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6 魔王候補生と愉快な仲間たち(2)

6―5 師匠って木ですか?

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 6ー5 師匠って木ですか?

 翌日の早朝から俺たちの特訓が始まった。
 といっても俺もクーランドも剣術など習ったこともなかったし、俺は、前もってアザゼルさんに教えてくれる先生を紹介してもらえるようにと頼んでいた。
 そして、朝、俺たちが指定された中庭へと向かうとそこには、ロイの姿があった。
 「ロイ?」
 「遅いぞ、お前たち」
 ロイは、俺たちを中庭の中央へと導くとそこに腰に指していた短剣で小さな穴を掘り何かの種をまいた。
 そして、なにやらぼそぼそと呟くと、そこからいくつもの芽が伸びてきてあっという間に俺たちと同じぐらいの背丈に育った。
 「これがお前たちの師匠になるノキアの木だ」
 はい?
 俺とクーランドはお互いを見つめていた。
 「この木が何を教えてくれるってんだよ?」
 クーランドがロイに尋ねると、ロイは、ふん、と鼻で笑った。
 「不満なのか?だが、今のお前たちにはこのぐらいがちょうどいい」
 「何?」
 クーランドが怒りをむき出しにしてロイを睨み付けた。
 「あんた、お偉い魔王なんだかなんだか知らねぇが、俺たちを舐めてんじゃねぇぞ!」
 ロイは、クーランドを無視して背中を向けるとそこから去って行こうとした。
 俺は、去っていくロイに尋ねた。
 「いったい、この木をどうしたらいいってんだよ?」
 「ノキアは」
 ロイが口を開いた。
 「魔の森の中でも最も成長が速く、悪食だ」
 はい?
 俺がポカンとしているとロイは、俺とクーランドにそれぞれ練習用の長剣を渡した。
 「つまり、この木をほっとけばこの辺りはすぐにノキアの森になり、この辺りに住む住人は、みな、この木に食らわれることになる」
 マジで?
 俺は、ロイに問いかけた。
 「それ、まずいんじゃ?」
 「ああ、かなりまずい」
 ロイは、なんでもないことのように答えると、俺の頬へと手を伸ばした。
 触れられると、俺は、弱い。
 「んぅっ!」
 「お前が剣を持つ必要なんてない。お前は、俺が守ってやる」
 「でも!」
 俺は、ロイの手を振り払うときっとロイを見上げた。
 「それでも、俺は!」
 「それなら、この木を倒すことだ。お前たちがこの木が暴れだす前に倒せたら、そのときは、本気で剣を教えてやる」
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