黒ウサギ世界を廻る異世界奇譚 ~食いしん坊ウサギと世話焼き狼の絆は深い~

鴻霧

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お尋ね者死神編

42話 厄災の鬼人

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結鬼隊から逃げ、山道を歩いている

「早々に結鬼隊に出会うとは思わなかったっすね」

「もっと殺り合ってみたかったのによぉ」

「人を守る人達だから殺るのは良くないと思うよ」

「その通りっす 殺るなら鬼人百鬼か人を襲う鬼喰いにしてくださいっす」

「さっきの奴らも言ってたな鬼人百鬼ってなんだ?」

「僕も知りたい」

「鬼人百鬼とは自我を持った鬼喰いが集まってできた組織っす
なんでも鬼喰いだけの世界を作ろうとしているらしいっす」

「自分勝手な奴らだな」

「そうだね でも僕たちには関係ないよ」

「そうでもないっす 荒魂はレゼさん達を排除しようとこの世界の人達を利用してくるはずっすから」

「殺しちゃダメなのは面倒」

「なるべく見つからないようにしたいところっすね」

話ながら歩いていると団子屋ののぼりが見えてきた

「だんご食べたい」

「おっ いいな 金ってあったか?」

「幻魔石に入ってるっす」

「気が利くなぁ」

「だんご 沢山ください」

「いらっしゃい だんごね まいど」
皿に盛られただんごが出てくる

「ぱくっもぐもぐ 美味しい」

「いい食べっぷりだね お前さん達旅の者かい?」

「うん」

「そうかい ここらも日が暮れると物騒だから気をつけるんだよ 近くで鬼人が出たって噂もあるからね」

「うん 分かった」

だんごを食べているとレゼ達が来た道とは反対側から結鬼隊の羽織を着た人達が歩いてくる

「追っ手って訳じゃないみたいっすね 気付かれないようにするっす」

団子屋を通り過ぎようとした時、結鬼隊員がレゼ達に気付く
「この気配 鬼憑きか?」
刀が抜かれだんごを頬張っているレゼに向けられる

「言った側から気付かれてるっす」

「もぐもぐ 僕は何もしてない もぐもぐ」

「てめえ レゼに何向けてんだぁ」
ディーが刀を握り折る

「ひ ひぇぇ お助け」
団子屋の婆さんが店の奥に逃げ込む

「素手で刀を折るとは凄まじい握力だな」

「俺は力の強い奴は大歓迎だ お前ら鬼憑きなら結鬼隊に入らないか?」

「結鬼隊だか何だか知らねぇが、売られた喧嘩は買うぜ」
エアガンを錬成する

「詠唱無しに鬼の力を使ったか 鬼人なら話が違うな 悪鬼は斬り伏せる! 憑き動け 九十九」
バンッ! 男が背負っていた箱から刀を持った少女が出てくる

「ハハハ 人形遊びか? 人じゃないなら思いっきり殺っても大丈夫だよなぁ!」
ディーはエアガンの威力を上げ、撃つ

「ごちそうさま」
だんごを食べ終え茶をすする

別の結鬼隊が刀を抜き唱える
「声にひれ伏せ 言霊 這いつくばれ」

「むぅ」
体が勝手に動き、這いつくばろうとするのを堪える

「言霊に抗うのか!?」

レゼは影を操り言霊使いを拘束し喉元に影の刃を当てる
薄皮が切れ血が滲む

「うぅっ 止めろ」

レゼが拘束した結鬼隊に当たるようディーが人形を蹴り飛ばす
影の拘束を解くと一緒に吹っ飛んでいき言霊使いはそのまま気絶した

言霊の力が消え体の自由が戻る
「レゼ 大丈夫か?」

「うん平気」
裾に付いた土を払う

九十九人形の方はまだ動けるようで刀を持ち直し斬りかかってくるが影で拘束するついでに九十九の鬼憑きも拘束する 刀を折られていたので簡単に捕まえることができた

「俺をどうする気だ 厄災の鬼人」

「やくさい? レゼの事か?」

「あの力、他に誰がいる!」

「厄災の鬼人ってなんだ?」

「知らないのか!?」

「あぁ だから俺たちに分かるように教えてくれるよなぁ」
銃口を頬にぐりぐりする

「分かった 知らないなら教えてやる 厄災の鬼人とは影を操る最強最悪の鬼人、全ての鬼人を統べ混沌と虐殺をもたらす 世界を破滅させる存在だ」

「ハハハ それがレゼだって? これのどこが世界を破滅させる鬼人なんだよ?」
レゼの頭を撫で回す

「むぅ やめて」

「確かに見た目は可愛らしい少女の様だが・・・厄災の鬼人として覚醒してないだけかも知れない とにかく鬼人は悪の権化なんだ」

「そうかよ」

「変っすね 厄災の鬼人は鬼ノ島に封印されているはずっす それに影を操る力があるなんて初耳っす」

「分かっただろ 厄災の鬼人は存在してはいけない 配下である鬼人も全てな」

「そういうことっすか 鬼人と鬼喰いが区別されてない訳っすね そして結鬼隊は人を襲う化け物って事でレゼさん達に斬りかかってきたっす レゼさん達は一応鬼人って事になってるっすからね 納得したっす」

「荒魂の差し金ってことか・・・よぉく分かったぜ じゃあおねんねしてな」

エアガンの持ち手で殴り気絶させる
「うぐっ」

「さてどうするか」

拘束を解きだんご屋の中で寝かせる
「レゼさんは影の力を使わない方がいいっす」

「やだ 前の世界でも制限されてた 窮屈なのは疲れる」

「襲ってきても返り討ちにすりゃあいいだろ」

「無駄な争いは避けるべきっす」

「俺はレゼが嫌がる事には賛成しねぇ それに前の世界で分かったんだよ俺たちはルールに縛られたり周りに合わせるのが好きじゃねぇってな」

「そんなことだから危険視されるっす」

「何か言ったか?」

「なんでも無いっす それよりこのままだと野宿っすよ」
もう日が傾き始めている

「それは一大事だな ここじゃあろくな食事も無いしな」

「美味しいもの、食べたい」

「レゼさん達なら、急げば日付が変わる前に近くの町に着けると思うっす」

「なら急いで行くか」
ディーが狼に変身する

「うん」
ディーの背に股がる

「振り落とされねぇように気を付けろよ」
レゼを乗せたディーは怒涛の勢いで町に向けて走り出した
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