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第十章
『空中庭園のライトアップ大作戦』
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ゴーレムに組み込んだ呪文が暴走する理由を漸く特定した。
正確には『そうなるであろう理由』としての部分を省いて呪文搭載型ゴーレムを作ったら、偶然にも暴走しなかったのだ。その後に何度か同じようなゴーレムを作り、漸く特定したと断言できるに至った。
もっとも特定できただけの話で、解決にはまだまだ遠いのであるが。
「おめでとうございます! これでようやく次に進めますね」
「とはいえゴーレム魔術でちょうど良い塩梅に調整できるようになるまでは、初歩の呪文を組み込めるだけだけどな。ともあれ祝福は受け取っておくよ、ありがとうな」
セシリアが祝福してくれたので微妙ながら受け入れる。
現時点では大した呪文を組み込めないし、ゴーレムの方も中級程度の魔力保存量なのでどうしようもないのだ。ゴーレム魔術の完全成立により、保存量・魔力回復・ゴレーレム成立の三つの魔術を、何の強化も無く高い水準に出来ないと呪文のMP消費量によっては数回くらいしか使えないのである。
ただ、これで呪文を使うゴーレムの研究に弾みがつくことになる。
「師匠! これからどういうゴーレムを作るんですか? 私に協力できることはありますか? あれば頑張りますよ!」
「待て待て、いま表にまとめるから。覚えたら燃やしておけよ」
セシリアは丁度、自分の実力で世界を動かせると実感した所だ。
マジックアイテムを作れるし俺に協力すれば呪文を使えるゴーレムを建造できる。好奇心と充実感が一体化している状態だと言えるだろう。これからどんな呪文を覚えれば良いのか、既に覚えている呪文ならばどう使いこなせば良いのか、その方向性を求めているのだ。
本来ならば弟子でもここまでベッタリはしないのだが、たぶん次の目標がまだ見つかってないのと、依存したとしても俺が旦那なのだから別に困らないというのもあるかもしれない。
「第一条件として『当面は』、補助魔法で一切の強化しないこと」
「このことからゴーレムも呪文も、簡単に成功できるランクに限られる」
「魔力保有量も大したことはないから使えて数回というのもネックだ」
「誰でも使えるランク1、俺なら火のランク2後半と土の序盤、お前さんなら水のランク2の序盤。ってとこだな。エリーあたりなら火のランク3とか他にも行けるんだろうが、あいつに話を持って行くのはゴルビー側の利益を確保してからだ。それまでは一切漏らす気はない。例えあいつにも研究させて、こっちの技術を底上げしたくともな」
そもそもゴーレム創造魔法に限らず、創造門の術者は平均化する。
自分が覚えた呪文を付与できるのだから当然だろう。特にゴーレム創造魔法の使い手は専門ではない為、付与呪文を使う時にランクが劣化するので、その傾向があると言える。セシリアに関しては導師級になり立てだから仕方が無い事だな。
だから、ここでは考え方を変えてやる必要があるのだ。
「ただ呪文を使わせるならマジックアイテムを誰かに持たせれば良くなっちまう。冷却システムでは結局、従者の誰かが魔力を支払うサイクルの事を示しているだけだしな。だから人間が普段はやらない事、あるいは行きたくはない場所で行う作業になるだろう。例えば塔の上層で、食料や水もなしに毎日決まった時間に明かりを灯すとかだ」
「なるほど。普通はそんな所で呪文を使いたくないですよね」
結局のところ、ゴーレムに呪文を持たせるのは使わせる為だ。
人間が普通にできることをゴーレムにやらせる必要は無い。塩田を作る時にも出た話だが、最初は奴隷で済むからと反対されたものだ。だが俺は吞まず食わずで、二十四時間ゴーレムを動かすと言う点でその問題をクリアしている。この回もそのポイントを無視することはできないのだ。
だから塔の上で明かりを灯す灯台が例になった。
「では継続光の呪文として、何処に設置するんですか?」
「最初に考えたのは海だったんだけどな。海洋探索や海外貿易をするなら要衝に常に光る灯火があった方がいい。だが、今の所は水棲種族と出逢った事でその話は頓挫した。もし海に設置するとしたら、連中のバザールを整備する条件の代わりに、何かを要求する時だろうな。だから場所は陸地になる」
頼まれてもないのに灯台を設置する必要もないし、他に問題もある。
レオニード伯に釘を刺されているので、少なくとも中継拠点や港の方に何かをするのは禁物だろう。やるならばゴルビー側であり、百歩譲ってもキーエル伯家の河川港当たりだろうか? 勿論これも求められてないのにすることではないので、考察することはあっても後回しになるだろう。
おそらくはこれから俺がやる事を見て、水棲種族やキーエル家が何かを言って来たら代価と共に答える形になる。
「技術検証という意味では行う事が決定してるわけだが、コストを考えれば無駄使いは出来ない。むしろ将来を考えて有益な内容で試すべきだろう。例えば要塞の警備、街道の警備と通行補助、百足列車の夜間走行。空中庭園の警備とライトアップ。夜間での営業も見据えた眠らない新市街地ってとこか。ここから数の問題や距離の検証問題をまず省く」
「という事は街道とか列車が消えますから、要塞とお屋敷ですかね」
当たり前だがテスト以前の技術検証に過ぎないから数を作れない。
諸人が『これは有用だ!』と認めれば別として、最初はもっと小さく始めるべきだろう。だから街道設置は論外だし、百足列車に搭載してみて『ゴーレム列車との距離はどのくらい離すべきか?』なんて議論を今の段階ですべきではないのだ。そもそも、現時点では夜間に移動するメリットよりも、町ごとに宿を借りて現地に金を落す方がありがたいのだから。
という訳で要塞の警備などに充てるべきなのだが、それでも順番と言うものはある。なにしろ要塞を守るのは俺の仕事ではないからだ。
「説得を兼ねて検証する順番も覚えといた方がいいぞ。今後も俺に交渉や実用を丸投げするなら別だがな。まず空中庭園に使って検証しつつ、レオニード伯や他の貴族にでも見せる。複数のゴーレムをどう交代させれば警備し易く成り、かつ建物の威容を誇り易くなるかの経験を得ておくわけだ。有用だと認められたら主要な要塞に施すことにして、最終的には王城を目立たせると同時に警備を万全にする計画に持って行くわけだな」
「なるほど! 確かに最初から王城の話をするわけにもいきませんしね!」
まずは手元で検証しつつ、自分の屋敷をド派手に飾り付ける訳だ。
その上で『これは実験用で、要塞を守る為に使うのはどうでしょう? もちろん陛下が認められるならば王城を飾り付けます』と提案しておくわけだ。そうすれば『ゴルビー伯は自分の屋敷を誇っている!』などと味方からは見られないし、政敵が『あいつは王より目立ってます』と讒言しても効かないということになる(次世代以降に険悪になったら話は別だが)。次に自分の所有する列車で夜間走行を検証しておけば、仮に戦争が起きた時に便利になるだろう。
そしてこの話の良い所は、水作成のマジックアイテムと並んで要塞を堅固にするという提案であり、俺が反旗を翻さないという証拠になるのだ。
「という訳で検証を兼ねて作って行くわけだが、同時に将来作る数を考慮しておく。現状では少なくとも二機以上のローテーションが必要な上、単純に警備を考えたら山一つを囲む訳だから相当な数になる。将来的には列車や街道にも用意することになるから、相当な数になるだろうな。ただし、本格的な増産はゴーレム魔術師が増えてからもでも良いと言えなくもないが」
「そうですね。私はゴルビーに残る事にしましたけど流石に足りないかも」
発光の呪文は10分なので消費が少ないが、持続光は1時間だから多い。
ゴーレムに消費させまくって消耗し尽くす連続実験では5回で、安全なのは4回までか休ませて使うべきだということだ。1時間程度ではMPもロクに回復しないだろうから、最低でももう1台とペアを組んで途中で後退するか、交互に2時間なり3時間交替で使用する必要がある。将来的にゴーレム魔術師が増えて数を用意できるか、MPを多く保有させて1機で十分な性能を持たせられるまではこのままだろう。
その上で警備体制を考慮して、効率的な警備システムを作る必要がある。
「ゴルビーでは壁を他の場所に立てているから無理だが、要塞ならば入り口付近と壁の低い場所だけで良いだろう。だが、今後に他の場所や王宮まで考えると効率の良い警備体制は必要になって来る。ここは空中庭園でも正面のみを固定し、後は巡回としよう。そして巡回だけではなく、隠れて警備する夜目の効く人間や警備システム、できれば熱源探知のマジックアイテムによる複合的な警備が理想的だろうな」
「そうですね。普通は何処も巡回の警備が普通なのでそれで良いかと」
現時点のゴルビーは平穏なので無理して警備する程でもない。
何しろ人間もだが木々の絶対数が少なく、遠目に見れば誰かが接近しただけで丸判りなのだ。だが、いつまでもそうではないしゴルビーが隆盛し、植物が増えるにつれて問題も出て来るだろう。だから今のうちに警備するとも言えるし、空中庭園の周辺の土地は管理下に置いておく必要があった。
後はせっかくなので、遊び心を入れるくらいだろうか?
「正面に四機ほど置いて、二機を交代で正面の警備。残り二機を交代で巡回に出して兵士とセットにすれば最低限の保証にはなるだろう。後はどれだけ巡回の数を増やすか、固定場所を増やすかだが、それは要塞への導入が決まってからでも良いな。その上で、最初は実験だしレオニード伯たちを警戒させるきはないのでゴーレムの形をこうするつもりだ」
「あ、可愛いですね。私は良いと思いますよ」
メモにファンシーな動物の絵を描いてみた。
マーライオンの他に猫とか白鳥などの形にして、上に乗れる様にしたものだ。ゴーレムには一定のサイズが必要なのだが、あまり物々しいと警戒されてしまう。だが、昼間は四機のゴーレムが空中庭園の前にあるスペ-スや遊水池の上で踊るように回転して居たらどうだろうか? それが夜中になると発光して巡回するから警備用であるとは判るにせよ、ファンシーな見た目は警戒心を削いでくれると思われた。
そして空中庭園のある山の中に警備システムを隠して置き、夜目の聞く兵士を優遇すると募れば、ある程度の警備は整えられるだろう。
ゴーレムに組み込んだ呪文が暴走する理由を漸く特定した。
正確には『そうなるであろう理由』としての部分を省いて呪文搭載型ゴーレムを作ったら、偶然にも暴走しなかったのだ。その後に何度か同じようなゴーレムを作り、漸く特定したと断言できるに至った。
もっとも特定できただけの話で、解決にはまだまだ遠いのであるが。
「おめでとうございます! これでようやく次に進めますね」
「とはいえゴーレム魔術でちょうど良い塩梅に調整できるようになるまでは、初歩の呪文を組み込めるだけだけどな。ともあれ祝福は受け取っておくよ、ありがとうな」
セシリアが祝福してくれたので微妙ながら受け入れる。
現時点では大した呪文を組み込めないし、ゴーレムの方も中級程度の魔力保存量なのでどうしようもないのだ。ゴーレム魔術の完全成立により、保存量・魔力回復・ゴレーレム成立の三つの魔術を、何の強化も無く高い水準に出来ないと呪文のMP消費量によっては数回くらいしか使えないのである。
ただ、これで呪文を使うゴーレムの研究に弾みがつくことになる。
「師匠! これからどういうゴーレムを作るんですか? 私に協力できることはありますか? あれば頑張りますよ!」
「待て待て、いま表にまとめるから。覚えたら燃やしておけよ」
セシリアは丁度、自分の実力で世界を動かせると実感した所だ。
マジックアイテムを作れるし俺に協力すれば呪文を使えるゴーレムを建造できる。好奇心と充実感が一体化している状態だと言えるだろう。これからどんな呪文を覚えれば良いのか、既に覚えている呪文ならばどう使いこなせば良いのか、その方向性を求めているのだ。
本来ならば弟子でもここまでベッタリはしないのだが、たぶん次の目標がまだ見つかってないのと、依存したとしても俺が旦那なのだから別に困らないというのもあるかもしれない。
「第一条件として『当面は』、補助魔法で一切の強化しないこと」
「このことからゴーレムも呪文も、簡単に成功できるランクに限られる」
「魔力保有量も大したことはないから使えて数回というのもネックだ」
「誰でも使えるランク1、俺なら火のランク2後半と土の序盤、お前さんなら水のランク2の序盤。ってとこだな。エリーあたりなら火のランク3とか他にも行けるんだろうが、あいつに話を持って行くのはゴルビー側の利益を確保してからだ。それまでは一切漏らす気はない。例えあいつにも研究させて、こっちの技術を底上げしたくともな」
そもそもゴーレム創造魔法に限らず、創造門の術者は平均化する。
自分が覚えた呪文を付与できるのだから当然だろう。特にゴーレム創造魔法の使い手は専門ではない為、付与呪文を使う時にランクが劣化するので、その傾向があると言える。セシリアに関しては導師級になり立てだから仕方が無い事だな。
だから、ここでは考え方を変えてやる必要があるのだ。
「ただ呪文を使わせるならマジックアイテムを誰かに持たせれば良くなっちまう。冷却システムでは結局、従者の誰かが魔力を支払うサイクルの事を示しているだけだしな。だから人間が普段はやらない事、あるいは行きたくはない場所で行う作業になるだろう。例えば塔の上層で、食料や水もなしに毎日決まった時間に明かりを灯すとかだ」
「なるほど。普通はそんな所で呪文を使いたくないですよね」
結局のところ、ゴーレムに呪文を持たせるのは使わせる為だ。
人間が普通にできることをゴーレムにやらせる必要は無い。塩田を作る時にも出た話だが、最初は奴隷で済むからと反対されたものだ。だが俺は吞まず食わずで、二十四時間ゴーレムを動かすと言う点でその問題をクリアしている。この回もそのポイントを無視することはできないのだ。
だから塔の上で明かりを灯す灯台が例になった。
「では継続光の呪文として、何処に設置するんですか?」
「最初に考えたのは海だったんだけどな。海洋探索や海外貿易をするなら要衝に常に光る灯火があった方がいい。だが、今の所は水棲種族と出逢った事でその話は頓挫した。もし海に設置するとしたら、連中のバザールを整備する条件の代わりに、何かを要求する時だろうな。だから場所は陸地になる」
頼まれてもないのに灯台を設置する必要もないし、他に問題もある。
レオニード伯に釘を刺されているので、少なくとも中継拠点や港の方に何かをするのは禁物だろう。やるならばゴルビー側であり、百歩譲ってもキーエル伯家の河川港当たりだろうか? 勿論これも求められてないのにすることではないので、考察することはあっても後回しになるだろう。
おそらくはこれから俺がやる事を見て、水棲種族やキーエル家が何かを言って来たら代価と共に答える形になる。
「技術検証という意味では行う事が決定してるわけだが、コストを考えれば無駄使いは出来ない。むしろ将来を考えて有益な内容で試すべきだろう。例えば要塞の警備、街道の警備と通行補助、百足列車の夜間走行。空中庭園の警備とライトアップ。夜間での営業も見据えた眠らない新市街地ってとこか。ここから数の問題や距離の検証問題をまず省く」
「という事は街道とか列車が消えますから、要塞とお屋敷ですかね」
当たり前だがテスト以前の技術検証に過ぎないから数を作れない。
諸人が『これは有用だ!』と認めれば別として、最初はもっと小さく始めるべきだろう。だから街道設置は論外だし、百足列車に搭載してみて『ゴーレム列車との距離はどのくらい離すべきか?』なんて議論を今の段階ですべきではないのだ。そもそも、現時点では夜間に移動するメリットよりも、町ごとに宿を借りて現地に金を落す方がありがたいのだから。
という訳で要塞の警備などに充てるべきなのだが、それでも順番と言うものはある。なにしろ要塞を守るのは俺の仕事ではないからだ。
「説得を兼ねて検証する順番も覚えといた方がいいぞ。今後も俺に交渉や実用を丸投げするなら別だがな。まず空中庭園に使って検証しつつ、レオニード伯や他の貴族にでも見せる。複数のゴーレムをどう交代させれば警備し易く成り、かつ建物の威容を誇り易くなるかの経験を得ておくわけだ。有用だと認められたら主要な要塞に施すことにして、最終的には王城を目立たせると同時に警備を万全にする計画に持って行くわけだな」
「なるほど! 確かに最初から王城の話をするわけにもいきませんしね!」
まずは手元で検証しつつ、自分の屋敷をド派手に飾り付ける訳だ。
その上で『これは実験用で、要塞を守る為に使うのはどうでしょう? もちろん陛下が認められるならば王城を飾り付けます』と提案しておくわけだ。そうすれば『ゴルビー伯は自分の屋敷を誇っている!』などと味方からは見られないし、政敵が『あいつは王より目立ってます』と讒言しても効かないということになる(次世代以降に険悪になったら話は別だが)。次に自分の所有する列車で夜間走行を検証しておけば、仮に戦争が起きた時に便利になるだろう。
そしてこの話の良い所は、水作成のマジックアイテムと並んで要塞を堅固にするという提案であり、俺が反旗を翻さないという証拠になるのだ。
「という訳で検証を兼ねて作って行くわけだが、同時に将来作る数を考慮しておく。現状では少なくとも二機以上のローテーションが必要な上、単純に警備を考えたら山一つを囲む訳だから相当な数になる。将来的には列車や街道にも用意することになるから、相当な数になるだろうな。ただし、本格的な増産はゴーレム魔術師が増えてからもでも良いと言えなくもないが」
「そうですね。私はゴルビーに残る事にしましたけど流石に足りないかも」
発光の呪文は10分なので消費が少ないが、持続光は1時間だから多い。
ゴーレムに消費させまくって消耗し尽くす連続実験では5回で、安全なのは4回までか休ませて使うべきだということだ。1時間程度ではMPもロクに回復しないだろうから、最低でももう1台とペアを組んで途中で後退するか、交互に2時間なり3時間交替で使用する必要がある。将来的にゴーレム魔術師が増えて数を用意できるか、MPを多く保有させて1機で十分な性能を持たせられるまではこのままだろう。
その上で警備体制を考慮して、効率的な警備システムを作る必要がある。
「ゴルビーでは壁を他の場所に立てているから無理だが、要塞ならば入り口付近と壁の低い場所だけで良いだろう。だが、今後に他の場所や王宮まで考えると効率の良い警備体制は必要になって来る。ここは空中庭園でも正面のみを固定し、後は巡回としよう。そして巡回だけではなく、隠れて警備する夜目の効く人間や警備システム、できれば熱源探知のマジックアイテムによる複合的な警備が理想的だろうな」
「そうですね。普通は何処も巡回の警備が普通なのでそれで良いかと」
現時点のゴルビーは平穏なので無理して警備する程でもない。
何しろ人間もだが木々の絶対数が少なく、遠目に見れば誰かが接近しただけで丸判りなのだ。だが、いつまでもそうではないしゴルビーが隆盛し、植物が増えるにつれて問題も出て来るだろう。だから今のうちに警備するとも言えるし、空中庭園の周辺の土地は管理下に置いておく必要があった。
後はせっかくなので、遊び心を入れるくらいだろうか?
「正面に四機ほど置いて、二機を交代で正面の警備。残り二機を交代で巡回に出して兵士とセットにすれば最低限の保証にはなるだろう。後はどれだけ巡回の数を増やすか、固定場所を増やすかだが、それは要塞への導入が決まってからでも良いな。その上で、最初は実験だしレオニード伯たちを警戒させるきはないのでゴーレムの形をこうするつもりだ」
「あ、可愛いですね。私は良いと思いますよ」
メモにファンシーな動物の絵を描いてみた。
マーライオンの他に猫とか白鳥などの形にして、上に乗れる様にしたものだ。ゴーレムには一定のサイズが必要なのだが、あまり物々しいと警戒されてしまう。だが、昼間は四機のゴーレムが空中庭園の前にあるスペ-スや遊水池の上で踊るように回転して居たらどうだろうか? それが夜中になると発光して巡回するから警備用であるとは判るにせよ、ファンシーな見た目は警戒心を削いでくれると思われた。
そして空中庭園のある山の中に警備システムを隠して置き、夜目の聞く兵士を優遇すると募れば、ある程度の警備は整えられるだろう。
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