赤瓦屋根の古民家≪カーラヤー≫暮らし

華世良せら

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二章 《カーラヤー》暮らし二日目。

農業。

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 昼飯を食べている間に母さんからメッセージアプリの返信が来たので返信したりしつつ、ソーメンチャンプルーを食べ終わる。

「ごちそうさまー」
「あ、片付けるからおぼんに乗せていいよー」
「ありがとー」
「ありがとなー」

 あかりーが片付けてくれると言うので甘えて皿をトレイに置く。

「ヒカルーは、高校行ってたって聞いてたけど、就職決まってないんかー?」
「あー……大学落ちてさ。それで就職に切り替える事にしたんだけど……この辺りの仕事ほとんどなくてさ」
「まあ、ここら辺小さいスーパーとコンビニ以外は、農家とかばっかりだからなぁ……だいたいは、バイトかパートくらいかー? 役所の辺りは、発展してるけど正社員はなー」
「なるほどねぇ……」

 この辺りに住んでる人のリアルな意見。今、応募してるとこ落ちたらどうするかね。 

「もし、仕事見つからなければ、うち来るか? 収穫パートで良ければ親父オトーに聞いてみるけど」

 農業。今まで考えたことなかったからあまりに未知過ぎる世界だ。

 パートでの収入も気になるところだし、今のところはいいかな……。

「んー……体力持つか不安だし、もうちょっと考えてみる」
「収穫くらいなら問題ないと思うけどなー。まあ、気になったらいつでも声かけてー」
「ありがと」

 もし、どこもダメだったら頼るかもしれないけど今は、自分で頑張ってみよう。

 しかし、農業……農業ねぇ……。

 畑は、あるし……家庭菜園から試して見るのもいいかな……。

「のぼるーは、農業手伝ってるの?」
「まぁなー。南農なんのう南農業高校みなみのうぎょうこうこう卒業して、そのまま親父オトーのところで働いてる。朝早いし、やることは多いけど、それなりにやってる感じかねー」
「へー……ちなみに農業高校ってどんな感じ? 農業高校とか農大の漫画あるけどあんな感じ?」
「あー、あれ面白いよなー。んー……まあ、本土と沖縄での差はあると思うけど、それなりに?」
「そうなんだ」

 漫画の世界かと思ったら意外と現実も変わらないらしい。

「授業とか学科によって違うけど、ワンは、農業科だったから普通に野菜作ったりしたなー。他は、畜産とか、園芸とか……造園系もあったし、調理系もあるなー」
「はー……調理は、漫画でも見たけど、園芸や造園まであるんだ」 
「園芸も造園も植物取り扱うからなー。野菜と一緒さー」

 それは、あまりにもごっちゃにしすぎでは、なかろうか。適当テーゲーすぎる。

「じゃあ、祭りとかもあったり?」
「あるなー。秋には、一般客も来る祭りもあるし、冬にも規模は小さいけどやったりするし、実習で作った物を先生や生徒に売ることもあったなー」

 完全に漫画の世界である。

「面白そうだなー。俺も普通校じゃなくて農業高校行けば良かった」
「ちゃんと勉強できるのもえらいと思うけどなー。漫画とかの影響で人気になってるみたいだけど、親父オトーくらいの世代の時は、農林も水産も工業も不良の行くところとか言われてたらしいしなー」
「そうなんだ? ちなみに授業内容は?」
「五教科とかは、中学の復習くらい? 専門は、めっちゃデージ教科書多い」
「漫画で見たヤツだ……」

 実際にあるんだな。

「なになにー、南農のはなしー?」

 農業高校の話をしていたら、片付けを終えたらしいあかりーが戻ってくる。

「そうそう。聞いてたら面白くて」
「いいよねー。あかりーものぼるーにーにーの話聞いて選んだんだー」
「あれ? あかりー、南農?」
「そーだよー。四月から南農の食品科ー」

 そうだったのか。高校合格したとは、聞いていたけどどこかは知らなかった。

「へー……あかりーがいるなら秋の祭りって行ってもいいかな?」
「いいよー、来てきてー。すっごい楽しいから! 食品科は、ねー。パンとかケーキとか、味噌とか作って売るんだー! 畜産科のお肉も美味しくてねー!」

 秋の祭りであかりーのスイッチが入ったのか卒業生であるのぼるーを押し退けて、熱い農業高校プレゼンが始まってしまったのだった。
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