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史上初の女性剣闘士を目指して、頑張ります!

史上最弱の対戦、ですか!?

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 剣闘場は成人が自分の意思で参加表明する自己責任の場で、教育機関ではありません。ですので、新しい規則が発生したとしても、いちいち全参加者を呼び集めて運営側が丁寧に説明をする。なんて儀礼はありません。

「対戦相手が女性や王族であっても、手心を加えるのを禁止する。誰が相手であっても全力で闘うこと」

 わたくしの初参加にあたって、選手控室の掲示板にその報せが貼り出されました。元より、参加規約に女性は参加してはいけないという文言はありません。開場以来百年間、たまたま女性の志願者がいなかったから、誰も「もし、対戦相手が女性だったら」ということを意識して活動されていなかった。

 規約に正式に書き加えてしまうとなると、その時点で男性と女性を区分けしていることになってしまうので、今回はこのように掲示することにしたというわけですね。

「姫様が相手なら俺でもようやく、初めての勝ちをもらえるかもって最初は思ったけど……よくよく考えたら、姫様を相手にどうやって戦えばいいんだ!?」

 わたくしの予選会初戦の対戦相手、コーリング様……いえ、コーリング、は、掲示を見て控えめに動揺していました。


「よぉ、コーリィ。調子はどうだ?」

 思い返してみれば、コーリングはシホと同期の選手で、予選会初戦の日に彼の背中に隠れてエリシア様とわたくしを窺っていた小柄な男性でした。当時十五歳であれから二年が経ち、成長期だったのか身長は今やシホに追いつきそうになっています。

「どうもこうもないよ! 俺が姫様の最初の対戦相手ってことはさぁ、まだ他に誰も、姫様と対戦した経験ある選手がいないってことじゃん! こういう時どうしたらいいか、俺が最初に考えなきゃいけない。責任重大じゃないかっ!」

「いやだから、その『相手がレナだからどうするか考える』をやめろっていうのがあの掲示だろ?」

「シホ!? つい昨日までは俺みたいに『お姫様』って呼んでただろ!?」

「今まではお姫様だったが、今日からは剣闘場のいち選手だからな。王宮にお座しますって時にゃあ別だろうが、剣闘場にいる時に限っちゃ対等に扱ってやらなきゃ逆に可哀想ってもんだろ」

「シホの言う通りですよ! わたくしにもあなたをコーリィと呼ばせていただけませんか!?」

「はいぃ!? 本気で言ってんですか!?」

「あ……、その、本当に嫌でしたら無理にとは申しません」

「え~……姫様からそんな風に言われて断れないっしょ……いいですよ、コーリィで。えーと、レナさん」


「あ、あ、ありがとうございますっ」

「調子狂うなぁ、もう……」

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