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お尋ね者死神編
48話 南東大渓谷
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筑深を後にする
ディーの背に揺られ南東部を目指していると、相変わらず賞金目当てだったり鬼人百鬼のザゴどもに絡まれる
「ひぇひぇひぇ お命頂戴するぜ!」
「こんな嬢ちゃんにかなりの賞金がかかってるなんてどんな悪いことしたんだ?」
「むぅ 僕は嬢ちゃんじゃない」
「ちっ 次から次と飽きずにやるぜ」
襲ってきた奴らを片っ端から返り討ちにし、先を進む
南部の端に近づく
「景色が変わってきたな」
緑が減り乾燥した風が吹いている
「ここら辺は北東部に近く作物があまり育たない土地っすから
ちょっと訳ありな人達が住んでるみたいっす
あそこに見える南東大渓谷から向こう側は人が住めないほど荒れた土地になっているっすね」
目前に巨大な大地の切れ目が広がり、心許ない吊り橋が風に揺れていた
南東大渓谷はかなり深いのか太陽の光が届かず真っ暗闇に包まれている
覗いたら吸い込まれそうだ
「北東部に行くならあの吊り橋を渡るしか道は無いっす」
「これを渡るのかよ」
一歩踏み出すとギシッと板が軋む
「今にも落ちそう」
「俺が守るから大丈夫だろ」
「うん」
レゼを乗せたまま橋を駆ける
吊り橋の中間に差し掛かった時、強風が吹く
「レゼ 落ちるなよ」
「んっ」
バサッバサバサバサッ
風が止み鳥の羽音がして空を見上げる
空には無数の羽を生やした鬼人が集まっていた
その中心にいる泣き顔の面を着けた男とガリガリに悲痛な顔をした男は団子を食べながら話している
「必ずここを通ると思って待ってた甲斐があった」
「そうだナ アァ タリナイ」
ディーは男たちを無視して駆け出す
「無視するナ タリナイ」
どこから出したのか2本目の団子を頬張る
指先から糸の様なものを出し、吊り橋を斬り裂く
板の一部がバラバラになるが吊り橋は辛うじて落ちずにいる
「そうだぞ無視は良くない」
仮面の男は身振りで怒りを表現する
空気中の水分が集まり、ディーとレゼを拘束する
「体に纏わり付いて気持ちわりぃな」
噛み付き引き剥がそうとするがスライムの様にグニャっとなるだけで引き剥がせない
「むぅ 動けない」
「どうだ 四天王 哭鬼(こくき)の叫(きょう)の名は伊達じゃない」
身振りで得意気になる
「タリナイ タリナイ」
懐から3本目の団子を取り出す
「私の横でタリナイタリナイ言ってるのは私と同じ四天王 餓鬼(がき)の虚(うろ)、こいつも私の次くらいに強い」
男の横でジャジャーンと手をひらひらさせる
「いや、俺の方が強いナ アァ タリナイ」
「いいや 私の方が強い」
身振りで強さを表す
少しの間男たちは押問答する
「こんなことしてる場合じゃなかった 虚、頼む」
「ナ」
吊り橋を破壊する
「出会って直ぐだけどさよなら」
ハンカチを出し、別れの挨拶をする
身動きの取れないディーとレゼは吊り橋と共に大渓谷の闇に吸い込まれていった
「あわわ 大変っす 落ちちゃったっす」
「リーデル 落ち着いて 僕たちは平気」
「でも かなりの高さっすよ もしもってことがあるかもしれないっす レゼさん達には死んでほしくないっす」
「むぅ わかった」
影をクモの巣状に広げその上に着地する
次いでに拘束していた水を凍らせ砕く
「光が届かないのに影を操れるっすね」
「?・・・そんなの当たり前、そこにモノがあれば影はできる 見えなくても確かに存在しているから」
「そうゆうものっすかね・・・」
「レゼがあるって言うならあるんだろ」
「はぁ 深く考えても仕方ないっすね どうするっすか?」
見上げる
空にはまだ鬼人が飛び回っていて四天王の2人もいるだろう
「上に戻ったらまた襲われそうだな取り敢えず下に降りてみるか」
「うん」
クモの影巣を使いゆっくり降りていく
「やっと底に着いたっすね」
頭上の光は米粒のように小さく底は相当暗いがディーとレゼは支障無く動くことができた
底は地上の切れ目より狭くなっている
「左は結鬼隊の本部があるっすから右に行くっすよ」
「おう」
大渓谷の底を右にずっと壁伝いに進んで行く
日が暮れさらに闇が深くなると流石のディーとレゼでも見えずらくなってくる
「鬼人百鬼の連中ずっと見張っていましたっすね レゼさん達が生きてるのに気付いているっすかね?」
「さあな」
「むう」
ちょっとした段差に躓く
「大丈夫か? 暗くなってきたから気を付けろよな」
「うん」
ズッズズゥゥズッズッズゥ
引きずるような音が段々と近づいてくる
「ディー何かいる」
ズモァァズズズ
両側の壁からヒト形の靄が這い出してきた
ア゛ァアア アー
何かを呟きながら近づいてくる
「なんだこいつら」
ディーはジャッカル、レゼは影鎌を構える
「鬼喰いだと思うっすけど 鬼に喰われ過ぎてだいぶ精神が壊れているみたいっすね 自分がどうなってるか分からずここで何百年も彷徨っている可哀想な人達っす」
ドンッ ザシュ ザシュ ドンッ
「ちっキリがねえな」
「比較的新しい鬼喰いもいるみたいっすね」
「ディー 危ない」
「レゼもな」
「進むにつれ数が増えてるので気を付けるっす」
始めは休み休み出てきたのが今は間髪入れずに這い出してくる
ヒュッ ヒュッ ヒュッ
人の気配がしたかと思ったら鬼喰いが倒れ、地面にはクナイや手裏剣が刺さっている
さらに人の気配がすると辺りの鬼喰いが全て倒れた
体には刀傷が付いている
ディーの背に揺られ南東部を目指していると、相変わらず賞金目当てだったり鬼人百鬼のザゴどもに絡まれる
「ひぇひぇひぇ お命頂戴するぜ!」
「こんな嬢ちゃんにかなりの賞金がかかってるなんてどんな悪いことしたんだ?」
「むぅ 僕は嬢ちゃんじゃない」
「ちっ 次から次と飽きずにやるぜ」
襲ってきた奴らを片っ端から返り討ちにし、先を進む
南部の端に近づく
「景色が変わってきたな」
緑が減り乾燥した風が吹いている
「ここら辺は北東部に近く作物があまり育たない土地っすから
ちょっと訳ありな人達が住んでるみたいっす
あそこに見える南東大渓谷から向こう側は人が住めないほど荒れた土地になっているっすね」
目前に巨大な大地の切れ目が広がり、心許ない吊り橋が風に揺れていた
南東大渓谷はかなり深いのか太陽の光が届かず真っ暗闇に包まれている
覗いたら吸い込まれそうだ
「北東部に行くならあの吊り橋を渡るしか道は無いっす」
「これを渡るのかよ」
一歩踏み出すとギシッと板が軋む
「今にも落ちそう」
「俺が守るから大丈夫だろ」
「うん」
レゼを乗せたまま橋を駆ける
吊り橋の中間に差し掛かった時、強風が吹く
「レゼ 落ちるなよ」
「んっ」
バサッバサバサバサッ
風が止み鳥の羽音がして空を見上げる
空には無数の羽を生やした鬼人が集まっていた
その中心にいる泣き顔の面を着けた男とガリガリに悲痛な顔をした男は団子を食べながら話している
「必ずここを通ると思って待ってた甲斐があった」
「そうだナ アァ タリナイ」
ディーは男たちを無視して駆け出す
「無視するナ タリナイ」
どこから出したのか2本目の団子を頬張る
指先から糸の様なものを出し、吊り橋を斬り裂く
板の一部がバラバラになるが吊り橋は辛うじて落ちずにいる
「そうだぞ無視は良くない」
仮面の男は身振りで怒りを表現する
空気中の水分が集まり、ディーとレゼを拘束する
「体に纏わり付いて気持ちわりぃな」
噛み付き引き剥がそうとするがスライムの様にグニャっとなるだけで引き剥がせない
「むぅ 動けない」
「どうだ 四天王 哭鬼(こくき)の叫(きょう)の名は伊達じゃない」
身振りで得意気になる
「タリナイ タリナイ」
懐から3本目の団子を取り出す
「私の横でタリナイタリナイ言ってるのは私と同じ四天王 餓鬼(がき)の虚(うろ)、こいつも私の次くらいに強い」
男の横でジャジャーンと手をひらひらさせる
「いや、俺の方が強いナ アァ タリナイ」
「いいや 私の方が強い」
身振りで強さを表す
少しの間男たちは押問答する
「こんなことしてる場合じゃなかった 虚、頼む」
「ナ」
吊り橋を破壊する
「出会って直ぐだけどさよなら」
ハンカチを出し、別れの挨拶をする
身動きの取れないディーとレゼは吊り橋と共に大渓谷の闇に吸い込まれていった
「あわわ 大変っす 落ちちゃったっす」
「リーデル 落ち着いて 僕たちは平気」
「でも かなりの高さっすよ もしもってことがあるかもしれないっす レゼさん達には死んでほしくないっす」
「むぅ わかった」
影をクモの巣状に広げその上に着地する
次いでに拘束していた水を凍らせ砕く
「光が届かないのに影を操れるっすね」
「?・・・そんなの当たり前、そこにモノがあれば影はできる 見えなくても確かに存在しているから」
「そうゆうものっすかね・・・」
「レゼがあるって言うならあるんだろ」
「はぁ 深く考えても仕方ないっすね どうするっすか?」
見上げる
空にはまだ鬼人が飛び回っていて四天王の2人もいるだろう
「上に戻ったらまた襲われそうだな取り敢えず下に降りてみるか」
「うん」
クモの影巣を使いゆっくり降りていく
「やっと底に着いたっすね」
頭上の光は米粒のように小さく底は相当暗いがディーとレゼは支障無く動くことができた
底は地上の切れ目より狭くなっている
「左は結鬼隊の本部があるっすから右に行くっすよ」
「おう」
大渓谷の底を右にずっと壁伝いに進んで行く
日が暮れさらに闇が深くなると流石のディーとレゼでも見えずらくなってくる
「鬼人百鬼の連中ずっと見張っていましたっすね レゼさん達が生きてるのに気付いているっすかね?」
「さあな」
「むう」
ちょっとした段差に躓く
「大丈夫か? 暗くなってきたから気を付けろよな」
「うん」
ズッズズゥゥズッズッズゥ
引きずるような音が段々と近づいてくる
「ディー何かいる」
ズモァァズズズ
両側の壁からヒト形の靄が這い出してきた
ア゛ァアア アー
何かを呟きながら近づいてくる
「なんだこいつら」
ディーはジャッカル、レゼは影鎌を構える
「鬼喰いだと思うっすけど 鬼に喰われ過ぎてだいぶ精神が壊れているみたいっすね 自分がどうなってるか分からずここで何百年も彷徨っている可哀想な人達っす」
ドンッ ザシュ ザシュ ドンッ
「ちっキリがねえな」
「比較的新しい鬼喰いもいるみたいっすね」
「ディー 危ない」
「レゼもな」
「進むにつれ数が増えてるので気を付けるっす」
始めは休み休み出てきたのが今は間髪入れずに這い出してくる
ヒュッ ヒュッ ヒュッ
人の気配がしたかと思ったら鬼喰いが倒れ、地面にはクナイや手裏剣が刺さっている
さらに人の気配がすると辺りの鬼喰いが全て倒れた
体には刀傷が付いている
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