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史上初の女性剣闘士を目指して、頑張ります!

姫君の相棒Ⅱ

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 わたくしとの試合の決め手として、わたくしの喉の防具に、まっすぐ突きつけるつもりなのでしょう。「そのように動くことがわかっているなら」、どんなに早くたって避ける道筋は見えるものです。

 わたくしは直進してきた刀身を、ほんの一歩、右へ動くことで躱しました。そして、ポーラへ向かって前に一歩、大股で踏み込んで、彼の首の高さに握り拳を突きだします。

 わたくしの拳がぴたりと静止した時、手甲の宝石から魔法剣が伸びて、ちょうど彼の喉元に刃先が触れていました。


「……あぁ~ん? ……なんだよ、……こんなことが出来るなんて、聞いてねえぞ!?」

「当然でしょう? わたくしだって、たった今。あなたのおかげで思いついたのだから」

 もはや、勝敗は決しました。わたくしはポーラから離れて、姿勢を正して彼に一礼します。試合を終えた相手への礼儀として、どんな人が相手でも欠かすわけにはまいりません。

「……いい子ね、トイトイ。わたくしの気持ちをわかってくれて」


 ポーラはこのように、根っからの卑怯者ですから。わたくしが「うっかり、魔法剣を消失させてしまった」と思ったなら、その隙を突いてこないはずがありません。

 わたくしは心の中で、トイトイにお願いしました。「一瞬だけ、刃を消して欲しい」と。わたくしの意思でそれをしてしまうと、再び刃を現すために、呪文を詠唱しなければならないからです。

 わたくしはトイトイと会話を成功させたことはありませんし、このような手段が可能なのか、まったく確実ではありませんでした。ですが、結果はこの通り。トイトイはわたくしの「お願い」した通りに、一瞬だけ刃を消してくれて。ポーラに向かって突き付けたその時に、刃を元通りに現してくれたのです。

 試合が終わり、今度はわたくしの意思で、魔法剣を消失させます。わたくしは思わずその場に跪き、手甲の宝石を左手でぎゅっと握りしめて、自分の額の真ん中に押しつけました。手は震えていますし、すぐ側の傷口に振動が伝わって、痛みが酷くなります。それでも、そうせずにはいられませんでした。

 わたくしはその場で、歓喜に震えながら、泣きました。こんなにもみっともない姿を一番近くで見ながら、ポーラにはもはや、わたくしに対するあざけりは見受けられません。こんな情けないわたくしに、自分は敗北したのですから。それも、「一年間、誰にも勝てなかった最弱の選手であるレナ・グランティスに。ポーラ・メイディッチは、他の誰より真っ先に負けた」のです。これ以上の名誉はないというものでしょう?
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