻し、幸せになるには私の様になれば良い事に気付き、誰よりも早く勇気を出したのです。
「ティア、おいで」
そう言うと、私はティアをベッドの上へと手招きしました。
「ルイシー……」
ストラディゴスは、私がティアを諭すのだろうと思って見ていたと思います。
でも、ティアは私がティアを家族として受け入れたと分かっていました。
「ルイシー、ディーチャ……」
「ティア、見てて……」
「ルイシーっ!?」
この時、ようやくストラディゴスは私の考えが、自分の想像と違う事に気付きました。
彼のズボンを下ろして、私が彼の物を手で支えてあげると、いつもだったらすぐに起き上がるそれが、困惑しているからかフニャフニャのまま。
「ティア、あなたも触ってみて、優しく」
「ディーチャのおちんちん、あったかい……」
ストラディゴスはペニスをティアから取り上げると、夫婦の話し合いが必要だと私と内緒話を始めます。
「ルイシーどういうつもりだ(!)」
「ストラディゴスこそ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるか(!)」
「彼女は私と同じ様にあなたを愛してるのに、あなたは応えてあげないの?」
「俺はティアをお前みたいに愛して無いだろ(!)」
「私の事だって、最初から好きだったわけじゃないでしょ。それに、最初は同情でも、片想いでも良い。そうでしょ?」
「っ(!?) 同情ってっ……お前……」
私達の馴れ初めは、同情でしかありません。
ストラディゴス自身、痛い程分かっています。
「私の時を思い出して、今の彼女には私達が必要なの。故郷も家族も失くして、ようやくあなたに拾われて、ここの生活にも慣れて、ティアは立ち直ってきたの。あなたが、私の時みたいに、彼女の心の支えになってあげて」
「支えたいとは、思うが……こういう事は、ルイシーは嫌じゃないのか?」
「どうして?」
「俺が他の女を好きになっても、良いのか?」
「あなたは何? このフォルサ傭兵団の、団長でしょ。あなたは団長になって、フォルサの時よりも、ここを強くした。ここを良く変えたの。あなたは私だけじゃなくて、全員を私みたいに幸せにしないといけない立場なのよ」
「全員っ(!?)」
「全員と寝ろなんて意味じゃないからね。全員の期待に、気持ちに応えてあげて。私にとってあなたが全てなのと同じ。ティアには、あなたが必要なの。傭兵団は、もうあなたの家族みたいな物なのよ。私が大黒柱のあなたを、どんな時でも支えるから、だから、家族を好きになって、愛して。私はあなたの全てを受け入れるから」
私は、彼の背中を押しました。
私の愛する彼の正しさを、証明する為に。
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