上 下
14 / 22
二章 《カーラヤー》暮らし二日目。

帰宅。

しおりを挟む
 帰り道で適当に買い物をし、照屋の家に帰る。

 帰ったのだが……。

「あはははははっ! のぼるにーにーよー!」
「だからよ~」

 塀風ヒンプンの向こうから楽しげなあかりーの声が聞こえた。
 
 のぼるにーにー? ……誰?

 聞いたことのない名前に首を傾げながらも足を進める。

「あ、おかえりー」

 庭に入れば縁側に座っていたあかりーが笑顔で迎えてくれる。その隣には、見知らぬ金髪の男の人がいた。

「た、ただいま。そ、その人は?」

 一見ヤンキーに見える厳ついにいちゃんに警戒する。

 あかりーの様子を見るに悪い人じゃないと思うんだけど地元では、関わった事のない人種なので怖いのだ。

「あぁー! あったことないんだー! のぼるにーにーはねぇお隣の比嘉さん家の孫ー」

 あ、お隣さん比嘉さんなんだ。母さんからの返信来る前に知っちゃったよ。

「んでねーここに来た時、たまに遊んでもらってたんだー」

 それは、幼馴染みというのでは?

「小学校一緒だったから面倒見てもらったりー」

 幼馴染みでは?

「なんというかにーにーみたいな人ー」

 幼馴染みだな。

「そっか」

 あかりーにもあかりーの繋がりがあるんだなと思いながら視線を比嘉さんに向ける。

 俺が見ているのに気づいたのかニカッと笑う表情は、厳つい見た目ながらも人の良さを感じた。

「のぼるーにーにー。こっちが昨日からここに住んでるヒカルーにーにー。のぼるーにーにーの一つ下だよー」
「ヒカルーな。よろしくー」
「よろしくお願いします……比嘉さん」
「のぼるーでいいよ。比嘉いっぱいいるしなー」
「わかった……のぼるー」

 あまりにも陽のモノの雰囲気に押されながらも名前で呼ぶ。

「おう!」

 うわ、眩しい。あかりーも合わせて圧倒的な陽過ぎる。あかりーは、親戚だから耐性あるけど、なんか慣れないな。

「それで……のぼるーは、なんでうちに?」
「おばぁの様子見に来たら、布団干されてたから誰かいるんかなーって思ってよー。覗いたらあぁーいるからお喋りユンタクするかなーって」

 布団は、罠かなんかなんだろうか?

「隣には、住んでないんだ?」
「うちの親父オトー次男だからよー。他所に家立てたんだよなー」
「へー。じゃあ、隣には長男が?」
「いやー、おじさん家出して行方知れずなんよー。だから、親父オトーが色々継いでなー」

 ヘビーである。初対面で聞く話ではない。

親父オトーも農業で忙しいし、ワンが毎日見に来てる感じだなー」

 親孝行で祖母孝行だった。厳つい見た目で確実にいい人だ。

「すごいなー」
普通普通フツーフツー。それにヒカルーもこの家管理しに来たんだからえらいさー」
「小遣いにつられただけだからなー」
「それでもよー」

 素直に褒めたら褒め返された。なんかはずいな……。

「あ、ヒカルーにーにーも帰ってきたし昼ごはん食べよー。のぼるーにーにーは?」
「んー? ワンの分もあるのかー?」
「ソーメンチャンプルーだからあるよー。一袋茹でたしー」

 二人分にしては、作りすぎだと思う。入りはするが。

「マジでー? ヒカルー、食べてっていいかー?」
「いいよー。せっかくだしー」

 飯代正徳おじさん持ちだし、あかりーが誘ったわけだから俺が断るのもちょっとね。あかりーが一緒に食べたいなら受け入れるさ。

「ありがとーなー」
「じゃあ、温めるねー」

 台所に向かうあかりーをのぼるーと見送り、俺も縁側から家に上がるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

皇帝はダメホストだった?!物の怪を巡る世界救済劇

ならる
ライト文芸
〇帝都最大の歓楽街に出没する、新皇帝そっくりの男――問い詰めると、その正体はかつて売上最低のダメホストだった。  山奥の里で育った羽漣。彼女の里は女しかおらず、羽漣が13歳になったある日、物の怪が湧き出る鬼門、そして世界の真実を聞かされることになる。一方、雷を操る異能の一族、雷光神社に生まれながらも、ある事件から家を飛び出した昴也。だが、新皇帝の背後に潜む陰謀と、それを追う少年との出会いが、彼を国家を揺るがす戦いへと引き込む――。  中世までは歴史が同じだったけれど、それ以降は武士と異能使いが共存する世界となって歴史がずれてしまい、物の怪がはびこるようになった日本、倭国での冒険譚。 ◯本小説は、部分的にOpen AI社によるツールであるChat GPTを使用して作成されています。 本小説は、OpenAI社による利用規約に遵守して作成されており、当該規約への違反行為はありません。 https://openai.com/ja-JP/policies/terms-of-use/ ◯本小説はカクヨムにも掲載予定ですが、主戦場はアルファポリスです。皆さんの応援が励みになります!

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

処理中です...