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第十一章
『計画に先駆けて』
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水棲種族を味方につけることが出来た。
その報告で一同は騒然となる。これまで難関とされてきた渡海作戦が、一気に現実のものとなったからだ。もちろん費用面など多くの問題も存在するが、それでもこの意味は計り知れない。
何故ならば海を渡るという事は、船が沈んだら戦う事も出来ずに死んでしまうからだ。
「海に生きる亜人たちを味方に付けたというのですか? それならば……」
「だが相当な報酬を吹っ掛けられたのではないか? それでは元が採れんぞ」
「それに何処まで信用できる? イル・カナンの方がマシではないのか?」
「この件についても順次説明しましょう。まずは残っている最後の三つ目の対案。南部から中央部を中心に我々でなく協力的なイラ・カナン人にやらせ、我らはその独立を多くの権益と共に協力するという物です。言い方は悪いですが傀儡の国家であり、属国とどちらがマシかは判りませんが……その効果はお判りいただけると思います」
水棲種族に関して驚く諸侯に対し、俺は述べて居なかった案を告げた。
最初に三つ対策があると言ったが、第三国の親オロシャ派を読んで証言を読んでおくこと、イラ・カナン中央部を通らない事、そして傀儡国家を作り上げ事という三つの方向性を用意したのだ。この三つの目の策に関しては判り易い。土地を切り取れない代わりに、金や特産品などの産物を代価として受け取れるのである。旨味は減るが直接統治するよりも問題は減るだろう。少なくともイル・カナン以外からは文句を付けられない。
小国を作って属国化するという意見に、諸侯は鼻白むが一定の理解を見せる。
「ああ……意味は分かる。判るが……それはどうなのだ?」
「ワザワザ攻め入ってまで他人を利するのもなあ?」
「だが、頭を突っ込んで火傷するよりはマシじゃぞ? 少なくともこちらに協力的な限りは恒常的に利益が出る。それに他人が儲けるという意味では、自分以外の貴族が領土を得てもあまり変わらんじゃろ」
今回の件では老バルガスが実に協力的だ。
何しろバルガス家は戦力だけではなく物資提供も期待されている。それなのに奪えるかもしれない土地は最初から無いというのでは、話が違うと言いたいだろう。もちろん老バルガスは最初から判っているから以前より協力的だが、自体が解明され、更にイル・カナンの干渉が酷い事から一族に列する貴族たちですらグダグダぶりを実感し始めた所だ。
土地を得る為には真っ直ぐ中央部から攻め入って、そのまま占拠し続けなければならない。しかしそれでは泥沼と化すことが今から判っているのだから。
「第三案に関しては当面の間は温めて行く保険案としましょう」
「その方が良いと判ったら実行するとして、最初は現地代官で声を掛けます」
「イル・カナンはその方向性で現地の知識を知らぬままに統治してます」
「その上でこの案の場合は、得られた代価を労力に見合った方向性で分配するとお約束しましょう。これから費やす費用の幾らかは回収できますよ、産物の場合はイラ・カナンの名産は葡萄酒や魚介類ですかね。もちろん必要に応じて、第二案ともども列車で往復できるようにも致します」
説明した上で、現時点では優先性の低いアイデアとしておく。
保険でありゴリ押ししなければ構わないという者は多いし、実際に泥沼化したら一抜けしたがる者も多いからだ。その上でこの案に食いついてくるのは、領地を得られないと判っている端下の貴族たちだ。強い派閥の連中が入る上に、実際に命を懸けるのは東部貴族なので面倒ばかりが多いので当然である。
そんな説明をした後で利益分配と列車の話をしておけば良いだろう。俺にとっても列車の受注は儲けになるから自然だしな。
「列車を通すのですか? それは良いですな。反対意見はありません」
「途中にある我領地を通してくださっても構いませんぞ」
「お前の所は山がちではないか。まあ南部は何処も同じだがな」
「理解が得られたところで水棲種族の話に戻しましょうか。待っている方もおられそうですしね。確か報酬と信用度に関しての疑義でしたね、まずは種族特性から説明します」
そしてこの話になると対応が変って来るのが南部貴族だ。
彼らにとっては第二案だと自分たちが活躍すれば土地を奪える可能性がある。同時に第三案があれば、命の掛かった消耗戦に突入するのを避けられるので断る理由もない。どちらであろうと列車が通るならば、その過程で土地開拓も出来るの願ったりかなったりだろう。後はどれだけ儲けられるか、あるいは領地が増えるか、戦況と情勢を見て行けば良いだけの話だ。
この流れで東部貴族と南部貴族を味方に付けたことで、俺の意見が通り易くなる。
「彼らは海では俊敏ですが陸では鈍重です。このために陸の領地に興味がなく、脅威があれば幾らでも撤退できることから、そちら方面の報酬には乗って来ません。領地を奪われる可能性がない代わりに、相当な代価を積み上げる必要があります。ただし、将来の約束にも冷徹ですので、数日単位での指定料金で賄えるのが、むしろ狙い処になるでしょう」
「ほう……選んだ数日間のみ協力してくれると?」
「ならば意外と代金は嵩まないかもしれませんな」
「それで安全に海を渡れるのならば悪くはないのか」
この件で西部貴族たちの顔色が変わる。
魔族の島を奪った場合に分配されるのは主に彼らだからだ。生き残った魔族が亜人種タイプで穏健で限りは、属国を作るという話も立ち上がるまい。その上で水棲種族を雇うのが数日単位ならば反対する理由も少ない。渡河作戦で上陸している間だけ、補給物資を送っている間だけというならば、仮に金貨1000枚であろうとも、命に関わる事が安全になるならば締結しておくべき案件なのだから。
この件は彼らが山林に住まう開拓貴族であり、海に対して道であることが幸いした。
「代価が嵩むと言うが、貴様が間で取っているのではないか?」
「それに関しては彼らに尋ねる機会があればいつでもどうぞ。彼らは種族性社会主義とでも言える民族ですので、話が通じる者なら全員が情報を共有している筈ですよ。おそらく何かの事情で『協力しろ』とその場で告げても、『代金を支払えば構わない』で済ませる筈です。これまでの例から言って、状況が変わっても代金は同じですね。例外はこちらの渡海能力が高いなら、それに合わせて安くなるというだけです」
取り巻き男爵殿が唾を飛ばしながら疑義を呈するが苦笑するしかない。
こんなことで中間搾取して何が得られるというのだろうか? 確かに水棲種族はとっつき難い相手でもあるが、誰も話をしたことのない未開の部族ではないのだ。何処からか情報は洩れるし、そうなった場合に中間搾取がバレたら俺の信用が失われるだけである。他でも儲ける手段が幾らでもあるのに、こんな事で信用を失うのは馬鹿馬鹿しいではないか。
そしてヨセフ伯が獰猛な笑みを浮かべたことで、その件は打ち切りになる。
「些事に関してはもう良い。次は作戦案に入れ」
「了解しました。これに関しては基本形のみを提示しますので、各自が持ち帰ってご相談ください」
こうして前段階までの話を通したことで、残るは実際にどう戦うかの話に移る。
水棲種族を味方につけることが出来た。
その報告で一同は騒然となる。これまで難関とされてきた渡海作戦が、一気に現実のものとなったからだ。もちろん費用面など多くの問題も存在するが、それでもこの意味は計り知れない。
何故ならば海を渡るという事は、船が沈んだら戦う事も出来ずに死んでしまうからだ。
「海に生きる亜人たちを味方に付けたというのですか? それならば……」
「だが相当な報酬を吹っ掛けられたのではないか? それでは元が採れんぞ」
「それに何処まで信用できる? イル・カナンの方がマシではないのか?」
「この件についても順次説明しましょう。まずは残っている最後の三つ目の対案。南部から中央部を中心に我々でなく協力的なイラ・カナン人にやらせ、我らはその独立を多くの権益と共に協力するという物です。言い方は悪いですが傀儡の国家であり、属国とどちらがマシかは判りませんが……その効果はお判りいただけると思います」
水棲種族に関して驚く諸侯に対し、俺は述べて居なかった案を告げた。
最初に三つ対策があると言ったが、第三国の親オロシャ派を読んで証言を読んでおくこと、イラ・カナン中央部を通らない事、そして傀儡国家を作り上げ事という三つの方向性を用意したのだ。この三つの目の策に関しては判り易い。土地を切り取れない代わりに、金や特産品などの産物を代価として受け取れるのである。旨味は減るが直接統治するよりも問題は減るだろう。少なくともイル・カナン以外からは文句を付けられない。
小国を作って属国化するという意見に、諸侯は鼻白むが一定の理解を見せる。
「ああ……意味は分かる。判るが……それはどうなのだ?」
「ワザワザ攻め入ってまで他人を利するのもなあ?」
「だが、頭を突っ込んで火傷するよりはマシじゃぞ? 少なくともこちらに協力的な限りは恒常的に利益が出る。それに他人が儲けるという意味では、自分以外の貴族が領土を得てもあまり変わらんじゃろ」
今回の件では老バルガスが実に協力的だ。
何しろバルガス家は戦力だけではなく物資提供も期待されている。それなのに奪えるかもしれない土地は最初から無いというのでは、話が違うと言いたいだろう。もちろん老バルガスは最初から判っているから以前より協力的だが、自体が解明され、更にイル・カナンの干渉が酷い事から一族に列する貴族たちですらグダグダぶりを実感し始めた所だ。
土地を得る為には真っ直ぐ中央部から攻め入って、そのまま占拠し続けなければならない。しかしそれでは泥沼と化すことが今から判っているのだから。
「第三案に関しては当面の間は温めて行く保険案としましょう」
「その方が良いと判ったら実行するとして、最初は現地代官で声を掛けます」
「イル・カナンはその方向性で現地の知識を知らぬままに統治してます」
「その上でこの案の場合は、得られた代価を労力に見合った方向性で分配するとお約束しましょう。これから費やす費用の幾らかは回収できますよ、産物の場合はイラ・カナンの名産は葡萄酒や魚介類ですかね。もちろん必要に応じて、第二案ともども列車で往復できるようにも致します」
説明した上で、現時点では優先性の低いアイデアとしておく。
保険でありゴリ押ししなければ構わないという者は多いし、実際に泥沼化したら一抜けしたがる者も多いからだ。その上でこの案に食いついてくるのは、領地を得られないと判っている端下の貴族たちだ。強い派閥の連中が入る上に、実際に命を懸けるのは東部貴族なので面倒ばかりが多いので当然である。
そんな説明をした後で利益分配と列車の話をしておけば良いだろう。俺にとっても列車の受注は儲けになるから自然だしな。
「列車を通すのですか? それは良いですな。反対意見はありません」
「途中にある我領地を通してくださっても構いませんぞ」
「お前の所は山がちではないか。まあ南部は何処も同じだがな」
「理解が得られたところで水棲種族の話に戻しましょうか。待っている方もおられそうですしね。確か報酬と信用度に関しての疑義でしたね、まずは種族特性から説明します」
そしてこの話になると対応が変って来るのが南部貴族だ。
彼らにとっては第二案だと自分たちが活躍すれば土地を奪える可能性がある。同時に第三案があれば、命の掛かった消耗戦に突入するのを避けられるので断る理由もない。どちらであろうと列車が通るならば、その過程で土地開拓も出来るの願ったりかなったりだろう。後はどれだけ儲けられるか、あるいは領地が増えるか、戦況と情勢を見て行けば良いだけの話だ。
この流れで東部貴族と南部貴族を味方に付けたことで、俺の意見が通り易くなる。
「彼らは海では俊敏ですが陸では鈍重です。このために陸の領地に興味がなく、脅威があれば幾らでも撤退できることから、そちら方面の報酬には乗って来ません。領地を奪われる可能性がない代わりに、相当な代価を積み上げる必要があります。ただし、将来の約束にも冷徹ですので、数日単位での指定料金で賄えるのが、むしろ狙い処になるでしょう」
「ほう……選んだ数日間のみ協力してくれると?」
「ならば意外と代金は嵩まないかもしれませんな」
「それで安全に海を渡れるのならば悪くはないのか」
この件で西部貴族たちの顔色が変わる。
魔族の島を奪った場合に分配されるのは主に彼らだからだ。生き残った魔族が亜人種タイプで穏健で限りは、属国を作るという話も立ち上がるまい。その上で水棲種族を雇うのが数日単位ならば反対する理由も少ない。渡河作戦で上陸している間だけ、補給物資を送っている間だけというならば、仮に金貨1000枚であろうとも、命に関わる事が安全になるならば締結しておくべき案件なのだから。
この件は彼らが山林に住まう開拓貴族であり、海に対して道であることが幸いした。
「代価が嵩むと言うが、貴様が間で取っているのではないか?」
「それに関しては彼らに尋ねる機会があればいつでもどうぞ。彼らは種族性社会主義とでも言える民族ですので、話が通じる者なら全員が情報を共有している筈ですよ。おそらく何かの事情で『協力しろ』とその場で告げても、『代金を支払えば構わない』で済ませる筈です。これまでの例から言って、状況が変わっても代金は同じですね。例外はこちらの渡海能力が高いなら、それに合わせて安くなるというだけです」
取り巻き男爵殿が唾を飛ばしながら疑義を呈するが苦笑するしかない。
こんなことで中間搾取して何が得られるというのだろうか? 確かに水棲種族はとっつき難い相手でもあるが、誰も話をしたことのない未開の部族ではないのだ。何処からか情報は洩れるし、そうなった場合に中間搾取がバレたら俺の信用が失われるだけである。他でも儲ける手段が幾らでもあるのに、こんな事で信用を失うのは馬鹿馬鹿しいではないか。
そしてヨセフ伯が獰猛な笑みを浮かべたことで、その件は打ち切りになる。
「些事に関してはもう良い。次は作戦案に入れ」
「了解しました。これに関しては基本形のみを提示しますので、各自が持ち帰ってご相談ください」
こうして前段階までの話を通したことで、残るは実際にどう戦うかの話に移る。
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