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4 魔王の嫁は、魔王候補生?

4―3 放置されてます。

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 4ー3 放置されてます。

 どうやらここは、王都ルミニスでもかなり大きな通りに面しているらしく、正面に見える通りには途切れることなく馬車が行き交っていた。
 俺は、こう見えても大学では文学、それも中世ヨーロッパの文学を学んでいた。
 この世界の文化は、どことなく中世ヨーロッパの文化に似ているような気がしていた。
 言語は、どうやらあのクソ女神がなんらかのスキルを与えてくれていたためか最初から不自由することなかった。
 生活魔法は、今朝のことで使えることがわかった。
 俺は、ぼんやりと通りをながめながら考えていた。
 これからどうしたらいいわけ?
 とにかく今の俺の身の上は、奴隷、それもどうやら愛玩奴隷のようなものらしい。
 だが、昨日部屋に通されてからは、アザゼルさんは、仕事が忙しいとかで俺のところには顔を出してないしメイドのワチさんも特に指示は受けていないのだという。
 つまり俺は、放置されているのだった。  
 俺は、灰色の空を見上げてため息をついた。
 うん。
 いろいろあって忘れていたけど、俺がこの世界に送り込まれたのって、確かお袋の家の再興のためだったんだよな。
 もしかしたら、お袋の実家に行けばなんとかなるかもしれない。
 ってか、無理か?
 俺は、唸った。
 お袋がこの世界から追放された後、お袋の実家とかがどうなってるのかも俺にはわからなかった。
 たぶん、結構な名家だったみたいなんだがな。
 いっそ、あのスマホ女神に頼んでみるか?
 でも、あいつ、いまいち信用できないしな。
 そこでふと思い出した。
 俺は、昨夜、スマホ女神の電源を切ったまま放置していたんだった。
 俺は、ベッドの脇のテーブルの上に置かれたままのスマホを手にして電源を入れようとした。
 しかし。
 俺は、電源を切ったままスマホをテーブルの上に戻した。
 あの女神には、もう少し反省してもらわなくては。
 あの女神のせいで、俺は、大変なことになってるんだしな。
 というか、あれが現れる前からろくなことないんだがな。
 そんなことを思いながらぼんやりとしていると誰かが部屋の扉をノックする音がしてワチさんが入ってきた。
 「セツ様、旦那様がお呼びでございます」
 はい。
 俺は、緊張した面持ちでワチさんの方を見た。
 きましたか。
 俺は、ぎこちなく立ち上がるとワチさんの方へと歩み寄っていった。
 
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