20 / 22
三章 《カーラヤー》暮らし三日目。
布団。
しおりを挟む
「ヒカルーにーにー! 起きてるーーーーー!!!!?」
けたたましい声と同時にドンドンドンドンと何かが叩かれる音がして、布団から起き上がる。
「……なにぃ?」
窓と引き戸を空けると裏庭にあかりーが立っていた。
「もう十一時だよー。寝坊助だねー」
「は……マジ?」
空を見上げれば、確かに太陽が上りきっている。時間を確認すれば、あかりーの言うとおり十一時を過ぎていた。
「……寝すぎた」
昨日風呂に入ったあと、洗濯物と布団を取り込んだ辺りで急激に眠気がきて、夕飯も食べずに眠ってしまったのだが……まさか、ここまで寝るとは思っていなかった。
「一昨日眠れなかったからなぁ……」
そして、干したての布団の魔力が凄かった。疲れていたのもあるけど、秒で落ちた。
干したてでふかふかで温かな布団。暖かくなってきたとはいえ夜は、冷えるから温かな太陽の匂いと包み込まれるような柔らかさに寝不足で疲れた体が勝てるわけがない。
ただ、疲れが抜けたのは、間違いない。
夕飯も朝飯も食べてないから腹は、空いているが今日も一日頑張れそうなくらいは、気力が回復していた。
「昨日寝てなかったのー?」
「一昨日布団干すの忘れれたからなー」
「だから、布団だらけだったんだー」
「そういうこと。……まだ畳んでないから、経たんで袋に入れてもらってもいいか? テキトーに飯食べてくる」
「任せてー。ついでに窓も全部開けとくね」
「助かる」
空腹感に堪えきれず部屋の隅につまれた布団の事を頼んだら、窓まで開けてくれるらしい。頼りになる従妹である。
薄暗い家の中を進みながらなんとか台所へとたどり着き、鍋でお湯を沸かす。
こういう時、カップ麺は楽だ。
欲をいえば、電気ポットにお湯があれば最高だった。
炊飯器と並んでいる電気ポットは、綺麗に拭かれているが中身は空のまま。
掃除は、あかりーがしてくれたけど、この辺りの管理は自分でやらなきゃだよな。
何もかも頼りっぱなしじゃ悪いし……まあ、今頼みまくってるんだけども。
そんなことを考えていたら鍋の水が沸騰したので、大盛りのカップ麺を取り出して、お湯を入れる。
そこから二分ちょっと。硬めが好きなので目安の時間より早めに蓋を開けると食欲のそそる臭いが立ちこめた。
「いただきます」
空腹を堪えながら明るくなった三番座へ移動し、いつもの座卓でカップ麺をすする。
「うめぇ……」
空腹にしみる人工的な味。あんまり健康的じゃないってわかっててもウマイんだよなぁ。
ズルズルと麺をすすり、スープすら飲み干し、一息ため息を吐く。
「……米も欲しかったな」
炊飯器は、あるのだし米ぐらい俺でも炊けるだろう。
袋麺の〆にもいいし……自炊の道は、同時進行でも問題ない。
改めて食糧買いに行くかぁ……。
晴れた空を見ながら、ぼんやりと今日の予定を立てるのだった。
けたたましい声と同時にドンドンドンドンと何かが叩かれる音がして、布団から起き上がる。
「……なにぃ?」
窓と引き戸を空けると裏庭にあかりーが立っていた。
「もう十一時だよー。寝坊助だねー」
「は……マジ?」
空を見上げれば、確かに太陽が上りきっている。時間を確認すれば、あかりーの言うとおり十一時を過ぎていた。
「……寝すぎた」
昨日風呂に入ったあと、洗濯物と布団を取り込んだ辺りで急激に眠気がきて、夕飯も食べずに眠ってしまったのだが……まさか、ここまで寝るとは思っていなかった。
「一昨日眠れなかったからなぁ……」
そして、干したての布団の魔力が凄かった。疲れていたのもあるけど、秒で落ちた。
干したてでふかふかで温かな布団。暖かくなってきたとはいえ夜は、冷えるから温かな太陽の匂いと包み込まれるような柔らかさに寝不足で疲れた体が勝てるわけがない。
ただ、疲れが抜けたのは、間違いない。
夕飯も朝飯も食べてないから腹は、空いているが今日も一日頑張れそうなくらいは、気力が回復していた。
「昨日寝てなかったのー?」
「一昨日布団干すの忘れれたからなー」
「だから、布団だらけだったんだー」
「そういうこと。……まだ畳んでないから、経たんで袋に入れてもらってもいいか? テキトーに飯食べてくる」
「任せてー。ついでに窓も全部開けとくね」
「助かる」
空腹感に堪えきれず部屋の隅につまれた布団の事を頼んだら、窓まで開けてくれるらしい。頼りになる従妹である。
薄暗い家の中を進みながらなんとか台所へとたどり着き、鍋でお湯を沸かす。
こういう時、カップ麺は楽だ。
欲をいえば、電気ポットにお湯があれば最高だった。
炊飯器と並んでいる電気ポットは、綺麗に拭かれているが中身は空のまま。
掃除は、あかりーがしてくれたけど、この辺りの管理は自分でやらなきゃだよな。
何もかも頼りっぱなしじゃ悪いし……まあ、今頼みまくってるんだけども。
そんなことを考えていたら鍋の水が沸騰したので、大盛りのカップ麺を取り出して、お湯を入れる。
そこから二分ちょっと。硬めが好きなので目安の時間より早めに蓋を開けると食欲のそそる臭いが立ちこめた。
「いただきます」
空腹を堪えながら明るくなった三番座へ移動し、いつもの座卓でカップ麺をすする。
「うめぇ……」
空腹にしみる人工的な味。あんまり健康的じゃないってわかっててもウマイんだよなぁ。
ズルズルと麺をすすり、スープすら飲み干し、一息ため息を吐く。
「……米も欲しかったな」
炊飯器は、あるのだし米ぐらい俺でも炊けるだろう。
袋麺の〆にもいいし……自炊の道は、同時進行でも問題ない。
改めて食糧買いに行くかぁ……。
晴れた空を見ながら、ぼんやりと今日の予定を立てるのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる