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5 世界は、『スマホ』が回してる?

5―2 『スマホ』

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 5ー2 『スマホ』

 奥様たちのやっている『通販』事業は、世界に通信革命を起こした。
 『通販』に必要な魔道具『スマホ』は、遠く離れた場所にいる者同士を結びつける。
 今までは、すごい魔道師たちだけが行っていた秘術をなんの力も持たない普通の人間がボタン1つでなんなく行うことができるのだ。
 『スマホ』は、高価な魔道具であるゆえに今は、王公貴族の類いしか手に入れることができないが、奥様たちは、これを将来的には、一般市民にまで広めていきたいと思っているようだった。
 だが、それには、国が待ったをかけていた。
 当然だ。
 こんな危険な魔道具を庶民が持つなんて国家として認めるわけにはいかないだろう。
 今、この国に流通している『スマホ』は、200台ほどだった。
 それも、王様とその一族、有力な貴族たちに独占されている。
 そして、王様は、これ以上『スマホ』を増やすことを禁じていた。
 「仕方ないっすよ」
 勇者様は、こたつで蜜柑を食べながら俺に話した。
 「この『スマホ』は、道具として危険すぎるほど優れているんすよ」
 確かに。
 俺は、頷いた。
 『スマホ』は、危険だ。
 すごく便利な道具でありながら、軍事利用の可能性を秘めていた。
 だから、王様は、この魔道具を国外に持ち出すことを禁じている。
 つまり、この『スマホ』は、国家機密なのだった。
 そんなわけで、結局、今のところ『通販』事業の顧客は、限られていたが、それでもかなりの収益をあげているようだった。
 奥様は、『スマホ』で扱う『通販』の品物を最初、薬と化粧品のみに限っていた。
 というのも奥様は、以前いた異世界で薬を扱うお仕事をされていたらしかった。
 それで、まず、薬と化粧品を扱うことにしたのだという。
 これがかなりヒットしていた。
 医師を呼ぶほどでもないが少し体調が悪いとか、そういうときにいつでも必要な薬が手に入るというのは、画期的だことだった。
 そして、化粧品。
 これは、口コミで広まっていき売れに売れた。
 特に、髪を洗うための石鹸やら、洗った後につけるととぅるとぅるになると話題のとりーとめんとなどは、一時品切になるほどの売れゆきだった。
 これらの品は、奥様が異世界から『通販』で仕入れていたものを売っている。
 奥様は、仕入値にたっぷりと利益をのせて売り出していたが、それでもみなこぞって買っていた。
 中には、大量に購入して『スマホ』を持たない中流以下の貴族たちに高値で転売する者までいた。
 こういう転売を防ぐために奥様たちは、一度に購入できる商品の数を制限しなくてはならなかった。
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