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第2章

第2章:ルイシーと一緒8(ifルート:アナザーエンド)

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 次の日、朝になっても獣の様に求めあった三人は、城を仕切る大臣であるエルムから、三人揃って大目玉を食らっていた。

 発情した獣の様な唸り声や悲鳴が夜通し聞こえてくれば、クレームの一つも入れたくなるのは当然である。



「ルイシー、お前まで何やってるんだよ……」
「もうしわけありません……」

 しかし、謝るルイシーはヘロヘロに疲れていて、呆れたエルムはそれ以上怒る気にもならない。

「三人とも、減給ぐらいは覚悟しろ。特にストラディゴス」

「面目ない」「すみませんでした」「本当にもうしわけありませんでした」

「お前らが何しようがお前らの勝手だ。でもな、節度を覚えろ。特にストラディゴス、掃除係と洗濯係からのお前への苦情の件数は、まったく笑えない。いいか、お前ら、一部だが読み上げてやる」

『朝、フォルサ副団長の部屋を掃除しに伺ったら、ベッドから連日の様に異臭がたちこめています。ベッドシーツと床にはベトベトとした水たまりがあり、酷い時にはおしっこらしきシミまで。部屋のトイレも中で何をしたらああなるのかと言う有様で、掃除係の子達は皆、副団長の部屋の係を、くじ引きで決める毎日です。係になると、酷い時には朝はじめて昼まで、一番ひどかった時には夕方までかかる事もあり……』

「なんだ、お前、その歳で寝小便も我慢できないのか?」

「いやそれは……」

「言わないでも分かるっつうんだよ馬鹿野郎。日頃からオルデン公にも節度を持てと注意されてるだろうが。毛も生え揃わないガキかお前は」



 彩芽とルイシーは解放されたが、ストラディゴスはその後も、しばらくお説教が続いたと言う。



 徹夜のせいで動けない二人は、それぞれ自室で休養を取る事となった。
 どうやら、普段から行いの良い二人はストラディゴスに付き合わされただけで、被害者的な部分があると周囲の者は考えているらしい。

 彩芽はベッドで横になると「ストラディゴスさん、ごめん……」と心の中で謝りながら眠りについた。



 * * * 



 彩芽の部屋の扉をノックする音が聞こえた。

 休んでだいぶ元気になった彩芽は、自ら扉を開ける。
 すると、そこには領主付きのメイドの一人、彩芽から見れば先輩のティアリーレが立っていた。

「ティアさん、何ですか?」

「中に入れてくれる?」

「どうぞ……」

 ティアリーレは、部屋に入るなり彩芽の肩を掴むと、こんな事を聞いてくる。

「アヤメ、昨日はルイシーさんとディーチャと楽しんだんだよね?」

「……もしかして、噂になってますか?」

「あんたの声、良く通るから」

「ううぅ、すみません……気をつけます」

「声は抑えた方が良いと思うけど、そうじゃなくてさ」

 ティアリーレは照れながら話を切り出す。

「あたしも、混ぜて貰う事は出来ないかな?」

「……ふぇ?」

「だからさ、ディーチャともう長い事ご無沙汰なんだよ」

「あの、ティアさんもストラディゴスさんと?」

「あたしも? ルイシーさんから聞いてないの?」

「な、何を?」

「ディーチャの傭兵時代からの仲間はさ、みんなディーチャの女だったんだよ。今じゃ結婚してる奴も結構いるけど」

「……ちょっとは聞いたんですけど、何人ぐらい?」

「何人って、全体で? 今城にいる数だけで?」

「あの、両方お聞かせ願えたら……」

「ディーチャが仕切ってたフォルサ傭兵団ってのは、一番多い時には千人近くいたよ。その中で女は三百人ぐらいはいた筈。今城に残ってる奴は、女だけで百人かそこらだと思う」

「全員、その……エッチを?」

「ほぼ、ね。あのディーチャだよ。当たり前じゃん。まあ、今でもちゃんと抱いてもらってるのは、あんたとルイシーさんぐらいだけど」

「あの……今更かもしれないんですけど、ストラディゴスさんって、お子さんは?」

「いるに決まってるじゃん。あんだけやってれば」

「……認知とかは?」

「認知って?」

「自分の子供って、わかってるのかって……」

「そりゃ、また抱きに来れば、嫌でも会うでしょ? ディーチャは、ああ見えて子煩悩な所もあるから、私も、もう一人欲しくてさ」

 彩芽はティアリーレが同い年ぐらいだと思っていたが、既に母親であった事に地味にショックを受けた。
 勝手に独身だと思っていたが、いや、独身ではあるのだが、まさか子供がいたとは。

「それじゃ……ルイシーさんとも?」

「あんた、それも聞いてないの? 毎日一緒に働いてるラーナは二人の子だよ」



 * * *



 それから半年後。



「節度の話をしたの、覚えているか?」

 ストラディゴスはエルムに、再び大目玉を食らっていた。

 城で働く使用人や女騎士の何割かが妊娠してしまい、空前の妊婦ラッシュによってエルムは頭を抱える事態となっていた。
 子を産み育てる事に関して、反対する気は無い。

 だが、子が生まれれば、当然誰かかが世話をしなければならない。
 無事に生まれれば数十人にもなるストラディゴスの子の世話をする人を探さなければ、出産ラッシュの直後に子育てに追われる母親達によって城は機能不全を起こすだろう。

「無責任にもほどがある」

「本当に申し訳ない……」



 この事態の引き金になってしまった自身も身重の彩芽からの提案で、城内に保育施設を作り、ストラディゴスは子供達の世話をしながらも有事の際には騎士として働くと言う事で手打ちとなった。



 ストラディゴスはネヴェル城の中で再び、愛する女達に囲まれたハーレムを謳歌する事となり、娼館には通わなくなった。

 エルムには口が裂けても言えないが、彩芽とルイシーは、ストラディゴスを相手に妊婦プレイをしっかり楽しんだ後に、元気な男の子をそれぞれ、母親たちの中で一番に出産した。



 その後、ネヴェルの騎士団が巨人の血を引く兵士を多く持つ大陸最強の騎士団へとなっていくのは、また別の話である。

 彩芽は、その後も元の世界に戻る事は無く、ストラディゴスを愛する女の一人として城で働きながら、末永く幸せに暮らしたと言う話である。



~完~
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