魔王を倒したので砂漠でも緑化しようかと思う【完】

流水斎

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第六章

『事態の急展開』

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 あれから俺たちは、ゴルビーで諸手続きを行った。
適当なタイミングで遊牧民の火遣いを呼んでくれるように頼み、国境防衛や集団農業など幾つかのレポートを王都へ提出。マーゴットやセシリアと仲良くして少しゆっくり過ごした。実際にはセシリアの勉強を見たり、検証用の魔法の鍋(未強化)を作ったりしてた感じだな。

そしてバルガス河流域での初期情報を手に入れてから現地入りする。

「集団農業には思う所もあるだろうが、肯定した者のみ集めている」
「運営者によって公的な物、私的な物、領境防衛の三つに分かれる」
「公的な物は難民たちと賦役で集められた民が行い、必須の農作物を作る」
「私的な物は地主ごとに好きな物を作ってくれ。多くは小麦や商品作物に成るだろうがな。最後のは領境を守る任務の傍らに畑を耕すので、辺境域でも育つ物・誰でも育て易い物が多くなるだろう。いずれにせよ、ゴーレムで整えた畑をみんなで管理するという点では同じ物だと思って良い」
 バルガス伯爵家とキーエル伯爵家のお声係で多くの地主が集まった。
実際に取り入れるかは別として、話を聞くだけ聞いておけという命令が回ったのだろう。その上で集団農業を取り入れるなら畑の整理や用水路はゴーレムで行うという特典も付いてくる。それだけでも有益であるし、『畑は十分にある!』という者でもまずは聞いてみるというのは重要だ。なにしろ、近隣の地主や領主も集っており、隣だけ栄えて自分の所は遅れている……なんて事を嫌うからである。

ここまでの根回しと、バルガス側流域での問題調査に時間を掛けたおかげもあり、概ね受け入れられている様だった。

「病気の者や子供に老人でも出来るから農作業初心者の難民でも真似すれば出来る。反面、1グループの差が出難いので、意欲を失う者と怠ける者は必ず出る。その辺りは少人数で成果を付けるとして、褒美と罰則は各自で検討してもらいたい。基本的には生活に必要な物を褒美に渡したり、賦役で働く火を増やして罰則で良いとは思うがね。俺からは以上だ」
「ちょっと良いかい? 二・三聞きたいことがあるんだけどねぇ」
「わしからも質問があるのじゃが良いかのう?」
「順番にどうぞ。質問は他愛のない話になるまでは行う」
 集団農業の長所と短所は成果の平均化である。
誰でも出来るようになる半面、誰もが同じ程度の作業内容になる。各地を悩ませている『難民は何もできないから難民』という問題に対する回答になると同時に、今まで真面目に働いて来た精勤者にとっては働きの評価が落ちてしまうのだ。だから『程ほどで良い』と思ってしまう者や、『自分だけは働かなくても問題ないだろう』という者が一定数出るのは当然と言える。その対策として五人組のような相互観察と、グループ単位での褒賞や罰則を用意することを提案してまとめに変えたのである。

もちろん、それで結論が出るわけでもないし、凡例以外の質問もあるだろう。

「うちは三つ目の領境防衛で畑を貰えることに成ってるんだけど、多めに耕してもらえないかい? やろうと思ったら小さな丘や林くらいはなんとかなるんだろう?」
「所定の面積まではバルガス家との契約に準ずる。そこからは本計画……ペレストレイカ計画に対する代価や奉仕次第だ。もちろん耕作許可が出るならだぞ。伯爵から『そこからあそこまで見える範囲でやろう』と言われているなら問題ないし、言われてなくとも交渉できるなら同じ事だな」
 最初の質問はバルガス同胞団の王都受付担当、ナスターシャだ。
流域一の有名人で、聞けば旦那はバルガス伯爵家からの婿入りだったそうだ。ナスターシャに劣らぬ大男らしいので似合いの夫婦とも言えるし、跡継ではないから、地元の戦闘組織を取り込むための伝手と言えなくもない。

それはそれとして、彼女の子供の代から縁戚になるにしてももらえる畑のサイズがそう多いとも思えない。妥当な内容の質問だろう。

「そりゃありがたいね。領境の向こう側は?」
「誰の持ち物なのか次第だな。誰もが放置した魔境や獣しか棲まない辺鄙な所なら、道も用意するから自分たちで守れ。他所の領地なら伯爵が何かの譲歩の代わりに貰ってこない限り無理どころか、その手前までだ。これは常識なので判ると思う」
「はいよ。あたしからは以上だ」
 同胞団は伯爵家の一員として領境警備を請け負う。
だから最低限の畑をゴーレムで整備してもらって、伯爵家はそこまで予算を出さないだろう。主家に対する奉仕義務なのだから、それ以上を期待されても困ると返すに違いない。だが、森が海の様に広がる西部であったり、大河が蛇行して入り組んでいるバルガス河流域では話が異なる。畑を整えて周辺に守るための柵や空堀を作れるならば、幾らでも畑を拡げられるところは多いに違いない。

正直な話、屯田兵の派生形として契約をもぎ取った同胞団は何とかなるだろう。精鋭であるAグループを手元に残して傭兵を続け、戦いの得意ではないBグループを切り離して警備に当てるという予定であると思われた。

「次はわしからじゃが、うちの土地は向こうでふんぞり返って居る男の所とモメておってのう。昔から諍いが絶えんのじゃ。しかし、今回持って来られた話では、その係争地が関わっておるのよ。当然揉めておるままじゃし、ここで話し合いの決着がつくとも思えんのじゃが……」
「ふん。話ばかり長い上に人の土地に口出すなど厚かましい爺だ」
「なるほど。大筋は理解した」
 よくある土地の権利や水利の争いである。
他の地域でもあったし、個別対応して適当に片付けることが出来来た。だが、今回は流域に居る郷士や小領主の数が多いので噴出した形だろう。当然ながら話し合いで片付けるつもりはないし、利益次第で出来たとしてもゴネて揉めまくり、最大限の利益を引き出す者と思われる。

ちなみに、揉め事の原因は境にある川に偶々出来た中須がどちらのモノなのかとか、共同入会地扱いでお茶を濁している森林での伐採や狩猟の頻度など、地域ごとに色々内容が異なる。場合によって柵で囲んだら他所の土地でも俺のモノとか、自分の物には出来ないが通行権として金を要求できるとかそういう強引な物まであるので面倒くさい。

「まず第一条件として、このペレストレイカ計画は国策だ」
「だから係争地が新街道や治水工事にあたる場所なら替地になる」
「諸君らの忠誠と奉仕に対し、より多くの、より実りのある土地を渡す」
「新規開拓した土地は豊かではないと心配する者も居るだろう。だが、心配はいらない。ゴーレムなら三割増しでも五割増しでも開墾してから渡せるからな。あり得ないとは思うが、町を横断する街道や放水路を造る場合は、目玉が飛び出るほどの土地と『国に十分に奉仕した』という名誉に税の免除が数年分受けられるだろう」
 転生前の世界と違って、封建社会では上が押し付けることが出来る。
もちろん封建社会なので下もゴネて拒否することが出来るが、それだって『領地の事に口は出さない』という不文律の結果である。国防であったりその逆の謀反であったり、明らかに他の領主すら納得する理由があれば、土地を取り上げることも出来るのだ。もちろん、今回は謀反に対する討伐ではないので、より多くの代替報酬を与えて済ませることになるとは思われる。

まー街道とか放水路とか、公共の利益に関わるなら楽なんだよ。今回はそれでなくとも郷士や小領主が集まっているからな。『それほどの多大な利を得て、ゴネねるなるどあり得ぬ』とみんなでは向かったやつをハブにできるから、相手も出来るだけ利益をふんだくろうとするだけで嫌とは言わないからな。

「無関係な場合は? そもそもあの爺の言う事は言い掛かりなのだ」
「なんじゃと? 御先祖様が賜った土地を奪いおって! 返せ!」
「何を言うか! あそこは我が祖父が魔物から切り取った場所よ!」
「もしかして無主の地……いや過去に辺境だった場所の領有問題か? また面倒な話に成って来たな」
 今回のケースは双方に言い分が認められる非常に面倒なケースだ。
老人の家は古くからの小領主であり、まだ国家どころか伯爵家の領地も狭い時期に辺境地を手に入れている。その当時は辺境をすべて開拓する余裕は無いし、その必要も無かったので狩猟に行くだけの場所だった。それに対してもう一人の男の方は、近年になって国土や領土の意識が広がった後に、『魔物や害獣が絶えない場所を討伐した者に、これを与える』という布告に従って切り取った物なのだろう。

おそらく古めかしい羊皮紙の何処かに老人の土地の領域が書いてあり、その幅は非常に判り難い。そして、老人の家からしたら『無理に討伐する程の害はなかった』と言う証言も日記か何かに残している筈だ。大して男の方は徐々に自分の土地を広くしていった田舎の郷士であり、ある段階で森と接触して害が出てしまったのだろう。

(おそらくどちらの先祖も判っててやってるな)
(老人の方は増えた獣なり魔物を討伐する余力はなかった)
(男の方も他人の森と知っていたが、畑を荒らされる上に森を手に入れる機会だ)
(届け出を管理する上の方はお役所仕事で認可するだけ。次の代からは双方が自分の持っている条件を正しいと信じて居たし、相手がどこかで引くと思ってナアナアで済ませてきたんだろうな。そして、これまではそれで済んだ。やはり、辺境ってのは何の役にも絶たなかったからだ。係争問題を棚上げにしていたのに、突如として利益になるとしったらそりゃ、何とも思って居なくても文句の一つも言い出すのは間違いないか)
 何十年も前の、別系統の届け出に成る正式な書類。
それに加えて、問題になっている間の境は必要ないから放置し続けた土地。誰かと顔を合わせる時に、思い出したように不満を言う程度の間柄。だけれども価値が高騰して惜しくなったので、ここで再び顔を合わせて揉めているという所だろう。本来ならば、顔を突っ込みたくない微妙な案件であった。

だが、流されるのではなく、別件を片付けるために『人を派遣する理由』として見るならば、別の価値が見いだせるのではないかと思う。

「繰り返すが俺たちは国策で動いているし、君たちも自分たちの土地について何も言うなと求めることが出来た筈だ。しかし、ここで仲裁を求め、また国策に協力するのであれば調停できなくはない。先ほどの替え地ほどではないが、『我々が居る間ならば』、君たちの開拓に手を貸せるだろう。ただ双方の言う事の正当性を求めるならば別の手段を取ることになるがね」
「それはなんでしょうかな? まさか一方的に退けと?」
「正統性は我が家にこそあるのですぞ!」
「何を言うか! そもそも我が家こそ古き頃よりあの地を任せておったのだ」
 まずは諸人に俺たちの立場を説明しておく。
二人に対して『下手に出るなら利益をやるよ』と告げたのは、他のメンツに貴族としての妥当な裁定を行ったと見せる為である。もし両方が同じ派閥に属して居たら、もっと以前の段階でその代のバルガス伯なりキーエル伯が裁定を下していたと思われる。残念な事に同じ派閥では無かったからこそ、今までグダグダとしてきたのだろう。

その上で、俺が用意する美味しい話を聞かないという時点で容赦する必要はなくなった。他のメンツからは『どうしてあの調停を受けなかったんだ? そこまで意地を張る事か?』と受け止められるだろう。

「もし調停の話に乗ってもらえない場合、法令と慣例のどっちが重視されるかを確認した上で、森へ調査に行ったり、両家以外の近隣へ書籍を確認することに成るな。例えば魔物の害があったと報告しているならば洞窟なり丘の何処かに亜人の棲み家の痕跡が残っているだろう。獣である場合、その肉を住民に振舞ったとか、その年は市場で肉を買わなくなったと報告があった可能性が高い。いや、討伐に成功したことは誉れなのだから、自ら喧伝して近隣の町へ振舞っている可能性すらある」
「なっ!? 我が祖父の功績を疑う気か!」
「見た事か! やはり正義は正しき者の味方……」
「逆に魔物や獣の害を訴えた例もあるかもしれないがね」
 正直な話、この両家にそこまで協力する必要はない。
だが、俺が妥当な調停案を出して、それでも蹴って裁定を求める場合の話をしておく。そもそも俺は裁判官でも法務官でもないし、今回の件を推し進めることを頼まれている実行者なだけである。それが男爵であり、いずれはゴルビー地方を収める伯爵に成ることに加えて、ゴーレムを所有しているという点で彼らにとっても有益な相手なだけなのだ。

ともあれ、俺のスタンスは衆人の目の前で告知した。
過度に干渉しないし、それでも求めるならば出来るだけ公正に対応する。そのスタンスを公表できただけでも半分は目的が達成できるだろう。

「ナスターシャ。早速だが、奉仕を御願いしても構わないか? 彼らの近隣の村や町にある屋敷に赴き、当時の記録が無いかを尋ねて回って欲しい。出来れば森の痕跡も調べて欲しいが、それは両者の内のどちらかが認めなければ難しいだろう」
「そのくらいで良ければ構わないよ」
 もう一つの話は、人を派遣して魔物を確認して回る事だ。
今回の件はズルズルと長引く可能性があるので、人を派遣して何度も往復させるには十分だった。それで魔物や盗賊が居るかどうかは判るし、見かけたら討ち取るなんて容易いだろう。暫くすれば俺たちは南へ移動してしまうので、重要なのは彼らの処に『人を派遣するという先例』を作る事だ。そうすれば今後に似たようなことがあっても、『過去にこういう裁定を下した。お前はどうする?』と先例を元に話が出来るのである。

それと、ついでにもう一つ可能性がある。この二人が適当な事を言って誰の土地でもない中間の場所を『あそこはうちのモノだ』と言い張っているとか、共謀している可能性だな。ここでちゃんと調べるというという前例があれば、若造だと舐められることも無いだろう。

「ただ、それだけで奉仕義務を果たしたってのは申し訳ない。お二人さんが認めてくれれば森も調べて来るさね。どうする?」
「彼らもまだ調停に乗るという返事をするかもしれないだろう?」
「そういえばそうだったね。答えを聞かせてもらってから出かけるとしようか」
「「……」」
 この話のキモは、こちらは断固とした姿勢を崩してはいけないという事だ。
最初に期限を区切って、調停を行う日程には限りがあると告げてしまう。それを越えるならば自分たちは他所へ行くから知らないと言っているし、断る場合の解決方法も提示してある。そこまでやって他所へ行っても、無🅂責任とは誰も言わないだろう。ほkなおメンツは俺がやることが首尾一貫していると知って、それなりに付き合う態度を決めると思われる。

それと、この二人が調停に乗って来る可能性は高かった。
何しを当時の記録を誰も残していない可能性もあれば、逆に宣伝工作で周囲へ過度に伝えている可能性もあった。彼らとしても先祖がどちらであったのか相手の態度では判らないのだ。もし調停ではなく裁定を求めた場合、何も情報が無ければ老人側に軍配が上がり、宣伝工作があったり本当に害があれば男の方に軍配が上がるだろう。

「とりあえず、お二人で話し合われてはいかがかな?」
「そうそう。此処で決めることもあるまいて」
「私もそれで構わない。ご両所がどちらであるのか決めたら教えていただきたい。俺達が居る間ならば調停でも最低でも請け負おう。もちろん、何も求めないというのもありだけれどね」
 ひとまず今回の説明会はこんなところだろう。
バルガス伯爵家とキーエル伯爵家側の人が間に入って場を流した。彼らとしても寄り子たちのせいで今回のビッグチャンスを逃したくないだろうし、彼らに『強い要請』をして妥協を求める成り、適当な所で両家自体が新しい仲裁案を出す可能性はあった。

結論から言えば、寄り親が彼らに利益を渡して退かせて、代わりに権利を受け取る事にしたそうだ。バルガス家とキーエル家の共同で開拓を行い、その収益を分配するという事に成ったとか。まあ、実際は寄り親が寄り子に言い含めて利益を持って行ったんだと思う。もちろん両家が演出した可能性もあったが、俺の利益にもなったので俺は気にしないでおくことにした。

「どうしたんですか、レオニード伯。こんなところにまで」
「ミハイル。少し面倒なことに成った」
「王都で何か?」
「大元は西だな」
 暫くしてゴーレムで作業していた俺の元へレオニード伯爵がやって来た。
大貴族である彼がこんなところまでやって来るのは珍しい。いや、バルガス伯やキーエル伯も王党派なのでおかしくはないのだが、今の時期に急ぐほどの事は無い筈なのだ。黙っていても南部までの新街道開通は達成されるし、その過程で東部の魔物は激減する筈なのだから。

だが、いつの間にかそんな温い環境では無くなったらしい。

「ヨセフが方針を転換した。探知網とゴーレムを寄こすなら西部でも同じことをすると言い出した。表向きだろうが、形の上ではこちらに折れた形になる」
「一口噛ませろと? しかも苦労して作った成果物を……」
「気持ちは判る。私も同じ思いだ」
 二年目も後少しというところで、一気に自体が進んでしまった。
三年目の間に東部の街道が大まかに完成し、後は作業用にゴーレムを貸し出すだけで俺は関わらなくても良いだろうという段階での話である。もちろん、表向きは王党派が軍拡派を抑えた形だが、軍拡派からみれば大きな利益(戦力拡大)が見込めるから、折れてやったという形に過ぎない。

せっかく作った探知システムのお陰で、数年後には西でもしぶしぶ従わざるを得ない状況に持って行けそうだと思った矢先である。

「奴は傲慢だが愚かではない。今はそう思うしかないな。残念だが、一部は認めざるを得ん。それだけの事が起こった」
「……聞かせてください。どちらかだけなら喜んで出しますよ」
「西部での大物の一人、トーロ伯の領地が滅ぼされた」
「剣豪伯と言われた、あのトーロ・ツルギーがですか!?」
 聞けば国内での大物が死んでしまったらしい。
トーロ・ツルギー。別名、剣豪伯とか獅子伯と呼ばれる武人である。軍人では無いのがミソで、剣豪と言う過渡期にある加護を有していることで有名。この世界の神様はイメージに比べて弱いのだが、その分だけ努力している。『楯の乙女』がそうであったように、剣豪は戦闘特技の習得が早く、自分で新しい技を思いつけるという戦闘向きの加護である(他に剣仙とか剣匠もあるとか)。

彼はそれで部下を率いて魔物退治を行う事で名前を馳せていた筈なのだが……軍人ではないので指揮は苦手だったらしい。おそらくは部下の想定を超える勢いで魔物に襲われてしまったのだろう。剣豪はコストが易いから結果的に強くなるだけで、別にものすごく強い訳じゃなかったらしいしな。

「これが陰謀で反対意見を持つ相手を暗殺しただけの可能性もある。いや、ヨセフならやりかねん。だが、結果として西部をまとめてこられたらどうしようもないな」
「……仮に本当に暗殺だとしても、証拠は隠滅しているでしょうしね」
 暗殺と言うには大規模過ぎて現実味が無い。
だが、此処で重要なのは自体が大きく動いてしまったということだ。このままダラダラと二年過ごしたら、万々歳で国内は平和になると思っていた自分を殴りたい気分である。

この話が面倒なのは、西部も同じことをしたら国内が平和になって余力が生じるということだ。それだけならば良いのだが、ヨセフ伯はかねてから南方への出征を計画していたはずだった。彼にしてみれば、一時的に頭を下げても自分が思う通りの展開にできると思ったのかもしれない。
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