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最終話・クズの後始末

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 さて、ダメ親父やダメ子息はどうなったか。どうでも良いと思われた方は、この物語をそっと、閉じていただきたいと思う。

 毛皮の件や借金もあり、ミーヤの父ラスディは降爵した。

 熊に弾き飛ばされたレイラは腰の骨を折り、常に誰かの援助が必要となる。
 諦めたかのように、あるいは誰かへの罪滅ぼしか、ラスディ・ゴーシェは彼女の面倒を見ている。
 
 レイラは身の周りの世話をしてくれるラスディに、ようやく愛情を感じるようになる。
 そもそも、レイラの男癖と散財癖が問題視されて、前の結婚は破綻したのだ。
 拾ってくれたラスディに、もっと感謝しても良かったのだが、なまじラスディがレイラを溺愛したために、悪癖が治らないままだった。


  熊の怒りの一撃をくらい、レイラは一人では、何も出来なくなった。
  実の娘のロアナは、自慢の顔に傷が付いて、「お母さんのせいだ!」とただ喚くだけ。

  レイラの看病をすることもなく、家を出て行ってそれきりとなった。

  時々ラスディは遠い目をしてため息をつく。

――お願い、見捨てないで!

  心の中で必死に叫ぶレイラであった。  


  
 ブルーノは、顔に大きな傷が付いたロアナとの結婚を、彼の父により強行された。

「離縁は認めない」

 そしてブルーノ夫婦は五年間、領地の牧場で働くことになった。
 五年間で成長出来れば、廃嫡の見直しもあるという。

 毎日毎日、羊たちの世話、山羊の世話。
 動物たちの糞尿まみれの日々である。

 こんな生活は嫌だと、一年もたたずにロアナは出奔し、その後の行方は不明である。
 顔の傷があるために、場末の娼館に流れ着いたと噂されてもいる。


 ブルーノは最早どうでも良かった。
 慣れてくれば、世話している生き物は、存外可愛いものだ。

 動物たちの、つぶらな瞳を見ると、想い出す女性がいる。
 思い出したところで、どうなるものでもないのだが。

 優秀な魔導士と結婚したと聞き、心にぽっかり穴が開いた気分になったブルーノであった。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

知風
2023.12.31 知風

優しくて可愛いお話で、ほっこりと癒やされました(*´ω`*)
短編だからサクッと読みやすい反面、長編で読んでみたいなーと思う作品でした。

作者様の他の恋愛カテゴリのお話も拝見させて頂きましたが、どれも面白いです。
主人公の不遇な状態の描写も塩梅が上手くてストレスやヘイトが少なく、読後感も良く、どの作品も好きです。

ウサギテイマーTK
2023.12.31 ウサギテイマーTK

感想、ありがとうございます!!
癒されたと書いて下さいまして、嬉しいです!!!

他の作品もお読み下さいまして、心より御礼申し上げます。
1月には、長編の異世界恋愛を載せますので、お付き合いいただければ幸いですm(__)m

解除
dragon.9
2023.09.01 dragon.9

神様の出身は広島あたりですかね?(笑)
無自覚最強令嬢
素敵゚+.゚(´▽`人)゚+.゚

ウサギテイマーTK
2023.09.01 ウサギテイマーTK

感想、ありがとうございます!!
神様は、中国地方の縁結びの大神様のお使いで、広島にも滞在していたと思います(^_^;)
ヒロインに「素敵」をありがとうございます(ぺこ

解除

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