黒ウサギ世界を廻る異世界奇譚 ~食いしん坊ウサギと世話焼き狼の絆は深い~

鴻霧

文字の大きさ
上 下
12 / 67
学生死神編

11話 白銀クラス

しおりを挟む
レグーダは心を踊らせていた
毎日レゼさんと登校できるなんて僕は幸せ者だなぁ
そして仲良くなって···あわよくば、ムフフフ···
レゼの部屋の扉をノックする
「レゼさん起きてますか
良かったら僕と一緒に行きませんか?」

出てきたのはレゼではなかった
「なんか用か?」

「ディ···ディーさん! なぜここにあなたが!」

「俺とレゼの部屋だからな」

「そんなの・・・不健全です! リーザ先生も言ってたじゃないですか!
いくら兄妹だからって男女が一緒なんて···そんなのダメです!」

「何言ってんだ? 俺とレゼは男女じゃねーぞ」

「はい?」

「だから男女じゃねーって言ってんだよ」

レグ-ダの思考は一瞬止まる
どういうこと?・・・落ち着け自分
「あんなに可愛いのにレゼさんが男だなんて嘘です!」

「なら自分の目で確かめるんだな・・・レゼ来てくれ」
呼ばれて顔を出す

そこには男子の制服を着たレゼの姿があった

「!!!!」

「おい 大丈夫か?」
レグ-ダはショックのあまり気絶している

「どうしたの?」

「さぁな・・・そんなことよりさっさと飯食って行くぞ 遅れたらあの先生怖そうだからな」

「レグ-ダも連れてったほうが良い」

「そうだな」
気絶したレグ-ダを引きずりながら食堂に向かう

何とか授業が始まる前に教室に着くことができた
教室にはすでにソーニャとノエラがいる
「遅いですわよ 初日からたるんでいるんじゃありません?」

「間に合ったからいいだろ いちいちうるせーな」

「本当にあなたって口が悪いですわね」

「二人ともそれくらいにしてください」
ショックから立ち直ったレグ-ダが仲裁にはいる

皆各々に好きな席に着く

「まだ来ていない人がいるようですわね 一体何をしているんですやら」

バタバタと廊下を走る音がする
「ギリギリにゃ」
予鈴と同時に教室に駆け込んでいく

「危なかったにゃ おいら朝は苦手にゃ~」

「騒々しいですわね そんなんじゃ立派な奇術士にはなれませんわよ
才あるものは皆のお手本にならなくてわ」

「にゃにゃにゃ おいらには関係ないにゃ~」

「ソーニャちゃんはいつも身だしなみに気を使ってるの立派なの
あ、猫さん髪に葉っぱが付いているの」

「ありがとうにゃ~」

「全員そろっているようだな・・・関心関心
もう知っていると思うが先ずは自己紹介をしてもらう」

「では わたくしから自己紹介させていただきますわ
わたくしソーニャ・サラスナルヴァと申します 以後お見知りおきを」

「私はノエラ・スーヴェルト ソーニャちゃんとは幼馴染で一番の親友なの
みんなとも早くお友達になりたいの」

「おいらはネルリア・レイズワース よろしくにゃ~」

「僕はレグ-ダ・ラングランデです 魔具について学ぶために来ました」

「俺はディーだ」

「僕はレゼ・・・よろしく」

「早速で悪いが、実力を知るために模擬戦闘をしてもらう直ぐに着替えて第7練習場に集合してくれ」

「はいなの」 「はいですわ」 「了解にゃ」 「はい!」

『第7練習場』ここでは擬似モンスターを使って生徒たちがどんな奇術を使うか把握するためにある
他の練習場では模擬訓練をしている
腕輪型の魔道具を装着することで防御魔法が発動する
戦闘でのダメージを十分の一にしてくれるので手加減は無用だ

「これは・・・一体どんな仕組みになっているんでしょう!」
レグ-ダが目を輝かせている

「まずはソーニャから」

魔法陣から黒い騎士が召喚される、擬似モンスターのダークナイトだ
ソーニャは拳に魔法陣を展開させる
拳の強度を上げ、殴る寸前に衝撃波を作り、威力を上げている
身のこなしも素早い 体感がしっかりしていて軸がぶれていない
お嬢様って感じだったが目の前にいるのは凄腕の格闘家だ

「入学試験でも見たがサラスナルヴァが使うのは仙術だな・・・見事に使いこなしている
そこまで・・・次スーヴェルト」

「はいなの」
持ってきた杖を天に向けて伸ばす
空中に魔法陣が展開され光の刃が降り注ぐ

「流石だな 白銀の魔女と同じ一族なだけはあるな
よし 次はレイズワース」

「はいにゃ」
袖からナイフを取り出す
指に挟んでいると見た目と相まって猫の爪のようだ
投げて攻撃したり挟んだ状態で振り、斬撃を出したりしている
投げたナイフを操作することもできるみたいだ

「珍しいな 短剣術は暗殺術の派生だがナイフ特化のようだな
次 ラングランデ」

「は はい!」
たすき掛けのようにして肩にかけたカバンから筒状の物を取り出し魔物に投げつける
筒は爆発しダークナイトの上半身を消し飛ばす
「あわぁわぁ 威力が強すぎました」

「魔具術だな 自己紹介で魔具について知りたいと言っていたが既に自作している様だな
次 ディー」

「だりーな」
頭を掻きながらけだるそうに銃を錬成する
小型のマシンガンでハチの巣にする

「ほぉ・・・錬成術を使う者は多いが・・・変わった物を作るな
次 レゼ」

「・・・」
影でダークナイトを作り戦わせる

「見たことない術だな 生徒の中にはオリジナルの術を操る者もいるが
かなり洗礼された術だな 名前を付けるなら影創術か···」

模擬戦闘だけで午前中の授業は終わってしまった
今レゼ達はお昼を食べに学生食堂に来ている 他のクラスの生徒も続々と集まってくる

「腹減ったな」

「A定食 B定食 日替わり 全部食べてみたい」

「一度に食ったらあとで飽きるぞどれか一つにしな」

「むぅ」

ふくれてる姿可愛い・・・って男だぞ 何ときめいてるんだ
「僕のばぁかぁーーー!!」
自分の頭をポカポカと叩いている

「レグ-ダは何やってんだ?」

「レゼたちぃおいらも一緒にいいかにゃ?」

「かまわねーぞ」

「うん」

「レグ-ダもいいだろっていつまでやってんだ」
首根っこを捕まえて引きずっていく

「ありがとうにゃ~」

4人ともA定食を頼み席に着く

「うまいにゃ~」

「本当に美味しいですね」

少し離れたところでソーニャ達が上級生に絡まれている
「君 新入生だよね 俺たちと一緒に食べない?」

「遠慮しますわ」

「そういわずにさぁ 君可愛いよね 俺たち先輩が色々教えてあげるよ」

「放してくださいませ 貴方たちに教えてもらうことなんてありませんわ
不愉快ですので消えてくれません」

「あ゛ぁ 優しくしてれば調子になりやがって」
両手から炎を出す

「はぁ 下賤ですわね」

「ソーニャちゃんこの人たち凄く怒ってるの 大変なの」

ソーニャは素早く相手の目の前に移動しデコピンを食らわせる
相手は勢いよく後方に吹っ飛ぶ
衝撃で近くにある机や椅子が倒される

レゼは素早く察知し自分のA定食を守りながら空中に飛ぶ

「おい! レゼの邪魔してんじゃねぇ!」
両手にピストルを錬成しぶっ放す

「ディーさん 落ち着いてください!」

机や椅子は幾つも穴が開いている砕けているものもある
他の生徒は一目散に逃げて食堂にいるのは白銀クラスのメンバーと気絶した上級生だけだった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜

星影 迅
ファンタジー
およそ30年前、地球にはダンジョンが出現した。それは人々に希望や憧れを与え、そして同時に、絶望と恐怖も与えた──。 最弱探索者高校の底辺である宝晶千縁は今日もスライムのみを狩る生活をしていた。夏休みが迫る中、千縁はこのままじゃ“目的”を達成できる日は来ない、と命をかける覚悟をする。 千縁が心から強くなりたいと、そう願った時──自宅のリビングにダンジョンが出現していた! そこでスキルに目覚めた千縁は、自らの目標のため、我が道を歩き出す……! 7つの人格を宿し、7つの性格を操る主人公の1読で7回楽しめる現代ファンタジー、開幕! コメントでキャラを呼ぶと返事をくれるかも!(,,> <,,) カクヨムにて先行連載中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...