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二章 《カーラヤー》暮らし二日目。

お隣さん。

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 という訳で布団を干そう。あるもの全部。

 押し入れから出して、出して、出して、出して……計五組。

 なんでこんなにあるんだ?

 おばぁが亡くなるまでここに住んでいたのは、おばぁだけ。

 県外にいるおばさん達家族が遊びに来る事は、あるけどほとんどホテルだったはずだ。

 それなのに五組。絶対にいらない。この家、断捨離した方が良いって……なんで、正徳おじさんもそのままにしてたんだろう。

 まあ、勝手に捨てて怒られたくないので今日は、干すだけとする。

 圧縮袋から取り出した布団は、カビもしていないし柄は、すっごい花柄年季の入ったデザインだがシミなどもない。

 ということは、しまいっぱなしではあるけど丁寧に手入れしていたということで……なんというか断捨離しづらいな。

 ものすごい捨てづらいな気持ちになりながら布団を石垣や塀風ヒンプンにかけていく。

 敷き布団、掛け布団、敷き布団、掛け布団……ついでに枕もポンポンポン。

「石垣全部布団になってしまった……」

 大きく切り出した粟石の石垣全てに布団がかかっているのは、圧巻の光景だ。

「あれ、珍しい。照屋に人がいるねー」


 干された布団を眺めていると隣の家から母さんより年上そうな女の人が出てきた。

「あ、こんにちわー。キヨおばぁの孫ですー」
「うん、見たことあるよー。誰の子ねぇ?」
「馨の息子ですねー」
「あー、かおるーの! そう言われたら確かに似てるさー」

 お隣さんは、納得がいったようでうんうんと頷いている。

 時折訪ねては、いたから顔くらいは知っていたのだろう。

 俺はというと、正直ちょっと見覚えがあるかなぁ……くらいの人だ。

 こっちに遊びに来る事は、あってもあんまりご近所さんに挨拶するってなかったからなぁ……。

「でーよ、なんで布団干してるー?」
「正徳おじさんに頼まれて、しばらくここで住むんですよ」
「はっさ! 一人でねぇ?」
「はい」
大変でーじなってる。困った事があったらいつでも声かけてねぇ」

 お隣さん俺の事、何歳くらいに見えてるんだろうか……。 

「ははは……お気遣いありがとうございます」
頑張ってチバリヨー

 応援してくれるお隣さんに頭を下げて、敷地内に戻る。

「……母さんより元気だな」

 沖縄のおばぁは、元気なイメージがあるが田舎のおばぁは、さらにパワフルだ。

 やっていけるのかな俺……。

 お隣さんのエネルギーに押されて、朝から疲れたような気がする。 

「そういや、お隣さんなんて家だっけ……後で聞いとかないと」

 どれくらいの付き合いになるかわからないけど、おそらく定期的に顔を合わせることになるだろう。

 名前くらい知ってないと気まずい。母さんに聞くか、あかりーに聞くか、正徳おじさんに聞くか……母さんでいっか。お隣さん知ってるらしいし。

[お隣さんに会ったんだけど、なんていう家?]

 電話だと忘れそうだからメッセージアプリに打ち込んでおく。

「さて、続き続き」

 シーツやタオルなど、使えそうなものはちゃっちゃと洗って干さないと。

 洗濯をするべく母屋へと足を運ぶのだった。
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