54 / 111
史上初の女性剣闘士を目指して、頑張ります!
特別な一戦
しおりを挟む麗夜たちと戦った公園、家族の思い出があった公園。
そこから作戦は始まった。
「僕の能力で遠くから見守るってことでいいんだよね」
「あぁ、マリーの奴には傷ついてるフリをしてもらう事になってる」
事前に幹部達へと正確な場所を伝え、数十分が経過していた。
亮人たちの影から無線機代わりのマリーのコウモリが顔を出し、周りの様子を伺っていた。
深夜の東京。
公園の修理は追いつかず、遊具は壊れたままの状態。
公園を照らすのは月夜の光だけ。
物陰に隠れるようにマリーは蹲っているような素振りを続ける。
空を見上げる亮人は小さく息を吐く。
白く靄が掛かるように飛んでいく白い息は次第に霧散し、消えていく。
体に羽織っているコートは皮膚を刺すような冷たい空気から身を守る。
袖から出る手へと伸ばされた礼火の小さな手に自然と握られる。
「寒いね……」
「そうだね」
見上げた空、その光景はこれから戦うとは思えない程に綺麗なものだった。
『これから戦うと思うと緊張するわね』
『シャーリーもドキドキしてきたよ』
「みんなで帰るからね」
「『『うん』』」
四人で空を見上げている、静かな時間は終わる。
「来たっ!!」
守護の視線の先、建物の屋上を駆けるように黒いマントの三人組がマリーのいる公園へと飛んでいく。
「俺らの出番はまだ後だ……今はマリーを信じて、後をつけるぞ」
亮人ら五人は麗夜の後についていく。
黒いマントの三人組が向かっていく方向へ。
♂ × ?
『お父様……必ず助けますわ』
静寂の中で口にする言葉は暖かくも、一瞬にして消え去る。
深夜の寒空の下、数十分の中で考え、思い出していた過去。
初めは残酷で哀しむしかなかった記憶。誰も信じられなかった十年間は心が常に冷たいような感覚があった。
城から投げ出された時の父親の表情。優しく微笑みかけた姿を鮮明に思い出すと目尻から一滴に涙が頬を伝っていく。
大きく呼吸を吸い、大粒の涙を拭うマリーは亮人たちが待機している方向へと視線を向ける。ただ、振り向いた時の表情は悲しげなものではなく、力強く不安を感じさせないものに変化していた。
『今日で終わらせますわ……』
胸の前で握り込まれる拳から流れる血は地面を濡らす。
「来たっ!!」
耳元から聞こえる守護の言葉に顔を上げる。
『やっと来ましたわね…………』
手のひらから滴る血は一瞬にして止まり、傷も瞬時に治る。
『お父様を返してもらいますわ……』
街灯もない公園の中、マリーの足元に広がる闇は形を持つように揺らめく。
足を引きずるような動作をしながら、歩く度に地面の影は水面のように波紋を広げていく。
物音が一切しない公園の中、それは唐突に始まる。
一瞬にしてマリーの横に現れた巨漢の男はマリーへ一振りの拳を入れた。
『ガッハっ!!』
予想以上の衝撃と共にマリーの体は地面を数回バウンドし、壁へとヒビを入れるほどに衝突する。
連続するように一瞬にして距離を詰めてくる巨漢は再び、マリーの顔面へと拳を叩き込む。
恐ろしい程の速度と威力に辛うじて避けたマリーは自分の影の中へと逃げ込み、一度距離を離した。
視線の先、マリーがいた壁はたった一振りの拳によって粉砕されていた。
「中々……すばしっこいな」
首の骨を鳴らす巨漢は大きく深呼吸をし、動きを止める。
『何を……休んでるんですの』
「……………………」
フードで見えない巨漢の表情。だが、息一つとして乱していない様子はマリーが想定していた以上のものであった。
油断してるつもりはなかったですけど…………ちょっとまずいかもしれませんわね。
胸を右手で押さえれば、肋骨が折れているのが分かる程だった。
「っつ!!」
「よそ見をしている暇はないですよ」
『っ!!』
耳元で囁かれた声と同時に、マリーの腕からは激痛が走る。
背中から翼を生やし、空へと逃げる。
視線を左手へと向ければ、爛れている皮膚がそこあった。まるで強酸で溶かされたかのように爛れた腕は痛々しい状態となっていた。
マリーの後ろに突如現れたガスマスクの男の腕は粘液が垂れるかのようにぶら下がっている。
「普通なら、これだけで踠き苦しむんですが…………いやはや、さすが貴族とでも言っておきますか、最後のヴァンパイア」
俯いていたガスマスクの男は勢いよくマリーへと視線を向ければ、液状の腕を勢いよく振り回し、液体を飛ばす。
散弾のように放たれた水滴を避けていくマリーだが、動かしていた翼は時間が止まったかのように動かなくなった。そして、マリーの体自体も空中で留まり続ける。
『なんで、動けないんですのっ!?』
驚愕が襲うと同時に動かない的となったマリーの体は細かい水滴が幾つも付着していき、皮膚を溶かしていく。
苦痛で歪む表情は声を押し殺す為に唇を噛み締める。
「空を飛べるのが貴方だけだと…………思わないでください」
箒に跨る女はマリーの首へと手を掛け、力を込める。
異常に細い女の腕に込められる力は見かけとは掛け離れた力がある。
『あんた達…………何なのよ』
「私たちは怪物たちを殺す者だよ」
「我々の悲願にお前が必要」
「だから、私たちは…………貴方を連れて行かないといけないの」
女は小さく何かを呟くと、巨漢がいる足元から鉄製の十字架が現れる。
身動きが取れないマリーは何かに固定されたように十字架へ磔はりつけられる。
巨漢は100kgを超えるであろう十字架を担げば、重さを感じさせない動きで走り去っていく。
三人は再び、静寂に包まれた闇夜の街へと消えていく。
ただ、マリーが不敵に笑っていることを知らずに。
そこから作戦は始まった。
「僕の能力で遠くから見守るってことでいいんだよね」
「あぁ、マリーの奴には傷ついてるフリをしてもらう事になってる」
事前に幹部達へと正確な場所を伝え、数十分が経過していた。
亮人たちの影から無線機代わりのマリーのコウモリが顔を出し、周りの様子を伺っていた。
深夜の東京。
公園の修理は追いつかず、遊具は壊れたままの状態。
公園を照らすのは月夜の光だけ。
物陰に隠れるようにマリーは蹲っているような素振りを続ける。
空を見上げる亮人は小さく息を吐く。
白く靄が掛かるように飛んでいく白い息は次第に霧散し、消えていく。
体に羽織っているコートは皮膚を刺すような冷たい空気から身を守る。
袖から出る手へと伸ばされた礼火の小さな手に自然と握られる。
「寒いね……」
「そうだね」
見上げた空、その光景はこれから戦うとは思えない程に綺麗なものだった。
『これから戦うと思うと緊張するわね』
『シャーリーもドキドキしてきたよ』
「みんなで帰るからね」
「『『うん』』」
四人で空を見上げている、静かな時間は終わる。
「来たっ!!」
守護の視線の先、建物の屋上を駆けるように黒いマントの三人組がマリーのいる公園へと飛んでいく。
「俺らの出番はまだ後だ……今はマリーを信じて、後をつけるぞ」
亮人ら五人は麗夜の後についていく。
黒いマントの三人組が向かっていく方向へ。
♂ × ?
『お父様……必ず助けますわ』
静寂の中で口にする言葉は暖かくも、一瞬にして消え去る。
深夜の寒空の下、数十分の中で考え、思い出していた過去。
初めは残酷で哀しむしかなかった記憶。誰も信じられなかった十年間は心が常に冷たいような感覚があった。
城から投げ出された時の父親の表情。優しく微笑みかけた姿を鮮明に思い出すと目尻から一滴に涙が頬を伝っていく。
大きく呼吸を吸い、大粒の涙を拭うマリーは亮人たちが待機している方向へと視線を向ける。ただ、振り向いた時の表情は悲しげなものではなく、力強く不安を感じさせないものに変化していた。
『今日で終わらせますわ……』
胸の前で握り込まれる拳から流れる血は地面を濡らす。
「来たっ!!」
耳元から聞こえる守護の言葉に顔を上げる。
『やっと来ましたわね…………』
手のひらから滴る血は一瞬にして止まり、傷も瞬時に治る。
『お父様を返してもらいますわ……』
街灯もない公園の中、マリーの足元に広がる闇は形を持つように揺らめく。
足を引きずるような動作をしながら、歩く度に地面の影は水面のように波紋を広げていく。
物音が一切しない公園の中、それは唐突に始まる。
一瞬にしてマリーの横に現れた巨漢の男はマリーへ一振りの拳を入れた。
『ガッハっ!!』
予想以上の衝撃と共にマリーの体は地面を数回バウンドし、壁へとヒビを入れるほどに衝突する。
連続するように一瞬にして距離を詰めてくる巨漢は再び、マリーの顔面へと拳を叩き込む。
恐ろしい程の速度と威力に辛うじて避けたマリーは自分の影の中へと逃げ込み、一度距離を離した。
視線の先、マリーがいた壁はたった一振りの拳によって粉砕されていた。
「中々……すばしっこいな」
首の骨を鳴らす巨漢は大きく深呼吸をし、動きを止める。
『何を……休んでるんですの』
「……………………」
フードで見えない巨漢の表情。だが、息一つとして乱していない様子はマリーが想定していた以上のものであった。
油断してるつもりはなかったですけど…………ちょっとまずいかもしれませんわね。
胸を右手で押さえれば、肋骨が折れているのが分かる程だった。
「っつ!!」
「よそ見をしている暇はないですよ」
『っ!!』
耳元で囁かれた声と同時に、マリーの腕からは激痛が走る。
背中から翼を生やし、空へと逃げる。
視線を左手へと向ければ、爛れている皮膚がそこあった。まるで強酸で溶かされたかのように爛れた腕は痛々しい状態となっていた。
マリーの後ろに突如現れたガスマスクの男の腕は粘液が垂れるかのようにぶら下がっている。
「普通なら、これだけで踠き苦しむんですが…………いやはや、さすが貴族とでも言っておきますか、最後のヴァンパイア」
俯いていたガスマスクの男は勢いよくマリーへと視線を向ければ、液状の腕を勢いよく振り回し、液体を飛ばす。
散弾のように放たれた水滴を避けていくマリーだが、動かしていた翼は時間が止まったかのように動かなくなった。そして、マリーの体自体も空中で留まり続ける。
『なんで、動けないんですのっ!?』
驚愕が襲うと同時に動かない的となったマリーの体は細かい水滴が幾つも付着していき、皮膚を溶かしていく。
苦痛で歪む表情は声を押し殺す為に唇を噛み締める。
「空を飛べるのが貴方だけだと…………思わないでください」
箒に跨る女はマリーの首へと手を掛け、力を込める。
異常に細い女の腕に込められる力は見かけとは掛け離れた力がある。
『あんた達…………何なのよ』
「私たちは怪物たちを殺す者だよ」
「我々の悲願にお前が必要」
「だから、私たちは…………貴方を連れて行かないといけないの」
女は小さく何かを呟くと、巨漢がいる足元から鉄製の十字架が現れる。
身動きが取れないマリーは何かに固定されたように十字架へ磔はりつけられる。
巨漢は100kgを超えるであろう十字架を担げば、重さを感じさせない動きで走り去っていく。
三人は再び、静寂に包まれた闇夜の街へと消えていく。
ただ、マリーが不敵に笑っていることを知らずに。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる