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下層突入編
限界情報の入手
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●
洞穴エルフたちにようやく手が届いた。
まずは油断した一人目を葬り、驚いている間にもう一人。だが流石に三人目であり、指揮官らしきそいつは警戒し始めた。元から少し下がった位置と言うのもあるだろう。
ここで戦術を切り替え、俺は予定を変更することにしたのである。
「エレオノーラはポイズンフィールドを頼む!」
「フー達はそいつを倒したら殿軍だ!」
「ホムンクルスに一体ほど死体を確保させてから撤収する」
「悪いがそれまで踏み留まって時間稼ぎをしてくれ。ブーたちはその援護! これ以上の戦闘は無用になる!」
欲しかったのは洞穴エルフの情報だ。
出来れば後ろから攻撃されたくないという意味でも、三人居る連中は全滅させておくべきだろう。もし奥に怪我人が居るなら仕方がないで済むが、追い掛けろと命令出来る奴はここで倒してしまいたかった。
その上で死体を確保するのは、その装備を知りたいからだ。
身に着けた呪文には想像が及ばないが、装備品やらポーション類が残っていれば、それなりに想像ができる。
「チッ。気楽に行ってくれる。むしろ周りを潰す方が楽だ」
「引くに引けなくなるんだろう。援護の呪文を入れ難いだろうしな」
「そういうこった。だから適当に引いてくれよ? スロウ!」
戦う二人を尻目に、洞穴エルフを範囲に入れて敵後方へ呪文を飛ばす。
奴が掛かってくれれば御の字、無理でもゴブリンたちの援護は遅くなるだろうという判断だ。だが残念なことに想像通りで、洞穴エルフは呪文に抵抗。駆けつけて来るゴブリンだけが動きを遅らせた。
とはいえそれで十分だ。別に空間に掛ける術でもないしな。
フーとジャンが飛び込んでも、ゴブリンが邪魔しないというのは都合が良い。暫くすれば追いついて倒せるだろう。そして……。
「これで良いんでしょ! ポイズンフィールド!」
「それでいい! 奴も完全には抵抗できないしな! ゴブリンも躊躇うはずだ!」
オレオノーラが毒の霧を作り出した。
俺の仕掛けたスロウもあり、ゴブリンたちが居ないタイミングがしばらく続く。そして援護さえなければフーたちにとってそう苦労する相手でも無かったようだ。
オークの拳が突き刺さる瞬間を見て、俺はホムンクルスに死体の確保を命じて撤収準備始めたのである。
「撤収! 手順はさっき言った通りだ。エレオノーラは気にせずに下がってくれ。残りのメンバーは順次下が……」
「ちょっとソレは聞けないあるネ。報酬はいただきヨ」
「おい!」
エレオノーラは素直に下がったが、ブーの奴は何かを拾い始めた。
どうやら洞穴エルフが落とした物か、あるいはポーションの瓶か何かだろう。まあ死体が持っているとは限らないし、気持ちもわかるけどな。高額の報酬も約束して居たし、指示には反しない程度の抜け駆けをしたのだろう。
想定外と言えばもう一つ。
二体のホムンクルスが同じ死体を掴んで引き千切りやがったんだよな……。グロい上に、荷物の一部が落ちたみたいでもったいない。まあこの辺は命令をする時間の問題もあったし、仕方がないか。
●
と言う訳で俺たちは当初の目的を朧気ながらに果たした。
洞穴エルフを見渡す範囲では全員倒したし、死体も一応は確保した。キー戦術に関しては特に分からなかったが、あの状態ではまあ仕方がないだろう。
ひとまず死体をエレオノーラ以外のメンツで確認する。
「何か判るか? 装備品に関しちゃ平均して二流って感じだが」
「ワタシが拾ったのは煙草に関する物ネ。同系統なら興味深いアル」
「私の方はそうだな。言われたように、確かに命令系統は感じたくらいだ」
「俺からはそうだな。戦い慣れてないというところか」
回答に関してはそれぞれの個性が出る。
ブーは筒状の煙草用品に目を付け、ジャンは組織運営を気にしている。フーにい建っては戦闘経験を気にしているようだが、この中で一番の熟練者なのでいまいち判り難い。
そして先ほどから考え込んでいるが、まだ悩んでいるリシャールだ。
「気になる事があれば言ってみろ。間違ってても文句は言わねえよ」
「……えっとですね。僕らとあんまり変わらない印象を受けました。人数が三人だったのもありますし、正直、装備品も僕らよりちょっと良いくらいです。この弓を除いたら大して変わらないかと」
リシャールが比較対象が自分達くらいしかない。
三人しか生き残っておらず、戦闘経験が少なくて弓や薬草くらいしか取り柄が無い。それだってホムンクルスがクロスボウを持ち、ブーが薬草を弄れば上回ってしまう。まさしく持たない物の意見であるが、だからこそ信憑性を感じた。
そう、洞穴エルフもまたリシャールたちと大して変わらない。あるいはその延長程度のコミュニティしか持たないという可能性である。
「その、すいません。おかしいですよね」
「いや、ありえるな。滅亡寸前だったのと延々と続く支配者の系譜と言う差はあれ、人数が減って来てるとか、戦闘経験が無いってのはあり得る話だ。装備品はダンジョンで調達できる内容までだし、煙草だってブーと同じことを技術で何とかしようと思ったのかもしれねえ」
つまり、洞穴《ケイブ》エルフが衰退している可能性だ。
元はもっと強大だったにせよ、内部抗争やら他の支配種族との抗争ですり減った可能性がある。エルフ族はどの部族もそれほど生命力が強いわけでも無い。一度減り始めると大変だろう。というか、ダンジョンを占拠した後で一度も外に出て居ないのであれば、あとはじり貧だからな。
もしそんな状態でオーガに食料を切らして暴れられたり、支配しているゴブリンが反乱を起こしたらどうなるだろう? 場合によってはゴブリンの巣分けは、こいつらが主導して一か所にまとめさせないためにやったのかもしれない。
「過信は禁物だが、ここで調査を続けても良い可能性が出て来たな」
「もし連中に限界が来ていたり、戦闘経験がないなら何とでもなる」
「下層の連中が詳しく知らない間に、俺達が居りてもう数名ほど蹴散らす訳だ」
「そして復讐に来た連中を更に数人倒す。そうなりゃもう躊躇する必要はない。向こうを焦らせたまま予定通りに引いて、次こそ戦力を大々的に動員すれば良いんだ。何だったら一度だけ傭兵を増やしても良いな」
もちろん油断できるはずもない。
だが、連中の勢力に限りがあるかどうかを知ることは重要だ。もし本当に数が少ないならば、奇襲して弓や魔法だけ撃って下がるってのを繰り返しても良いだろう。どこかで限界が来て向こうが折れる可能性もあるし、そうでなければ数の暴力で方が付くのだから。
いずれにせよ、俺達は下層に挑むということで結論を付けた。
必要なのは敵のキーとなる戦術を知る事、そして衰退しているならば数を減らすことである。
洞穴エルフたちにようやく手が届いた。
まずは油断した一人目を葬り、驚いている間にもう一人。だが流石に三人目であり、指揮官らしきそいつは警戒し始めた。元から少し下がった位置と言うのもあるだろう。
ここで戦術を切り替え、俺は予定を変更することにしたのである。
「エレオノーラはポイズンフィールドを頼む!」
「フー達はそいつを倒したら殿軍だ!」
「ホムンクルスに一体ほど死体を確保させてから撤収する」
「悪いがそれまで踏み留まって時間稼ぎをしてくれ。ブーたちはその援護! これ以上の戦闘は無用になる!」
欲しかったのは洞穴エルフの情報だ。
出来れば後ろから攻撃されたくないという意味でも、三人居る連中は全滅させておくべきだろう。もし奥に怪我人が居るなら仕方がないで済むが、追い掛けろと命令出来る奴はここで倒してしまいたかった。
その上で死体を確保するのは、その装備を知りたいからだ。
身に着けた呪文には想像が及ばないが、装備品やらポーション類が残っていれば、それなりに想像ができる。
「チッ。気楽に行ってくれる。むしろ周りを潰す方が楽だ」
「引くに引けなくなるんだろう。援護の呪文を入れ難いだろうしな」
「そういうこった。だから適当に引いてくれよ? スロウ!」
戦う二人を尻目に、洞穴エルフを範囲に入れて敵後方へ呪文を飛ばす。
奴が掛かってくれれば御の字、無理でもゴブリンたちの援護は遅くなるだろうという判断だ。だが残念なことに想像通りで、洞穴エルフは呪文に抵抗。駆けつけて来るゴブリンだけが動きを遅らせた。
とはいえそれで十分だ。別に空間に掛ける術でもないしな。
フーとジャンが飛び込んでも、ゴブリンが邪魔しないというのは都合が良い。暫くすれば追いついて倒せるだろう。そして……。
「これで良いんでしょ! ポイズンフィールド!」
「それでいい! 奴も完全には抵抗できないしな! ゴブリンも躊躇うはずだ!」
オレオノーラが毒の霧を作り出した。
俺の仕掛けたスロウもあり、ゴブリンたちが居ないタイミングがしばらく続く。そして援護さえなければフーたちにとってそう苦労する相手でも無かったようだ。
オークの拳が突き刺さる瞬間を見て、俺はホムンクルスに死体の確保を命じて撤収準備始めたのである。
「撤収! 手順はさっき言った通りだ。エレオノーラは気にせずに下がってくれ。残りのメンバーは順次下が……」
「ちょっとソレは聞けないあるネ。報酬はいただきヨ」
「おい!」
エレオノーラは素直に下がったが、ブーの奴は何かを拾い始めた。
どうやら洞穴エルフが落とした物か、あるいはポーションの瓶か何かだろう。まあ死体が持っているとは限らないし、気持ちもわかるけどな。高額の報酬も約束して居たし、指示には反しない程度の抜け駆けをしたのだろう。
想定外と言えばもう一つ。
二体のホムンクルスが同じ死体を掴んで引き千切りやがったんだよな……。グロい上に、荷物の一部が落ちたみたいでもったいない。まあこの辺は命令をする時間の問題もあったし、仕方がないか。
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と言う訳で俺たちは当初の目的を朧気ながらに果たした。
洞穴エルフを見渡す範囲では全員倒したし、死体も一応は確保した。キー戦術に関しては特に分からなかったが、あの状態ではまあ仕方がないだろう。
ひとまず死体をエレオノーラ以外のメンツで確認する。
「何か判るか? 装備品に関しちゃ平均して二流って感じだが」
「ワタシが拾ったのは煙草に関する物ネ。同系統なら興味深いアル」
「私の方はそうだな。言われたように、確かに命令系統は感じたくらいだ」
「俺からはそうだな。戦い慣れてないというところか」
回答に関してはそれぞれの個性が出る。
ブーは筒状の煙草用品に目を付け、ジャンは組織運営を気にしている。フーにい建っては戦闘経験を気にしているようだが、この中で一番の熟練者なのでいまいち判り難い。
そして先ほどから考え込んでいるが、まだ悩んでいるリシャールだ。
「気になる事があれば言ってみろ。間違ってても文句は言わねえよ」
「……えっとですね。僕らとあんまり変わらない印象を受けました。人数が三人だったのもありますし、正直、装備品も僕らよりちょっと良いくらいです。この弓を除いたら大して変わらないかと」
リシャールが比較対象が自分達くらいしかない。
三人しか生き残っておらず、戦闘経験が少なくて弓や薬草くらいしか取り柄が無い。それだってホムンクルスがクロスボウを持ち、ブーが薬草を弄れば上回ってしまう。まさしく持たない物の意見であるが、だからこそ信憑性を感じた。
そう、洞穴エルフもまたリシャールたちと大して変わらない。あるいはその延長程度のコミュニティしか持たないという可能性である。
「その、すいません。おかしいですよね」
「いや、ありえるな。滅亡寸前だったのと延々と続く支配者の系譜と言う差はあれ、人数が減って来てるとか、戦闘経験が無いってのはあり得る話だ。装備品はダンジョンで調達できる内容までだし、煙草だってブーと同じことを技術で何とかしようと思ったのかもしれねえ」
つまり、洞穴《ケイブ》エルフが衰退している可能性だ。
元はもっと強大だったにせよ、内部抗争やら他の支配種族との抗争ですり減った可能性がある。エルフ族はどの部族もそれほど生命力が強いわけでも無い。一度減り始めると大変だろう。というか、ダンジョンを占拠した後で一度も外に出て居ないのであれば、あとはじり貧だからな。
もしそんな状態でオーガに食料を切らして暴れられたり、支配しているゴブリンが反乱を起こしたらどうなるだろう? 場合によってはゴブリンの巣分けは、こいつらが主導して一か所にまとめさせないためにやったのかもしれない。
「過信は禁物だが、ここで調査を続けても良い可能性が出て来たな」
「もし連中に限界が来ていたり、戦闘経験がないなら何とでもなる」
「下層の連中が詳しく知らない間に、俺達が居りてもう数名ほど蹴散らす訳だ」
「そして復讐に来た連中を更に数人倒す。そうなりゃもう躊躇する必要はない。向こうを焦らせたまま予定通りに引いて、次こそ戦力を大々的に動員すれば良いんだ。何だったら一度だけ傭兵を増やしても良いな」
もちろん油断できるはずもない。
だが、連中の勢力に限りがあるかどうかを知ることは重要だ。もし本当に数が少ないならば、奇襲して弓や魔法だけ撃って下がるってのを繰り返しても良いだろう。どこかで限界が来て向こうが折れる可能性もあるし、そうでなければ数の暴力で方が付くのだから。
いずれにせよ、俺達は下層に挑むということで結論を付けた。
必要なのは敵のキーとなる戦術を知る事、そして衰退しているならば数を減らすことである。
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