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中学生になったよ
このままじゃ、ダメなんだろうか
しおりを挟むそれって、ダメなんだろうか。
恋人になれない男女が好き同士で一緒にい続けることは、「可哀想」なのか?
オレ達は家族として出会わず、同い年の別々の家の子供として知り合っていたら、恋人になるような恋愛感情として「好き」になったんだろうか。
浜谷は返事を急がず根気強く待っているが、なかなか葉織は結論を口にせず、やきもきしている。
そんなふたりを傍目から客観的に見ていた芭苗は溜息をつく。
「はまりんはしおちゃんのことがちゃんと好きで告白してっからいいんだけどさぁ。
はっち知ってる?
一部のバカ男どもが、しおちゃんに告白してオッケー貰えるか、遊び半分の賭け事みたいにしてんの」
「はぁ? なんでそんなことしてんだよ」
自分は顔がいいから、スポーツが上手だから、成績がいいから、背が高いから……。
羽香奈は絶対告白を受けないらしいけど、自分が言ったらオッケーするのではないか?
そういった慢心で、羽香奈を女の子として好いているわけでもないのに遊び半分で告白している輩が何人かいるという。
「しおちゃんがそういうことされてるって聞いて、どう思う?」
「どうって。ふざけんなって思うよ、そりゃあ」
「はっちがしおちゃんくらいはっきりしてたら、バカどもにちょっかいかけられずに済むってことよ。
ねー、はまりん」
「そうそう……ん?
おれのこともバカって言ってる?」
「言ってないって。
先に言ったじゃん。
しおちゃんのこと好きでしょ?」
「もちろんだよ! 玉砕したけど!」
「どんなところが好きなんだよ」
ちょっとは自分の参考になるかもしれないので、とっさにそんな質問を投げてしまった。
「えー?
顔がかわいくて、優しそうなところ?」
「ダメだこりゃ。
上っ面しか見てないやつじゃん」
「えー!? 何がダメぇ!?」
芭苗が最初に羽香奈を気に入ったのは、葉織のためなら転入して初日から、クラス内である程度の力を持つ女子にも構わず立ち向かう強さだった。
優しいだけの女の子、なんて印象は底が浅いと思われても仕方がない。
「優しい」「かわいい」、どっちも間違ってはいないだろうが、羽香奈という少女の印象としてその言葉だけだとピンとこないなぁとは葉織も思う。
うん、参考にはならなかった。
羽香奈って……どんな「人」なんだろう。
オレにとってどんな存在なんだろう。
言葉にしようとすると急に難しく思えてしまうのだった。
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