87 / 110
7 魔王の都の春の祭り(2)
7―5 崇高な愛ですか?
しおりを挟む
7ー5 崇高な愛ですか?
要するに、俺との婚姻を利用して騎士と結ばれるつもりってこと?
俺は、複雑な気持ちだった。
だから、サティ様は、俺が異性愛者だといったときにあんなに取り乱したんだな。
「お前が家に帰っているのを知っていたのにすぐに迎えに行けなかったのは、あの娘が『白い結婚』を我々が受け入れなければ死ぬとか言い出してな」
ガイが、吐息をついた。
「まったく厄介な連中だな」
「そうなんだ」
俺は、ガイの胸にもたれてくすっと笑った。
サティ様の王国に対する細やかな反抗か?
自分の騎士と結ばれるためにこの婚姻を利用しようとは。
「なんか、複雑だな」
俺が呟くと、ガイが不満げに俺の耳を噛んだ。
「お前は、あの娘の方が私たちの愛よりいいというのか?ティルよ」
「そんなことはないけど」
俺は、あっけらかんと愛を囁くガイに少し照れてしまった。
なんか嬉しいような、恥ずかしいような気持ちでいっぱいになる。
俺は、ガイの腕を抱き締めた。
「ティル、結婚するんですって?」
久しぶりに魔王城を訪れた奥さまが俺ににやにやしながら近寄ってきた。
「しかも、親子どころか、孫ほど年下の子と」
「それは、事情があって」
俺は、自室の大きめのソファに浅く腰かけて奥さまを見上げていた。
「とにかく平和のためにするのであって、俺は、勇者様とは違いますから」
「あら、アニタス、かわいそう。フラれ続けじゃないの」
奥様は、手土産のお菓子を俺の部屋付きのメイドさんに手渡してにっこりと微笑んだ。
「まあ、いいけどね」
「奥様は、勇者様のことどう思ってるんですか?」
俺は、思いきって奥さまに訊ねた。
奥様は、少し考えてから答えた。
「戦友、かな?」
戦友?
俺は、問いかけるように奥様を見つめた。
奥様は、はぁっとため息をついた。
「何?ミミルといいあなたといい、なんで私とアニタスをくっつけようとするわけ?」
「べ、別に、そんなつもりは」
俺は、慌てて否定したが、奥様は、俺を責めるような目で見た。
「いい?私には、そんなものよりもっと崇高な愛があるのよ!」
はい?
俺は、ハトマメで奥様を見上げた。
なんですと?
要するに、俺との婚姻を利用して騎士と結ばれるつもりってこと?
俺は、複雑な気持ちだった。
だから、サティ様は、俺が異性愛者だといったときにあんなに取り乱したんだな。
「お前が家に帰っているのを知っていたのにすぐに迎えに行けなかったのは、あの娘が『白い結婚』を我々が受け入れなければ死ぬとか言い出してな」
ガイが、吐息をついた。
「まったく厄介な連中だな」
「そうなんだ」
俺は、ガイの胸にもたれてくすっと笑った。
サティ様の王国に対する細やかな反抗か?
自分の騎士と結ばれるためにこの婚姻を利用しようとは。
「なんか、複雑だな」
俺が呟くと、ガイが不満げに俺の耳を噛んだ。
「お前は、あの娘の方が私たちの愛よりいいというのか?ティルよ」
「そんなことはないけど」
俺は、あっけらかんと愛を囁くガイに少し照れてしまった。
なんか嬉しいような、恥ずかしいような気持ちでいっぱいになる。
俺は、ガイの腕を抱き締めた。
「ティル、結婚するんですって?」
久しぶりに魔王城を訪れた奥さまが俺ににやにやしながら近寄ってきた。
「しかも、親子どころか、孫ほど年下の子と」
「それは、事情があって」
俺は、自室の大きめのソファに浅く腰かけて奥さまを見上げていた。
「とにかく平和のためにするのであって、俺は、勇者様とは違いますから」
「あら、アニタス、かわいそう。フラれ続けじゃないの」
奥様は、手土産のお菓子を俺の部屋付きのメイドさんに手渡してにっこりと微笑んだ。
「まあ、いいけどね」
「奥様は、勇者様のことどう思ってるんですか?」
俺は、思いきって奥さまに訊ねた。
奥様は、少し考えてから答えた。
「戦友、かな?」
戦友?
俺は、問いかけるように奥様を見つめた。
奥様は、はぁっとため息をついた。
「何?ミミルといいあなたといい、なんで私とアニタスをくっつけようとするわけ?」
「べ、別に、そんなつもりは」
俺は、慌てて否定したが、奥様は、俺を責めるような目で見た。
「いい?私には、そんなものよりもっと崇高な愛があるのよ!」
はい?
俺は、ハトマメで奥様を見上げた。
なんですと?
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!
朝比奈歩
BL
ーーある日目覚めたら、おれはおれの『最推し』になっていた?!
腐男子だった主人公は、生まれ変わったら生前プレイしていたBLゲームの「攻略対象」に転生してしまった。
そのBLゲームとは、本来人気ダンスヴォーカルグループのマネージャーになってメンバーと恋愛していく『君は最推し!』。
主人公、凛は色々な問題に巻き込まれながらも、メンバー皆に愛されながらその問題に立ち向かっていく!
表紙イラストは入相むみ様に描いていただきました!
R-18作品は別で分けてあります。
※この物語はフィクションです。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
【完結】異世界転移パパは不眠症王子の抱き枕と化す~愛する息子のために底辺脱出を望みます!~
北川晶
BL
目つき最悪不眠症王子×息子溺愛パパ医者の、じれキュン異世界BL。本編と、パパの息子である小枝が主役の第二章も完結。姉の子を引き取りパパになった大樹は穴に落ち、息子の小枝が前世で過ごした異世界に転移した。戸惑いながらも、医者の知識と自身の麻酔効果スキル『スリーパー』小枝の清浄化スキル『クリーン』で人助けをするが。ひょんなことから奴隷堕ちしてしまう。医師奴隷として戦場の最前線に送られる大樹と小枝。そこで傷病人を治療しまくっていたが、第二王子ディオンの治療もすることに。だが重度の不眠症だった王子はスリーパーを欲しがり、大樹を所有奴隷にする。大きな身分差の中でふたりは徐々に距離を縮めていくが…。異世界履修済み息子とパパが底辺から抜け出すために頑張ります。大樹は奴隷の身から脱出できるのか? そしてディオンはニコイチ親子を攻略できるのか?
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺
ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。
その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。
呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!?
果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……!
男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?)
~~~~
主人公総攻めのBLです。
一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。
※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる