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魔王死神編
21話 船の旅路
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「慕われてるんだな」
「優しい人でしたから当然ですぅ」
「俺はキザなやつは好かねぇ」
「ほんとですか? レゼにちょっかいかけてたからじゃないんですぅ?」
「お前だってファルチェだったら同じこと思うだろ」
「当然ですぅ!魔王様に付く悪い虫はこの私が許しません!」
ファルチェに抱きつく
「優しい人 じゃなかったのか?」
「我のことそんなに大事か・・・うれしいぞ 我は我のことが好きな奴が好きなのだ!」
ファルチェの胸に顔を埋めスリスリする
「魔王様!」
抱き合う二人をディーは少し引いた目で見ている
「仲がよろしいことで」
レゼ達を乗せた船は渓谷を流れる広い川を上流に向かって進んでいた
目指すは北東にある魔剣が封印されているナタリア神殿だ、三日もあれば着くだろうとルイスが言っていた
「初めての船」
「楽しいか?」
「うん ディーと一緒だから」
「そうか」
レゼの頭をモフモフする
「おかしいな 普段はもっと鳥の鳴き声がするはずなんだけどな」
辺りは静まり返っている船が水を切る音しかしない
「どいつもこいつも阿保面下げて仲良く船の旅ってか」
大剣を携えた隻眼の天魔が船に飛び乗ってきた
後から続々と手下の天魔たちが船に乗り込んでくる光景はまるで海賊だ
隻眼の天魔は大剣を振り回し威嚇してくる
「見つけたぞ 魔王 その首、この俺天官のガトーがもらい受ける!」
「我に挑むとは命知らずな天魔なのだ」
ファルチェの両腕に紅色の炎が纏うとドラゴンのような鋭い爪と硬い鱗に変わった
片手で大剣を受け止め投げ飛ばす
ガトーは渓谷の壁を足場にし戻ってくる
「大将は魔王をご指名なようだな 俺たちは雑魚の相手でもするか」
ジャッカルを構える
「誰が雑魚だってぇ!」
眉間に三発、心臓に一発、腹部に二発、計5体の天魔を瞬殺する
「手ごたえねぇな」
「私の魔法はここでは使えませんが、槍の扱いには自信がありますぅ!」
フォーク型の槍を巧みに使い3体の天魔を同時になぎ倒し船から落とす
「僕も・・・おっとと」
船が揺れ影鎌が手から離れすっ飛んでいってしまった
「どこを狙ってんだ ハハハ」
「むぅ・・・」
ゲラゲラと笑っている天魔の背後を影鎌が切り裂きながらレゼの手に戻った
「雑魚は片付いたな」
ファルチェの戦闘はまだ続いている
隻眼の天魔はボロボロだがファルチェはどこか余裕のある顔をしている
「我は楽しいのだ もっと我を楽しませて欲しいのだ」
「はぁ はぁ 化け物並みの力だな 流石魔王!だが俺も負けんぞ!」
大剣に手を置く、オレンジの炎を纏い大剣が雷を帯びる
「俺の全魔力を注ぐ はぁぁ! これでどうだぁ!!」
雷を帯びた大剣が振り下ろされるが後ろに飛び距離を取る
大剣が当たり、衝撃で甲板に穴が開く
「船を壊すのは止めて欲しいのだ」
拳に魔力を溜めガトーを殴り飛ばすが、ガトーは空中で雷の斬撃を放つ
ファルチェは拳で受け流す
斬撃は船を逸れ水中で爆発し、その勢いで船が揺れる
ガトーが次の攻撃体勢になる前に急接近し、心臓をえぐり潰す
「がはっ!」
ガトーの瞳からは光が失くなり、その体は抵抗無く川に落ちていった
「なかなか骨のある奴だったのだ!だが、我には及ばなかったのだ!」
「魔王様の戦い素晴らしかったですぅ!惚れ直しました!」
天魔との戦闘で傷付いた船の修理に数日かかったがその後は何事もなく無事に運航する事ができた
「嬢ちゃんたち災難だったな、普段は襲われることなんてないのにな・・・まぁたいした怪我もなくて良かったよ」
「こちらこそ巻き込んでしまったみたいで申し訳ないですぅ」
「いいって 船も俺たちも無事だったんだから気に病むことはねー」
「うぅ 船長さんも優しいですぅ」
「おいおい泣くんじゃねぇ旅は長いんだろしっかりしねーといけねー」
「うぅ はい 船長さんありがとうですぅ」
「おうよ 気ー付けてな」
ナタリア神殿近くの岸で降ろしてもらいそこからは徒歩で向かうようだ
数十分も歩かないうちに開けた空間に出るとそこには朽ち果てた神殿が静かに佇んでいる
柱には蔦が巻き付き屋根が無くなっており野晒しにされた神像は苔で覆われていた
「着いたのか? だいぶボロいが・・・」
「ここは入口ですぅ、本殿はこの下にあります!」
地面を指さす
「どこから入るんだ?」
「えぇっと 確かこの神像の下ですぅ 左に押してみてください」
ラビリスに言われたとおりにすると神像の下から階段が現れた
「良かった 地図通りありましたぁ!かなり古いので心配でしたけど・・・」
神像に隠されるようにあった階段を下りていく
「洞窟か?」
階段を降り切るとごつごつとした横穴が幾つも現れる
「そうですぅ ナタリア神殿は地中深くにある天然の洞窟を利用しているためかなり入り組んだ構造をしてます でも安心してください 私にかかればどんな迷宮もお茶の子さいさい! どーんと任せてくださいですぅ!」
胸を張って答える
ラビリスの言う通り彼女の能力である超感覚と空間認識を使えば正しい道が手に取るように把握できるだろう
だからラビリスの能力を思えば大丈夫なはずが得意気にしている姿を見るとなんだか不安になる
「さぁ 魔剣はこっちですぅ!」
「なんだか不安」
「そんなことないですぅ」
「いざとなったら我がいるから大丈夫なのだ」
「そんなぁ 魔王様まで・・・」
「優しい人でしたから当然ですぅ」
「俺はキザなやつは好かねぇ」
「ほんとですか? レゼにちょっかいかけてたからじゃないんですぅ?」
「お前だってファルチェだったら同じこと思うだろ」
「当然ですぅ!魔王様に付く悪い虫はこの私が許しません!」
ファルチェに抱きつく
「優しい人 じゃなかったのか?」
「我のことそんなに大事か・・・うれしいぞ 我は我のことが好きな奴が好きなのだ!」
ファルチェの胸に顔を埋めスリスリする
「魔王様!」
抱き合う二人をディーは少し引いた目で見ている
「仲がよろしいことで」
レゼ達を乗せた船は渓谷を流れる広い川を上流に向かって進んでいた
目指すは北東にある魔剣が封印されているナタリア神殿だ、三日もあれば着くだろうとルイスが言っていた
「初めての船」
「楽しいか?」
「うん ディーと一緒だから」
「そうか」
レゼの頭をモフモフする
「おかしいな 普段はもっと鳥の鳴き声がするはずなんだけどな」
辺りは静まり返っている船が水を切る音しかしない
「どいつもこいつも阿保面下げて仲良く船の旅ってか」
大剣を携えた隻眼の天魔が船に飛び乗ってきた
後から続々と手下の天魔たちが船に乗り込んでくる光景はまるで海賊だ
隻眼の天魔は大剣を振り回し威嚇してくる
「見つけたぞ 魔王 その首、この俺天官のガトーがもらい受ける!」
「我に挑むとは命知らずな天魔なのだ」
ファルチェの両腕に紅色の炎が纏うとドラゴンのような鋭い爪と硬い鱗に変わった
片手で大剣を受け止め投げ飛ばす
ガトーは渓谷の壁を足場にし戻ってくる
「大将は魔王をご指名なようだな 俺たちは雑魚の相手でもするか」
ジャッカルを構える
「誰が雑魚だってぇ!」
眉間に三発、心臓に一発、腹部に二発、計5体の天魔を瞬殺する
「手ごたえねぇな」
「私の魔法はここでは使えませんが、槍の扱いには自信がありますぅ!」
フォーク型の槍を巧みに使い3体の天魔を同時になぎ倒し船から落とす
「僕も・・・おっとと」
船が揺れ影鎌が手から離れすっ飛んでいってしまった
「どこを狙ってんだ ハハハ」
「むぅ・・・」
ゲラゲラと笑っている天魔の背後を影鎌が切り裂きながらレゼの手に戻った
「雑魚は片付いたな」
ファルチェの戦闘はまだ続いている
隻眼の天魔はボロボロだがファルチェはどこか余裕のある顔をしている
「我は楽しいのだ もっと我を楽しませて欲しいのだ」
「はぁ はぁ 化け物並みの力だな 流石魔王!だが俺も負けんぞ!」
大剣に手を置く、オレンジの炎を纏い大剣が雷を帯びる
「俺の全魔力を注ぐ はぁぁ! これでどうだぁ!!」
雷を帯びた大剣が振り下ろされるが後ろに飛び距離を取る
大剣が当たり、衝撃で甲板に穴が開く
「船を壊すのは止めて欲しいのだ」
拳に魔力を溜めガトーを殴り飛ばすが、ガトーは空中で雷の斬撃を放つ
ファルチェは拳で受け流す
斬撃は船を逸れ水中で爆発し、その勢いで船が揺れる
ガトーが次の攻撃体勢になる前に急接近し、心臓をえぐり潰す
「がはっ!」
ガトーの瞳からは光が失くなり、その体は抵抗無く川に落ちていった
「なかなか骨のある奴だったのだ!だが、我には及ばなかったのだ!」
「魔王様の戦い素晴らしかったですぅ!惚れ直しました!」
天魔との戦闘で傷付いた船の修理に数日かかったがその後は何事もなく無事に運航する事ができた
「嬢ちゃんたち災難だったな、普段は襲われることなんてないのにな・・・まぁたいした怪我もなくて良かったよ」
「こちらこそ巻き込んでしまったみたいで申し訳ないですぅ」
「いいって 船も俺たちも無事だったんだから気に病むことはねー」
「うぅ 船長さんも優しいですぅ」
「おいおい泣くんじゃねぇ旅は長いんだろしっかりしねーといけねー」
「うぅ はい 船長さんありがとうですぅ」
「おうよ 気ー付けてな」
ナタリア神殿近くの岸で降ろしてもらいそこからは徒歩で向かうようだ
数十分も歩かないうちに開けた空間に出るとそこには朽ち果てた神殿が静かに佇んでいる
柱には蔦が巻き付き屋根が無くなっており野晒しにされた神像は苔で覆われていた
「着いたのか? だいぶボロいが・・・」
「ここは入口ですぅ、本殿はこの下にあります!」
地面を指さす
「どこから入るんだ?」
「えぇっと 確かこの神像の下ですぅ 左に押してみてください」
ラビリスに言われたとおりにすると神像の下から階段が現れた
「良かった 地図通りありましたぁ!かなり古いので心配でしたけど・・・」
神像に隠されるようにあった階段を下りていく
「洞窟か?」
階段を降り切るとごつごつとした横穴が幾つも現れる
「そうですぅ ナタリア神殿は地中深くにある天然の洞窟を利用しているためかなり入り組んだ構造をしてます でも安心してください 私にかかればどんな迷宮もお茶の子さいさい! どーんと任せてくださいですぅ!」
胸を張って答える
ラビリスの言う通り彼女の能力である超感覚と空間認識を使えば正しい道が手に取るように把握できるだろう
だからラビリスの能力を思えば大丈夫なはずが得意気にしている姿を見るとなんだか不安になる
「さぁ 魔剣はこっちですぅ!」
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「そんなことないですぅ」
「いざとなったら我がいるから大丈夫なのだ」
「そんなぁ 魔王様まで・・・」
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