赤瓦屋根の古民家≪カーラヤー≫暮らし

華世良せら

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二章 《カーラヤー》暮らし二日目。

今日の予定。

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「というか、なんで今日も来てんだ?」

 助けてもらっといてなんだが、なんでいるんだ?

「昨日のヒカルにーにーの情けなさに心配になったからー」
「そっか……」

 ボコボコである。死体蹴りかな?

「でも、来てもらって悪いんだけどさ。俺、今日高校行きたいんだよ。就職先探しに」
「いいよー行ってきて。帰ってくるまで、お昼作っててあげる。洗濯物も見とくし」
「マジで? 助かる」

 昨日と同じく何かしら材料を持ってきてくれたらしい。食材買ってなかったから本当に助かる。

 でも、毎回買ってきてもらってる状況は、まずい。食料品ぐらい自分でも買い物しないと。

 帰りに買ってくるか……。

「帰りに買い物しようと思うけど、なんか買ってこようか? 昨日も買ってきてくれたし、金出すぞ?」
「大丈夫ー。父さんからもらったお金で買ってるしお釣りは、あかりーの小遣いになるからー」

 ニコニコしながらお金のジェスチャーをするあかりー。ちゃっかりしている。

「じゃあ、なにかジュースでも買ってくるよ」
「はーい」

 昨日、お茶とか作ってくれてたしそのお礼も兼ねるとちょうど良いだろう。俺もコーラとか飲みたいしな。

 洗濯が終わるまでの時間、高校に行く準備をしつつ、昨日できなかった自分の荷物を整理する。

「一番裏座部屋にするの? 一番座とかでもいいのに。トイレとか遠いでしょ?」

 備え付けのタンスに着替えを片付ける俺にあかりーがそんな事を言ってくる。

 それは、そうなんだけど……。

「一旦外に出なきゃいけないから正直どこも一緒なんだよなー……」
「……そう言われたらそうかも」

 そう。結局どこの部屋でも外に出ないとトイレに行けないのだ。まったくもって不便。そして、夜はめっちゃ怖い。

「台所と一緒に風呂とトイレもくっつけてくれたら良かったのにな」
「ねー」

 台所が先か、風呂とトイレが作られたのが先か若い俺達には、わからないがこれが孫の本心である。

「っと……そろそろ洗濯終わってるかな?」

 着替えをしまい終え、洗濯機を見に行けば動きが止まっていた。

「手伝うよー」
「おー、さんきゅ」

 軒下の洗濯物干し場で洗濯物を広げていたら、台所で作業をしていたあかりーが手伝ってくれる。

 結構な量詰め込んだから時間がかかると思ったけど、二人でやれば早い。というか、シーツとバスタオルがかさばりまくってたのが多く見えた原因だった。

 次洗う時は、もうちょっと考えて洗おう。かさばる。

「それじゃ、行ってくるわ」
「いってらっしゃーい」

 洗濯物も終わったので、予定どおり高校へと向かう。この調子であれば十一時くらいには、到着するだろう。安全運転であっても。

 ……眠気覚ましにコーヒーでも買ってこ。
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