赤瓦屋根の古民家≪カーラヤー≫暮らし

華世良せら

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三章 《カーラヤー》暮らし三日目。

お裾分け。

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 そんなこんなで帰宅して……買ってきた物を並べる。

 カット野菜に鶏肉。ポチギにポーク缶、ツナ缶。ソーメンに袋麺。そして、米。

「これだけあればしばらく大丈夫でしょー!」
「ツナ缶多くね?」

 流されるままに買ったツナ缶は、一箱。中身は、十五個入り。

 一人暮らしでこんなに使うだろうか?

「使う使う! 野菜チャンプルーにしても美味しいんだから!」
「それは、そう」

 キャベツとツナ缶のチャンプルーとかも美味しいし、パパヤイリチーとかにも入っている。

 沖縄県民なんにでもツナ缶入れる。同じくらいポーク缶も入れる。ポチギも入れる。

 弁当買ったら何か一つは、入ってたりする。加工肉大好きか。美味しい。

「ポークも三ついる?」
「あれば困らない! ポチギも!」 

 ポチギは、二本入りが二つの計四本。チルド食品なので缶に比べると日持ちがしないのがちょっと不安だ。

「ほらほらー、難しい顔してないでしまうしまう! 傷んじゃうよー」
「わかってるって」

 流されるままに買った事を後悔していると片付けるように急かされて並べた食品を手分けしてしまっていく。

「乾麺系は、こっちに入ってて……缶とか調味料の予備は、こっちに入れていいと思う。おばぁもそうしてたし」
「ふむふむ……」

 ナマモノを冷蔵庫にしまいつつ、常温で保存できる食品の保存場所をあかりーから教わる。

 食器棚の下だったり、備蓄用の小棚だったり……空っぽだったそこに収まっていく度になんとなくだけど、ここに住んでいるんだなという気持ちになった。

 ……今更過ぎるけどな。

「ヒカルー! 居るかー!」

 食料を片づけて、コーラで一段落していると外から聞き覚えのある声がする。

「のぼるー?」

 視線を庭に向ければ、塀風ヒンプンから顔を覗かせているのぼるーが居た。

「お、居たか」
「どうしたんだ?」
「いや、自炊にチャレンジするって言ってたからよー。野菜お裾分けしようと思ってさー」

 そういったのぼるーの手には、ずっしりと重そうな白いビニール袋が六つ。……六つ?

「それ全部?」
「そーそー。ワンが自分で育ててるものと、うちの親父オトーとおばぁからも……あ、半分は、あかりーの分な」

 良かった。さすがにそのみっちり入った六袋を一人で消費するのは無理だ。それでも三つは、多いけど。

ワンからは、たまねぎにキャベツ、大根……親父オトーからは、ピーマンとインゲン、トマト……おばぁからは、チキナーだな」

 ビニール袋にみちみちに詰まった野菜に思う。

 今日、カット野菜だけにして良かったと。
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