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冒険者(プレイヤー)死神編

35話 アトラティアの王

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壊れた扉の奥はまるで玉座の間のようだ
天井には美しい絵が描かれ、細かい細工が施された柱があり豪華な造りになっているがヒトデや貝、イソギンチャクがくっつきここが海底であることを物語っているようだ

壁の半分からは沈没船の船体が見えている

壊れた扉から中に入ると部屋の奥に球体があった
中には意識を失ったフィオリアがふわふわと浮いている

「さらわれた姫っす どうやら意識が無いだけで怪我は無いみたいっすね」

ゴゴゴォォ
玉座の影から虎の模様をした巨大なサメが現れ戦闘開始ムービーが流れる

「タイガーシャークか強そうだなぁ!」

ジャガァァァ
タイガーシャークは鋭い歯を剥き出しにして突進してくるが噛み付かれる前にその勢いのまま口に影双剣を突き刺し顎から腹にかけて斬り裂いていく

ガァァガガ
タイガーシャークはいきなりのことで反応できずもろに攻撃を受け、のたうち回る

影双剣を持ち変え獣が爪で獲物を仕留めるかのようにのたうち回るタイガーシャークを斬り刻んでいく

「俺の出番は無さそうだな 俺の分を残してくれても良かったんだぜ」

「いつもディーが一人で楽しそうにしてるから ダメ」

「凄まじい連撃っす」

タイガーシャークの体はどんどん血で染まっていく
「ふぅ これで終わり」
跳躍し回転で勢いを付け
タイガーシャークの中骨辺りに巨大化させた刃を突き立て三枚におろす

タイガーシャークは倒されクエスト完了の画面が現れる
ドロップアイテム欄に昇格の証と表示された

「ランクボスは倒したな、後は姫か」

先ほど置いていった冒険者一行が追い付いてきた
武器を構えながら部屋に入ってくるが一瞬動きが固まったが直ぐに動き出す

「うおお! やったぞ」

「俺たちの勝利だ!」

「姫様はどこだ?」

皆自分たちで勝利したかのような行動をとる

「先行して倒してしまったから冒険者さんたちの戦闘シーンがカットされたみたいっすね」

「へぇ そんなこともあるんだな」

王国騎士の一人が姫様に駆け寄ると球体が消え、中の姫様が投げ出されたので王国騎士は咄嗟に抱き抱える
その姿は文字通りお姫様抱っこだ

「姫様は驚くと膨らむ魔物の毒で丸1日は目を覚まさないだろうが命に別状はない 直ぐに戻って国王にこの事を知らせるのだ」

「はっ!かしこまりました」

「私たちも直ぐに戻ろう」

「倒したのは俺たちなのにな」

行きと同じ様に船底がガラス張りの船に乗り込むムービーが流れ、ムービーが終わると他の冒険者達と一緒にお城の王の間にいた

ゼールシュ国王が話し出す
「この度は我が娘フィオリアを魔物の手から救いだしてくれたこと、大いに感謝する
これはささやかだかお礼だ受け取ってくれ」

アイテム画面が表示され、獲得したアイテムとギルが表示される

「おっ 結構貰ったな」

「うん」

お城を出てギルドに向かい、ランクアップの手続きを済ませる
「これでレゼさん達は手練れ(Bランク)っす荒魂を閉じ込めたポータルのある街まであと1ランクっすね 長いようで短かったっすこの世界もあと少しだと思うとちょっと名残惜しいっすね」

「俺は早く戻りてぇ」
冷静を装うとしているけどレゼをモフモフしては耳と尻尾がしょんぼりしている

「?」

「足りねぇ」

「僕はこの世界も楽しい」

「俺も楽しく無い訳じゃねぇが・・・ちょっとな」

「?・・・元気出して」
レゼはディーの頭を撫でる

「次の街はクロノリガーって言う綺麗な景観が話題の街っす
実はずっと見てみたかったっす 朝日や夕日、夜景とどの時間でも美しい景色を見ることができて ヘルヘブンズに負けないくらい幻想的な雰囲気って話っす」

「ふぅん」

「あっ レゼさん達興味無いっすね」

「うん 綺麗ってよく分からない」

「レゼはそうだよな」

「えぇぇ 綺麗なものって見てるだけで心がウキウキするもんっす分からないのは勿体ないっす」

「ディーは分かるの?」

「まあな 本を読んでればそれなりに分かるぜ レゼも読んでみるか?」

「いい それより美味しいものが食べたい」

「うぅっ レゼさんは花より団子っす クロノリガーに行く楽しみを誰かと分かち合いたいっす」

「いいからさっさと行こうぜ」

「ううっ」

ゼルの街を出て山を1つ2つ抜けて行く
馬での移動なので3日置きに野宿を挟みながら一週間ほど移動に費やす

一週間後
朝日と青い建物のコントラストが美しい街が見えてきた

街に入るとリーデルのリクエストで先に街を散策する
「わぁ 素敵っす ヘルヘブンズのリゾート地をイメージしてるだけあっておしゃれなお土産屋やカフェが建ち並んでるっす 高台から見えるカラフルな船も素敵っす」

「リーデルの奴テンション上がってるな」

「むぅ はしゃぎすぎ」

「つい 前から気になっていた場所だったので」

早朝に着いたがすっかり日が暮れている
「もういいだろ」

「はい ありがとうございますっす」

「明日はギルドに行こう」

「はいっす」
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