45 / 167
第六章
『急展開に急展開をぶつけてみる』
しおりを挟む
●
話が思わぬ方向へと急展開した。
予定よりも早くオロシャ国が平穏になるのは良いのだが、富国強兵政策に成ってしまい、そのまま他国へと出兵しかねない流れが見える程だった。
今まで反対していたヨセフ伯がいきなり歩み寄ったというのは、それほどの事態である。
「ミハイル。生来の貴族ではないお前に言っておくが、貴族の戦いは過程ではない。最後に笑うのが誰か……だ。その意味でヨセフは上手くやったな」
「確かにまずいですね。早いか遅いかの差だけすから」
何が問題かと言って、特に否定する要素が無い事だ。
国家間に永遠の友好などあり得ず、手を組んでいる同盟も状況が変れば平然と脅したり関税を変更するなど当然の時代なのだから。国内の貴族からしてみれば、魔物の討伐が出来ていない他国を征服し、自国が安全かつ豊かになるならば良いではないかと思っていても不思議ではない。
今までソレをしなかったのは、人類よりも遥かに強大な魔王と魔族の存在があったからだ。
(何がマズイかって、この間の二人と同じだ。最後以外の問題が無い)
(他の貴族から見れば国内の主導権の方が大きいと見るだろう)
(ヨセフ伯がこちらに譲り、統一した力で街道を整備しつつ魔物を狩る)
(それのどこが駄目なのだとみんな口にする筈だ。しかし沢山のゴーレムで畑や用水路を整え、集団農業を導入して難民を農民に変えるという案が、そのまま奴の狙いを補強してしまうんだ。量産するゴーレムだって元は工事用ではなく軍事用だからな。例え軽トラくらいの能力であっても、人を撥ねるには十分だ。いや3mもあるんだからまさにトラックだな)
この話は一見良い話に見えるのだが、最終系が侵略戦争になるのが問題だ。
仮に新型のケンタウルスゴーレムを増やさずとも、十機・二十機と旧型を揃えてしまったら意味が無い。少なくともその雄姿に貴族は軍事的な期待を有するだろうし、その事を警戒したからこそニコイチで魔王軍との最終戦では数の調整をしていたのだ(修理する余裕も無かったのもあるが)。
「……どちらかと言えば我々の方が異端なのかもしれんな」
「魔族に滅ぼされた国を見て来ましたからね。あの日々を過ごしたら戦いは二度と御免だと思うのは仕方が無いですよ。対して『彼ら』は食料や軍需物資を前線に送る以外の問題を見ていないでしょうから。まあ自分ちの畑で採れた野菜を前線で使うからともって行かれるのもつらい経験でしょうけどね」
正直な話、戦い続けた経験があると戦争はしたくない。
小説やゲームでいう冒険者だと、依頼中の集中した状態と言うよりは、ダンジョンに延々と潜り続けているハック&スラッシュの方が近いだろう。それだってプレイヤーや読者は毎日ダンジョンに潜っているわけではないので、緊張感の連続という意味では実感が無いだろう。
戦っても戦っても次々敵が出て来るし、安全地帯をつくって休憩していても、最前線の状況が気になるし味方を突破して此処も危険になるのではないかという思いが拭えなくなるのだ。
「ヨセフが此処までやったんだ。最終的に戦争に成るのは避けれまい」
「閣下っ!? それでは……」
「まあ聞け。南だとか人相手とは言っておらんだろう」
「……東。滅びた国と、魔族領ですか」
駄目だと言っても理屈をつけてゴーレムを持って行くだろう。
それを阻む理由が無い以上、富国強兵の果てに軍拡と軍事侵攻を行うのは避けられまい。少なくともレオニード伯はそう判断したようだ。だが、以前に俺がポーセス打通を提案したように、レオニード伯も別の流れに誘導しようと思ったらしい。
ゴルビーからみれば南東だが、バルガス河なら南東くらいの位置に魔族の島がある。その影響で東部は大変だし、更に東はもっと大変だった。そこならば大義名分も立つし人間相手にするよりも妥当ではある。
「苦労が比較にならんとは言うなよ? だが他に方法を思いつかん」
「そうですね。人間同士で争う事を考えたら随分と気が楽です」
戦力が増えて、戦いたいと皆が思ってしまうのは許容するしかない。
だが、人間同士で争うのは二重の意味で不毛だった。戦いで疲弊し難し見合う事に加えて、いつか魔族の勢力が再び勢いを増した時に酷い目にあるのは目に見えているからだ。それに比べたら。魔将がいない、今のうちに魔族を叩けるだけ叩いてしまうべきだろう。もちろん戦いに参加していない魔将が出てくるような藪蛇に成る可能性もゼロではない。だが、目に見えた将来の危機に備えるという意味でも、こちらの選択肢の方がまともだと言える。
少なくとも、魔王と思っていたのが落ち武者で、話に出ている島が魔界と言うオチはないのだけは判っているのだから。此処で動いて置けば、将来の苦労はかなり減る筈だった。
「その為にも今から仕込んで行くしかないが、ヨセフを数年黙らせたいな。今だと間違いなくプロシャと戦った方が早い。何かないか?」
「今の技術は過渡期だと言うしかないですね」
「あの新型の様にか?」
「出来ればもっと、です」
ヨセフ伯に直接渡しても行きつく先はクーデターだ。
だから彼に与えるというよりは、陛下の元で行政府や国軍に技術を渡すのが妥当だろう。その上で一定数を西にも配備するとか、探知システムを国境全域に張り巡らせるとか、そういう感じで現状をまとめるしかない。その間に次の新型を用意して、『現時点で戦争をするよりも、もっと待った方が良いのではないか?』と思わせるしかないだろう。
そんな都合の良いモノがあるのか?
そう言われたら存在する筈はないが、アイデアだけなら転生前の知識があった。ストーリーはシェイクスピアの時代に掘り尽くされ、特殊能力やロボットはクールジャパンの時代に出尽くしたと言われるくらいだからな。
「ガブリールの奴が冗談で口にした水に潜れるゴーレムは作れる範囲です。それがあれば海での移動は安全になるでしょうし、船自体にもゴーレムの能力を導入できます。空を飛ぶのは検討中ですが、魔法を増幅するアカガネの延長なら……いえ、あれは駄目ですね。クソガキが手に入れたら問題だ」
「悪夢だな。その時は三日で国が亡びるだろう。他の方法にしてくれ」
水中用ゴーレムは普通に作れる。何しろゴーレムは呼吸しないからな。
臨時でフレッシュゴーレムにしたケイブワームの死体なんか、もろに水中用ゴーレムだと言えるだろう。あの後、適当に地下水道を巡らせたが、始末するために地上に出した時に腐食した様子も浸水した様子も無かった。流石に深海での行動は駄目だろうが、水中での機動にに問題があるとも思えない。木材と石材で浮力のバランスをとれば、下手な潜水艦よりも戦えるだろう。
まあ、本当のことを言えば空飛ぶゴーレムを作りたいんだけどな。
「そのつもりです。ドラゴンでも倒したら直ぐなんですけどね。それと……人が乗るタイプはどうです?」
「チャリオットや馬そのものか? なら馬車でも行けそうな気がするな」
「それも作れますが、新型くらいに大きいと座席を用意できますからね」
「前に乗り心地が最悪だと言っていたろう。将来に期待はしておくがな」
俺はゴーレムの最終系として魔物の素材を使ったフレッシュゴーレムを口にした。
そしてソレを打ち消すかのように、もっと現実味を帯びた人間が搭乗できるゴーレムについて説明する。極論を言えば、伯爵が口にしたチャリオットや馬車の発展形として、車の様なゴーレムを用意するのは難しくない。ゴルビーに来る時に荷車を一時的にゴーレムにした事があるが、車輪付きのナニカをゴーレムにするのは難しくないのだ。
もし、荷車を全部ゴーレムに出来たら、それだけで出征は楽になる。そう思わせるだけで、ヨセフ伯を一年か二年は黙らせることが出来るだろう。
「以上の事を実現する為、大学でゴーレムの術師を育てませんか?」
「他にも有用な魔術系統があるなら、国家として育てて良いと思います」
「大学で学びたい者を集めるだけではなく、騎士や文官に魔術師を育てます」
「今よりも五年、十年後を見据えた提案ですけどね。今回には丁度良い筈です」
術師一人と侮るなかれ。先ほどの荷車型ゴーレム公開と共に募集を始める。
するとああいった生活に便利なゴーレムが一気に普及することになるし、そのために素質のある者を送り込もうとする勢力も増えるだろう。戦闘用のゴーレムでは戦争以外に使えないが、作業用と荷車のゴーレムは日頃から役に立つ。そして、そこまで揃えたら通常のゴーレムも欲しくなるし、騎士が鎧と軍馬を揃えるように、一つの領地に様々なゴーレムが存在する日もやって来るかもしれない。
少なくとも、ヨセフ伯には補給が少なくて済む、ゴーレム動力の戦車隊か何かを想像するはずだった。
「良いのか? そなたの知見だぞ……」
「流石に全部ではないですよ。それに、やるなら派手な方が良い筈です」
「確かにな。これならヨセフどころか私も野心を抱きそうになる」
「勘弁してくださいよ、閣下」
ひとまず、これで今回の件と将来の不安が軽減される筈だ。
ヨセフ伯が野心で行動しているにしても、ゲオルギアより西方にある諸国を警戒しているにせよ、今クーデターやら侵略戦争を引き起こすよりも、数年後の技術を見据えて人材教育に投資した方が良いのは判る筈だ。西でも街道整備と言う理由で魔物対策をするなら、それだけで二年・三年は掛かる。おそらく暫くは様子を見て、もっと強い国にしてから周辺諸国を脅すという方向に切り替えると俺たちは推測していたのである。
まさか既に戦力となるモノを試作させて、簡単には引けない状態だとはこの時の俺たちは思いもしなかったのである。
話が思わぬ方向へと急展開した。
予定よりも早くオロシャ国が平穏になるのは良いのだが、富国強兵政策に成ってしまい、そのまま他国へと出兵しかねない流れが見える程だった。
今まで反対していたヨセフ伯がいきなり歩み寄ったというのは、それほどの事態である。
「ミハイル。生来の貴族ではないお前に言っておくが、貴族の戦いは過程ではない。最後に笑うのが誰か……だ。その意味でヨセフは上手くやったな」
「確かにまずいですね。早いか遅いかの差だけすから」
何が問題かと言って、特に否定する要素が無い事だ。
国家間に永遠の友好などあり得ず、手を組んでいる同盟も状況が変れば平然と脅したり関税を変更するなど当然の時代なのだから。国内の貴族からしてみれば、魔物の討伐が出来ていない他国を征服し、自国が安全かつ豊かになるならば良いではないかと思っていても不思議ではない。
今までソレをしなかったのは、人類よりも遥かに強大な魔王と魔族の存在があったからだ。
(何がマズイかって、この間の二人と同じだ。最後以外の問題が無い)
(他の貴族から見れば国内の主導権の方が大きいと見るだろう)
(ヨセフ伯がこちらに譲り、統一した力で街道を整備しつつ魔物を狩る)
(それのどこが駄目なのだとみんな口にする筈だ。しかし沢山のゴーレムで畑や用水路を整え、集団農業を導入して難民を農民に変えるという案が、そのまま奴の狙いを補強してしまうんだ。量産するゴーレムだって元は工事用ではなく軍事用だからな。例え軽トラくらいの能力であっても、人を撥ねるには十分だ。いや3mもあるんだからまさにトラックだな)
この話は一見良い話に見えるのだが、最終系が侵略戦争になるのが問題だ。
仮に新型のケンタウルスゴーレムを増やさずとも、十機・二十機と旧型を揃えてしまったら意味が無い。少なくともその雄姿に貴族は軍事的な期待を有するだろうし、その事を警戒したからこそニコイチで魔王軍との最終戦では数の調整をしていたのだ(修理する余裕も無かったのもあるが)。
「……どちらかと言えば我々の方が異端なのかもしれんな」
「魔族に滅ぼされた国を見て来ましたからね。あの日々を過ごしたら戦いは二度と御免だと思うのは仕方が無いですよ。対して『彼ら』は食料や軍需物資を前線に送る以外の問題を見ていないでしょうから。まあ自分ちの畑で採れた野菜を前線で使うからともって行かれるのもつらい経験でしょうけどね」
正直な話、戦い続けた経験があると戦争はしたくない。
小説やゲームでいう冒険者だと、依頼中の集中した状態と言うよりは、ダンジョンに延々と潜り続けているハック&スラッシュの方が近いだろう。それだってプレイヤーや読者は毎日ダンジョンに潜っているわけではないので、緊張感の連続という意味では実感が無いだろう。
戦っても戦っても次々敵が出て来るし、安全地帯をつくって休憩していても、最前線の状況が気になるし味方を突破して此処も危険になるのではないかという思いが拭えなくなるのだ。
「ヨセフが此処までやったんだ。最終的に戦争に成るのは避けれまい」
「閣下っ!? それでは……」
「まあ聞け。南だとか人相手とは言っておらんだろう」
「……東。滅びた国と、魔族領ですか」
駄目だと言っても理屈をつけてゴーレムを持って行くだろう。
それを阻む理由が無い以上、富国強兵の果てに軍拡と軍事侵攻を行うのは避けられまい。少なくともレオニード伯はそう判断したようだ。だが、以前に俺がポーセス打通を提案したように、レオニード伯も別の流れに誘導しようと思ったらしい。
ゴルビーからみれば南東だが、バルガス河なら南東くらいの位置に魔族の島がある。その影響で東部は大変だし、更に東はもっと大変だった。そこならば大義名分も立つし人間相手にするよりも妥当ではある。
「苦労が比較にならんとは言うなよ? だが他に方法を思いつかん」
「そうですね。人間同士で争う事を考えたら随分と気が楽です」
戦力が増えて、戦いたいと皆が思ってしまうのは許容するしかない。
だが、人間同士で争うのは二重の意味で不毛だった。戦いで疲弊し難し見合う事に加えて、いつか魔族の勢力が再び勢いを増した時に酷い目にあるのは目に見えているからだ。それに比べたら。魔将がいない、今のうちに魔族を叩けるだけ叩いてしまうべきだろう。もちろん戦いに参加していない魔将が出てくるような藪蛇に成る可能性もゼロではない。だが、目に見えた将来の危機に備えるという意味でも、こちらの選択肢の方がまともだと言える。
少なくとも、魔王と思っていたのが落ち武者で、話に出ている島が魔界と言うオチはないのだけは判っているのだから。此処で動いて置けば、将来の苦労はかなり減る筈だった。
「その為にも今から仕込んで行くしかないが、ヨセフを数年黙らせたいな。今だと間違いなくプロシャと戦った方が早い。何かないか?」
「今の技術は過渡期だと言うしかないですね」
「あの新型の様にか?」
「出来ればもっと、です」
ヨセフ伯に直接渡しても行きつく先はクーデターだ。
だから彼に与えるというよりは、陛下の元で行政府や国軍に技術を渡すのが妥当だろう。その上で一定数を西にも配備するとか、探知システムを国境全域に張り巡らせるとか、そういう感じで現状をまとめるしかない。その間に次の新型を用意して、『現時点で戦争をするよりも、もっと待った方が良いのではないか?』と思わせるしかないだろう。
そんな都合の良いモノがあるのか?
そう言われたら存在する筈はないが、アイデアだけなら転生前の知識があった。ストーリーはシェイクスピアの時代に掘り尽くされ、特殊能力やロボットはクールジャパンの時代に出尽くしたと言われるくらいだからな。
「ガブリールの奴が冗談で口にした水に潜れるゴーレムは作れる範囲です。それがあれば海での移動は安全になるでしょうし、船自体にもゴーレムの能力を導入できます。空を飛ぶのは検討中ですが、魔法を増幅するアカガネの延長なら……いえ、あれは駄目ですね。クソガキが手に入れたら問題だ」
「悪夢だな。その時は三日で国が亡びるだろう。他の方法にしてくれ」
水中用ゴーレムは普通に作れる。何しろゴーレムは呼吸しないからな。
臨時でフレッシュゴーレムにしたケイブワームの死体なんか、もろに水中用ゴーレムだと言えるだろう。あの後、適当に地下水道を巡らせたが、始末するために地上に出した時に腐食した様子も浸水した様子も無かった。流石に深海での行動は駄目だろうが、水中での機動にに問題があるとも思えない。木材と石材で浮力のバランスをとれば、下手な潜水艦よりも戦えるだろう。
まあ、本当のことを言えば空飛ぶゴーレムを作りたいんだけどな。
「そのつもりです。ドラゴンでも倒したら直ぐなんですけどね。それと……人が乗るタイプはどうです?」
「チャリオットや馬そのものか? なら馬車でも行けそうな気がするな」
「それも作れますが、新型くらいに大きいと座席を用意できますからね」
「前に乗り心地が最悪だと言っていたろう。将来に期待はしておくがな」
俺はゴーレムの最終系として魔物の素材を使ったフレッシュゴーレムを口にした。
そしてソレを打ち消すかのように、もっと現実味を帯びた人間が搭乗できるゴーレムについて説明する。極論を言えば、伯爵が口にしたチャリオットや馬車の発展形として、車の様なゴーレムを用意するのは難しくない。ゴルビーに来る時に荷車を一時的にゴーレムにした事があるが、車輪付きのナニカをゴーレムにするのは難しくないのだ。
もし、荷車を全部ゴーレムに出来たら、それだけで出征は楽になる。そう思わせるだけで、ヨセフ伯を一年か二年は黙らせることが出来るだろう。
「以上の事を実現する為、大学でゴーレムの術師を育てませんか?」
「他にも有用な魔術系統があるなら、国家として育てて良いと思います」
「大学で学びたい者を集めるだけではなく、騎士や文官に魔術師を育てます」
「今よりも五年、十年後を見据えた提案ですけどね。今回には丁度良い筈です」
術師一人と侮るなかれ。先ほどの荷車型ゴーレム公開と共に募集を始める。
するとああいった生活に便利なゴーレムが一気に普及することになるし、そのために素質のある者を送り込もうとする勢力も増えるだろう。戦闘用のゴーレムでは戦争以外に使えないが、作業用と荷車のゴーレムは日頃から役に立つ。そして、そこまで揃えたら通常のゴーレムも欲しくなるし、騎士が鎧と軍馬を揃えるように、一つの領地に様々なゴーレムが存在する日もやって来るかもしれない。
少なくとも、ヨセフ伯には補給が少なくて済む、ゴーレム動力の戦車隊か何かを想像するはずだった。
「良いのか? そなたの知見だぞ……」
「流石に全部ではないですよ。それに、やるなら派手な方が良い筈です」
「確かにな。これならヨセフどころか私も野心を抱きそうになる」
「勘弁してくださいよ、閣下」
ひとまず、これで今回の件と将来の不安が軽減される筈だ。
ヨセフ伯が野心で行動しているにしても、ゲオルギアより西方にある諸国を警戒しているにせよ、今クーデターやら侵略戦争を引き起こすよりも、数年後の技術を見据えて人材教育に投資した方が良いのは判る筈だ。西でも街道整備と言う理由で魔物対策をするなら、それだけで二年・三年は掛かる。おそらく暫くは様子を見て、もっと強い国にしてから周辺諸国を脅すという方向に切り替えると俺たちは推測していたのである。
まさか既に戦力となるモノを試作させて、簡単には引けない状態だとはこの時の俺たちは思いもしなかったのである。
11
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる