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史上初の女性剣闘士を目指して、頑張ります!

あなたの証を残して

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「実はわたくし、先日、二十歳になりまして」

「そいつぁ、おめでとうさん……アネさん年上だったとは気付かなかったな」

「シホももう、十八歳になりましたよね。あなたが人としていられる、残された時間も二年になってしまいました……そろそろわたくしも、勇気を出して行動に移さなければ。何もしないでその日を迎えてしまったら、きっと生涯拭い去れない後悔を抱えてしまうでしょうから」

 こと、ここに至っては、わたくしが何を口にしようとしているのか。元より聡い彼にわからないはずがありません。しかし、彼の表情からは「歓迎」でも「困惑」でもない感情が現れていて、心が挫けそうになってしまいます。

 シホの顔には、先ほどからずっと……どこまでも深い、「混迷」が滲んでいるから。

「わたくしは、いつか必ず、あなたが赤首になると信じていました。そのためにずっと努力しているところを見てきましたし、そんな姿に魅かれて、憧れて。あなたと同じ道を歩きたい。あなたに対等と認められたいという気持ちが根底にあったから、わたくしは選手として剣闘場に立つという夢に一歩、踏み出すことが出来ました。

だから……この気持ちを伝えるのは、あなたが赤首になったその日にすると決めていました。
シホ。わたくしは出会った当初から、あなたをずっとお慕いしているのです」

 怖気づきそうな心に鞭打つように、わたくしはまっすぐ彼に、挑むように想いを伝えます。
 ですが……ただ、「想いを伝える」よりも遥かな壁が、この先に立ちはだかっています。

「あと二年後にはあなたを永遠に失うかもしれないと思うと、わたくしにはとても辛いです。あなたの証を、わたくしの元に残させていただけませんか。わたくしに、あなたの」

「待ってくれ」

 肝心要の部分に差し掛かろうとしたところを、彼はぴしゃりと、遮断しました。もちろん、偶然ではなく、意図的でしょう。

「……わたくしでは、だめ、ですか……?」

 三年も共に過ごしながら、胸に秘めてきた想いを突然にぶつけているのです。こうなることも覚悟はしていました。ですが、それでもやはり、心臓にきりが突き刺さるような痛みに襲われます。

「レナだからダメだとか、そういうんじゃなくてだな。オレは、自分のいなくなった後の世界に、オレの……つまり、子供ってことだろ? そいつを残したいとは思えなくてな」

 わたくしに最後まで、言葉にさせてくれなかったから。シホは自分からその結論を口にしました。

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